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もよい。気流循環装置設置後には,一様な気流分布になっているかを確認するために,気流境界層内の気
流速度分布を測定する。
9.3 校正
9.3.1 校正板 装置の性能は,実際に試験を行おうとする熱抵抗の範囲にわたり,熱伝導率既知の均質な
校正板を用いて検証する。校正板としては,高密度グラスウール,経時変化のない発泡プラスチックなど
のパネルが適しており,それらの熱伝導率は,JIS A 1412-1(保護熱板法)によってあらかじめ測定してお
く。パネルの継ぎ目は熱橋とならないようにする。校正板の表面は,空気及び湿気を通さない材料で仕上
げる。
9.3.2 加熱箱の校正 保護熱箱法及び校正熱箱法は,加熱箱周壁からの損失熱量 要である。
校正の目的は,加熱箱内発生熱量 瀰 正することにある。この校正は,保護熱箱法では 校
正熱箱法では 湟 P ける。
校正板を用いて,加熱箱の内外に温度差を付けた測定を行うことによって,加熱箱周壁に取り付けたサ
ーモパイルの出力と 係がグラフ又は式として得られる。通常の試験では十分に大きいと考えられ
る23Kの温度差に対して,この関係は直線的と仮定できる。
備考 校正の詳細は,附属書Cの文献 [12], [13] を参照。
9.3.3 体側面での損失熱量 置固有のものであり,試験体厚さ,試験体の熱抵抗及
び試験体枠に関係する。この校正にも,校正板を用い定常状態での測定を行う。 体厚さの関係は
直線的ではない。校正は,実際に試験が行われる試験体厚さの範囲にわたり行う。また,試験体の単位厚
さ当たりの熱抵抗が大きく異なる場合には,実際に試験を行うR/dの範囲にわたって校正を繰り返す。
校正の代わりに,有限要素法,有限差分法などの数値計算によって, 計算結果は,
実際に数回の校正を行うことによって検証しなければならない。
加熱側及び冷却側の温度差,装置が置かれている部屋と装置内の温度との差に依存するので,実
際に装置が用いられる温度条件で校正を行う。
10. 試験手順 特殊な試験体に対しては,この試験方法が適当か,他の,例えば,保護熱板法,熱流計法
又は計算の方が適するのかを決める。試験体の構成を調査解析することによって,試験体が取りうる熱貫
流率の範囲をあらかじめ試算する。また,このときの精度を見積り,試験目的に合致するかどうかを検討
する。
10.1 試験体の養生 湿気によって測定結果に影響を受ける試験体の場合,養生条件を報告する。試験前
後での試験体質量に明らかな差があれば,その結果を報告するか,又は試験前後にコアサンプルを抜き取
る。
10.2 試験体の選択及び取付け 試験体は,実際の製品又は構造物を代表するように選ぶか製作する。不
均質な試験体の場合は,次のことに留意する。
a) 保護熱箱法の場合,(空気と空気又は空気と表面での)加熱箱と保護熱箱間の不平衡の検出には,最も
正確な方法を選ぶ。加熱箱が試験体に接触する部分の近辺の表面温度が均一な場合,試験体表面での
不均衡の測定と加熱箱周壁からの損失熱量 問 することが最も正確である。その部分で不均質が
存在する場合,加熱箱内外の空気温度による不均衡の検出だけが可能であり,そのときの損失熱量
は誤差要因となる。
b) 保護熱箱法の場合,可能なら,熱橋は測定部と保護部との境界線上にまたがるようにし,熱橋部の半
分が加熱箱に,半分が保護熱箱にかかるようにする。
――――― [JIS A 1420 pdf 11] ―――――
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試験体がモジュール寸法で組み立てられる場合,加熱箱の寸法はモジュール寸法の倍数とする。加
熱箱の開口部は,モジュールの継ぎ目と一致するか継ぎ目と継ぎ目の中央部分になるようにする。
これらの要求をすべて満足できない場合は,測定部の位置を変えて何回か測定を行う。このとき,
結果には注意が必要であり,温度及び熱流測定又は計算で補う必要がある。
c) 校正熱箱法の場合,試験体側面の熱橋の影響による損失熱量 銀⌒ 地 瀰 要に応
じて,保護熱箱法と同様に加熱箱の位置を変えて測定する。これは,すなわち,校正熱箱法の場合,
構造物の別の部分を含む別の試験体を測定することを意味する。
試験体は,側面からの空気及び湿気の侵入,加熱側から冷却側又は逆方向への空気及び湿気の透過がな
いように製作又はシールを行う。
試験体側面は, 度まで減少させるために断熱する。
試験体内部への空気の侵入を防ぐために,試験体表面のシールが必要かどうか,また,加熱側表面での
結露を防止するために,湿度を制御することが必要かどうかも考慮する。
保護熱箱法では,測定部と保護部にまたがる空気層を境界部分でふさぐかどうか,また,表面が熱伝導
性の高い材料の場合,測定部と保護部の境界で縁を切るのかどうかを検討する。
試験体表面に凹凸がある場合,加熱箱と保護熱箱の間の気密を確保するために,加熱箱が試験体に接触
する部分をプラスタ又はコーキング材で平たんにする。
試験体が加熱箱の開口寸法よりも小さい場合,試験体を試験体に合うふさぎパネルなどで試験体を取り
付ける。試験体とふさぎパネルとの間の境界部分での熱流は,一次元的ではないが,試験体と同じ厚さ及
び熱抵抗をもつふさぎパネルを使うことで最小にすることができる。しかし,試験体が窓などの場合は,
この方法は不可能であり,この規格での適用範囲外である。
10.3 試験条件 試験条件は,測定精度及び最終用途への適用を考慮して選ぶ。平均試験温度及び温度差
は試験結果に影響を与える。建築用構成材では,平均温度を10℃20℃,温度差を20℃以上とするのが一
般的である。加熱側及び冷却側の気流速度は,試験の目的に合わせて調節する。温度は, び
るだけ小さくするように制御する。
10.4 測定時間 定常状態に達する時間は,試験体の熱抵抗及び熱容量,表面熱伝達率,試験体内部での
物質移動及び湿気移動,温度調節器の形式及び性能によって変わる。したがって,定常状態に対するただ
一つの基準を決めることはできない。
定常状態の必要条件の一例として次の条件を与える。すなわち,ほぼ定常状態になったと判断した後の
3時間以上の測定を2回繰り返し,そのときのR,U, びTの測定値の変動が1%以内で,かつ,一方
向に変化しない状態。試験体の熱抵抗が非常に大きい場合,質量が非常に大きい場合,又は両者である場
合,この条件では不十分であり,測定時間を延長する必要がある。
10.5 結果の算出 定常状態において,4.で規定した平均熱貫流特性は,8.を基にして算出する。
10.5.1 均質な試験体 試験体が均質か,又は8.1に示した20%以下の均質である場合,表面温度から熱抵
抗Rを,環境温度から熱貫流率U及び表面熱伝達率hを計算することができる。通常,測定したRから熱
貫流率を算出するには,規準,その他で規定する熱伝達率を用いる。
10.5.2 不均質な試験体 試験体が8.1に示した20%以上の不均質である場合,又は特殊な形状をしている
場合は,環境温度Tni及びTneを用いて熱貫流率Uだけを計算する。
――――― [JIS A 1420 pdf 12] ―――――
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10.5.3 結果の評価 試験結果は,10.で計算した試算値と比較する。両者に明らかな差がある場合は,試
験体の仕様書を基に,試験体に違いがないかを調べ,再度試算を行い,その差の原因を調査する。さらに,
試算値と測定値の間に原因不明な差がある場合,試算のための計算方法を単純化しすぎていないか,又は
測定誤差が大きすぎないかについて調査する。
11. 報告 報告は,必要に応じて次の項目について行う。
a) 試験機関の所在地,試験日,依頼者
b) 試験装置の寸法及び内側表面の放射率
c) 試験体図及び測定位置
d) 試験体養生条件,試験前後の試験体質量,含水率及びその測定方法
e) 試験体の方向及び熱流方向
f) 試験体両表面の気流速度及び方向
g) 加熱箱内供給熱量及び試験体通過熱量
10.5.1に従って熱抵抗Rを算出した場合は,以下のh) o)の項目(1)を追加する
h) 加熱側及び冷却側の空気温度
i) 加熱側及び冷却側の表面温度
j) 加熱側及び冷却側の加重平均した表面温度
k) 熱抵抗計算結果及び熱貫流率算出のための基準などによる表面熱伝達率
l) 精度
m) 試験期間
n) 補足的な測定結果,例えば試験体の一部の含水率
o) その他,例えば,試験結果と10.による試算結果との差及びその原因の推定結果
注(1) 上記h) l)は,定常状態になった後の,測定時間内の平均値又は全測定値の平均値とする。
10.5.2に従って熱貫流率Uを算出した場合は,以下のp) v)の項目(2)を追加する。
p) 加熱側及び冷却側の空気温度
q) 加熱側及び冷却側の環境温度計算結果
r) 熱貫流率計算結果及び校正板による表面熱伝達率
s) 精度
t) 試験期間
u) 補足的な測定結果,例えば,熱伝導率,試験体の一部の含水率
v) その他,例えば,試験結果と10.による試算結果との差及びその原因の推定結果
注(2) 上記p) s)は,定常状態になった後の,測定時間内の平均値又は全測定値の平均値とする。
――――― [JIS A 1420 pdf 13] ―――――
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附属書A(規定) 表面での熱移動と環境温度
序文 試験体では,試験体表面と熱箱表面との放射伝熱及び試験体表面での対流伝熱によって熱移動が生
じる。放射伝熱の割合は,試験体と相対する面の平均放射温度によって決まり,対流伝熱の割合は,試験
体表面近傍の空気温度によって決まる。したがって,試験体通過熱量は,試験体両面の放射温度及び空気
温度によって影響を受ける。
A.1 環境温度 試験体両表面での熱収支式は,次の式で表される。
Φ
hr (TrTs ) c (TaTs ) (A.1)
A
ここに, 一 試験体表面への単位面積当たりの熱量 (W/m2)
T'r : 試験体に相対する面の平均放射温度(K又は℃)
Ta : 試験体表面近傍の空気温度(K又は℃)
Ts : 試験体表面温度(K又は℃)
hr : 放射熱伝達率 [W/ (m2・K) ]
hc : 対流熱伝達率 [W/ (m2・K) ]
放射と空気温度の項を一つにまとめるのが便利であり,このため空気温度と放射温度を適切な方法で加
重平均した環境温度Tnを用いて熱流量を定義する。すなわち
Φ 1
(Tn Ts ) (A.2)
A Rs
Rsは,表面熱伝達抵抗であり,式(A.2)は式(A.1)と等価である。Tn及びRsは,次の式で与えられる。
hr hc
Tn Tr Ta (A.3)
hr hc hr hc
1
Rs (A.4)
hr hc
通常,熱貫流率の算出には加熱箱と冷却チャンバとの環境温度差を用い,表面熱伝達抵抗は式(A.2)によ
って算出する。
しかし,試験体の熱抵抗が大きく表面熱伝達抵抗よりも非常に大きい場合,強制対流下でhcがEhrより
も非常に大きい場合などは,T'rとTaはほとんど一致する。このような場合,装置及び測定を行っている条
件下で誤差が無視できる程度であれば,試験体の各面での空気温度から熱貫流率を算出してもよい。
試験体の熱抵抗を算出するには,表面平均温度だけが必要となる。
A.2 環境温度の計算 環境温度は,hrとhcが既知でありT'rとTaとを測定すれば,式(A.3)によって計算で
きる。
バッフル板が試験体表面に近く,かつ,平行であれば,バッフル板の平均温度は,T'rとみなすことがで
きる。このとき
1 1 1
1
E 1 2
ここに,Eは放射係数, 攀 攀 それぞれバッフル板と試験体の表面の放射率である。
バッフル板は,つや消し黒色 ( 攀 0.97) で塗装されており,ほとんどの建材に対してはE=0.9で与え
――――― [JIS A 1420 pdf 14] ―――――
14
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られるが,この値は,各試験体について検討する。放射熱伝達率hrは,次の式で与えられる。
hr 4 ETm3
ここで, テファンボルツマン定数 [5.67×10−8W/ (m2・K4) ] である。Tmは平均放射絶対温度で,次
の式で与えられる。
(Tr 2Ts2 )(Tr
Ts)
Tm3 又は,
4
(Tr Ts )
Tm ~
2
バッフル板以外の表面から試験体表面に直接放射がある場合は,それらの表面温度を測定することが必
要となり,適当な形態係数を用いてT'rに加味する。
対流熱伝達率hcは,表面と空気温度との差,表面粗さ,気流速度,熱流方向に影響を受けるため予測は
困難である。
通常,垂直表面で自然対流の場合,hc=3.0W/ (m2・K) であるが,強制対流の場合は,それよりもはるか
に大きくなる。
hcの値が不確かな場合,式(A.1)及び式(A.2)からhcを消去して,次のようになる。
Φ
Ta hr(Ta Tr) Ts
Tn A (A.5)
Φ
hr(Ta Tr )
A
この式は,熱流が表面への流入熱量(すなわち,加熱側で正,冷却側で負)であれば, 湘 の
表面での流入熱量又は流出熱量に対して正しい。
式(A.4)を用いる場合,試験体の平均表面温度Tsが必要となる。不均質な試験体の場合,この式は適用で
きず,このような場合,別の均質な試験体の試験結果から得られたhcを用いて式(A.3)を適用できる。
計算例 熱貫流率の測定において,次の測定値が得られている。
加熱箱への供給熱量 : 31.8W
伝熱面積 : A=1.5m2
したがって,試験体を通過する単位面積当たりの熱量は
一 21.2W/m2
加熱側の温度は,
平均空気温度 : Ta1=30.98℃
平均バッフル板温度 : T'r1=29.78℃
平均表面温度 : Ts1=27.60℃
したがって,
Tm= (T'r1+Ts1) /2=28.69℃=301.7K
E=0.9としてhr=4×5.67×10−8×0.9×301.73=5.61W/ (m2・K)
hcの値は未知であるため,式(A.5)を用いて
Tn1= [{30.98×21.20+5.61× (30.98−29.78) ×27.60}] / [{21.20+5.61× (30.98−29.78)}] =30.17℃
冷却側の温度は,
平均空気温度 : Ta2=7.39℃
平均バッフル板温度 : T'r2=7.69℃
平均表面温度 : Ts2=8.75℃
――――― [JIS A 1420 pdf 15] ―――――
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JIS A 1420:1999の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 8990:1994(MOD)
JIS A 1420:1999の国際規格 ICS 分類一覧
JIS A 1420:1999の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISA1412-1:2016
- 熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法―第1部:保護熱板法(GHP法)
- JISA1412-2:1999
- 熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法―第2部:熱流計法(HFM法)