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A 2102-1 : 2015
附属書JD
(規定)
既存窓の情報がない場合の改修窓の熱貫流率
JD.1 概要
この附属書は,既存の窓,ドア又は引戸1)の情報がない場合に,改修に用いられる二重窓,並びにカバ
ー工法2),持ち出し工法2)及びガラス交換3)によって改修された窓,ドア及び引戸の実用的な熱貫流率を算
出する方法を定める。ただし,二重窓において既存の窓である外窓のフレームに関する情報がある場合は,
この規格又はJIS A 2102-2に従ってフレームの熱貫流率(Uf)を求め,附属書JBを用いて熱貫流率(UW)
を算出する。また,カバー工法,持ち出し工法及びガラス交換によって改修された窓,ドア及び引戸にお
いて既存の窓の断面情報がある場合は,JIS A 2102-2に従った数値計算法によってフレームの熱貫流率(Uf)
を求める。
注1) 引戸とは,レール又は溝に沿って戸を水平方向に動かす開閉方式のドアセットをいう。
2) カバー工法及び持ち出し工法とは,既存の障子部分だけを撤去し,既存枠の上に溶接又はねじ
によって補助部材などを用いて新設枠を固定する改修工法をいう。障子部分が既存枠内に取り
付くものを力バー工法といい,既存枠の外側に取り付くものを持ち出し工法という。
3) ガラス交換とは,既存窓を利用してガラスを断熱ガラスに交換する改修工法をいう。
なお,この附属書は,次のものには用いない。
− 二重窓において,外窓の気密性能が期待できないルーバー窓及びガラリのある窓。
− カバー工法及び持ち出し工法において,既存枠又は補助部材が内外を貫通する場合で,既存枠又は補
助部材の室内側露出長さが,木造では35 mm以上の窓,ドア及び引戸,並びに非木造では45 mm以
上の窓及びドア。
JD.2 二重窓の実用的な熱貫流率
JD.2.1 一般
二重窓において外窓のフレームに関する情報がない場合は,表JD.1及び表JD.2に従い,フレームのタ
イプによって代表的な外窓のフレームの熱貫流率(Uf1),外窓単体のフレームの投影幅(bf1),外窓と内窓
のグレージングとの間の中間空気層の熱抵抗(Rs),及び外窓と内窓との伝熱開口寸法の差(l1)を求め,
附属書JBによって二重窓の熱貫流率(UW)を算出する。
表JD.1−代表的な外窓のフレームの熱貫流率,フレーム投影幅及び中間空気層の熱抵抗
フレームのタイプ フレームの投影幅(bf1)
フレームの熱貫流率(Uf1) 中間空気層の熱抵抗(Rs)
W/(m2・K) m m2・K/W
樹脂製フレーム 2.4 0.100 0.173
アルミニウム樹脂 5.2 0.070 0.173
複合フレーム
アルミニウム 8.8 0.070 0.173
フレーム
――――― [JIS A 2102-1 pdf 41] ―――――
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A 2102-1 : 2015
表JD.2−代表的な外窓と内窓との伝熱開口寸法の差(l1)
単位 m
納まり 部位 引違い窓 開き窓 フィックス窓
木造用 上部 0.030 0.030 0.030
下部 0.040 0.040 0.040
縦部 0.020 0.020 0.020
非木造用 上部 0.030 0.020
下部 0.045 0.020 −
縦部 0.025 0.020
JD.2.2 外窓のグレージング
外窓のグレージングに関する情報がない場合は,単層グレージング及び複層グレージングのとき,表
JD.3のガラス仕様とする。
二重窓のグレージング中央部分の熱貫流率(Ug)は,5.2による。
表JD.3−外窓グレージングのガラス仕様
外窓グレージング ガラス仕様
単層グレージング 3 mmのフロート板ガラス
複層グレージング 2枚の3 mmのフロート板ガラス及び6 mmの
中空層で構成された普通複層ガラス
JD.3 カバー工法及び持ち出し工法によって改修された窓,ドア及び引戸の実用的な熱貫流率
JD.3.1 一般
カバー工法及び持ち出し工法によって改修された窓,ドア及び引戸において,既存枠の断面情報がない
場合は,新設部分の断面情報を用いて伝熱開口面積(AW),フレーム面積(Af)及びフレームの熱貫流率
(Uf)を求め,箇条5に従い,カバー工法及び持ち出し工法によって改修された窓,ドア及び引戸の熱貫
流率(UW,UD)を算出する。フレームの熱貫流率(Uf)は,JIS A 2102-2に従った数値計算法(例えば,
有限要素法,有限差分法,境界要素法)によって算出する。
JD.3.2 木造のカバー工法によって改修された窓,ドア及び引戸の伝熱開口寸法
木造住宅においては,新設の窓の断面情報から伝熱開口面積(AW)が得られるため,それらの情報から
フレーム面積(Af)を求める。
JD.3.3 非木造のカバー工法及び持ち出し工法によって改修された窓及びドアの伝熱開口寸法
非木造住宅においては,新設の窓及びドアの断面情報から伝熱開口面積(AW)が得られないため,窓及
びドアの内法寸法(高さ及び幅)から図JD.1及び表JD.2に従ってフレーム面積(Af)及び伝熱開口面積
(AW)を求める。
フレーム面積(Af)は,内法寸法基準のフレーム面積(Af')に仮想の伝熱開口寸法までの補正面積(Ar)
を加えた面積とする。補正面積(Ar)は,表JD.4に示す代表的な窓仕様の伝熱開口補正寸法(a)によっ
て算出する。
――――― [JIS A 2102-1 pdf 42] ―――――
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A 2102-1 : 2015
1 新設の窓のサッシ(可動)
2 新設の窓の固定枠
a 伝熱開口補正寸法
AW=Ag+Af
Af=Af'+Ar
補正面積(Ar)は,表JD.4に従い,伝熱開口補正寸法(a)によって算出する。
注記 フレーム面積(Af)は,内法寸法基準のフレーム面積(Af')に仮想の伝熱開口寸法までの補正面積(Ar)を加
えた面積である。
図JD.1−様々な面積の例
表JD.4−伝熱開口補正寸法(a)
単位 m
部位 引違い窓 開き窓・勝手口ドア 玄関ドア
上部a1 0.030 0.020 0.000
下部a2 0.045 0.020 0.000
縦部a3 0.025 0.020 0.000
JD.4 ガラス交換によって改修された窓の実用的な熱貫流率の計算法
JD.4.1 改修前のグレージング部の寸法が測定されている場合の熱貫流率
ガラス交換による改修窓において既存窓のフレームに関する情報がない場合には,式(JD.1)によって改
修窓の熱貫流率を算出する。
Ag Ug Aft Uf Aa Ua lg Ψg
UW
AW
(JD.1)
Ag Ug Aft Uf Aa Ua lg Ψg
Ag Aft Aa
――――― [JIS A 2102-1 pdf 43] ―――――
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A 2102-1 : 2015
ここに, UW : 改修後の窓の熱貫流率[W/(m2・K) ]
Ug : 改修後のグレージングの熱貫流率[W/(m2・K) ]
Uf : フレームの熱貫流率[W/(m2・K) ]
Ua : アタッチメント部の熱貫流率[W/(m2・K) ]
Ψg : 改修後のグレージングのスペーサの線熱貫流率[W/(m・K) ]
AW : 窓面積(m2)
Ag : 改修後のグレージング面積(m2)
Aft : フレーム総面積(m2)
Aa : アタッチメント部の面積(m2)
lg : 改修後のグレージングの見付け周囲長(m)
この計算法では,フレーム部位ごとの熱貫流率(Uf)は一定とする。それに伴って,フレーム面積(Aft)
は,部位ごとではなく,総面積として扱う。
伝熱開口となる窓面積(AW)は,式(JD.2)式(JD.4)によって算出する。
AW W H Win W Hin H (JD.2)
W Win W (JD.3)
H Hin H (JD.4)
ここに, W : 窓幅(m)
H : 窓高さ(m)
Win : 室内側から見た窓内寸幅(m)
Hin : 室内側から見た窓内寸高さ(m)
ΔW : 窓幅補正(m)
ΔH : 窓高さ補正(m)
窓幅補正及び窓高さ補正は,窓開閉形式種別に応じて表JD.5の値を用いる。
表JD.5−窓幅補正及び窓高さ補正
単位 m
用途 窓開閉形式種別 窓幅補正(ΔW) 窓高さ補正(ΔH)
木造用 引違い窓 0.040 0.070
開き窓 0.040 0.070
フィックス窓 0.040 0.070
非木造用 引違い窓 0.050 0.075
開き窓 0.040 0.040
注記 表JD.2の伝熱開口寸法の差(l1)によって,窓幅補正は縦部のl1の2倍,窓高さ
補正は上部及び下部のl1の合計となる。
改修後のグレージング面積(Ag)は,式(JD.5)によって算出する。
Ag Wg 2 ba Hg 2 ba (JD.5)
ここに, W'g : 改修前のグレージング部の見付け幅(m)
H'g : 改修前のグレージング部の見付け高さ(m)
ba : アタッチメントの見付け幅(m)
アタッチメントの見付け幅が不明な場合には,代表的にba=0.018(m)としてよい。また,アタッチメ
ントを使用しないガラス交換の場合には,ba=0.000(m)とする。グレージング部が複数ある窓の場合に
――――― [JIS A 2102-1 pdf 44] ―――――
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A 2102-1 : 2015
は,それぞれのグレージングに式(JD.5)を適用する。
アタッチメント部の面積(Aa)は,式(JD.6)によって算出する。
Aa Wg Hg Ag (JD.6)
アタッチメントを使用しないガラス交換の場合には,Aa=0.0(m2)となる。グレージング部が複数ある
窓の場合には,それぞれのグレージングのアタッチメント部に式(JD.6)を適用する。
フレーム総面積(Aft)は,式(JD.7)によって算出する。
Aft AW Ag Aa (JD.7)
改修後のグレージングの見付け周囲長(lg)は,式(JD.8)によって算出する。
lg 2 Wg Hg 4ba (JD.8)
グレージング部が複数ある窓の場合には,それぞれの改修後のグレージングの見付け周囲長に式(JD.8)
を適用する。
改修後のグレージングの熱貫流率(Ug)は,5.2による。
平均フレームの熱貫流率(Uf)は,平均フレーム投影幅(bf)から図JD.2によって求める。平均フレー
ム投影幅(bf)は,式(JD.9)によって算出する。
2
n 1 n 1
W H W H 2 n 1 Aft
2 2
bf (JD.9)
2 n
ここに, bf : 平均フレーム投影幅(m)
W : 窓の幅(m)
H : 窓の高さ(m)
Aft : フレーム総面積(m2)
n : グレージングの数
窓幅(W)及び窓高さ(H)は,式(JD.3)及び式(JD.4)によって算出する。
例えば,ガラス1枚からなる開き窓及びフィックス窓の場合はn=1となり,2枚建ての引違い窓の場合
はn=2となる。
例1 グレージング1枚の開き窓及びフィックス窓の場合
2
W H W H 4 Aft
bf
4
例2 グレージング2枚の引違い窓の場合
2
3 3
W H W H 6Aft
2 2
bf
6
――――― [JIS A 2102-1 pdf 45] ―――――
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- ISO 10077-1:2006(MOD)
JIS A 2102-1:2015の国際規格 ICS 分類一覧
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