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5.14.3 カッタヘッドの自然回転防止
カッタ交換時などに,カッタヘッドの質量アンバランスによってカッタヘッドが自然に回転することが
ないよう回転防止処置を講じられる構造としなければならない。その回転防止処置は,カッタヘッド最外
周部に4.9 kNの負荷が作用しても停止状態を保持できるものでなければならない。
なお,回転防止処置を講じることは,接近防止装置に優先して行えることが望ましいが,優先順位が逆
となる場合は,受渡当事者間の協定によらなければならない。
5.15 電気機器
5.15.1 一般
交流600 V以下又は直流750 V以下の低電圧で使用するすべての電気機器は,平成9年3月27日付通商
産業省令第52号“電気設備に関する技術基準を定める省令”又はJIS B 9960-1に適合しなければならない。
交流600 Vを超え又は直流750 Vを超える高電圧で使用する電気機器は,平成9年3月27日付通商産業
省令第52号又はJIS B 9960-11の関連事項に適合しなければならない。
5.15.2 保護方策
運転員及び作業員が感電しないよう,JIS B 9960-1の箇条6(感電保護)に従い,次の保護方策を講じな
ければならない。
− 正常運転時 直接接触に対する保護
− 故障時 間接接触(漏電部などへの接触)に対する保護
5.15.2.1 携帯機器,補助機器及び照明回路
携帯機器,補助機器及び照明回路は,JIS B 9960-1の箇条15(附属品及び照明)に適合しなければなら
ない。また,劣悪な環境下で生じる問題を軽減するための対策には,次を含める。
− 定格感度30 mA以下で,作動時間が0.1 s以内の漏電遮断機の使用
− 110 Vセンタアースタップの使用
5.15.2.2 制御回路の保護
制御回路は,JIS B 9960-1の箇条9(制御回路及び制御機能)に適合しなければならず,また,ペンダン
ト形制御装置は,55 V以下の電圧で制御しなければならない。
5.15.2.3 動力回路の保護
交流600 V以下又は直流750 V以下の動力回路には,次のいずれかを備えなければならない。
− 定格感度電流300 mA以下で,動作時間が0.1 s以内の漏電遮断器
又は
− 動力供給装置の形式に従った絶縁監視装置
絶縁監視装置を設置する場合は,絶縁抵抗が100 Ω/V以下に低下したとき,その異常を光学的又は音響
信号によって警報しなければならない。絶縁抵抗が50 Ω/V以下に低下したときは,直ちに開閉装置が自動
的に開かなければならない。
5.15.2.4 故障の監視
交流600 V又は直流750 Vを超える電圧で使用する回路に,保護アース線及び監視線を内蔵するケーブ
ルを用いる場合,ケーブルに次のような状況が発生したときは,瞬時に電源供給を遮断しなければならな
い。
− 保護アース線又は監視線の断線
− 保護アース線と監視線との短絡
− 動力線と保護アース線との短絡
――――― [JIS A 8202-3 pdf 16] ―――――
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− 動力線と監視線との短絡
電力供給の遮断後,自動的に再接続してはならない。
5.15.3 ケーブル及び電線
TBM及び後続設備に使用するすべてのケーブル及び電線は,JIS B 9960-1の箇条12(導体及びケーブル),
JIS C 3312,JIS C 3327及びJIS C 3605のいずれかに適合しなければならない。さらに,絶縁された動力
ケーブルは耐油,耐水性で,燃焼時に煙及び毒性ヒュームの発生が少なく,かつ,難燃性の材料で被覆す
ることが望ましい。
ケーブルをドラムに巻いた場合,巻数に応じた許容電流値の直線状態定格値からの低減係数は,JIS B
9960-1の12.6.3(ドラムに巻いたケーブルの電流容量)表7による。
5.15.4 変圧器
トンネル内では,乾式変圧器又はポリ塩化ビフェニール (PCB) を含まない不燃性の冷却剤を用いた変
圧器を使用する。
5.15.5 アース接続
TBM及び後続設備の電気回路は,JIS B 9960-1の箇条8(等電位ボンディング)によるほか,アース線
を設置しなければならない。アース線の材料は,故障時の想定最大電流値に応じた適切な断面積をもった
電線とする。
TBMの個々の電気機器は,このアース線に接続しなければならない。
5.15.6 開閉装置
すべての開閉装置は,IEC 60439-1:1985, IEC 60439-3:2000, IEC 60439-4:1999, JIS C 8201-1及びJIS C
8480の附属書2の要求事項に適合し,かつ,できるだけ箱の中に設置しなければならない。これらの箱の
うちTBM内に設置するものは,少なくともJIS C 0920の4.(指定方法)に規定するIP55の保護等級の性
能を,また,後続設備内に配置するものは,少なくともIP54の保護等級の性能をもち,開閉装置の機械的
な損傷に対する保護機能をもつように配置・組立てしなければならない。箱の外側に露出する開閉器には,
起こり得る機械的な損傷に対する保護方策をとり,TBM内に配置するものには少なくともIP55の保護等
級の性能を,後続設備内に配置するものには,少なくともIP54の保護等級の性能をもたせなければならな
い。
5.15.7 照明
照明による照度は,作業区域で70 lx以上,歩行通路で20 lx以上なければならない。作業が行われると
想定される場所には,追加照明のためのコンセントを装備する。
照明機器は,例えば,防護金網入りのガラスケース,高耐衝撃材のケースなどによって,機械的に防護
しなければならない。
5.15.8 非常灯
TBM及び後続設備には,主照明装置の故障時に自動的に点灯する独立した非常灯を装備しなければなら
ない。
非常灯用バッテリへの電力供給は,TBMの主開閉器から独立した低電圧源に直接接続されていなければ
ならない。
TBM及び後続設備内の通路における非常灯は,主照明装置の事故発生後,少なくとも30分間にわたり
通行を妨げない程度に歩行通路上の照度を確保しなければならない。
5.16 供給電源の遮断
変圧器の高圧側及び低圧側ともに主電源の遮断装置を装備し,その装置は遮断状態で施錠できなければ
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ならない。
5.17 電磁両立性 (EMC)
TBM及びその後続設備は,JIS A 8316で規定する電磁両立性の要求事項に適合しなければならない。特
にカッタヘッド,ベルトコンベヤ,油圧ユニットなどの駆動電動機をインバータで制御する場合は,高圧
又は特別高圧で受電する需要家の高調波抑制対策ガイドライン(平成6年9月30日資源エネルギー庁6
資公部第379号)に従って,高調波の流出を抑制しなければならない。
製造業者は,高調波抑制対策を製造業者が実施するか,又は使用者が実施するかを,設計時に受渡当事
者間の協定によらなければならない。
5.18 油圧システム及び空気圧システム
油圧アクチュエータ,油圧制御装置及び油圧接続配管は,JIS B 8361の規定によって設計・製造すると
ともに,次に適合しなければならない。
− 油圧ホース及び配管は,電源用配線と分離するとともに,鋭利な突起物及び高温になるものと接触す
ることから保護しなければならない。
− 油圧回路には,温度計又は温度モニタを装備し,油温が許容値を超えた場合に警告を発しなければな
らない。
− 電磁弁は,JIS C 0920の4.(指定方法)に規定するIP54の保護等級の性能に適合するものでなければ
ならない。
− 揚重設備以外の荷重保持装置であるグリッパ装置などには,逆止め弁を装着しなければならない。
空気圧縮機,空気圧アクチュエータ,空気圧制御装置及び空気圧接続配管は,JIS B 8370の規定によっ
て設計・製造しなければならない。
5.19 騒音
TBM及び後続設備には,適切な騒音低減対策を施さなければならない。
騒音は,次の手段によって低減することができる。
− 低騒音機器の使用
− 振動の低減
− 防音材の使用
TBM及び後続設備を無負荷定格運転したとき,当該機械内におけるいかなる作業位置においても,騒音
レベルが85 dB (A) 以下であることが望ましい。
実掘削作業時に騒音レベルが85 dB (A) より大きくなる可能性のあるすべての区域には,作業員保護の
ための適切な警告を表示し,かつ,取扱説明書に耳せん装着の必要性を記述する。
5.20 火災予防
5.20.1 一般
TBM及び後続設備には,機械のあらゆる箇所で働くすべての作業員のための避難路を明りょうに示し,
非常灯を設け,かつ,防護具の設置空間を設けなければならない。
すべてのTBM及び後続設備には,可燃性材料の使用を極力少なくし,難燃性の材料を積極的に使用す
るように設計しなければならない。
装飾材及び絶縁材には,JIS D 1201の規定によって試験した最大燃焼速度が200 mm/min以下の難燃材
を使用する。
5.20.2 消火装置及び可搬式消火器
TBM及び後続設備には,消火装置又は適切な容量の消火剤を収容した可搬式消火器を備えなければなら
――――― [JIS A 8202-3 pdf 18] ―――――
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ない。消火剤は,あらゆる種類の火災に対応できるものでなければならない。
消火装置は,機械及び関連設備の中の,特に火災発生のリスクが大きい場所に設置する。
− 運転員の近傍
− カッタヘッド主駆動モータの近傍
− 油圧動力装置
− 電装盤
− 変圧器
ハロゲン化物混合ガス,不活性ガスなどを用いるガス系消火装置は,変圧器などの遮へい箱の中でだけ
使用しなければならない。
可搬式消火器は,消防法第21条の2第2の規定に基づく昭和39年9月17日付自治省令第27号(最終
改正平成12年9月14日付自治省令第44号)“消火器の技術上の規格を定める省令”に適合したものでな
ければならない。
可搬式消火器は,作業員と火災が発生しそうな位置との間に,保持器から工具なしに取り外せるように
設置する。作業員が可搬式消火器に容易に接近できるように,途中の通路を遮断してはならない。
受渡当事者間の協定によって可搬式消火器を製造業者が供給しない場合は,製造業者は使用者に対しそ
の設置場所及び設置上の安全方策及び法令への適合の必要性に関する情報を,提示しなければならない。
5.20.3 油圧作動油タンク
鉱物性作動油の入ったタンクには,油面の低レベル及び高レベルの警報を発する装置を備えるのがよい。
作動油タンクは,タンク内圧が製造業者による規定圧力を超えないよう適切な装置(抜け口,安全弁など)
によって自動的に過剰圧力の発生を防止する機能をもたなければならない。
5.21 異常出水
すべてのTBMには,使用者が排水ポンプを設置できる空間及び排水ポンプ用の電源コンセントを設け
なければならない。TBM及び後続設備内には,異常出水時にそこで働くすべての作業員が安全に避難する
ための避難経路を明りょうに示し,異常出水による停電があっても非常灯などで経路が容易にわかるよう
にしなければならない(JIS B 9706-1参照)。
5.22 レーザガイダンス
レーザ測量を採用する場合,レーザ光が目に入る危険を回避するために,レーザ通過枠を設置してレー
ザ光の通過領域を明示するとともに,過度の受光を警告する標識を設置しなければならない。
使用者側でレーザ光源を設置することが明らかな場合,製造業者はこの安全方策の実施を使用者に警告
しなければならない。
JIS C 6802のクラス1又はクラス2による,低出力レーザを使用しなければならない。
5.23 じんあい及びガスの管理並びに換気
5.23.1 一般
すべての入坑者が,TBMの使用中に有害な粉じん・ガス・蒸気などにさらされないように,その構造に
応じて適切な換気装置,粉じん抑制装置及び粉じん回収装置を,受渡当事者間の協定によって装備しなけ
ればならない。
5.23.2 粉じんの抑制
粉じん抑制装置は,カッタヘッド内の粉じんを,例えば散水又は粉じん拡散防止装置によって沈降させ
て,後方への拡散を防止しなければならない。
なお,立坑掘削用TBM及びリーミングTBMにおいては,粉じんは換気によってパイロットトンネルに
――――― [JIS A 8202-3 pdf 19] ―――――
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移動させることもできる。
5.23.3 粉じんの回収
粉じん回収システムは,TBMの予定した使用期間に石英粉じんが,厚生労働省策定の“ずい道等建設工
事における粉じん対策に関するガイドライン”で規定した値を超えない容量のものを装備しなければなら
ない。
粉じん回収システムは,汚れて湿った空気を乾燥粉じん同様に処理でき,また,最小の保守点検で機能
しなければならない。
粉じん回収装置の保守点検箇所及び制御箇所は,容易に接近でき,十分に照明されていなければならな
い。
5.23.4 空気の変化
5.23.4.1 一般
トンネル掘削時,周辺岩盤からのガスのゆう(湧)出によって身体的に危険状態となる可能性がある。
これらのガスには毒性及び可燃性があったり,又は空気中の酸素濃度を有害なレベルまで低下させたりす
るおそれがあることを警告するとともに,ガスの継続的監視装置を設置しなければならない。
受渡当事者間の協定によってガス監視装置を製造業者が設置しない場合は,製造業者はこの規格に適合
するガス監視装置の装備を,使用者に警告しなければならない。
換気装置は,有害ガスの集中を減少させて危険レベル値以下になるように,トンネルのすべての断面に
十分な空気を流す必要がある。空気の流量が設定値よりも少なくなったときに光学的警報及び音響的警報
を出すよう,新鮮であるべき空気中に監視装置を設置しなければならない。
受渡当事者間の協定によって換気装置を製造業者が設置しない場合,製造業者は換気装置の設置を,使
用者に警告しなければならない。
5.23.4.2 メタンガスの監視
メタンガス監視用センサは,次の場所に設置しなければならない。
− カッタヘッド又は粉じん拡散防止装置のすぐ後部の断面最上部
− 集じん装置の吹出し口部
− コンベヤ装置の荷おろし部及び搬送部
カッタヘッドと空気ダクト終端との間の集じん装置の流通空気中にあるすべての電気設備は,JIS C
60079-0に適合した防爆仕様でなければならない。
監視装置は,空気中のメタンの体積比が0.5 %に達したとき,又は適用される法令による規定値に達し
たとき,光学的警報及び音響的警報を発しなければならない。
メタンの体積比が1 %になったとき,又は規定値に達したとき,防爆仕様でないすべての電気設備及び
機械設備は,直ちに自動的に運転を停止しなければならない。
次の設備は,防爆仕様でなければならず,自動停止機構が作動した後も機能し続けなければならない。
− メタンガス監視装置
− 非常用照明
5.23.4.3 他のガスの監視
他のガスの発生が予想される場合,TBMは岩盤掘削時に発生すると予想される酸素濃度不足及び放射性
ガス(ラドン)を含む有毒ガスの検出が可能なガス監視装置を装備しなければならない。
監視装置のセンサは,TBM内のできるだけ切羽の近くに装備する。TBMから後続設備にかけて追加の
センサが必要となる場合がある。
――――― [JIS A 8202-3 pdf 20] ―――――
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JIS A 8202-3:2010の国際規格 ICS 分類一覧
JIS A 8202-3:2010の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISA8307:2006
- 土工機械―ガード―定義及び要求事項
- JISA8310-1:2019
- 土工機械―操縦装置及び表示用図記号―第1部:共通図記号
- JISA8310-2:2019
- 土工機械―操縦装置及び表示用図記号―第2部:特定機種,作業装置及び附属品図記号
- JISA8312:1996
- 土工機械―安全標識及び危険表示図記号―通則
- JISA8312:2021
- 土工機械―機械安全ラベル―通則
- JISA8315:2010
- 土工機械―運転員の身体寸法及び運転員周囲の最小空間
- JISA8316:2010
- 土工機械―電磁両立性(EMC)
- JISA8323:2001
- 土工機械―運転席及び整備領域―端部の丸み
- JISA8326:2003
- 土工機械―運転座席―寸法及び要求事項
- JISA8334:2006
- 土工機械―取扱説明書―内容及び様式
- JISA8340-1:2011
- 土工機械―安全―第1部:一般要求事項
- JISA8920:2009
- 土工機械―落下物保護構造―台上試験及び性能要求事項
- JISB8361:2013
- 油圧―システム及びその機器の一般規則及び安全要求事項
- JISB8370:2013
- 空気圧―システム及びその機器の一般規則及び安全要求事項
- JISB9700-1:2004
- 機械類の安全性―設計のための基本概念,一般原則―第1部:基本用語,方法論
- JISB9700-2:2004
- 機械類の安全性―設計のための基本概念,一般原則―第2部:技術原則
- JISB9703:2019
- 機械類の安全性―非常停止機能―設計原則
- JISB9706-1:2009
- 機械類の安全性―表示,マーキング及び操作―第1部:視覚,聴覚及び触覚シグナルの要求事項
- JISB9706-2:2009
- 機械類の安全性―表示,マーキング及び操作―第2部:マーキングの要求事項
- JISB9716:2019
- 機械類の安全性―ガード―固定式及び可動式ガードの設計及び製作のための一般要求事項
- JISB9960-1:2019
- 機械類の安全性―機械の電気装置―第1部:一般要求事項
- JISB9960-11:2004
- 機械類の安全性―機械の電気装置―第11部:交流1000V又は直流1500Vを超え36kV以下の高電圧装置に対する要求事項
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISC3312:2000
- 600Vビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル
- JISC3327:2000
- 600Vゴムキャブタイヤケーブル
- JISC3605:2002
- 600Vポリエチレンケーブル
- JISC60079-0:2010
- 爆発性雰囲気―第0部:電気機器―一般要件
- JISC6802:2014
- レーザ製品の安全基準
- JISC8201-1:2020
- 低圧開閉装置及び制御装置―第1部:通則
- JISC8480:2016
- キャビネット形分電盤
- JISD1201:1998
- 自動車,及び農林用のトラクタ・機械装置―内装材料の燃焼性試験方法
- JISZ9101:2018
- 図記号―安全色及び安全標識―安全標識及び安全マーキングのデザイン通則