JIS B 0178:2020 耐摩耗工具用語

JIS B 0178:2020 規格概要

この規格 B0178は、耐摩耗工具で用いる用語及びその定義を規定。

JISB0178 規格全文情報

規格番号
JIS B0178 
規格名称
耐摩耗工具用語
規格名称英語訳
Wear resistant tools -- Terminology
制定年月日
2020年11月20日
最新改正日
2020年11月20日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

01.040.25, 25.100.01
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
2020-11-20 制定
ページ
JIS B 0178:2020 PDF [47]
                                                                                   B 0178 : 2020

pdf 目 次

ページ

  •  1 適用範囲・・・・[1]
  •  2 分類・・・・[1]
  •  3 用語及び定義・・・・[1]
  •  3.1 耐摩耗工具に関する一般用語・・・・[2]
  •  3.2 用途によって耐摩耗工具を区別する用語・・・・[6]
  •  3.3 耐摩耗工具ごとに用いる用語・・・・[6]
  •  3.3.1 引抜き工具・・・・[6]
  •  3.3.2 圧延工具・・・・[13]
  •  3.3.3 せん断工具・・・・[20]
  •  3.3.4 鍛造工具・・・・[25]
  •  3.3.5 金型・・・・[30]
  •  3.3.6 電子関連部品用工具・・・・[34]
  •  3.3.7 機械取付部品・・・・[35]
  •  3.3.8 その他耐摩耗製品・・・・[40]
  •  附属書A(参考)耐摩耗工具で作られる製品・・・・[41]
  •  参考文献・・・・[42]

(pdf 一覧ページ番号 1)

――――― [JIS B 0178 pdf 1] ―――――

           B 0178 : 2020

まえがき

  この規格は,産業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本機械工具工業会(JTA)及び一般財団法
人日本規格協会(JSA)が作成した産業標準原案を添えて日本産業規格を制定すべきとの申出があり,日
本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本産業規格である。
  この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
  この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

(pdf 一覧ページ番号 2)

――――― [JIS B 0178 pdf 2] ―――――

                                      日本産業規格                            JIS
                                                                              B 0178 : 2020

耐摩耗工具用語

Wear resistant tools-Terminology

1 適用範囲

 この規格は,耐摩耗工具で用いる用語及びその定義を規定する。

2 分類

  耐摩耗工具は,広範囲の製品に用いる種々の被加工材(図1参照)に応じた工具を総称している。した
がって,それらの用語を一律に網羅することは困難であり,よく用いられる基本的な用語を,次の3種類
に分類して定義する。
a) 耐摩耗工具に関する一般用語。3.1で定義する。
b) 用途によって耐摩耗工具を区別する用語。3.2で定義する。
c) 3.2で定義する次の耐摩耗工具ごとに用いる用語。3.3で定義する。
  1) 引抜き工具
  2) 圧延工具
  3) せん断工具
  4) 鍛造工具
  5) 金型
  6) 電子関連部品用工具
  7) 機械取付部品
  8) その他耐摩耗製品
  ここで,要素及びその他の用語があるものは,それも定義する。また,5),7)及び8)は工具と呼ばない
が,他の1)4)及び6)と同様な使用目的で用いられることから,この規格では工具として分類した。
  なお,耐摩耗工具で作られる製品を,附属書Aに示した。

3 用語及び定義

  この規格で規定する用語及び定義は,次による。
    注記1 同じ用語を複数の用途で異なる意味で用いる場合は,用語の前の丸括弧内に用途を示してい
            る。常に呼称しない部分も丸括弧内に示している。これらの括弧及び括弧内の語は省略して
            もよい。さらに,読み方が紛らわしいものは,読み方を用語の下の丸括弧内に平仮名で示し
            ている。
    注記2 図は,用語の理解をしやすくするための一例を示し,形状及び大きさを規定するものではな
            い。また,図中の括弧内の数字は,この規格の用語の番号を示している。
    注記3 用語の語源,他規格との関連などを示す方が理解しやすいと思われるものは,注記している。

――――― [JIS B 0178 pdf 3] ―――――

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B 0178 : 2020

3.1 耐摩耗工具に関する一般用語

  番号     用語                               定義                          対応英語(参考)
 0101 超硬合金                                                               cemented carbide
                     耐摩耗工具では,主体となる硬質相の炭化タングステン(WC)を結
                     合相のコバルト(Co)で焼結結合したWC-Co合金及びそれを改良し
                     た合金。
                     注記1 WC-Co合金の改良は,次を2種類以上組み合わせて行われる。
                            a)   oに,クロム(Cr)などの金属成分を固溶させ,さらに
                               そのCoをニッケル(Ni)で,一部又は全て置換する。
                            b) 炭化クロム(Cr3C2),炭化バナジウム(VC)などを,少
                               量含ませる。
                            c) 意図的に結合相を含ませないバインダーレス,又は僅か
                               に含ませる擬バインダーレスとする。
                            d)   Cの平均粒径(以下,WC粒度という)を,WC粒度1 μm
                               未満,1 μm以上2.5 μm未満,2.5 μm以上5.0 μm未満,
                               又は5.0 μm以上とする。
                     注記2 この定義は,JIS B 4053で規定する超硬合金の材料記号HW
                            の材料の分類とは異なる。
 0102 超硬(合金)工超硬合金を使用した工具。                                 cemented carbide
         具         注記 切削工具,耐摩耗工具及び鉱山土木工具に大別される。    tool
 0103 塑性変形                                                               plastic deformation
                     材料に外力を加えた場合の,材料の大きさ又は形状に永久変形が残る
                     変形様式。
 0104 塑性加工                                                               plastic working,
                     材料の塑性変形を利用して,各種材料を必要な形状·寸法に加工する
                     方法。                                                   deformation
                                                                                 processing,
                                                                               deformation
                                                                                 working
 0105 弾性限       材料が永久変形を生じない限界応力。                       elastic limit
 0106 弾性変形                                                               elastic deformation
                     材料に外力を加えた場合の,材料の大きさ,形状などに永久変形が残
                     らない変形様式。
 0107 硬さ         材料の表面又は表面近傍の機械的性質の一つ。               hardness
                     注記 耐摩耗性の指標とすることが多く,耐摩耗工具では,一般にロ
                          ックウェル硬さのスケールA(JIS Z 2245参照)を用いる。ビ
                          ッカース硬さ(JIS Z 2244参照)などを用いる場合もある。
 0108 じん(靱)性                                                           toughness
                     力学的な負荷による破壊に対し抵抗する程度,又は,亀裂の伝ぱ(播)
                     に対する抵抗の程度。
 0109 抗折力       曲げ強さ。                                               transverse rupture
       (こうせつり 注記1 静的な負荷時のじん(靱)性の指標とすることが多い。   strength
         ょく)     注記2 超硬合金では,試験片を4×8×24 mm程度とし,荷重点及び
                            支点にはφ4 mmの超硬合金製丸棒を用い,支点間距離を20
                            mmとした3点曲げ強さの抗折力試験が広く普及している。

――――― [JIS B 0178 pdf 4] ―――――

                                                                                             3
                                                                                   B 0178 : 2020
  番号     用語                               定義                          対応英語(参考)
 0110 破壊じん(靱)                                                         fracture toughness
                     亀裂·亀裂状の欠陥がある材料に,力学的な負荷が加わったときの破
         性         壊に対し抵抗する性質。耐摩耗工具では,動的な負荷時のじん(靱)
                     性の指標及び欠けにくさの指標とすることが多い。測定値がKICのた
                     め,破壊じん(靱)性のことをケーワンシーともいう。
                     注記 測定方法には,次が一般に用いられる。
                          a)   IS R 1607のSEPB法(Single-Edge-Precracked-Beam Method)
                             (測定値は,KIC)。
                          b)   IS R 1607のIF法(Indentation-Fracture Method)(セラミッ
                             クスが対象で,IF法にモードI以外が含まれるため,測定
                             値は,KC)。
                          c)   IS R 1607とは別にIF法を経験的に改良した方法(モード
                             Iを前提とするため,測定値は,KIC。新原の式など,種々
                             普及している)。
 0111 欠け                                                                   chipping
                     耐摩耗工具では,工具又は工具素材の一部が壊れて分離する現象。
 0112 チッピング   微小な欠け。                                             micro chipping
 0113 摩耗                                                                   wear
                     使用する工具表面が,機械的引かき,化学的反応などが総合されて損
                     耗する現象。
 0114 耐摩耗       摩耗に耐える程度。                                       wear resistant
 0115 耐摩耗性     摩耗に耐える性質。                                       wear resistance
 0116 通常摩耗                                                               normal wear
                     耐摩耗工具では,1回当たり数nm単位で材料表面に生じる加工硬化に
                     基づく微小なせん断破壊で損耗する摩耗。
                     注記 通常摩耗ではない摩耗としては,引かき摩耗,腐食摩耗,凝着
                          摩耗,酸化摩耗,フレッチング摩耗などがある。
 0117 表面摩耗     摩耗のうち,主として使用面が通常摩耗すること。           surface wear
 0118 耐摩耗工具                                                             wear resistant tool
                     主として塑性加工(切りくずの出ない加工)で用いる工具の総称。
                     注記1 使用部分に超硬合金を用いるものが主であるが,各種の硬質
                            材料,すなわち,工具鋼,サーメット(セラミックスと金属
                            との複合焼結体),セラミックス(金属を含まない酸化物など
                            の焼結体),ダイヤモンド焼結体なども用いられる。
                     注記2 必要に応じ,DLC,TiC,Ti(C,N),TiNなどをCVD法又はPVD
                            法で表面に被覆する。
                     注記3 必要な特性別には,耐表面摩耗工具,耐衝撃工具,耐摩耗·
                            耐衝撃工具,熱間工具,非磁性工具,耐食性工具,非磁性·
                            耐食性工具及び耐凝着性工具がある。
                     注記4 用途別には,3.2に定義している。
 0119 耐表面摩耗工 耐摩耗工具のうち,使用する部分が表面摩耗しにくい性質をもつ工具。 surface wear
         具                                                                     resistant tool
 0120 衝撃         瞬間的に大きな力を物体に加えること。                     impact
                     注記 シャルピー衝撃値が,衝撃負荷時のじん(靱)性の指標として
                          古くから使われてきたが,これに用いる試験片にはクラックが
                          含まれない。しかし,実際の工具では,クラックを生じて徐々
                          に成長してから破壊するため,現在はクラックを含む試験片を
                          用いる破壊じん(靱)性の方が使われるようになった。
 0121 耐衝撃       衝撃に耐える程度。                                       impact resistant
 0122 耐衝撃性     衝撃に耐える性質。                                       impact resistance
 0123 耐衝撃工具   耐摩耗工具のうち,耐衝撃性に優れる性能をもつ工具。       impact resistant
                                                                                 tool
 0124 耐摩耗·耐衝撃耐摩耗工具と耐衝撃工具との両方の性能を併せもつ工具。     wear and impact
         工具                                                                   resistant tool
 0125 冷間         室温又は室温に近い温度範囲。                             cold

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B 0178 : 2020
  番号     用語                               定義                          対応英語(参考)
 0126 温間         冷間と熱間との中間の温度範囲。                           warm
 0127 熱間                                                                   hot
                     被加工材の再結晶温度以上固相線温度(液相出現温度)未満の温度範
                     囲。
 0128 耐熱性                                                                 heat resistance
                     高温酸化,高温下での摩耗,塑性変形,クリープ変形,熱衝撃,亀裂
                     発生などに耐える性質。
 0129 耐熱衝撃性   急加熱及び/又は急冷却に耐える性質。                     heat shock fracture
                                                                                 resistance
                     注記 一般には,高温からの水冷後に強度低下が見られない温度と水
                          温との差である最大許容温度差ΔTcを,耐熱衝撃性の指標とし
                          て用いる(JIS R 1648参照)。
 0130 熱間工具                                                               hot work tool
                     耐摩耗工具のうち,熱影響の大きい条件,すなわち,熱間で使用する
                     工具。熱間での酸化摩耗,硬さ及び強度低下が少なくなるよう設計さ
                     れている。
 0131 非磁性                                                                 non magnetism
                     磁界(又は磁場)と相互作用をほとんど,又は僅かしか及ぼさない性
                     質。
 0132 非磁性工具   耐摩耗工具のうち,非磁性の工具。                         non-magnetic tool
 0133 耐食性       腐食しにくい性質。                                       corrosion resistance
 0134 耐食性工具   耐摩耗工具のうち,耐食性に優れる工具。                   corrosion resistant
                                                                                 tool
 0135 非磁性·耐食性                                                         non-magnetic tool
                     非磁性及び/又は耐食性を必要とする環境で使用され,これらの一方
         工具       又は両方の特性が優れる工具。                               and/or corrosion
                                                                                 resistant tool
 0136 凝着                                                                   adhesion
                     工具と被加工材とが加圧しゅう(摺)動加熱によって接触して付着す
       (ぎょうちゃ る現象。
         く)
 0137 耐凝着性     凝着が進展しにくい性質。                                 adhesion resistance
 0138 耐凝着性工具 耐摩耗工具のうち,耐凝着性に優れる工具。                 adhesion resistant
                                                                                 tool
 0139 焼付き       凝着が進行して工具に被加工材が拡散,溶着などして固着した状態。 seizure
 0140 CVD法                                                                  chemical vapor
                     耐摩耗工具では,気相化学反応によって,工具表面に硬質被膜を形成
                     する方法(JIS H 0211参照)。                               deposition
                                                                                 method
 0141 PVD法                                                                  physical vapor
                     耐摩耗工具では,高温加熱,スパッタリングなどの物理的方法で物質
                                                                                 deposition
                     を蒸発し,工具表面に凝縮させ,硬質被膜を形成する方法(JIS H 0211
                     参照)。                                                   method
                     注記 磁気を併用するなど種々の方法がある。
 0142 被加工材                                                               workpiece,
                     耐摩耗工具で加工する材料の総称(図1,1014,18,19,23,24,
       (ひかこうざ 2630,0615の図及び11141117の図参照)。                   workpiece material
         い)
 0143 超硬合金素材 超硬合金の焼結体。                                       tip,
                                                                               tip material
                     注記 指定がない限り焼結肌(黒皮)である。素材ということもある。
 0144 ブランク                                                               blank
                     製品及び工具の必要形状が得られる寸法の被加工材(主に金属)及び
                     超硬合金素材。後者は,超硬ブランクともいう。
 0145 ワーク       工具分野では,加工対象物。                               work
 0146 ワーク部     工具分野では,直接被加工材に接触して成形を行う部分。     working part

――――― [JIS B 0178 pdf 6] ―――――

                                                                                             5
                                                                                   B 0178 : 2020
                                 図1−被加工材(0142)の分類例

――――― [JIS B 0178 pdf 7] ―――――

           6
B 0178 : 2020

3.2 用途によって耐摩耗工具を区別する用語

  番号     用語                               定義                          対応英語(参考)
 0201 引抜き工具                                                             drawing tool
                     引抜きダイス,プラグなどの引抜き加工に用いる工具(3.3.1参照)。
 0202 圧延工具                                                               rolling tool
                     冷間圧延ロール,熱間圧延ロールなどの圧延に用いる工具。通常は円
                     筒形の工具(3.3.2参照)。
 0203 せん断工具                                                             shearing tool
                     ロータリナイフ,スリッタナイフなどのせん断に用いる工具(3.3.3参
                     照)。
 0204 鍛造工具                                                               forging tool
                     ヘッダダイ,鍛造パンチなどの鍛造に用いる工具(3.3.4参照)。
 0205 金型                                                                   die,
                     被加工材を必要な形にするために用いるプレス金型,粉末成形金型な
                     どの主に金属製の型(3.3.5参照)。                        mold
                     注記 JIS B 0112参照。                                    mould
 0206 電子関連部品                                                           tool for electronic
                     電子部品用ダイ,パンチなどの電子部品及びその材料を成形するため
         用工具     に用いる工具(3.3.6参照)。                                part
 0207 機械取付部品                                                           fixture and/or part
                     02010206に分類されないノズルなど,機械に取り付けて用いる部品
                     (3.3.7参照)。                                            for machine
 0208 その他耐摩耗                                                           other
                     ゲージ,ペン用ボールなど,機械取付部品にも分類されないもの(3.3.8
         製品       参照)。                                                   wear-resistant
                                                                                 product

3.3 耐摩耗工具ごとに用いる用語

3.3.1 引抜き工具

a) 引抜き工具の種類
  番号     用語                               定義                          対応英語(参考)
 0301 ダイス                                                                 die,
                     外周が円形で孔のある雌(メス)型の工具(図2,図8及び0516の図
                     参照)。                                                 dies
 0302 引抜きダイス                                                           drawing die
                     線材,管材又は棒材の外径を成形する引抜き加工で用いるダイス(図
                     2,図8及び03030306参照)。
                                   図2−引抜きダイス(0302)
  番号     用語                               定義                          対応英語(参考)
 0303 線引きダイス 線材の引抜きを行うダイス。                               wire drawing die
 0304 棒引きダイス 棒材の引抜きを行うダイス。                               bar drawing die
 0305 管引きダイス 管材の引抜きを行うダイス。                               tube drawing die
       (かんびきだ
         いす)
 0306 異形ダイス                                                             special-shape
                     断面が円形でない,複雑な形の線材,管材又は棒材を引抜くダイス(図
                     3参照)。                                                  drawing die

――――― [JIS B 0178 pdf 8] ―――――

                                                                                             7
                                                                                   B 0178 : 2020
           四角ダイス           六角ダイス            平角ダイス
                                    図3−異形ダイス(0306)
  番号     用語                               定義                          対応英語(参考)
 0307 皮むきダイス 線材又は棒材の外周を削り取るダイス。                     shaving die,
                                                                               peeling die
                     注記 皮むきダイスは,炭化タンタル(TaC)及び炭化チタン(TiC)
                          を添加した切削工具用のWC-TaC-TiC-Co合金を用いる。
 0308 ローラダイス                                                           roller die
                     転がり軸受で支持された溝付ロールを複数組み合わせて塑性加工する
                     ダイス。
                     注記 溝付ロールには駆動力は作用せず,被加工材を引抜きながら圧
                          延し成形する(図4参照)。
                                   図4−ローラダイス(0308)

――――― [JIS B 0178 pdf 9] ―――――

           8
B 0178 : 2020
  番号     用語                               定義                          対応英語(参考)
 0309 プラグ                                                                 plug,
                     管材の引抜き加工では,管材の内側に入れダイスと同時に使用し,管
                     材の内径を成形する工具(図5参照)。                      mandrel
 0310 玉芯プラグ   ベアリングが短く,アプローチのあるプラグ[図5 a) 参照]。 tube plug
       (たましんぷ
         らぐ)
 0311 長芯プラグ                                                             straight plug
                     ベアリングが長く,アプローチのないプラグ。“ちょうしん”を“なが
       (ちょうしん しん”ともいう。また,ストレートプラグともいう[図5 b) 参照]。
         ぷらぐ)
                          a) 玉芯プラグ(0310)  b) 長芯プラグ(0311)
          注記 プラグは,超硬合金製になる前はダイス鋼などで作られていたが,その中で,先端部が
               球状(玉)の芯棒(マンドレル)のものを玉芯プラグと称し,先端部が円柱状の芯棒の
               ものを長芯プラグと称していた。これらの名称が,それぞれ0310及び0311に引き継が
               れている。これらのプラグを用いる引抜き加工を玉芯引き,長芯引きという(図8参照)。
                                      図5−プラグ(0309)
  番号     用語                               定義                          対応英語(参考)
 0312 フローティン フロート引きに用いるプラグ。浮きプラグともいう。         floating plug
         グプラグ
 0313 溝プラグ                                                               groove plug
                     引抜きしつつ,管材の内面に溝を転造形成する場合に用いるプラグ。
                     グルーブプラグともいう。
 0314 ポリシングデ                                                           polishing disk
                     棒材などの表面に接触させて,必要な力を加えながら磨く円板状工具。
         ィスク

――――― [JIS B 0178 pdf 10] ―――――

                                                                                             9
                                                                                   B 0178 : 2020
b) 引抜き工具要素
  番号     用語                            定義                                参考
                                                                         単位記号  対応英語
 0401 チップ       引抜き工具では,超硬合金素材又は工具になる部分(図2及び−   tip,
                     図3参照)。                                                 tip material
                     注記1 鍛造工具のヘッダダイ(図25参照)でも用いられる。
                     注記2 JIS B 0170のチップとは異なる。
 0402 ニブ         冶金の分野では,形状が円筒形のチップ。                −   nib
 0403 ダイスニブ   ニブのうち,ダイス専用のチップ。                      −   dies nib
 0404 インサート   交換式のチップ。                                      −   insert
 0405 ペレット     工具では,通常30 mm以下の小さな円板形状のチップ。     −   pellet
 0406 入れ子       工具の一部にはめ込んで用いるチップ又は製品。          −   insert tip
 0407 ケース       チップの外筒に用いて補強する鋼製部分(図2,図3及び図25 −   case
                     参照)。
 0408 チップ外径   チップの外径(図3,図6,図7及び図25参照)。           mm   tip diameter
 0409 チップ高さ   チップの外径に対する垂直方向の長さ。チップ長さともいう mm   tip height,
                     (図3,図6及び図7参照)。                                   tip length
 0410 ケース外径   ケース部の外径(図3,図6及び図25参照)。              mm   case diameter
 0411 ケース高さ                                                          mm
                     ケース外径に対する垂直方向の長さ(図3,図6及び図25参照)。  case height,
                                                                                  case length
 0412 穴径         チップにある穴の直径(図6及び図25参照)。             mm   bore diameter
 0413 (引抜き工具                                                        mm
                     引抜き工具では,被加工材(引抜き材料)の寸法を定める絞り    bearing
         の)ベアリン部(0312の図,図5,図6及び図7参照)。
         グ
 0414 ベアリング径 引抜き工具では,ベアリングの直径。                    mm   bearing
                                                                                    diameter,
                                                                                  extrusion
                                                                                    diameter
 0415 マウス                                                              −
                     被加工材の入口部からアプローチまでの被加工材導入部分(図    opening mouse
                     6参照)。ベル,エントランスともいう。
 0416 アプローチ                                                          −
                     マウスからベアリングまでの間。線材及び棒材の外径,又は管    approach
                     材の内径及び外径を徐々に細く絞り加工する部分である[0312
                     の図,図5,図6及び図7 a)参照]。
     a) 全体の断面         b) チップの断面           c) チップ断面の一部拡大
     注記 各要素が分かりやすくなるよう断面斜視図とした。マウス,アプローチ,ベアリング及びリリーフは,
          穴の表面部分をいう。
                                       図6−ダイスの要素

――――― [JIS B 0178 pdf 11] ―――――

           10
B 0178 : 2020
  番号     用語                            定義                                参考
                                                                         単位記号  対応英語
 0417 (引抜き工具 形状のつなぎ部分をいい,ダイスの場合出口の逃げ部分(図6−   relief
         の)リリーフ参照)。バックともいう。プラグでは,アプローチの前の部分
                     (0312の図参照)。
 0418 チャック                                                            −
                     引抜き加工では,引抜く被加工材をつかむ部分。引張試験での    chuck
                     つかむ部分もいう(1920の図参照)。
                     注記 しばしば超硬合金で作られる。
                    a) 玉芯プラグの断面                    b) 長芯プラグの断面
     注記1 この模式図は,各要素を分りやすく示すために,ダイスと組み合わせる場合の配置関係の逆方向に
            描き,かつ,断面斜視図とした。
             なお,実際の配置は,図8 a),図8 b) に示している。
     注記2 ベアリング及びアプローチは,チップ表面部分をいう。
                                       図7−プラグの要素
c) 引抜き工具その他
  番号     用語                            定義                                参考
                                                                         単位記号  対応英語
 0501 引抜き       被加工材を,工具を通して必要な形状及び寸法にする作業。 −   drawing
 0502 引抜き加工                                                          −
                     被加工材を,工具を通して必要な形状及び寸法にする加工(図    drawing
                     8及び0516の図参照)。
 0503 引抜き速度   引抜かれる被加工材の加工速度。                        m/s  drawing speed
 0504 引抜き力     引抜きに要する力。                                    N    drawing force
 0505 (引抜きの)減引抜き前の断面積をA0,引抜き後の断面積をAとするとき, %    reduction of
         面率       ( A0 A)100                                                    area
                                の値。断面減少率又はリダクションともいう。
                       A0
 0506 フロート引き 管材の中でフローティングプラグを浮くようにして行う引抜 −   tube drawing
                     き[図8 c) 参照]。                                           with a
                     注記 プラグを固定するテンションバーを用いる必要がなく         floating plug
                          なるので,長い管材の引抜きに適する。
 0507 潤滑剤                                                              −
                     工具と被加工材間との摩擦力を減少させ,焼付きを防止するた    lubricant
                     めに用いる物質。油,グリース,個体潤滑剤など。

――――― [JIS B 0178 pdf 12] ―――――

                                                                                            11
                                                                                   B 0178 : 2020
  番号     用語                            定義                                参考
                                                                         単位記号  対応英語
 0508 線材                                                                −
                     引き抜く被加工材のうち,巻取り可能な材料。コイル材ともい    wire rod,
                     う。                                                        wire
                     注記 JIS G 0203では“棒状に圧延した鋼で,断面が円,だ(楕)
                          円,正方形,長方形,六角形,八角形,半円などで,コ
                          イル状に巻いた鋼材。一般に呼称径が5 mm以上で平滑
                          な表面をもち,後続の加工を意図したものである。”と
                          定義されている。さらに,軟鋼線材,硬鋼線材,ピアノ
                          線材など27種類が用語として定義されている。
 0509 棒材         引き抜く被加工材のうち,巻取りできない棒状の材料。    −   bar
                     注記 JIS G 0203では,用語として定義されていない。
                     JIS G 0203の用語では,棒鋼が近い。
 0510 管材         引き抜く被加工材のうち,管状の材料。素管ともいう(図8参−   mother tube
                     照)。
                     注記 JIS G 0203では用語として定義されていない。
                     JIS G 0203の用語では,鋼管が近い。鋼管は“筒状に成形加工
                     された鋼材。継目なしのものと,溶接又は鍛接したものとがあ
                     る。”と定義され,継目無鋼管など6種類が用語として定義さ
                     れている。
 0511 つなぎ(繋)目                                                      −
                     ビレット又は鋼板から熱間圧延,押出しなどで製作する,又は    seamless tube
         無管       せん(穿)孔後機械仕上げによって製作するつなぎ目のない管。
                     シームレス管ともいう。
                     注記 JIS G 0203では継目無鋼管とされている。
注記 管材の引抜き加工の例を,断面を組み合わせて示している。太矢印は,引抜き方向を示す。この図のように種々
     のダイス及びプラグを,目的に応じて組み合わせて用いる。
                                      図8−引抜き加工の例

――――― [JIS B 0178 pdf 13] ―――――

           12
B 0178 : 2020
  番号     用語                            定義                                参考
                                                                         単位記号  対応英語
 0512 シームレスパ                                                        −
                     標準寸法が設定されているつなぎ(繋)目無管。つなぎ(繋)    seamless pipe
         イプ       目無管と同様に用いられることもある。
                     注記 米国のASTM規格品が日本で流通し,それが由来。
 0513 溶接管       鋼板を管状に成形した後,溶接して製作した管。          −   welded tube
                     注記1 板から管への成形方法及び溶接方法によって分類され
                            る。
                     注記2 JIS G 0203では,溶接鋼管とされ,鍛接鋼管,自動ア
                            ーク溶接鋼管,サブマージアーク溶接鋼管及び電気抵
                            抗溶接鋼管が定義されている。
 0514 電縫管                                                              −
                     溶接管のうち,電気抵抗溶接で製作した管。電縫鋼管ともいう。  welded tube
       (でんぽうか 注記 JIS G 0203では,電気抵抗溶接鋼管とされている。
         ん)
 0515 伸線機       線材の引抜きに用いる引抜き機械。                      −   wire drawing
                                                                                    machine
 0516 ドローベンチ 棒材,管材などに用いる引抜き機械。                    −   draw bench
                     注記 初めにキャリッジ(引抜車)のチャックがダイス穴を出
                          た管材をつかみ,次にキャリッジのフックを水平移動し
                          ているチェーンに引っかけ,移動し,管材を引き抜く。
                          この図は,キャリッジが矢印方向に移動し,管材を3本
                          同時に80 %程度引き抜いた状態。
 0517 パススケジュ                                                        −
                     引抜き加工においては,被加工材の寸法を目的の寸法·形状と    pass schedule
         ール       するための,引抜き回数,それぞれの減面率,引抜き速度,引
                     抜き力などを含んだ工程表。
 0518 スキンパス                                                          −
                     引抜き加工においては,管材,線材などの表面のつや出し又は    skin pass
                     ひずみ矯正のために行う減面率の少ない引抜き加工。
                     注記 JIS G 0203では,スキンパス処理が定義され,鋼板,鋼
                          帯,めっき鋼板及び鋼帯の処理目的が定義されている。

――――― [JIS B 0178 pdf 14] ―――――

                                                                                            13
                                                                                   B 0178 : 2020

3.3.2 圧延工具

a) 圧延工具の種類
  番号     用語                               定義                          対応英語(参考)
 0601 ロール       被加工材の圧延,成形,つや出しなどに用いる円筒形の機械部品(0606, roll
                     0607の図及び図32参照)。ワークロール,バレルともいう。また,全
                     体が超硬合金の場合に,ソリッドロール,スリーブロール又は超硬合
                     金スリーブともいう。
 0602 冷間圧延ロー 冷間圧延に用いるロール。                                 roll for cold rolling
         ル                                                                     mill
 0603 熱間圧延ロー 熱間圧延に用いるロール(図9参照)。                      roll for hot rolling
         ル                                                                     mill
 0604 ワークロール 被加工材と接するロール(図14参照)。                     work roll
 0605 ミルロール   ロールハウジングに固定するロール(図10参照)。           mill roll
                     注記 ロールハウジングに図9及び図10のように固定されたロール
                          (ミルロール)を,カリバごとに圧下方向が90゜変化するよう
                          に配列する(図9参照)ことで,スタンド間で線材の姿勢を90゜
                          変化させるツイストをしなくて済むようにして,きずの発生を
                          なくし,ラインをコンパクト化しつつ,線材速度を飛躍的に高
                          速化可能とした。そのため,ノーツイストミルロール,ノンツ
                          イストミルロール及びNTミルロールともいう。また,この方
                          法は,モルガン社が開発したので,モルガンロールともいう。
           注記 4台のスタンドを連続させて,4段階で径を小さく圧延することを示している。
                                        図9−連続圧延例
               注記 左にミルロールを立体的に示している。
                             図10−ミルロール及びロールハウジング

――――― [JIS B 0178 pdf 15] ―――――

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