この規格ページの目次
- 4.3 機械的性質及び物理的性質と焼付けとの関係
- 4.4 内因形水素ぜい化の回避
- 4.5 皮膜システム及び皮膜処理工程
- 5 防食性及び試験
- 5.1 一般
- 5.2 中性塩水噴霧試験
- 5.3 二酸化硫黄試験(ケステルニッヒ試験)
- 5.4 バルク品の取扱い,供給,選別などの自動工程,保管,及び輸送
- 6 寸法要求事項及び試験方法
- 6.1 一般
- 6.2 一般用メートルねじをもつ締結用部品
- 6.3 その他の締結用部品
- 7 機械的性質,物理的性質及び試験方法
- 7.1 外観
- 7.2 温度に関係する耐食性
- 7.3 皮膜厚さ又は皮膜の質量を求めるための試験方法
- JIS B 1046:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- JIS B 1046:2020の国際規格 ICS 分類一覧
- JIS B 1046:2020の関連規格と引用規格一覧
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B 1046 : 2020 (ISO 10683 : 2018)
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2 3 潤滑剤
1 潤滑剤 表層皮膜 表層皮膜
基層皮膜 基層皮膜 基層皮膜 基層皮膜
素地金属 素地金属 素地金属 素地金属
1 基層皮膜だけ
2 基層皮膜+潤滑剤
3 基層皮膜+表層皮膜
4 基層皮膜+表層皮膜+潤滑剤
図1−基本的な亜鉛フレーク皮膜システム
基層皮膜及び表層皮膜は,潤滑剤を含有していてもよい。可能な組合せの詳細は,A.1.2を参照。
4.3 機械的性質及び物理的性質と焼付けとの関係
皮膜処理工程は,締結用部品の機械的性質及び物理的性質に悪影響を及ぼしてはならない。
注記 皮膜のない締結用部品に皮膜を施す卸売業者は,ISO 1891-4によって,変更卸売業者とみなさ
れる。
亜鉛フレーク皮膜システムによっては,焼付け温度が320 ℃に達することがある。焼付け温度は,焼入
焼戻しを施した締結用部品の焼戻し温度を超えてはならない。
警告 焼付け工程(特に,通常より高温及び/又は長時間のもの)は,熱処理後にねじ転造を行った
締結用部品の疲労限度に影響を及ぼすおそれがある。焼付けによって起こり得るその他の影響
については,A.1.3を参照。
4.4 内因形水素ぜい化の回避
亜鉛フレーク皮膜システムは,蒸着工程中に水素が生成されないという特性がある。
アルカリ性洗浄液又は溶剤系洗浄液を使用した前処理工程の後に機械的洗浄を行うと水素が生成されな
いため,内因形水素ぜい化(IHE)の全てのリスクが回避される。
機能的な理由で機械的洗浄が不適切な場合(例えば,組込み座金付き締結用部品,めねじをもつ締結用
部品,ラック式皮膜処理を行う締結用部品)には,化学的洗浄(酸洗浄)を使用してもよいが,その場合
には,内因形水素ぜい化のリスクを最小限に抑えるために,この酸に対する適切な抑制剤を用い,最小限
の洗浄工程時間を使用する。硬さが390 HV以上,又は強度区分が12.9若しくはそれ以上の強度の締結用
部品は,酸洗浄を行ってはならない。洗浄と皮膜処理との間は,可能な限り時間を置かないようにする。
りん酸塩処理工程を,機械的洗浄の代替手段として用いてもよい(この前処理工程において水素が生成
されることもあるが,焼付け工程によってそれが外部に拡散される。)。りん酸塩処理と皮膜処理との間は,
可能な限り時間を置かないようにする。
陰極洗浄工程を使用してはならない。
注記 亜鉛フレーク皮膜は水素の透過性が高く,前処理工程中に水素を吸蔵しても,それは,焼付け
工程中に外部へ拡散される。
4.5 皮膜システム及び皮膜処理工程
皮膜システム及び関連する皮膜処理工程を選択する際には,締結用部品の種類及び幾何形状を考慮する
(A.2参照)。
――――― [JIS B 1046 pdf 6] ―――――
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5 防食性及び試験
5.1 一般
促進腐食試験で得られる耐食性は,特定の使用環境における防食性能と直接関連付けることはできない。
しかし,促進腐食試験は,皮膜の耐食性を評価する目的で用いる。
5.2 中性塩水噴霧試験
皮膜システムの耐食性評価には,JIS Z 2371による中性塩水噴霧試験(NSS)を用いる。塩水噴霧室の
腐食雰囲気を評価することが要求された場合には,附属書Cに従って実施するのがよい。
中性塩水噴霧試験は,皮膜処理後24時間以上経過した後,“皮膜を施したまま”の状態,すなわち,選
別,こん(梱)包及び/又は組付け前の状態で,締結用部品単体について実施する。
表1の試験時間による中性塩水噴霧試験後に,素地金属に視認可能な腐食(赤さび)があってはならな
い。
表1−中性塩水噴霧試験の標準的な区分
中性塩水噴霧試験の時間(赤さびなし) 皮膜システムの参照皮膜厚さa)
(h) (μm)
240 4
480 5
600 6
720 8
960 10
システムの構成(基層皮膜だけ,基層皮膜+表層皮膜など)は,注文時に指定する。
注a) 参照皮膜厚さは,Cr6+の有無にかかわらず,基層皮膜及び表層皮膜がある場合はそれらを含む。この参照皮
膜厚さは単なる目安であり,受入れの判定には耐食性を用いる。
試験片保持器と締結用部品との接触点は,耐食性評価に用いない。
注記 耐食性と関連する皮膜厚さを選定する際の目安を,附属書Bに記載する。
5.3 二酸化硫黄試験(ケステルニッヒ試験)
この試験は,屋外建築物に使用する締結用部品だけに実施する。
皮膜システムの耐食性評価は,ISO 6988に規定する通常の水分凝縮による二酸化硫黄試験を用いる。屋
外建築物用の締結用部品では,2リットルのSO2を用いて試験を行う。
二酸化硫黄試験は,皮膜処理後24時間以上経過した後,“皮膜を施したまま”の状態,すなわち,選別,
こん(梱)包及び/又は組付け前の状態で,締結用部品単体について実施する。
最小サイクル数(2,3,5,8,10,12,15サイクルなど)については,発注時に受渡当事者間で合意す
る。
試験片保持器と締結用部品との接触点は,耐食性評価に用いない。
5.4 バルク品の取扱い,供給,選別などの自動工程,保管,及び輸送
皮膜システム及び締結用部品の種類又は幾何形状によっては,バルク品の取扱い,供給,選別などの自
動工程,保管,及び輸送によって,耐食性が大きく低下するおそれがある。これは特に,自己修復性が低
く,表層皮膜が衝撃及び摩耗に敏感であるCr6+を含まない皮膜システムが使われている場合に起こり得る。
必要な場合には,受渡当事者間で中性塩水噴霧試験の時間の短縮,皮膜厚さの増加などの取決めをするの
がよい。
――――― [JIS B 1046 pdf 7] ―――――
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6 寸法要求事項及び試験方法
6.1 一般
締結用部品は,皮膜を施す前の時点で規定の寸法範囲になければならない。一般用メートルねじでは,
特別な要求事項が適用されることがある(6.2.2,B.4及びB.5を参照)。
6.2 一般用メートルねじをもつ締結用部品
6.2.1 皮膜厚さ
必要な耐食性を得るのに必要な皮膜厚さを検討する際には,皮膜厚さのばらつきを考慮する必要がある
(B.3を参照)。
皮膜厚さは,ゲージによる判定の結果及び組付け性に大きな影響を及ぼすので,ねじの公差及びねじ山
間の隙間に注意を払う必要がある。皮膜は,おねじの場合には基準線(基準寸法)を超えてはならず,ま
た,めねじの場合には基準線を下回ってはならない(B.4を参照)。
注記 規格品のボルト,小ねじ,植込みボルト及びナットで亜鉛フレーク皮膜の適用を目的とせずに
生産したものについては,B.4及びB.5を参照。
6.2.2 ゲージによる判定及び組付け性
皮膜を施した一般用メートルねじは,JIS B 0251に従って,おねじでは公差位置h,めねじでは公差位
置Hの通りゲージで判定する。
皮膜を施したボルト,小ねじ及び植込みボルトのねじ部をゲージによって判定する場合,最大ねじ込み
トルクは,0.001d 3(N・m)まで許容する。皮膜が施されたナットのねじ部をゲージによって判定する場合,
最大ねじ込みトルクは,0.001D3(N・m)まで許容する(表2参照)。
注記 dは,ボルトのねじの呼び径であり,Dは,ナットのねじの呼び径である。
――――― [JIS B 1046 pdf 8] ―――――
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B 1046 : 2020 (ISO 10683 : 2018)
表2−皮膜を施した一般用メートルねじのゲージによる判定のための最大ねじ込みトルク
ねじの呼び径a) ゲージによる判定のための
d又はD 最大ねじ込みトルク
(mm) (N・m)
3 0.03
4 0.06
5 0.13
6 0.22
8 0.51
10 1.0
12 1.7
14 2.7
16 4.1
18 5.8
20 8.0
22 11
24 14
27 20
30 27
33 36
36 47
39 59
注a) 他の呼び径に対しては,ねじ込みトルクは0.001d 3(N・m)又は0.001D3(N・
m)によって計算し,有効数字2桁に丸めて求める。
組付け性に関しては,受渡当事者間の合意によって,次の受入手順を適用してもよい。
− おねじに対しては,適切なナット又は実際に組み合わせる相手方の締結用部品の使用。
− めねじに対しては,適切なマンドレル(例えば,JIS B 1052-2による保証荷重試験用マンドレル),又
は実際に組み合わせる相手方の締結用部品の使用。
6.3 その他の締結用部品
この規格では,一般用メートルねじ以外のねじをもつ締結用部品,及びねじをもたない締結用部品には
皮膜処理後の寸法要求事項は規定しない。追加の情報については,A.3を参照。
7 機械的性質,物理的性質及び試験方法
7.1 外観
亜鉛フレーク皮膜の本来の色は,シルバーグレーである。その他の色は,表層皮膜を使用して作り出す
ことができる。他に合意がない限り,色のばらつきを理由に不合格としてはならない[箇条10のg) 及び
h) を参照]。
皮膜を施した締結用部品には,防食性に悪影響を及ぼすような膨れ又は未着部があってはならない。局
所的に皮膜厚さが過剰となっている場合には,それが機能的性質を害してはならない(箇条6及びA.2を
参照)。
7.2 温度に関係する耐食性
高温は,皮膜を施した締結用部品の耐食性に影響を与えるおそれがある。この試験は,工程内管理のた
めに規定するもので,皮膜を施した締結用部品と組み付けられる部品との挙動を確認するためのものでは
――――― [JIS B 1046 pdf 9] ―――――
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B 1046 : 2020 (ISO 10683 : 2018)
ない。
皮膜を施した締結用部品を150 ℃(部品本体の温度)で3時間加熱した後でも,箇条5に規定する耐食
性に関する要求事項を満たしている必要がある。
その他の仕様については,発注時に合意しておくことが望ましい。
7.3 皮膜厚さ又は皮膜の質量を求めるための試験方法
皮膜厚さ又は皮膜の質量は,次の試験方法のいずれかを使用して求める。
− 磁気誘導法(測定範囲における全局部皮膜厚さを求める。)
− X線法(この方法では,測定範囲における基層皮膜の局部皮膜厚さだけが求められる。)
− 皮膜システムの化学的又は機械的除去(当該締結用部品に対する皮膜の平均総質量を求める。)
− JIS H 8501による顕微鏡断面試験法(締結用部品の任意の部分における全局部皮膜厚さを求める。)
疑義が生じた場合には,JIS H 8501による顕微鏡断面試験法を用いる。他に合意がない限り,厚さは図
2に示す参照面で測定する。
a) ねじ部品の参照面
b) 組込み座金の参照面
c) ねじをもたない締結用部品の参照面(例)
1 局部厚さを測定する際の参照面
図2−締結用部品の測定参照面
――――― [JIS B 1046 pdf 10] ―――――
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JIS B 1046:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 10683:2018(IDT)
JIS B 1046:2020の国際規格 ICS 分類一覧
- 25 : 生産工学 > 25.220 : 表面処理及び被覆加工 > 25.220.40 : 金属被覆
- 21 : 一般的に使用される機械的システム及び構成要素 > 21.060 : 締結用部品 > 21.060.01 : 締結用部品一般
JIS B 1046:2020の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0251:2008
- メートルねじ用限界ゲージ
- JISB1010:2003
- 締結用部品の呼び方
- JISB1084:2007
- 締結用部品―締付け試験方法
- JISH8501:1999
- めっきの厚さ試験方法
- JISZ2371:2015
- 塩水噴霧試験方法