JIS B 1054-2:2013 耐食ステンレス鋼製締結用部品の機械的性質―第2部:ナット | ページ 2

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B 1054-2 : 2013 (ISO 3506-2 : 2009)
例3 A2-035 冷間加工された保証荷重応力の最小値が,350 MPaのオーステナイト系ステンレス鋼
(0.5D≦m<0.8Dのナット)
鋼種分類a) オーステナイト系 マルテンサイト系 フェライト系
鋼種区分a) A1 A2 b) 3 A4 b) 5 C1 C4 C3 F1
強度区分c)
m≧0.8Dのナット 50 70 80 50 70 110 50 70 80 45 60
0.5D≦m<0.8Dの 025 035 040 025 035 055 025 035 040 020 030
ナット
軟質 冷間 高強度 軟質 焼入れ 軟質 焼入れ 焼入れ 軟質 冷間
加工 焼戻し 焼戻し 焼戻し 加工
注a) 図1で分類した鋼種分類及び鋼種区分は,附属書Aに示しており,表1の化学成分によって規定する。
b) 炭素含有量が0.03 %を超えない低炭素オーステナイト系ステンレス鋼の場合には“L”の文字を付け加えて表
示することができる。
例 A4L-80
c) IS B 1047に従って不動態化したナットの場合には,“P”の文字を付け加えて表示することができる。
例 A4-80P
図1−ステンレス鋼製ナットの材料の鋼種区分及び機械的性質の強度区分に対する表し方の体系

4.2 表示

4.2.1  一般
この規格の仕様によって製造したナットには,4.1の強度区分の表し方を適用し,4.2.2及び4.2.3の規定
によって表示を施さなければならない。ただし,4.1の強度区分の表し方及び4.2.3による表示は,この規
格の全ての要求事項を満たす場合にだけ適用する。
注記 左ねじの表示については,JIS B 1052-2参照(切欠きによる表示を除く。)。
4.2.2 製造業者の識別記号
技術的に可能であれば,製造業者の識別記号の表示は,強度区分を表示する全てのナットに対して,製
造工程中に施さなければならない。強度区分の表示を施さないナットでも,製造業者の識別記号の表示を
施すのが望ましい。
4.2.3 ナット
呼び径Dが5 mm以上の全てのナットには,図1を適用し,図2又は図3に示すように明瞭に表示を施
さなければならない。表示は必須であり,鋼種区分及び強度区分を含まなければならない。ナットの座面
に表示を施す場合には,一面だけに表示を施してよいが,くぼみによらなければならない。ナットの座面
の代わりに,ナットの一つの側面に表示を施してもよい。

――――― [JIS B 1054-2 pdf 6] ―――――

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1 製造業者の識別記号
2 鋼種区分
3 強度区分
図2−強度区分の表し方及び製造業者の識別記号の表示
s 二面幅
図3−切欠きによる代用記号(鋼種区分A2及びA4だけ)
切欠き(図3参照)による表示で,強度区分を示さない場合には,強度区分50又は025を適用する。
細目ねじ又はナットの形状的要因によって,ある種のナットは保証荷重の要求事項を満たさない場合も
ある。これらのナットについては,鋼種区分は表示できるが,強度区分を表示してはならない。
4.2.4 包装
全ての種類の全てのサイズのナットに対して,個々の包装には,(例えば,ラベルを貼ることによって)
表示を施さなければならない。包装の表示には,製造業者及び/又は販売業者の識別記号,図1による鋼
種区分及び強度区分の記号,並びにJIS B 1092に規定する製造ロット番号を含めなければならない。

4.3 仕上げ

  特に指定がない限り,この規格によるナットは,表面がきれいで光沢のある状態で供給しなければなら
ない。最大の耐食性をもたせるために,不動態化(パッシベーション,passivation)処理を施すのが望ま
しい。不動態化処理が要求される場合には,JIS B 1047に従って行わなければならない。不動態化処理が
施されたナットには,鋼種区分及び強度区分の記号に続けて付加的な記号“P”を表示することができる
[図1の注c) 参照]。
特殊な注文で製造したナットに対しては,ナット及びラベルの双方に付加的な表示を施すのが望ましい。
既に製造された在庫の品を発送する場合のナットに対しては,ラベルに付加的な表示を施すのが望ましい。

――――― [JIS B 1054-2 pdf 7] ―――――

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5 化学成分

  この規格によるナットに適合するステンレス鋼の化学成分を,表1に示す。
注記 表1の化学成分は,関連する鋼種区分に対してJIS B 1054-1の表1に与えられた化学成分に一
致している。
鋼種区分ごとに規定された範囲内での化学成分の最終選択は,受渡当事者間の事前の協定がない場合,
製造業者の任意とする。
粒界腐食の危険がある場合には,JIS G 0573又はJIS G 0575による試験の実施が望ましい。このような
場合,鋼種区分A3及びA5の安定化ステンレス鋼又は炭素含有量が0.03 %を超えない鋼種区分A2及び
A4のステンレス鋼が望ましい。
表1−ステンレス鋼の鋼種区分−化学成分
鋼種分類 鋼種区分 化学成分a)
質量分率 %
C Si Mn P S Cr Mo Ni Cu
オーステ A1 b) ) ) 0.12 1 6.5 0.2 0.150.35 1619 0.7 510 1.752.25
ナイト系 A2 f) ) 0.10 1 2 0.05 0.03 1520 −e) 819 4
A3 h) 0.08 1 2 0.045 0.03 1719 −e) 912 1
A4 g) ) 0.08 1 2 0.045 0.03 1618.5 23 1015 4
A5 h) ) 0.08 1 2 0.045 0.03 1618.5 23 10.514 1
マルテン C1 i) 0.090.15 1 1 0.05 0.03 11.514 − 1 −
サイト系 C3 0.170.25 1 1 0.04 0.03 1618 − 1.52.5 −
C4 b) ) 0.080.15 1 1.5 0.06 0.150.35 1214 0.6 1 −
フェライ F1 k) ) 0.12 1 1 0.04 0.03 1518 −j) 1 −
ト系
注記1 特定の目的をもつステンレス鋼の鋼種分類及び鋼種区分の適用に関する説明を,附属書Aに示す。
注記2 ISO 683-13及びISO 4954で規定されているステンレス鋼の例を,それぞれ附属書B及び附属書Cに示す。
注記3 特定の目的に適する幾つかの材料を,附属書Dに示す。
注a) 値は,ほかに示すものがなければ,最大を示す。
b) 硫黄(S)は,セレン(Se)に置き換えてもよい。
c) ニッケル(Ni)の含有量が8 %以下の場合は,マンガン(Mn)の含有量を5 %以上にしなければならない。
d) ニッケル(Ni)の含有量が8 %を超える場合には,銅(Cu)の含有量に下限はない。
e) モリブデン(Mo)の添加は,製造業者の任意である。ただし,モリブデンの含有量の制限が必要な場合は,
購入者が注文時に指定しなければならない。
f) クロム(Cr)の含有量が17 %以下の場合には,ニッケル(Ni)の含有量の最小を12 %とするのがよい。
g) 炭素(C)の含有量が0.03 %以下のオーステナイト系ステンレス鋼に対しては,窒素(N)の含有量は,最大
0.22 %まで含んでもよい。
h) 安定化のために,チタン(Ti)の含有量は,炭素(C)の含有量の5倍以上で,最大0.8 %までとするか,ニ
オブ(Nb)及び/又はタンタル(Ta)の含有量は,炭素(C)の含有量の10倍以上で,最大1.0 %までとす
る。
i) 直径の大きいもので,規定の機械的性質を満足させるために,炭素含有量を多くすることは,製造業者の任
意であるが,オーステナイト系ステンレス鋼に対しては,0.12 %を超えてはならない。
j) モリブデン(Mo)の添加は,製造業者の任意である。
k) チタン(Ti)の含有量は,炭素(C)の含有量の5倍以上で,最大0.8 %まで含んでもよい。
l) ニオブ(Nb)及び/又はタンタル(Ta)の含有量は,炭素(C)の含有量の10倍以上で,最大1.0 %まで含
んでもよい。

6 機械的性質

  この規格によるナットの機械的性質は,表2及び表3に規定する値に適合しなければならない。

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受入れ目的に対する機械的性質は,この箇条を適用し,その試験は,次による。
− 硬さ試験は,7.1による(焼入焼戻しされた鋼種区分C1,C3及びC4だけに適用)。
− 保証荷重試験は,7.2による。
注記 この規格では,多数の強度区分が規定されているが,全ての強度区分が全てのナットに適用さ
れることを意味するものではない。強度区分の適用基準については,この規格を引用する製品
規格で決まる。
規格化されていないナットに対しては,できる限りそのナットに類似の規格値を適用するのがよい。
表2−ナットの機械的性質−オーステナイト系の鋼種区分
鋼種分類 鋼種区分 強度区分 保証荷重応力
Sp
最小
MPa
m≧0.8D 0.5D≦m<0.8D m≧0.8D 0.5D≦m<0.8D
のナット のナット のナット のナット
オーステ A1,A2 50 025 500 250
ナイト系 A3,A4 70 035 700 350
A5 80 040 800 400
表3−ナットの機械的性質−マルテンサイト系及びフェライト系の鋼種区分
鋼種分類 鋼種区分 強度区分 保証荷重応力 硬さ
Sp
最小
MPa
M≧0.8D 0.5D≦m<0.8D m≧0.8D 0.5D≦m<0.8D HBW HRC HV
のナット のナット のナット のナット
マルテン C1 50 025 500 250 147209 − 155220
サイト系 70 − 700 − 209314 1634 220330
110 a) 055 a) 1100 550 − 3645 350440
C3 80 040 800 400 228323 2135 240340
C4 50 − 500 − 147209 − 155220
70 035 700 350 209314 1634 220330
フェライ F1 b) 45 020 450 200 128209 − 135220
ト系 60 030 600 300 171271 − 180285
注a) 最低焼戻し温度275 ℃での焼入焼戻しを行う。
b) ねじの呼び径Dは,24 mm以下とする。

7 試験方法

7.1 硬さ

  マルテンサイト系及びフェライト系のナットについて,硬さ試験は,JIS Z 2243(HBW),JIS Z 2244(HV)
又はJIS Z 2245(HRC)によって行う。疑義が生じた場合には,ビッカース硬さによって合否を判定する。
試験の手順は,JIS B 1052-2又はJIS B 1052-6による。

7.2 保証荷重

  試験手順及び判定基準は,JIS B 1052-2又はJIS B 1052-6による。

――――― [JIS B 1054-2 pdf 9] ―――――

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附属書A
(参考)
ステンレス鋼の鋼種分類及び鋼種区分
A.1 一般
JIS B 1054規格群に引用する鋼種分類は,次の鋼種区分A1A5,C1C4及びF1とする。
− オーステナイト系 A1A5
− マルテンサイト系 C1C4
− フェライト系 F1
この附属書は,これらの鋼種分類及び鋼種区分の特性を説明する。
この附属書は,本体で規定されていない鋼種分類FAの鋼についての追加情報を記す。この鋼種分類は,
フェライト−オーステナイト系である。
A.2 鋼種分類A(オーステナイト系)
A.2.1 一般
オーステナイト系ステンレス鋼の五つの主要な鋼種区分A1A5が,JIS B 1054規格群に含まれている。
これらは,硬化処理ができず,一般に非磁性体である。加工硬化の感受性を少なくするために,表1で規
定している鋼種区分A1A5に,銅を加えてもよい。
非安定化鋼の鋼種区分A2及びA4の鋼は,次のような特性がある。
− クロム酸化物は,鋼の腐食に対して抵抗するので,低炭素量は,非安定化鋼に対して非常に重要であ
る。クロムの炭素に対する高い親和力のため,特に高温時には,クロム酸化物に代わってクロム炭化
物が生成される(附属書F参照)。
安定化鋼の鋼種区分A3及びA5の鋼は,次のような特性がある。
− 炭素及びクロム酸化物に影響を与える元素Ti,Nb又はTaは,規格範囲の上限一杯に製造される。
海洋(offshore)又は似たような条件では,Cr及びNiが約20 %の含有量並びに4.56.5 %のMoの鋼が
要求される。
腐食の危険が高い場合は,専門家に相談することが望ましい。
A.2.2 鋼種区分 A1
鋼種区分A1の鋼は,切削加工用に特に設計されたもので,高い硫黄含有鋼のため,通常の硫黄含有量
の対応する鋼よりも耐食性は低い。
A.2.3 鋼種区分 A2
鋼種区分A2の鋼は,最も頻繁に使用されているステンレス鋼で,台所用品及び化学工場の装置に使用
されている。この鋼種区分のものは,非酸化性酸及び塩化物中,例えば,水泳用プール,海水などでの使
用には適さない。
A.2.4 鋼種区分 A3
鋼種区分A3の鋼は,鋼種区分A2の鋼の性質をもつ,安定化されたステンレス鋼である。
A.2.5 鋼種区分 A4
鋼種区分A4の鋼は,Mo合金で,優れた耐食性を与える“耐酸鋼”である。A4の鋼は,沸騰した硫酸
に対して開発された鋼で(それゆえ“耐酸”と名付けられた。),化学繊維工業の広い範囲で使用されてい

――――― [JIS B 1054-2 pdf 10] ―――――

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