JIS B 1583-1:2012 滑り軸受―金属製流体潤滑軸受に生じる損傷の外観及びその特徴―第1部:一般 | ページ 2

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B 1583-1 : 2012 (ISO 7146-1 : 2008)
k) 青変及び黒変
l) 腐食
m) 流体浸食
n) 埋収した粒子,粒子移動痕及びワイヤーウール(線状切粉及び線状傷)の生成
o) 電気アーク痕
p) キャビテーション浸食

4.4 損傷の特定

4.4.1  一般
損傷の特定とは,検出された損傷外観の典型的な組合せを基に,起こった事象を推定することである。
明確な特徴付けは,損傷の原因を明らかにする基になる。
損傷の特定は,4.4.24.4.11で具体的に挙げるように,それぞれが明確に異なる。
4.4.2 静的過負荷
静的過負荷とは,実際の作動温度に対応した圧縮耐力以上に,負荷が材料にかけられる状態をいう。
4.4.3 動的過負荷
動的過負荷とは,実際の作動温度に対応した疲労強度以上に,負荷が材料にかけられることをいう。動
的過負荷は,はめあい低下によっても損傷を促進する。
4.4.4 摩擦による摩耗
摩擦による摩耗は,摩擦に起因する摩耗であって,化学変化による摩耗及びキャビテーション浸食以外
の摩耗をいう。軸と軸受との相互作用の結果によって生じる,微小な形状の変化及び材料の損失に限られ
る。軸受背面とハウジングとの間に相対的な動きがある場合は,摩擦による摩耗が生じる。
4.4.5 過熱
設計段階で要求される潤滑油,軸受,雰囲気及び冷却システムの熱収支の均衡が崩れた場合は,限度を
超えた高い温度になる。温度上昇とともに,粘度及び負荷容量は低下する。その結果,さらに温度が上昇
する。このため,冷却が更なる温度上昇を止めることができなければ,軸受の作動は安定して行うことが
できない。
4.4.6 潤滑不足
潤滑不足(スターベーション及び枯渇潤滑)は,トライボロジーシステムに悪影響を及ぼす。
4.4.7 コンタミネーション
異物又は反応生成物を含んだ潤滑油は,軸受に損傷を与える場合がある。軸受背面とハウジングとの間
にある異物も,損傷を促進する。
4.4.8 キャビテーション浸食
液体の圧力が低下すると,液体が蒸発し,蒸気の気泡を生成する。その後,液体の圧力が上昇すると,
気泡が内破し,局所的に非常に高い圧力が発生して,しゅう(摺)動面の損傷を引き起こす。この現象を,
キャビテーション浸食と呼ぶ。
4.4.9 電食
軸と軸受との間に電位差があると,局所的な高い電流を伴った電気アークが発生し,軸及び軸受に損傷
を与える。この現象を,電食と呼ぶ。
4.4.10 水素の拡散
水素は,鋼製の裏金又は軸受の電気めっき層に取り込まれることがある。水素の拡散が,それらの接着
層によって妨げられた場合,ブリスタ(膨れ)が起こる。

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B 1583-1 : 2012 (ISO 7146-1 : 2008)
4.4.11 接合不良
接合不良とは,ライニング及び裏金,並びに各層間の離のことをいう。他の損傷と区別するためには,
金属組織の検査1)が必要となる。
注1) この検査には,断面組織観察などがある。

4.5 損傷の外観と損傷の特定との関連

  損傷の外観及び損傷の特定は,第1段階から次の段階に損傷が進むことによって変化する(図1参照)。
外観が同じでも,損傷の特定が異なる場合がある。
一つの損傷の特定は,様々な損傷外観に対応する場合がある。
一つの故障事例に,複数の損傷特徴が見いだされる場合がある。
損傷の特定は,原因の分析の基本となる(図2参照)。
滑り面及び軸受背面に生じる損傷の典型的な関係を,表1に示す。多くの場合,表1は,損傷の特定に
よる損傷外観からの最終的な損傷原因の診断の指針となる。
損傷の原因

損傷の特徴 ⇔ 損傷の外観 (第1段階)

損傷の特徴 ⇔ 損傷の外観 (第2段階)

···

損傷の特徴 ⇔ 損傷の外観 (最終段階)
図1−第1段階の特徴から最終段階の特徴への進展を伴って変化する損傷外観
a 損傷の原因
b 損傷の特徴
c 損傷の外観
図2−原因分析の基礎を与える損傷の特定

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B 1583-1 : 2012 (ISO 7146-1 : 2008)
表1−損傷の外観と損傷の特徴との関係
損傷の外観 損傷の特徴 原因
堆 ク 温 熱 疲 材 摩 融 ポ 混 青 腐 流 埋 電 キ
積 リ 度 亀 労 料 擦 解 リ 合 変 食 体 収 気 ャ
ー サ 裂 亀 脱 腐 , シ 潤 , 浸 し ア ビ
プ イ 裂 離 食 焼 ン 滑 黒 食 た ー テ
変 ク ( 付 グ の 変 粒 ク ー
形 ル 接 き , 痕 子 痕 シ
に 合 ス 跡 , ョ
よ 部 コ , 粒 ン
る の ー 材 子 浸
変 リ 料 移 食
形 離 ン 摩 動
) グ 耗 痕
,










×× × × 静的過負荷 6.2
×× 動的過負荷a) 6.3
× × 動的過負荷b) 7.2
×× 摩擦による摩耗a) 6.4
× 摩擦による摩耗b) 7.3
× × × × × 過熱 6.5
× ×× 潤滑不足(スターベーショ 6.6
ン,枯渇潤滑)
× ×× × × × コンタミネーション(粒子状6.7
物質,化学物質)a)
× ×× × × コンタミネーション(粒子状7.4
物質,化学物質)b)
× キャビテーション浸食 6.8及びJIS
B 1583-2
× 電食 6.9
× 水素の拡散 6.10
× 接合不良 6.11
注a) 軸受表面の損傷
b) 軸受背面の損傷

5 損傷の分析の指針

5.1 一般

  損傷の分析は,軸受の金属学,軸受技術及び軸受損傷の経験を積んだ専門家だけが担当することが望ま
しい。写真観察だけに基づく損傷の分析は,ほとんど成功しない。
段階的な損傷の分析の指針を,5.25.6に示す。

5.2 段階1

  使用時間を確認する。短い使用時間後の損傷と長い使用時間後の損傷とでは,著しい違いがある。両方
の場合で類似した損傷の外観が生じる場合もあるが,通常,次のような異なった原因による。
− 短い使用時間後の損傷の典型的な原因には,形状若しくは組付けの不良,ごみ,過去の損傷の影響,

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B 1583-1 : 2012 (ISO 7146-1 : 2008)
又は最近の使用条件の修正がある。
− 長い使用時間後の典型的な損傷原因としては,使用条件の変化がある。
− 非常に長い使用時間後の典型的な損傷原因としては,疲労による動的な材料性能の低下がある。

5.3 段階2

  損傷の特定と損傷の外観とを厳密に区別することが重要である。徹底的な分析のためには,全ての目に
見える損傷の外観を,表1に基づいて評価し,一つ以上の損傷の特徴を組み合わせることが望ましい。

5.4 段階3

  軸受,軸,潤滑油及びハウジングの全体の構成を考慮する。
ライニングからの試料の化学的な分析及び微細構造を確認することは,有用である。必要であれば,潤
滑油及びフィルターの内容物を分析することが望ましい。

5.5 段階4

  損傷が発見される前の期間及び損傷が発生している期間に関連する,全ての情報を集めることが望まし
い。

5.6 段階5

  段階3及び段階4からの情報とともに,段階2のリストを調査すると,通常は原因究明中の損傷特性の
数は減少する。これは,可能な損傷の推定原因を導く。
表1の使用例としては,附属書Aを参照。

6 軸受表面の損傷-損傷の特徴,典型的な損傷の外観及び損傷の推定原因

6.1 一般

  軸受表面の損傷の議論を,6.26.11に示す。4.4で与えられた損傷の特定に対して,典型的な損傷の外
観,損傷の推定原因及び典型的な例を挙げる。

6.2 静的過負荷

    注記 静的負荷は,荷重の大きさと方向が一定している。
6.2.1 典型的な損傷の外観
典型的な損傷の外観は,次のとおりである。
− クリープ変形は,荷重及び温度の最も高い領域において生じる軸受材料の浅いくぼみである。そのく
ぼみは,回転方向に向かって始点が滑らかで,終点がクラックのない半円の膨らみをもち,場合によ
っては波頭のようになる(図3参照)。
− 混合潤滑の痕跡(図4参照)
− 堆積
− 熱亀裂
6.2.2 損傷の推定原因
軸受の負荷が,設計における許容値よりも高い,及び/又は軸受の温度が,長期間推定値より高いこと
が考えられる。
6.2.3 典型的な例
静的過負荷の典型的な例を,図3及び図4に示す。

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B 1583-1 : 2012 (ISO 7146-1 : 2008)
図3−回転方向における亀裂がない半円状の隆起によって示されるクリープ変形
(材質 : 裏金は鋼,ライニングは,すず基ホワイトメタル)
注記 舶用プロペラシャフト軸受における負荷容量に対して,回転速度が遅すぎることによる
影響を示している。
図4−静的過負荷による損傷
(材質 : 裏金は鋼,ライニングは,すず基ホワイトメタル)

6.3 動的過負荷

  注記 動的負荷は,荷重の大きさ及び/又は方向が変化する。
6.3.1 典型的な損傷の外観
疲労亀裂は,負荷帯域の軸受表面から進展する亀裂であり,網状に広がる。その亀裂は,軸受合金と裏
金との接合部上で方向を変える。

――――― [JIS B 1583-1 pdf 10] ―――――

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JIS B 1583-1:2012の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 7146-1:2008(IDT)

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JIS B 1583-1:2012の関連規格と引用規格一覧