JIS B 2710-3:2008 重ね板ばね―第3部:試験方法 | ページ 3

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8.4 ワインドアップ応力の測定

  ワインドアップ応力は,通常,一番リーフ引張り側表面の中央部が高くなるので,測定はなるべく中心
穴付近に近い,例えば,Uボルトクランプぎわなどにひずみゲージをはり,指定力下でワインドアップト
ルクを加えて行う。ひずみ 湮 定は10×10−6より小さい数値まで行い,式(2)によって応力 N/mm2)
に換算する。応力はJIS Z 8401によって,10 N/mm2単位に丸める。
0.206 106 2
(N/mm ) (2)
なお,ワインドアップ応力の測定のときに,目玉部に作用する応力を測定して,目玉疲労試験の参考に
することがある。その場合には,通常,固定側の目玉付け根部内面にひずみゲージをはり,上記と同様に
応力を測定する。

9 上下方向疲労試験

9.1 一般事項

  上下方向疲労試験は,ばねに規定の試験力を繰り返し加え,疲労寿命を求めて耐久性を検証するもので,
次によって行う。ここでは,基本的なマルチリーフスプリングについてだけ示すが,その他のばねについ
ても,ここに示す方法に準じて行ってよい。

9.2 試験装置

  試験装置は,ばねの両端を安定に,かつ,ばねが通常の使用状態と同等の機能をもつように保持し,中
央部の作用力中心に繰り返し力を加えて,規定の繰返したわみを与え得る構造のものとする。このため,
装置には力及びたわみの動的な計測並びに記録装置を備えるものとする。曲げ疲労試験における標準的な
ばねの支持例を図8に示す。
図8−上下方向疲労試験におけるばねの支持例

9.3 試験方法

  疲労試験は変位制御によって,最大たわみと最小たわみとの間で繰り返し力を加えて行う。最大たわみ
は,ばねの最大作用力によるたわみを超えない範囲で,最小たわみは最大たわみの10分の1を目安に,そ
れぞれ受渡当事者間の協定によって定める。たわみの繰返し速度は,0.13 Hzとする。試験中,たわみの
繰返しに伴う作用力の変化を測定し,ほぼ定常になった状態における力の最大値及び最小値を記録してお
くことが望ましい。
なお,たわみ及び力の測定精度は,6.3による。
試験は,通常中断せず,また,試験たわみの条件を変えることなく,寿命まで継続して行う。やむを得
ず試験を中断する場合はできるだけ短時間にやめ,中断したことを記録するものとする。

――――― [JIS B 2710-3 pdf 11] ―――――

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9.4 供試ばねの抜取り及びその個数

  疲労試験に供するばねの個数は,特別の事情がない限り,同一生産ロットの中から任意に抜き取った3
個とし,これを同一試験条件で試験する。供試ばねの抜取り方法及びその個数は,受渡当事者間の協定に
よって別に定めてもよい。

9.5 疲労寿命の求め方

  疲労寿命は,リーフのいずれかにき裂若しくは折損が起きたとき,又は明らかなばね定数の変化が起き
たときの繰返し回数を求める。
なお,繰返し数1.0×106を過ぎても寿命に至らないときは,中断したことを記録して試験を打ち切って
よい。
さらに,き裂及び折損を生じたリーフを交換して再度試験を続行した場合,又は著しい発熱,異音発生
など何らかの異常を生じたときは,その内容を記録して報告するものとする。

10 目玉疲労試験

10.1 一般事項

  目玉疲労試験は,ばねの目玉部分に規定の試験力を繰り返し加えて疲労させ,耐久性を評価するもので,
通常一番リーフの目玉部を適切な長さで切り出した試験片を用い,次のように行う。ここでは,上巻き目
玉についてだけ示すが,その他の目玉についても,この方法に準じて行えばよい。

10.2 試験装置

  試験装置は,一般の疲労試験機を用いるのがよい。目玉疲労試験における標準的な試験片の保持例を,
図9に示す。
図9−目玉疲労試験におけるばねの保持例
目玉部は通常の使用の実態に合わせ,スプリングブラケット又は相当のジグを用い,スプリングピン又
は同等のピンによって取り付け,必要に応じて潤滑を行う。通常,目玉中心と力の入力中心との偏心量e
はゼロとするが,使用の実態に合わせて受渡当事者間でeの値を取り決めてもよい。目玉中心からつかみ
具の端までの長さlは,ばね板の幅以上とする。

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10.3 試験方法

  試験は,目玉の付け根部の内面に作用する応力に注目して行う。ただし,通常は,ひずみゲージなどを
用い,あらかじめ目玉の内面及び外面のひずみの相関データを調べておき,実際の試験は目玉外面のひず
みを対象として行ってもよい。疲労試験の繰返し速度は通常0.110 Hzとし,応力条件は受渡当事者間の
協定による。
注記 目玉部はブシュ又はスプリングピンとのフレッティングによって折損することが多く,それは
加振周波数に影響されることがあるので,周波数の条件設定には注意を要する。

10.4 寿命の求め方

  寿命は9.5によって求める。

11 腐食疲労試験

11.1 一般事項

  腐食疲労試験は,ばねに規定の腐食及び疲労による損傷を交互に繰り返し加えて耐久性を評価するもの
で,次の連続サイクル試験方法及びサイクル打切り試験方法によって行う。

11.2 連続サイクル試験方法

  腐食疲労試験では,図10のように,ばねに規定の塩水噴霧を行い,一定時間大気中で乾燥した後に規定
の疲労試験を行う過程を1サイクルとし,このサイクルをばねの寿命まで繰り返すことにより,合計疲労
寿命を求めて腐食耐久性を評価する。
塩水噴霧 大気中乾燥 疲労試験 寿命評価
寿命に至らない場合は繰返し
図10−連続サイクル試験方法
塩水噴霧条件及び疲労試験条件は次による。また,大気中乾燥の条件は受渡当事者間の協定による。
注記 大気中乾燥は,特に腐食を促進することなくばねを乾燥する目的で行うものであるから,熱風
を吹き付けるなどは望ましくない。一例として,60 ℃雰囲気中に4時間保持などが行われてい
る。この手順を入れずに疲労試験を行うと,疲労試験機の保守の上で問題を生じやすいので注
意が必要である。
a) 塩水噴霧試験条件 塩水噴霧は,作用力のない状態で,通常の使用状態の姿勢に保持したばねに対し,
各方向から十分な量の塩水を噴霧し,ばねがむらなくぬ(濡)れるようにする。塩水は,35 ℃の5 %
NaCl水溶液とし,噴霧時間は受渡当事者間の協定による。
注記 塩水噴霧は,大型のばねは液槽に浸すことが困難な場合があるので採用されたものである。
したがって,噴霧は複数方向から十分な時間をかけて行うことが必要であり,噴霧時間が
短すぎることは望ましくない。最小単位時間の一例として2時間などが採用されている。
b) 疲労試験条件 疲労試験は,箇条9に規定した上下方向疲労試験方法による。試験条件は,受渡当事
者間の協定による。

11.3 サイクル打切り試験方法

  サイクル打切り試験は,図11のように,ばねに規定の塩水噴霧−大気中乾燥−疲労試験のサイクルを,

――――― [JIS B 2710-3 pdf 13] ―――――

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あらかじめ定めたNサイクルまで繰り返した後に,更に疲労試験を行い,腐食耐久性を評価するものであ
る。
塩水噴霧 大気中乾燥 疲労試験 疲労試験 寿命評価
Nサイクル繰返し
図11−サイクル打切り試験の方法
試験1サイクルの内容及び方法は,11.2と同じとし,サイクル数N及びNサイクル後の疲労試験条件は,
受渡当事者間の協定による。

11.4 寿命の求め方

  連続サイクル試験及びサイクル打切り試験の寿命は,9.5によって求める。

12 結果の記録及び報告

  各試験結果の報告項目及び記録項目は,表1に示すとおりとする。試験結果の記録は,受渡当事者間の
協定によって定めた期間中は保管し,要求があった場合は提示する。
表1−試験結果の記録及び報告事項
試験の種類 報告項目 記録項目
一般事項 a) ばねの名称,材質,硬さ,諸元,その他処理など a) 試験開始及び終了日時
b) 試験項目 b) 試験期間中の試験室温度及び湿度
c) 報告年月日 c) その他の特記事項
d) 試験責任者名
e) たわみは,反り基準又は高さ基準
ばね特性 a) 指定力(N),たわみ(mm),及びスパン又はストレー
トスパン(mm)
b) 第二指定力(N)及びばね定数(N/mm)
動ばね特性 a) 動ばね定数(N/mm) a) 予備加振を含む全実施経過
b) 板間摩擦力(N) b) 予備加振直後における加力時の力
−たわみ関係
c) 力−たわみヒステリシス関係
ワインドアッ a) トルク−回転角の関係線図 a) トルク及び一番リーフ表面の応力
プ特性 b) トルクによる指標の移動軌跡
c) トルクと目玉部応力との関係
上下方向疲労 a) 試験たわみの平均値及び振幅値(mm) a) 定常状態での作用力の平均値及び
b) 寿命(回) 振幅値(N)
c) 折損リーフ番号及び折損位置 b) 試験周波数(Hz)
目玉疲労 a) 試験力の平均値及び振幅値(N) a) リーフの保持及び試験力付加の方
b) 寿命(回) 法詳細
c) 折損位置 b) 試験速度(Hz)
腐食疲労 a) 塩水噴霧,大気中乾燥及び疲労試験の条件 a) 疲労き裂起点付近及びその他の部
位の腐食ピット深さ
b) 寿命に至ったサイクル数(サイクル)及び合計寿命(回)
c) サイクル打切りの場合はサイクル数(サイクル),最終
疲労試験条件及びそれによる寿命(回)

JIS B 2710-3:2008の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 2710-3:2008の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB2710-1:2008
重ね板ばね―第1部:用語
JISB2710-1:2020
重ね板ばね―第1部:用語
JISZ8401:2019
数値の丸め方
JISZ8703:1983
試験場所の標準状態