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B 6190-3 : 2014 (ISO 230-3 : 2007)
を表している。
注記 通常,ISOの用語では誤差(error)の代わりに偏差(deviation)という用語を使用することと
なっている。しかし,ETVEを長い間使用してきたため,ここでは例外として“誤差”を使用
することとした。
3.12
環境温度変動誤差による不確かさ,uETVE(uncertainty due to environmental temperature variation error)
環境温度変化の影響によって引き起こされる,工作機械の性能測定における標準不確かさの影響。
注記1 ETVEの二乗を12で除した値の平方根である(ISO/TR 230-9:2005参照)。
ETVE ETVE2
u
12
注記2 工作機械におけるこの不確かさの推定値は,箇条5に規定する環境試験に基づく。
3.13
合成標準熱不確かさ,uCT(combined standard thermal uncertainty)
一定で均一な温度20 ℃以外の温度環境によって生じた長さ測定の合成不確かさ。
注記1 この用語は,ISO/TR 16015で定義した熱影響による寸法の合成標準不確かさと同じである。
注記2 この不確かさは,環境温度変動誤差による不確かさ(uETVE),温度測定による長さの不確か
さ(uTM)及び公称熱膨張差の不確かさ(uNDE)の二乗の和の平方根である。
2 2 2
uCT uETVE uTM uNDE
注記3 合成標準熱不確かさの推定に関する詳細な説明は,ISO/TR 16015による。
3.14
ドリフト d(αOβ) xx, 60
主軸回転による熱変形試験の最初の60分間の,主軸平均軸線βのα方向の直線変位又は角変位の幅(位
置xxにおいて)。
例 d(XOC) P1, 60は,位置P1(主軸先端から遠い側)における,主軸の平均軸線CのX方向へのドリ
フトを示す。
注記1 αとして表記できるのは,X,Y,Z,A,Bである。一方,βとして表記できるのは,C,C1,
A,B又は全ての主軸軸線である。xxとして表記できるのは,P1(位置P1,主軸先端から遠
い側)及びP2(位置P2,主軸先端に近い側)である。ただし,位置xxは,Z方向直線変位
と角変位(A及びB)との測定値では省略する。
注記2 表記αOβについては,JIS B 6190-7を参照。
3.15
ドリフト d(αOβ) xx, t
主軸回転による熱変形試験での位置xxにおける全主軸運転時間tの間の,主軸平均軸線βのα方向の直
線変位又は角変位の幅。
例 d(XOC) P1, tは,位置P1(主軸先端から遠い側)における,主軸の平均軸線CのX方向へのドリフ
トを示す。
注記1 αとして表記できるのは,X,Y,Z,A,Bである。一方,βとして表記できるのは,C,C1,
A,B又は全ての主軸軸線である。また,xxとして表記できるのは,P1(位置P1,主軸先端
から遠い側)及びP2(位置P2,主軸先端に近い側)である。ただし,位置参照xxは,Z方
――――― [JIS B 6190-3 pdf 6] ―――――
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B 6190-3 : 2014 (ISO 230-3 : 2007)
向直線変位と角変位(AとB)との測定値では省略する。
注記2 表記αOβについては,JIS B 6190-7を参照。
3.16
ドリフト d(αOγ) xx, 60
直進運動に伴う熱変形試験での位置xxにおける最初の60分間の,直進軸γに沿って運動する機械要素
のα方向の直線又は角変位の幅。
例 d(BOX)1, 60は,目標位置(図8に示す右の位置P1)での,直進軸XのB方向(Y軸周りの回転方
向)へのドリフトを示す。
注記 αとして表記できるのは,X,Y,Z,A,B,Cである。一方,γとして表記できるのは,X,
X1,Y,Z,W及び他の全ての直進軸である。また,xxとして表記できるのは,1及び2であ
り,xxは,左及び右のように文字で表記も可能である。
3.17
ドリフト d(αOγ) xx, t
直進運動に伴う熱変形試験での位置xxにおける全運動時間t間の,直進軸γに沿って運動する機械要素
のα方向の直線又は角変位の幅。
例 表記d(BOX)1, tは,目標位置(図8に示す右の位置P1)での,直進軸XのB方向(Y軸周りの回
転方向)へのドリフトを示す。
注記 αとして表記できるのは,X,Y,Z,A,B,Cである。一方,γとして表記できるのは,X,
X1,Y,Z,W及び他の全ての直進軸である。また,xxとして表記できるのは,1及び2であ
り,xxは,左及び右のように文字で表記も可能である。
4 基本事項
4.1 測定単位
この規格では,長さ,長さの偏差及び許容値は,ミリメートル(mm)で表す。角度は,度(゜)で表
し,角度の偏差及び許容値は,一般に長さの比(例えば 0.00x/1 000)で表すが,マイクロラジアン(μrad)
又は秒(″)で表してもよい。ただし,これらの間には次の関係がある。
0.010/1 000=10 μrad≒2″
温度は,摂氏(℃)で表す。
4.2 JIS B 6191の引用
この規格を適用するに当たって,特に試験前の機械の据付け及び測定器の推奨精度については,JIS B
6191を引用する。
4.3 推奨する測定器及び測定装置
この規格で推奨する測定機器は,例としてだけ示す。同じ物理量が測定でき,同等以下の測定の不確か
さをもつ他の測定機器を使用してもよい。次に示す測定器及び測定装置を,箇条5箇条7の試験に使用
することを推奨する。
a) 十分な測定範囲,分解能,温度安定性及び精度をもった変位計 例えば,直進軸の運動による熱変位
測定に用いるレーザ干渉測長器,又は環境試験及び主軸の回転による熱変形試験に使用する静電容量
形,渦電流形変位計若しくはプランジャ形の接触式変位計。
b) 十分な分解能及び精度をもった温度計 例えば,熱電対,抵抗又は半導体温度計。
c) データ収録装置 例えば,全てのチャンネルを連続的に記録できる多チャンネルペンレコーダ,又は
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B 6190-3 : 2014 (ISO 230-3 : 2007)
少なくとも5分1)ごとに全てのチャンネルを読み取り,後でデータ解析を行うためにデータを保存で
きるコンピュータシステム。
注1) 温度補正システムの中には5分未満のサイクル時間のものがある。そのような場合には,検
出する頻度をそれに伴って増やすのが望ましい。
注記 コンピュータシステムを利用できない場合には,手計算で処理してもよい。
d) テストバー 可能な場合には,機種別規格に規定する鋼製のテストバー又は受渡当事者間の協定に基
づいて設計したテストバー。JIS B 6191のA.3参照。
e) 変位計を取り付けるための取付具 可能な場合には,機種別規格に規定する鋼製の取付具又は受渡当
事者間の協定に基づいて設計した取付具。ただし,取付具に生じた温度勾配による局所的な変形を最
小にするような設計を行うことが望ましい。
f) 角変位を評価する場合は,十分な測定範囲,分解能及び精度が実現できるように変位計間距離を決め
る。
必要があり,適用できる場合には,軸方向変位計(図1図3参照)は,テストバーの熱膨張の影響を
避けるために直接主軸端に向けて取り付けてもよい。
測定器の長時間精度は,例えば,変位計の温度ドリフト試験によって確かめる(A.5参照)。
測定器は,試験を開始する前には,熱的に安定させる。
4.4 試験前の機械の状態
機械は,完全に組み立てられたものであって,製造業者の説明書に従って完全に運転できるものでなけ
ればならない。必要な全ての水平出し,静的精度検査及び運転試験は,この試験を始める前に終了してお
く。
製造業者の指定又は測定器の指示に従って内部熱源の影響を安定させるのに十分な時間,機械に電源を
投入して附属機器を運転し,主軸を回転させないで軸を“ホールド”状態にする。機械及び測定器は,風
及び頭上にある暖房器又は日光のような外部ふく(輻)射から保護する。
全ての試験は,無負荷状態で行わなければならない。工作物及び工具の両方が独立した軸上で回転する
ような機械を試験する場合には,箇条5及び箇条6に規定した試験を,機械構造上の共通の固定位置で,
各回転軸について行う。空気又は油シャワのような熱影響を最小化する補正機能若しくは装置によるソフ
トウエア又はハードウエアが工作機械上で利用できる場合には,試験中に使用し,それらを使用したこと
を記録する。
4.5 試験の順序
箇条5箇条7に示すそれぞれの試験は,1種類だけ又はどれと組み合わせて行ってもよい。
4.6 試験時の環境温度
全ての寸法測定は,JIS B 0680に従って,測定器及び測定対象物(例えば,工作機械)が20 ℃に維持
された環境と平衡状態になったときに行う。環境温度が20 ℃でない場合には,20 ℃に換算するために測
定器及び測定対象物(工作機械)の公称熱膨張差(NDE)の補正を行う。例えば,レーザ干渉測長器を使
った変位測定では,レーザ光軸周りの室温及び機械スケールの温度を測定中に記録するのが望ましい。レ
ーザ干渉測長器の(室温及び気圧の変化に伴ってレーザ波長が変化することによる)予想される長さ変化
及び機械スケールの(その温度への応答による)予想される長さ変化を計算する。これら二つの長さ変化
の差は,NDEとして計算し,20 ℃で変位偏差を決定するためにレーザ干渉測長器による測定データの補
正に使う。しかし,この規格は,変化する可能性のある環境温度条件の下で機械の挙動を特定することを
目的としているので,NDE補正の必要性は緩和される。NDE補正は,工作物が通常取り付けられる機械
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B 6190-3 : 2014 (ISO 230-3 : 2007)
部分と測定器との間だけに適用できる。工作機械の通常の運転時に使用される組込形のNDE補正は使用
しなければならない。付加的なNDE補正は,測定のためだけに使用し,機械スケールの熱変位の補正に
使用してはならない。
5 環境温度変動誤差(ETVE)試験
5.1 一般
環境温度変動誤差(ETVE)試験は,工作機械に及ぼす環境温度変化の影響を明らかにし,工作機械の
精度試験をしている間に熱が原因で生じる誤差を推定するために行う。この試験は,機械の比較に使って
はならない。ETVE値は,5.2に規定した方法を用いた温度ドリフト試験から求めることができる。室温,
気圧などの環境補正を必要とする場合には,測定器を正しく使用するために環境補正を使用する。通常工
作物を取り付ける機械部分に材料温度検出器を取り付けることを前提とするが,測定器にNDE補正装置
が組み込まれている場合には,その補正装置を使用するのが望ましい。ただし,そのような補正装置を使
用したことは記録する。
製造業者は,機械が仕様どおりの性能を発揮することができる許容環境温度条件の指針を提示するのが
望ましい。そのような一般的な指針には,例えば,平均室温の仕様,その平均室温からの偏差の最大値,
周波数幅,環境熱勾配(附属書C参照)がある。また,工作機械の運転及び性能試験のできる環境温度を
設置場所として提供することは使用者の責任である。ただし,使用者が機械の製造業者の規定した指針に
従う場合には,その仕様に基づいた機械の性能に対する責任は製造業者にある。
工作機械の性能測定において,熱影響によって生じた全不確かさは,合成標準熱不確かさによって定義
される。この合成標準熱不確かさuCTは,性能試験中とETVE試験中との環境条件が同等のとき,この規
格に規定した試験方法を使って評価できる。受渡当事者間で協定した値を超えてはならない。
機械の駆動軸の電源を入れて“ホールド”状態を維持する必要がある(4.4参照)。特に垂直又はスラン
ト軸では,機械の設計上,軸を“ホールド”状態に維持するだけで温度上昇する場合がある。このような
場合には,ETVE試験は機械の電源を切った状態で行ってもよい。その状態については試験結果に記録す
る。
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B 6190-3 : 2014 (ISO 230-3 : 2007)
1 室温検出器 4 変位計
2 主軸軸受温度検出器 5 取付具
3 テストバー 6 取付具固定用ボルト
図1−立て形マシニングセンタにおけるETVE試験及び主軸回転と直進運動とに伴う
熱変形試験用の測定装置取付例
1 室温検出器 5 取付具
2 主軸軸受温度検出器 6 取付具固定用ボルト
3 テストバー 7 イケール
4 変位計
図2−横形マシニングセンタにおけるETVE試験及び主軸回転と直進運動とに伴う
熱変形試験用の測定装置取付例
――――― [JIS B 6190-3 pdf 10] ―――――
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JIS B 6190-3:2014の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 230-3:2007(IDT)
JIS B 6190-3:2014の国際規格 ICS 分類一覧
JIS B 6190-3:2014の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0680:2007
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―製品の幾何特性仕様及び検証に用いる標準温度
- JISB6191:1999
- 工作機械―静的精度試験方法及び工作精度試験方法通則
- JISB6310:2003
- 産業オートメーションシステム―機械及び装置の制御―座標系及び運動の記号