JIS B 6190-3:2014 工作機械試験方法通則―第3部:熱変形試験 | ページ 3

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B 6190-3 : 2014 (ISO 230-3 : 2007)
1 室温検出器 5 取付具
2 主軸軸受温度検出器 6 タレット
3 テストバー 7 チャック
4 変位計
注a) 目的を明確とするために,座標軸は回転して表示している。
図3−スラントベッド形ターニングセンタにおけるETVE試験及び主軸回転と直進運動とに伴う
熱変形試験用の測定装置取付例

5.2 試験方法

  図1,図2及び図3は,それぞれ立て形マシニングセンタ,横形マシニングセンタ及びターニングセン
タへの測定装置の取付例を示す。変位計を備えた取付具は,測定する機械の工作物又は工具を保持する回
転しない部分に確実に固定し,次の事項について測定する。
a) 工具を保持する部品と工作物を保持する部品との間の機械の各送り軸に平行な直交3軸と平行な向き
での相対変位 測定装置の正確な位置は,試験結果ともに記録する。
b) 工作機械のX軸及びY軸周りの傾き又は回転 主軸の前軸受にできるだけ近い工作機械構造の温度及
び主軸端と同じ高さの機械周囲の室温は,少なくとも5分2)ごとに記録するのが望ましい。室温に及
ぼす機械の発熱(例えば,油圧機器)の影響を避けるために機械から適切な距離だけ離れた位置で室
温を測定することが重要である。測定された温度と変位との間に確かな相関があるわけではないが,
環境及び機械構造の熱的変化の指標になる。
注記 ETVE試験の結果の連続性を明確にするために,測定中の変化が分かるように環境条件を含む
ETVE試験の過程を監視する必要がある。
温度ドリフト試験は,一旦測定器を設置したら,通常の性能測定条件との違いが最小になるようにし,
できるだけ長く続けるのが望ましい。測定基準に対して試験装置を周期的に再設定するような動作が繰り

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返される状況では,試験時間は,大部分の動作を繰り返す周期よりも長くするか又は受渡当事者間の協定
によるのが望ましい。
注2) 温度補正システムの中には5分未満のサイクル時間のものがある。そのような場合には,検出
する頻度をそれに伴って増やすのが望ましい。

5.3 結果の説明

  測定結果は,図4にその例を示すように時間に対する熱変位及び温度の図として描く。しかし,図示し
た曲線は,機械の比較のために用いてはならない。このような曲線から求めたETVEの値は,加工空間の
3直交平面内で行う各軸に平行な直進軸の位置決め精度又は円運動精度のような測定で合成標準熱不確か
さを考慮するために使用する。性能測定に合成標準熱不確かさを適用するために,室温は,個々の性能測
定を行っている間,連続的に記録するのが望ましい。その記録がETVEの値を求めた条件と比べて著しく
変化した条件になる場合には,ETVEの結果は,その測定過程に対しては無効である。このような場合に
は,ETVEの再評価を行うか又はETVEが適用できる条件にその条件を補正するのが望ましい3)。さらに,
測定装置は,熱的に安定させる。
向きの異なる測定では,それぞれの向きに対応したETVE値を使う。例えば,機械のZ軸に平行な直進
位置決め精度の測定では,ETVE(Z)値として直進位置決めの測定に要した時間に対するZ軸方向の熱変位
の最大範囲を使用する。同様にY軸及びX軸方向に平行にETVE(Y)及びETVE(X)を決定する。XY平面
内での円運動測定のような2軸以上に関係する測定を行う場合には,ETVE値は,ETVE(X)及びETVE(Y)
の最大値を用いる。
角度偏差測定については,ETVE値は,角度偏差測定に費やした時間に対するX軸及びY軸周りの傾き
の最大範囲を計算して求める。傾き角A及びBは,同時に測定した軸に平行な二つの変位計の読みの差を,
同一の向きに取り付けた二つの変位計間の距離lで除して求めた値である。このA及びBの計算は,次の
式による。
A=(Y1−Y2)/l
B=(X1−X2)/l
ETVE(A)=Aの最大範囲
ETVE(B)=Bの最大範囲
結果の正負の符号は,JIS B 6310に従って表す。
工作機械の性能試験(例えば,測定の向き)に対するETVE値を決めるためには,その性能試験に費や
した時間と同程度の時間に対して,最大の室温変化を示すETVE曲線の間隔を特定する。その時間内に観
察された最大の変化が,その試験に対する有効なETVE値になる。例えば,位置決め精度試験に約60分
かかったとすると,図4に示した例では,ETVE(X)値は,時間軸上の90150分の間から求めることがで
きる。その60分間の曲線の最大変位から求めたETVE値は,0.001 5 mmである。
注3) 機械の性能試験中に測定された室温の最大変化は,ETVE試験中に測定された室温変化以下と
なるのが望ましい。

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図4−ETVE試験における温度及び変位と時間との関係

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A X軸周りの角変位 T 温度(℃)
B Y軸周りの角変位 Ta 室温(℃)
Δl 直線変位(mm) Ts 主軸温度(℃)
ΔΩ 角変位(″) t 時間(min)
X1 位置L1におけるX方向変位 Z Z方向変位
Y1 位置L1におけるY方向変位
例 1時間の試験を行った結果,図4に示すグラフから次のETVE値が得られる。
ETVEX;1.1 ℃=0.001 5 mm(90分150分)
ETVEA;1.1 ℃=3″(110分170分)
ETVEY;0.6 ℃=0.000 8 mm(230分290分)
ETVEB;1.1 ℃=3″(110分170分)
ETVEZ;0.4 ℃=0.003 5 mm(0分60分)
図4−ETVE試験における温度及び変位と時間との関係(続き)

5.4 結果の表示

  測定データは,図4に示すように時間に対する変位及び温度の曲線として描く。各向きに対するETVE
値は,例えばETVE(Z;1.2 ℃)=0.001 mmのように,観察した時間の範囲における室温変動幅も表示し,記
録するのが望ましい。
また,試験結果(図4及び図5参照)とともに次の情報も記録しておくのが望ましい。
a) 測定位置(L1の座標,図5参照)
b) 主軸端面とL1との距離
c) 温度検出器の位置
d) 温度検出器の種類
e) テストバー並びに取付具の形状,寸法及び材料
f) 使用した温度補正方法及び装置
g) 協定に基づく特別な試験手順
h) 試験日時
i) 試験前の機械の準備手順(試験前の予備点検の運転時間も含む)
j) 図1に示す座標系と異なる場合,X,Y,Z,A及びBの偏差の正の方向
k) 機械軸の制御モード(ホールド又はオフ)。

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試験日 年/月/日
機械 AAA,立て形マシニングセンタ/
X=1 000,Y=600,Z=800
温度検出器/位置(室内) 熱電対/主軸端からY=300(手前),X=200(右)
テストバー 鋼,11×10−6 ℃−1,直径60 mm,長さ200 mm,No.40テーパ
取付具 鋼,11×10−6 ℃−1,400×100×100 mm : テーブル中央に固定
使用した温度補正 主軸温度検出器付き油温調整器
暖機運転 なし
軸の位置 X=500 mm,Y=300 mm,Z=400 mm,C=0
測定位置L1 X=500 mm,Y=300 mm,Z=220 mm(テーブル上面からの高さ)
主軸端面−L1間距離 175 mm
変位計間距離l(L2,L2) 150 mm
1 室温用の温度検出器 4 変位計
2 主軸軸受部の温度検出器 5 取付具
3 テストバー 6 取付具固定用ボルト
注記 テストバー及び取付具の寸法は,一例である。
図5−ETVE試験及び主軸回転と直進運動とに伴う熱変形試験のセットアップ情報の表示例

6 主軸回転による熱変形

6.1 一般

  この試験は,主軸の回転によって生じる内部発熱及びその結果生じる機械構造に沿った温度勾配が,工
具−工作物間に生じる機械構造の熱変形に及ぼす影響を特定するために行う。この試験は,主軸による熱
発生に関係しているので,主軸だけを回転させて行う。

6.2 試験方法

  図1,図2及び図3は,それぞれ立て形マシニングセンタ,横形マシニングセンタ及びターニングセン
タにおける代表的な取付状態を示す。変位計を取り付けた取付具は,測定する機械の工作物又は工具を保

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JIS B 6190-3:2014の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 230-3:2007(IDT)

JIS B 6190-3:2014の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 6190-3:2014の関連規格と引用規格一覧