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表6 時限装置の総合精度
単位 s
時間範囲 総合精度
1以下 0.1
1を超えるもの 0.15
6.2 冷却装置 冷却装置は,次による。
a) 冷却剤の種類は,加工材料の種類,形状,寸法によって,水,熱処理油(8),水溶液焼入剤などとし,
各冷却系ごとに,焼入れに必要な量の冷却剤を,表7の使用温度許容値に保持し供給できなければな
らない。
注(8) IS K 2242の1種1号若しくは1種2号又はこれと同等以上の品質とする。
表7 冷却剤の使用温度許容値
単位 ℃
冷却剤 水 熱処理油 水溶液焼入剤
使用温度許容値 目的温度±10 目的温度±20 目的温度±10
b) 冷却剤の圧力及び流量は,常用の作業条件において,加工材料の冷却に著しい差異を生じないように
調整できなければならない。また,浸せき冷却の場合は,冷却剤を適切な流速でかくはんすることが
できなければならない。
c) 冷却装置は,所定どおり冷却時間を制御できる時限装置をもち,かつ,冷却開始のリレー作動後速や
かに冷却を開始するものとし,焼入成績に著しい影響を与えてはならない。
6.3 焼入機械 焼入機械は,定置焼入機械,移動焼入機械,その他加工部の形状に適したものを使用し,
表8に規定する精度に,保持又は調整できなければならない。
備考 高周波焼戻機械は,焼入機械に準じる。
表8 焼入機械の精度
項目 精度
軸心の振れ 0.5mm
面の振れ(9) 0.3mm
移動速度(mm/s)の変動範囲(10) ±5%
注(9) 直径300mm以上の円板を装着して,半径150mmの
ところで,円板上の面の振れを測定した場合とす
る。
(10) 直径50mm,長さ500mmの丸棒を装着して測定し
た場合とする。ただし,長さ500mmの試験片が装
着できない機械であるときは,これに準じた試験
片による。
6.4 焼戻加熱設備
a) 通常の焼戻しに使用する焼戻加熱設備(焼戻炉)は,次による。
b) 加熱設備は,熱源の種類,熱浴使用の有無,作業形式の連続・非連続の別を問わず,JIS B 6901に規
定する有効加熱帯内で加工材料を加熱するとき,加工の目的のための保持温度が,目的温度に対し,
表9の許容範囲に保持又は調整できなければならない。
――――― [JIS B 6912 pdf 6] ―――――
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表9 焼戻炉の温度許容値
単位 ℃
目的温度 加工品の品質の区分
1号 2号
400以下 ±10 ±15
400を超えるもの ±15 ±20
c) 加熱炉又は熱浴槽内における加熱帯ごとに,加工工程中の加工温度を追跡表示できる自動温度記録装
置をもたなければならない。
d) 熱電温度測定設備(11)の指示計器に表される温度指示総合誤差は,加工に必要な指示目盛範囲において
表示計器の読みを補正した後,表10の規定に適合しなければならない。
注(11) 熱電温度測定設備とは,検出器,伝送器,表示計器及び調節器からなる一連の組み合わせた設
備をいう。
表10 熱電温度測定設備の温度指示総合誤差
単位 ℃
設定温度 T 温度指示総合誤差
400以下 ±4
400を超えるもの T
±100
e) 高周波焼戻しに使用する誘導加熱装置は,6.1による。
6.5 設備の保全 加工設備は,6.16.4に規定するそれぞれの許容範囲の性能を保持できるように適切な
方法で管理し,その記録を保有しなければならない。
7. 加工方法
7.1 加工方法の設定 加工に際しては,加工材料及び目的とする加工品の品質に応じて使用する加工設
備,誘導子(コイル)の確認,及び加工材料の装着,高周波焼入れ,通常の焼戻し・高周波焼戻しの作業
方法,並びに作業条件,加工後の処理など,必要とする加工方法は,次による。
a) 誘導子の確認 冷却環及びジグの点検,誘導子の変形,破損及びコアの状態などを確認する。冷却環
の水穴を点検清掃し,ジグの作動が正常に行われるかを確認する。
b) 加工材料の装着 加工材料と誘導子との相対位置を常に正しく保持できるように装着する。特に,偏
心及び傾斜に注意し,加熱温度及び冷却速度がほぼ均一で,かつ,加工材料が局部加熱されることに
よって起こる膨張や,変形のために誘導子と加工材料との間に放電接触その他の支障が発生しないよ
うにする。
c) 加工材料の焼入加熱及び冷却 焼入れの加熱に際しては,設定した条件,特に出力変成器の巻線比を
正確に設定し,加熱時間を確認する。冷却に際しては,冷却剤の種類,温度,濃度,流量,圧力,冷
却時間などを確認する。
なお,必要があれば,加工品が変形しないよう適切な方法で,加工材料を押さえる。
d) 加工材料の焼戻加熱及び冷却 焼戻加熱及び冷却に際しては,加熱及び冷却の条件を確認し,割れ,
変形その他の欠陥を発生しないように焼入れ後,速やかに焼戻しを行う。
e) 加工後の処理 加工後,必要によって,曲がりを矯正する場合は,矯正による加工品の残留応力が,
以後の機械加工及び使用上,支障を生じない程度とし,必要なときには応力除去焼なましを行う。
備考1. 加工品の使用目的によっては,焼戻しを省略することがある。
――――― [JIS B 6912 pdf 7] ―――――
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B 6912 : 2002
2. 焼戻しを省略する場合,又は高周波焼戻しを行う場合には,割れなど加工品の品質に有害な
欠陥が生じないように,加工材料・形状・加工条件などを考慮して,加工しなければならな
い。
7.2 加工方法の記録 加工工程の作業方法及び作業条件のうち,必要事項を記録して,保持し,必要な
ときには受渡当事者間で確認する。焼戻しを省略する場合は,このことを記録しなければならない。
8. 加工品の品質(3)
8.1 外観 外観は,9.1の規定によって試験したとき,加工品の表面に,割れ,有害なきずなどの欠陥が
あってはならない。
8.2 表面硬さのばらつき 表面硬さのばらつきは,9.2の規定によって試験したとき,表11,表12又は
表13の許容値を超えてはならない。この加工品の品質の区分の選定は,受渡当事者間の協定による。
表11 表面硬さのばらつきの許容値(ビッカース硬さ又はヌープ硬さ)
単位 HV又はHK
加工品の品質の区分 表面硬さのばらつき
単体内 同一ロット内
500以下 500を超えるもの 500以下 500を超えるもの
1号 55 85 75 105
2号 75 105 95 125
表12 表面硬さのばらつきの許容値(ロックウエルCスケール硬さ)
単位 HRC
加工品の 表面硬さのばらつき
品質の区分 単体内 同一ロット内
50以下 50を超え60以下 60を超えるもの 50以下 50を超え60以下 60を超えるもの
1号 5 4.5 4 6 5.5 5
2号 6 5.5 5 7 6.5 6
表13 表面硬さのばらつきの許容値(ショア硬さ)
単位 HS
加工品の品質の区分 表面硬さのばらつき
単体内 同一ロット内
80以下 80を超えるもの 80以下 80を超えるもの
1号 6 8 8 10
2号 8 10 10 12
備考1. HV・HK, HRC又はHSの数値は,加工品の品質に適したそれぞれの硬さ試験
機によって測定した値で,各表中の硬さ間には直接の関連性はない。
ビッカース硬さの試験力は,受渡当事者間の協定による。
2. 単体内のばらつきの値は,一つの加工材料内で,同等な焼入焼戻し又は焼入
れ条件にあると考えられる形状,寸法の均一な部位で,目的とする硬化部範
囲(12)で,焼入境界部を除いた範囲における測定値とする。
3. 同一ロットとは,同じロットの加工材料を用いて同一作業条件で加工された
と認められる加工品の一群をいう。
注(12) 硬化部範囲については,受渡当事者間の協定による。
8.3 硬化層深さのばらつき(4) 硬化層深さのばらつきは,9.3の規定によって試験したとき,加工品の規
定範囲の中央値について,表14の許容値を超えてはならない。
なお,硬化層深さは,有効硬化層深さ又は全硬化層深さのいずれかによる。
備考 硬化部範囲のばらつきについては,受渡当事者間の協定による。
――――― [JIS B 6912 pdf 8] ―――――
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B 6912 : 2002
表14 硬化層深さのばらつきの許容値
単位 mm
硬化層深さ(13) 硬化層深さのばらつき
単体内 同一ロット内
有効硬化層深さ 1.5以下 0.2 0.4
1.5を超え2.5以下 0.4 0.6
2.5を超え3.5以下 0.6 0.8
3.5を超え5以下 0.8 1.0
5を超えるもの 1.0 1.5
全硬化層深さ 1.5以下 0.3 0.5
1.5を超え3以下 0.5 0.8
3を超え4以下 0.8 1.2
4を超え6以下 1.2 1.5
6を超えるもの 1.5 2.0
注(13) 加工品について,硬化層深さが,仕様による範囲で規定されている場合
は,範囲の中央値による。
8.4 金属組織 金属組織は,9.4の規定によって試験したとき,加工材料の種類によって,それぞれの使
用目的に適合する正常な組織であり,結晶粒度の著しい成長,表層の脱炭その他有害な欠陥があってはな
らない。
8.5 変形 変形は,9.5の規定によって試験したとき,加工後の機械加工及び使用上,支障を及ぼさない
範囲内になければならない。
なお,変形の許容値については受渡当事者間の協定による。
9. 加工品の試験方法(3)
9.1 外観試験 外観試験は,目視又はJIS G 0565及びJIS Z 2343のいずれかの試験方法によって行う。
9.2 硬さ試験 硬さ試験は,JIS B 7725,JIS B 7726,JIS B 7727及びJIS B 7734のいずれかの硬さ試験
機を用いて,JIS Z 2244,JIS Z 2245,JIS Z 2246及びJIS Z 2251のいずれかの試験方法によって行う。
9.3 硬化層深さ試験 硬化層深さ試験は,JIS G 0559によって行う。
9.4 金属組織試験 金属組織試験は,JIS G 0551,JIS G 0552及びJIS G 0558のいずれかの試験方法に
よって行う。
なお,金属顕微鏡は,50倍以上に拡大できるもので,写真撮影装置付きのものを用いる。
9.5 変形の測定 変形の測定は,JIS B 7503,JIS B 7514及びJIS B 7524のいずれかの測定器又は適切な
器具を用いて測定する。
10. 加工品の検査 加工品の検査は,外観,表面硬さのばらつき,硬化層深さのばらつき,金属組織及び
変形について行い,8.,9.並びに附属書の5.,6.の規定に適合しなければならない。
なお,硬化層深さの検査は,加工品のロットを代表する試験片によっても差し支えない。
備考 金属組織の検査は,受渡当事者間の協定によって,省略してもよい。
11. 加工の呼び方 加工の呼び方は,次による。
a) 加工の種類又は記号
b) 加工品の品質の区分
――――― [JIS B 6912 pdf 9] ―――――
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例 高周波焼入焼戻し,品質の区分2号の場合
高周波焼入焼戻し2号
又はHQI-HT-2
12. 表示 送り状(納品書を含む。)又は荷札に,次の事項を表示する。
a) 加工の種類又は記号
b) 加工品の品質の区分
c) 数量又は質量
d) 加工業者名又はその略号
e) 加工年月日
付表1 引用規格
JIS B 0122 加工方法記号
JIS B 0621 幾何偏差の定義及び表示
JIS B 6901 金属熱処理設備−有効加熱帯及び有効処理帯試験方法
JIS B 6905 金属製品熱処理用語
JIS B 7503 ダイヤルゲージ
JIS B 7514 直定規
JIS B 7524 すきまゲージ
JIS B 7725 ビッカース硬さ試験−試験機の検証
JIS B 7726 ロックウェル硬さ試験−試験機の検証
JIS B 7727 ショア硬さ試験−試験機の検証
JIS B 7734 ヌープ硬さ試験−試験機の検証
JIS G 0551 鋼のオーステナイト結晶粒度試験方法
JIS G 0552 鋼のフェライト結晶粒度試験方法
JIS G 0558 鋼の脱炭層深さ測定方法
JIS G 0559 鋼の炎焼入及び高周波焼入硬化層深さ測定方法
JIS G 0565 鉄鋼材料の磁粉探傷試験方法及び磁粉模様の分類
JIS G 0566 鋼の火花試験方法
JIS G 3201 炭素鋼鍛鋼品
JIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材
JIS G 4052 焼入性を保証した構造用鋼鋼材(H鋼)
JIS G 4102 ニッケルクロム鋼鋼材
JIS G 4103 ニッケルクロムモリブデン鋼鋼材
JIS G 4104 クロム鋼鋼材
JIS G 4105 クロムモリブデン鋼鋼材
JIS G 4106 機械構造用マンガン鋼鋼材及びマンガンクロム鋼鋼材
JIS G 4303 ステンレス鋼棒
JIS G 4311 耐熱鋼棒
JIS G 4401 炭素工具鋼鋼材
――――― [JIS B 6912 pdf 10] ―――――
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JIS B 6912:2002の国際規格 ICS 分類一覧
JIS B 6912:2002の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0122:1978
- 加工方法記号
- JISB0621:1984
- 幾何偏差の定義及び表示
- JISB6901:1998
- 金属熱処理設備―有効加熱帯及び有効処理帯試験方法
- JISB6905:1995
- 金属製品熱処理用語
- JISB7503:2017
- ダイヤルゲージ
- JISB7514:1977
- 直定規
- JISB7524:2008
- すきまゲージ
- JISB7725:2010
- ビッカース硬さ試験―試験機の検証及び校正
- JISB7725:2020
- ビッカース硬さ試験―試験機の検証及び校正
- JISB7726:2017
- ロックウェル硬さ試験―試験機及び圧子の検証及び校正
- JISB7727:2000
- ショア硬さ試験―試験機の検証
- JISB7734:1997
- ヌープ硬さ試験―試験機の検証
- JISB7734:2020
- ヌープ硬さ試験―試験機の検証及び校正
- JISG0551:2013
- 鋼―結晶粒度の顕微鏡試験方法
- JISG0551:2020
- 鋼―結晶粒度の顕微鏡試験方法
- JISG0552:1998
- 鋼のフェライト結晶粒度試験方法
- JISG0558:2007
- 鋼の脱炭層深さ測定方法
- JISG0558:2020
- 鋼の脱炭層深さ測定方法
- JISG0559:2019
- 鋼の炎焼入及び高周波焼入硬化層深さ測定方法
- JISG0565:1992
- 鉄鋼材料の磁粉探傷試験方法及び磁粉模様の分類
- JISG0566:1980
- 鋼の火花試験方法
- JISG3201:1988
- 炭素鋼鍛鋼品
- JISG4051:2016
- 機械構造用炭素鋼鋼材
- JISG4052:2016
- 焼入性を保証した構造用鋼鋼材(H鋼)
- JISG4102:1979
- ニッケルクロム鋼鋼材
- JISG4103:1979
- ニッケルクロムモリブデン鋼鋼材
- JISG4104:1979
- クロム鋼鋼材
- JISG4105:1979
- クロムモリブデン鋼鋼材
- JISG4106:1979
- 機械構造用マンガン鋼鋼材及びマンガンクロム鋼鋼材
- JISG4303:2012
- ステンレス鋼棒
- JISG4303:2021
- ステンレス鋼棒
- JISG4311:2019
- 耐熱鋼棒及び線材
- JISG4401:2009
- 炭素工具鋼鋼材
- JISG4404:2015
- 合金工具鋼鋼材
- JISG4410:1984
- 中空鋼鋼材
- JISG4801:2011
- ばね鋼鋼材
- JISG4801:2021
- ばね鋼鋼材
- JISG4805:2019
- 高炭素クロム軸受鋼鋼材
- JISG5101:1991
- 炭素鋼鋳鋼品
- JISG5111:1991
- 構造用高張力炭素鋼及び低合金鋼鋳鋼品
- JISG5121:2003
- ステンレス鋼鋳鋼品
- JISG5501:1995
- ねずみ鋳鉄品
- JISG5502:2001
- 球状黒鉛鋳鉄品
- JISG5704:1988
- パーライト可鍛鋳鉄品
- JISK2242:2012
- 熱処理油剤
- JISZ2244:2009
- ビッカース硬さ試験―試験方法
- JISZ2245:2016
- ロックウェル硬さ試験―試験方法
- JISZ2245:2021
- ロックウェル硬さ試験―試験方法
- JISZ2246:2000
- ショア硬さ試験―試験方法
- JISZ2251:2009
- ヌープ硬さ試験―試験方法
- JISZ2343:1992
- 浸透探傷試験方法及び浸透指示模様の分類
- JISZ2501:2000
- 焼結金属材料―密度,含油率及び開放気孔率試験方法
- JISZ2550:2016
- 焼結金属材料―仕様