JIS B 7609:2008 分銅 | ページ 3

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8 構造

8.1 E級分銅

8.1.1  1 mgから50 kgまでのE級分銅は,同一材料で作られた単一体で構成し,外気に開放した穴があ
ってはならない。
8.1.2 50 kgを超えるE2級分銅には,調整孔を設けてもよい。調整孔の容積は,分銅の全体積の1/1 000
を超えてはならない。調整孔は,密閉可能で防水,かつ,気密にしなければならない。例えば,結合部を
設けるなどして,ねじ切り栓若しくはつかみノブ,取っ手,フック,アイフック又は類似の取扱い具を備
えるねじ切り栓でこの調整孔を密閉しなければならない。栓の材料は,分銅の本体と同じもので,E2級分
銅の表面粗さ特性の要求事項に準拠しなければならない。
8.1.3 50 kgを超えるE2級分銅は,初期調整後,調整孔の全容積の約1/2が空いていなければならない。

8.2 F級分銅

8.2.1  F級分銅は,同一材料で製造した1個以上の部分で構成していてもよい。
8.2.2 F級分銅には,調整孔を設けてもよい。
8.2.3 調整孔の容積は,1gから50 kgまでのF級分銅は分銅の全体積の1/4,50 kgを超えるF級分銅は
分銅の全体積の1/20を超えてはならない。
8.2.4 1 gから50 kgまでのF級分銅の調整孔は,つかみノブ又はその他適切な手段のいずれかによって
密閉していなければならない。
8.2.5 50 kgを超えるF級分銅の調整孔は,密閉可能で防水,かつ,気密にしなければならない。例えば,
結合部を設けるなどしてねじ切り栓若しくはつかみノブ,取っ手,フック,アイフック又は類似の取扱い
具を備えるねじ切り栓でこの調整孔を密閉しなければならない。
8.2.6 F級分銅は,初期調整後,調整孔の全容積の約1/2が空いていなければならない。
8.2.7 50 kgを超えるF級分銅は,密閉・溶接された気密,かつ,防水の箱で構成してもよい。箱の内容
物は,箱の材料と別の材料とすることも可能であるが,F級分銅の磁気特性の要求事項に準拠していなけ
ればならない。箱の壁は,十分強固にし,周囲大気圧,取扱い時の衝撃又は類似の状況による変形が生じ
ないようにしなければならない。質量と体積との比は,表6の密度の許容範囲に合致しなければならない。

8.3 M級分銅

8.3.1  1 gから50 kgまでのM級分銅
8.3.1.1 1 gから50 gまでのM級分銅は,調整孔を設けるのは任意であるが,1 gから10 gまでのM級分
銅は,調整孔がないことが望ましい。
8.3.1.2 100 gから50 kgまでのM級分銅には,調整孔を設けなければならない。ただし,ステンレス鋼
製の20 gから200 gまでのM1及びM2級分銅については,調整孔を設けることは任意である。
8.3.1.3 調整孔は,異物又はたい積物の蓄積を防止する構造で密閉,防水,かつ,気密でなければならな
い。ただし,質量調整のために調整孔をあけられるように設計していなければならない。調整孔の容積は,
分銅の全体積の1/4を超えてはならない。
8.3.1.4 初期調整後,調整孔の全容積の約1/2が空いていなければならない。
8.3.1.5 直方体の1 kgから50 kgまでのM級分銅は,調整孔を取っ手の内部に形成するか,又は分銅の直
立部の側面か,上面のいずれかに設けなければならない(図A.4参照)。
8.3.1.6 調整孔を分銅の直立部に鋳込みで設けていて,直立部の側面か,又は上面に開口している場合,
調整孔を軟鋼又は他の適切な材料製の板で閉じ,円すい状断面をもつ穴の中に鉛製又は類似材製の栓をね
じ込んで密閉しなければならない(図A.4及び図A.5参照)。

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8.3.2 50 kg以上のM級分銅
8.3.2.1 分銅には,じんあい(塵埃)が急速に蓄積する原因となるくぼみ部があってはならない。
8.3.2.2 分銅には,1か所以上の調整孔を設けなければならない。すべての調整孔の全容積は,分銅の全
体積の1/10を超えてはならない。調整孔は,密閉可能で防水,かつ,気密でなければならない。
8.3.2.3 初期調整後,調整孔の全容積の少なくとも1/3が空いていなければならない。

9 材質

  分銅の材質は,耐腐食性があり,通常の使用条件及び使用目的において,質量変化が最大許容誤差に比
べて無視できる品質のものでなければならない。

9.1 E級分銅

9.1.1  1 g以上のE級分銅は,材料の硬度及び耐磨耗性がオーステナイト系ステンレス鋼と同等以上でな
ければならない。

9.2 F級分銅

9.2.1  1 g以上のF級分銅の表面には,耐腐食性及び硬度を改善するために適切な金属めっき処理を施し
てもよい。
9.2.2 1 g以上のF級分銅は,使用する材料の硬度及びぜい(脆)性が少なくとも引抜き黄銅と同等以上
でなければならない。
9.2.3 50 kg以上のF級分銅は,全体又は外部表面に使用する材料の硬度及びぜい(脆)性が少なくとも
ステンレス鋼と同等以上でなければならない。

9.3 50 kg以下のM級分銅

9.3.1  1 g以上のM級分銅の表面には,耐腐食性の改善のために適切な表面処理を施してもよい。
9.3.2 1 g未満のM級分銅は,十分な耐腐食性及び耐酸化性のある材料で製造しなければならない。
9.3.3 5 kg未満の円筒形M1級分銅及び100 g未満のM2及びM3級分銅は,黄銅又は硬度及び耐腐食性が
黄銅と同等以上の材料で製造しなければならない。50 kg以下の円筒形M級分銅は,ねずみ鋳鉄又はぜい
(脆)性及び耐腐食性がねずみ鋳鉄と同等以上の材料で製造しなければならない。
9.3.4 1 kgから50 kgまでの直方体分銅は,少なくともねずみ鋳鉄に等しい耐腐食性のある材料で製造し
なければならない。
9.3.5 直方体分銅の取っ手は,継目無鋼管で製作するか,又は分銅の本体と一体となった鋳鉄でなければ
ならない。
注記 継目無鋼管については,JIS G 3429,G 3465などを参照。

9.4 50 kgを超えるM級分銅

9.4.1  分銅の表面は,耐腐食性の改善のために適切な表面処理を施してもよい。
9.4.2 分銅の材質は,ねずみ鋳鉄と同等以上の耐腐食性をもつ一種類以上の材料で製造しなければならな
い。また,正常な使用条件下で発生する負荷及び衝撃に耐えられる硬度及び強度のものでなければならな
い。
9.4.3 直方体分銅の取っ手は,継目無鋼管で製造するか,又は分銅本体と一体となった鋳鉄でなければな
らない(図A.5及び図A.6を参照)。
注記 継目無鋼管については,JIS G 3429,G 3465などを参照。

10 磁性

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10.1 磁気分極(磁化)の限度

  磁化M,磁気分極の言葉で表現するμ0Mは,表4に規定する値を超えないものとする。
表4−最大磁気分極(磁化)μ0M
単位 μT
等級 E1級 E2級 F1級 F2級 M1級 M1-2級 M2級 M2-3級 M3級
最大磁気分極(磁化)μ0M 2.5 8 25 80 250 500 800 1 600 2 500

10.2 磁化率の限度

  分銅の磁化率は,表5に規定する値を超えないものとする。
表5−最大磁化率 χ
公称値 E1級 E2級 F1級 F2級
m0 ≦ 1 g 0.25 0.9 10 −
2 g ≦ m0 ≦ 10 g 0.06 0.18 0.7 4
20 g ≦ m0 0.02 0.07 0.2 0.8
10.3 磁化及び磁化率の局所的な計測値すべてが,限度値(表4及び表5に規定する値)未満である場合,
分銅の磁性による不確かさ成分は無視できる。表4及び表5で与えられる最大磁化及び磁化率は,天びん
のひょう量皿上に出現する可能性のある磁界及び磁界こう(勾)配において,試験分銅の最大許容誤差の
1/10未満の協定質量変化をもたらすものと考えられる。
10.4 分銅の磁性特性(磁化率χ,磁化M)を求める方法に関しては,附属書Bによる。

11 密度

11.1 密度の許容範囲

  分銅に用いる材料の密度は,空気の密度が規定の空気密度 (1.2 kg/m3) から10 %偏っても,最大許容誤
差の1/4を超える誤差を生じないものでなければならない。密度の許容範囲を表6に規定する。
表6−密度の許容範囲( 椀滿 愀
単位 ×103 kg/m3
公称値 E1級 E2級 F1級 F2級 M1級 M1-2級 M2級 M2-3級
100 g ≦ m0 7.9348.067 7.818.21 7.398.73 6.410.7 ≧ 4.4 > 3.0 ≧ 2.3 ≧ 1.5
50 g 7.928.08 7.748.28 7.278.89 6.012.0 ≧ 4.0 − − −
20 g 7.848.17 7.508.57 6.610.1 4.824.0 ≧ 2.6 − − −
10 g 7.748.28 7.278.89 6.012.0 ≧ 4.0 ≧ 2.0 − − −
5g 7.628.42 6.99.6 5.316.0 ≧ 3.0 − − − −
2g 7.278.89 6.012.0 ≧ 4.0 ≧ 2.0 − − − −
1g 6.99.6 5.316.0 ≧ 3.0 − − − − −
500 mg 6.310.9 ≧ 4.4 ≧ 2.2 − − − − −
200 mg 5.316.0 ≧ 3.0 − − − − − −
100 mg ≧ 4.4 − − − − − − −
50 mg ≧ 3.4 − − − − − − −
20 mg ≧ 2.3 − − − − − − −
分銅の密度ρは,式 (3),(4) の条件を満たさなければならない。

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δm/ m0 6 10 5 であれば
3 1 3 1
8000 kg / m ≦ ≦ 8000 kg / m (3)
δm/ m0 δm/ m0
1 10 5 1 - 105
6 6
10 5 であれば
δm/ m0 ≧ 6
3 1
8000 kg / m ≦ (4)
δm/ m0
1 105
6
ここに, δm/m0 : 分銅の最大許容相対誤差
注記 分銅の密度に関する要求事項とは別に,特に参照分銅又は大形分銅に対しては,密度を8 000
kg/m3とすることが望ましい。

11.2 空気密度偏差に対する補正

  空気密度               1.2 kg/m3から10 %以上偏り,試験分銅密度         照分銅密度  爰      估       識
協定質量は式 (5) の係数Cを用いて補正してもよい。
mct mcr 1(C) mc (5)
1 1
ここに, C a− 0 − (6)
t r
11.3 分銅の密度 は体積Vを求める方法に関しては,附属書Bによる。

12 表面粗さ条件

12.1 正常な使用条件下において,分銅の表面の品質は,分銅質量のいかなる変化も最大許容誤差につい
て無視できるようでなければならない。
12.2 分銅の基底部及び丸みなどの部分も含む表面は,滑らかでなければならない。
12.3 E級及びF級分銅の表面は,細かな穴,引っかききず等の欠陥がなく,光沢がなければならない。
通常は,目視検査で十分であるが,表面粗さのパラメタとして分銅面の粗さ曲線の最大値を得る必要があ
る場合には,触針式表面粗さ測定機などを用いて求める(B.5参照)。
表7に分銅面の粗さ曲線の上限値を規定する。
なお,50 kgを超える分銅に対して許容される表面粗さは,表7の値の2倍である。
表7−表面粗さの上限値
単位 μm
表面粗さ E1級 E2級 F1級 F2級
Rz 0.5 1 2 5
Ra 0.1 0.2 0.4 1
12.4 1 gから50 kgまでのM級円筒形分銅の表面は,滑らかで目視検査によって多孔性が認められないも
のでなければならない。
12.5 100 gから50 kgまでのM級鋳造分銅及び50 kgを超えるすべてのM級分銅の仕上げは,良質の砂型
で注意深く鋳造したねずみ鋳鉄の表面と同様でなければならない。

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12.6 分銅の表面の状態を評価する方法に関しては,附属書Bによる。

13 調整

13.1 E級分銅

13.1.1 研磨,研削,その他適切な方法で質量を調整しなければならない。ただし,調整処理の後,表面は,
箇条12の要求事項を満たしていなければならない。
13.1.2 調整孔付きの50 kg以上の分銅は,分銅と同じ材料で調整してもよい。

13.2 F級分銅

13.2.1 単一体で構成されたF級分銅の場合は,研削又は表面粗さを変えないような適切な方法で質量を調
整しなければならない。
13.2.2 調整孔のある場合は,分銅と同じ材料又はステンレス鋼,黄銅,すず,モリブデン若しくはタング
ステンを用いて質量を調整しなければならない。

13.3 M級分銅

13.3.1 1 g以下の板状及び線状の分銅は,切断,研磨及び研削で調整しなければならない。
13.3.2 調整孔のない円筒形M級分銅は,研磨によって調整しなければならない。
13.3.3 調整孔があるM級分銅は,分銅と同じ材料又は鉛散弾など密度が大きい金属材料を加除して調整
しなければならない。ただし,取り除ける材料が残っていない場合は,研磨して調整してもよい。

14 表記

14.1 共通事項

14.1.1 1 gを除く板状及び線状分銅には,公称値及び等級を表記してはならない。ただし,等級は格納容
器のふたに表記しなければならない。
14.1.2 E級分銅を除いて1 g以上の分銅には,公称値を明確に表示するための表記を付さなければならな
い。ただし,分銅の表面の品質及び分銅の質量安定性が,分銅に表記することによって影響を受けないよ
うにしなければならない。
14.1.3 分銅質量の公称値を示す数字は,次のように表す。
a) キログラム(kg) 1 kg以上の質量
b) グラム(g) 1 gから500 gまでの質量
14.1.4 組分銅の中の二つ又は三つある同じ公称値の分銅は,一つ又は二つの曲げで区別できる線状分銅を
除いて,分銅の表面中央に一つ又は二つの星印又は点を付けて明確に区別しなければならない。

14.2 E級分銅

  E級分銅には,公称値及び等級を表記してはならない。ただし,等級は格納容器(15.1を参照)のふた
に表記しなければならない。E2級分銅には,上面に中心から外して点を付し,E1級分銅と区別することが
できる。

14.3 F級分銅

  1 g以上のF級分銅には,14.1.2に従った公称値を単位“g”又は“kg”を付さずに,磨き,刻み込みな
どで表記しなければなければならない。
14.3.1 F1級分銅には,等級を表記してはならない。
14.3.2 1 g以上のF2級分銅には,その公称値の表記とともに“F”の標識によって,その等級を表記しな
ければならない。

――――― [JIS B 7609 pdf 15] ―――――

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  • OIML R111-1:2004(MOD)

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