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蒸気の質の管理項目については,附属書Eを参照。
4.5 補給水の水質
補給水の水質に関する一般事項については,附属書Cを参照。
4.6 水質管理項目の測定値が管理値を逸脱した場合
水質管理項目の測定値が管理値を逸脱した場合の一般的対処方法については,附属書Dを参照。
4.7 起動時及び停止中の水質管理
ボイラの起動時及び停止中の水質管理は,腐食を抑制するために,通常運転中とは異なる処置を行う。
5 産業用ボイラにおけるボイラ形式及び水処理方式
産業用ボイラにおけるボイラ形式及び一般的な水処理方式は,表1による。給水及びボイラ水の具体的
な水処理方式については,附属書Aを参照。なお,清掃工場などの廃熱ボイラの水処理は,産業用水管ボ
イラの当該圧力区分を参照。
表1−産業用ボイラにおけるボイラ形式及び一般的な水処理方式
ボイラ形式 補給水 給水処理方式 ボイラ水処理方式
丸ボイラ 原水 規定せずa) アルカリ処理
軟化水
単管式特殊循環ボイラ 軟化水 アルカリ処理
多管式特殊循環ボイラ 軟化水 規定せずa) アルカリ処理
イオン交換水
産業用水管ボイラ 軟化水 規定せずa) アルカリ処理
イオン交換水 揮発性物質処理b) アルカリ処理
低濃度水酸化ナトリウム処理
りん酸塩処理
揮発性物質処理
酸素処理
産業用貫流ボイラ イオン交換水 揮発性物質処理c)
酸素処理c)
注a) これらのボイラは復水回収率が一律でなく,給水が全量軟化水となる場合もあり給水処理方式
を規定することが難しい(補給水及び復水の水質に依存)。水質は,常用使用圧力,伝熱面蒸
発率,補給水の種類等によって区分される。
注b) 一般的には揮発性物質処理であるが,発生蒸気の用途上,安全性及び純度を重視し,揮発性の
脱酸素剤,アンモニア,アミンなどの使用に制限がある場合は,非揮発性の塩基である水酸化
ナトリウムなどを使用する。
注c) 表16の区分に該当する水質の管理値を適用する。
6 丸ボイラの水質
6.1 丸ボイラの給水の水質
6.1.1 水質の管理項目及び管理値
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丸ボイラの通常運転時における給水の水質は,常用使用圧力,伝熱面蒸発率及び補給水の種類によって
区分し,表2によるほか,次による。
a) 丸ボイラの補給水にイオン交換水を用いる場合には,表9の常用使用圧力2 MPa以下の圧力区分の水
質を適用する。
b) 常用使用圧力2 MPaを超える圧力で使用する炉筒煙管ボイラの場合は,表9の該当する圧力区分の給
水の水質を適用する。
表2−丸ボイラの給水の水質の管理項目及び管理値
区 常用使用圧力 MPa 1以下 1を超え2以下
分 伝熱面蒸発率 kg/(m2·h) 30以下a) 30を超える −
補給水の種類 原水 軟化水
給 pH(25 ℃における) 5.89.0 5.89.0 5.89.0
水 硬度 CaCO3: mg/L 60以下 1以下 1以下
注a) 鋳鉄製ボイラで,室内加湿,食品加工,フィルム製造,医療用などで直接蒸気
を使用し,常時補給水を使用する場合に適用する。
6.1.2 水質に関する留意事項
丸ボイラの給水の水質については,次の事項について留意することが望ましい。
a) 原水又は軟化水を給水として用い,ドレン(復水)を回収する場合には,給水温度の上昇が,給水系
統の腐食増大の一因となることから,腐食抑制のために,アンモニア,アミン(モルホリン,シクロ
ヘキシルアミン,2-アミノエタノール,2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール,3-メトキシプロピルアミ
ン,2-ジエチルアミノエタノールなど)などを添加することによってpHを7以上とし,高めに管理す
る。
b) 軟化水を補給水として用いる場合は,硬度成分及びシリカによるスケール化を防止するために,不測
の硬度成分(カルシウム及びマグネシウム)の漏えいに注意する。
c) 丸ボイラの給水において鉄濃度は規定しないが,なるべく低く保つことが望ましい。給水に鉄が多く
含まれる原因としては,原水に含まれる場合,給水系統が腐食している場合及びドレン回収を行いド
レン回収系統の腐食を生じている場合が考えられ,除鉄装置の利用,耐食材への変更,復水処理剤の
使用など,低減するための処置を行う。
d) 給水中のシリカ濃度が高い場合には,ボイラ水のpHが上がりにくくなるため,ブローの調整,清缶
剤の使用,又はシリカを除去する能力がある水処理装置など(例えば,逆浸透膜装置など)の併用を
行う。
6.2 丸ボイラのボイラ水の水質
6.2.1 水質の管理項目及び管理値
丸ボイラの通常運転時におけるボイラ水の水質は,アルカリ処理方式を採用し,常用使用圧力,伝熱面
蒸発率及び補給水の種類によって区分し,表3によるほか,次による。
a) 丸ボイラの補給水にイオン交換水を用いる場合には,表10の常用使用圧力2 MPa以下の圧力区分の
水質を適用する。
b) 常用使用圧力2 MPaを超える圧力で使用する炉筒煙管ボイラの場合は,表10の該当する圧力区分の
ボイラ水の水質を適用する。
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表3−丸ボイラのボイラ水の水質の管理項目及び管理値
区 常用使用圧力 MPa 1以下 1を超え
分 2以下
伝熱面蒸発率 kg/(m2·h) 30以下a) 30を超え 60を超える −
60以下
補給水の種類 原水 軟化水
処理方式 アルカリ処理
ボ pH(25 ℃における) 11.011.8 11.011.8 11.011.8 11.011.8
イ 酸消費量(pH 8.3) CaCO3: mg/L 80600 80600 80600 500以下
ラ
水 電気伝導率(25 ℃における) mS/m 600以下 450以下 400以下 350以下
(μS/cm) (6 000以下) (4 500以下) (4 000以下) (3 500以下)
塩化物イオン Cl: mg/L 600以下 500以下 400以下 350以下
りん酸イオンb) PO4: mg/L 2040 2040 2040 2040
亜硫酸イオンc) SO3: mg/L 10以上 10以上 10以上 10以上
ヒドラジンd) N2H4: mg/L 0.1以上 0.1以上 0.1以上 0.1以上
注a) 鋳鉄製ボイラで,室内加湿,食品加工,フィルム製造,医療用などで直接蒸気を使用し,常時補給水を使用
する場合に適用する。
注b) りん酸塩を添加する場合に適用する。
注c) 亜硫酸塩を添加する場合に適用する。
注d) ヒドラジンを添加する場合に適用する。
6.2.2 水質に関する留意事項
丸ボイラのボイラ水の水質については,次の事項について留意することが望ましい。
a) 原水又は軟化水を補給水とするボイラでは,硬度成分及びシリカによるスケール化を防止するために,
ボイラ水中のりん酸イオンの濃度を十分に高く保持し,かつ,pHを11以上で管理する。また,軟化
水を補給水として使用する場合は,不測の硬度成分(カルシウム及びマグネシウム)の漏えいに注意
する。
b) ボイラ水のりん酸イオンは,不測の硬度成分の漏れがある場合及び原水を補給水とする場合に対処す
るために,管理値の上限付近で管理する。ただし,りん酸イオン以外に,カルボン酸塩系ポリマー(ポ
リアクリル酸塩,ポリマレイン酸塩など),ホスホン酸塩(ヒドロキシエチリデンジホスホン酸塩,ホ
スホノブタントリカルボン酸塩など)及び/又はキレート剤(エチレンジアミン四酢酸塩など)によ
って硬度成分によるスケール及びスラッジの防止が可能である。これらの方法を用いる場合のりん酸
イオン濃度の保持濃度については,供給する薬剤製造業者と相談するのが望ましい。
7 特殊循環ボイラの水質
7.1 単管式特殊循環ボイラの水質
7.1.1 水質の管理項目及び管理値
単管式特殊循環ボイラの通常運転時における給水の水質は,常用使用圧力によって区分し,表4による
ほか,次による。
a) 単管式特殊循環ボイラの給水とは,補給水に戻り水が加わったものに薬品を添加したものをいう。具
体的には,この給水は戻り水が加わっているため,丸ボイラなどでいうボイラ水に相当している。た
だし,硬度は,戻り水の加わる前の補給水に適用する。
b) 補給水にイオン交換水を用いる場合には,表6の該当する圧力区分の補給水にイオン交換水を用いる
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場合の水質を適用する。
c) 船用補助ボイラに用いる場合には,補給水に軟化水を用いる場合も,造水器で精製した蒸留水を用い
る場合にも,表4の水質を適用する。
表4−単管式特殊循環ボイラの給水の水質の管理項目及び管理値
区 常用使用圧力 MPa 1以下 1を超え3以下
分 補給水の種類 軟化水
処理方式 アルカリ処理a)
給 pH(25 ℃における) 11.011.8 10.511.0
水 硬度 CaCO3: mg/L 1以下 1以下
電気伝導率(25 ℃における) mS/m 450以下 400以下
(S/cm) (4 500以下) (4 000以下)
酸消費量(pH 8.3) CaCO3: mg/L 200600 500以下
ヒドラジンb) N2H4: mg/L 0.1以上 0.1以上
塩化物イオン Cl: mg/L 600以下 400以下
りん酸イオンc) PO4: mg/L 2060 2060
注a) 給水に薬品を添加しない水処理方式を含む。
注b) ヒドラジンを添加する場合に適用する。
注c) りん酸塩を添加する場合に適用する。
7.1.2 水質に関する留意事項
給水の水質については,次の事項について留意することが望ましい。
a) 軟化水又はイオン交換水を補給水として用い,ドレン(復水)を回収する場合には,給水温度の上昇
が,給水系統の腐食増大の一因となることから,腐食抑制のために,補給水のpHを7以上に高めて
管理する。
b) 軟化水を補給水とする単管式特殊循環ボイラでは,不測の硬度成分の漏えいによる硬度の増加及びシ
リカのスケール化を防止するために,水管内のりん酸イオンを管理値内で保持し,かつ,pHを常用使
用圧力1 MPa以下の場合は11.011.8,1 MPaを超え3 MPa以下の場合は10.511.0で管理する。
c) 単管式特殊循環ボイラでは,ボイラ内処理としてブロー管理だけでは硬度成分に起因するスケール障
害の防止が困難なため,補給水には必ず軟化水又はイオン交換水を使用する。
d) 給水の酸消費量は,給水のpHを間接的に管理するとともに,シリカによるスケール付着を防止する
目的で管理する。軟化水を補給水とする単管式特殊循環ボイラでは,給水のシリカの濃度を規定して
いないが,ボイラ水の酸消費量(pH 8.3)の上限値に1/1.7を乗じた値,すなわち,常用使用圧力1 MPa
以下ではSiO2: 350 mg/L,1 MPaを超え3 MPa以下ではSiO2: 300 mg/Lを超えないように,ブローによ
って調節することが望ましい(B.14参照)。
e) 給水のヒドラジンは,ボイラの腐食を防止する目的で管理する。給水のヒドラジンは,N2H4: 0.1 mg/L
以上と規定しているが,脱気タンク出口水又はホットウェルタンク出口水の溶存酸素の濃度に対して
当量以上の値で管理する。
f) 給水の塩化物イオンは,濃縮倍数の推定を行うとともに,腐食を抑制する目的で管理する。なお,単
管式特殊循環ボイラでは,全蒸発残留物の濃度の間接的管理に重点をおき,防食上の考慮も加えて給
水の塩化物イオンの濃度の上限を規定している。
g) 給水のりん酸イオンは,補給水がもち込むカルシウムによるスケール化を防止する目的で管理する。
水管内におけるカルシウムとりん酸イオンとの反応によって,カルシウムCaCO3: 1 mg当たり必要な
りん酸イオンは,PO4: 0.57 mgである。管理値は,給水のりん酸イオンの濃度をPO4: 20 mg/L60 mg/L
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としているが,不測の硬度成分の漏えいに対処するためには,上限付近の高めで管理することが望ま
しい。船用補助ボイラで用いる場合にも,りん酸イオンは海水の混入を考慮して,管理値の上限付近
で管理する。
7.2 多管式特殊循環ボイラの水質
7.2.1 給水の水質
7.2.1.1 水質の管理項目及び管理値
多管式特殊循環ボイラの通常運転時における給水の水質は,常用使用圧力,及び補給水の種類によって
区分し,表5によるほか,次による。
a) イオン交換水を用いる場合で,常用使用圧力が3 MPaを超える場合は,表9の該当する圧力区分の補
給水にイオン交換水を用いる場合の水質を適用する。
b) 船用補助ボイラに用いる場合には,表5の該当する圧力区分の補給水に軟化水又はイオン交換水を用
いる場合の水質を適用する。
c) 船用補助ボイラの補給水の場合,造水器で精製した蒸留水にも,イオン交換水と同様の水質を適用す
る。
表5−多管式特殊循環ボイラの給水の水質の管理項目及び管理値
区 常用使用圧力 MPa 3以下
分 補給水の種類 軟化水 イオン交換水
給 pH(25 ℃における) 5.89.0 5.89.7
水 硬度 CaCO3: mg/L 1以下 a)
鉄 Fe: mg/L 0.3以下 0.1以下
注a) カルシウム及びマグネシウムの試験方法(JIS B 8224参照)の
うち,適用した試験方法の定量下限値から硬度を算出したと
き,その値より低い値とする。
7.2.1.2 水質に関する留意事項
給水の水質については,次の事項について留意することが望ましい。
a) 軟化水又はイオン交換水を給水として用い,ドレン回収をする場合には,給水温度が上昇し,給水系
統の腐食増大の一因となることから,腐食を抑制する目的で,アルカリ,アミン(モルホリン,シク
ロヘキシルアミン,2-アミノエタノール,2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール,3-メトキシプロピルア
ミン,2-ジエチルアミノエタノールなど)などを添加することによって,pHを7以上とし,高めに管
理する。
なお,船用補助ボイラに用いる場合には,pHは7.09.2とする。
b) 硬度成分及びシリカによるスケール化を防止するために,不測の硬度成分(カルシウム及びマグネシ
ウム)の漏えいに注意する。
c) 給水に鉄が多く含まれる原因としては,原水に含まれる場合,給水系統が腐食している場合,及びド
レン回収を行いドレン回収系統の腐食を生じている場合が考えられ,除鉄装置の利用,耐食材への変
更,復水処理剤の使用など,低減するための処置を行う。
d) 給水中のシリカ濃度が高い場合には,ボイラ水のpHが上がりにくくなるため,ブローの調整,清缶
剤の使用,又はシリカを除去する能力がある水処理装置など(例えば,逆浸透膜装置など)の併用を
行う。
――――― [JIS B 8223 pdf 15] ―――――
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JIS B 8223:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 27 : エネルギー及び熱伝達工学 > 27.060 : バーナ.ボイラ > 27.060.30 : ボイラ及び熱交換器
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- 規格番号
- 規格名称
- JISB0126:2018
- 火力発電用語―ボイラ及び附属装置
- JISB0127:2012
- 火力発電用語―蒸気タービン及び附属装置並びに地熱発電設備
- JISB8224:2016
- ボイラの給水及びボイラ水―試験方法
- JISK0410-3-7:2000
- 水質―サンプリング―第7部:ボイラ施設の水及び蒸気のサンプリングの指針
- JISK0556:1995
- 超純水中の陰イオン試験方法