JIS B 8223:2021 ボイラの給水,ボイラ水及び蒸気の質 | ページ 8

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表15−電力事業用排熱回収ボイラのボイラ水の水質の管理項目及び管理値(続き)
区 常用使用圧力 MPa 10を超え15以下 15を超え20以下
分 補給水の種類 イオン交換水
処理方式 りん酸塩 揮発性物質処理 低濃度 りん酸塩 揮発性物質処理 低濃度
処理 水酸化 処理 水酸化
ナトリウム ナトリウム
処理 処理b)
還元剤 − あり なし − − あり なし −
酸化還元性 − 還元形 低酸化形 酸化形 − − 還元形 低酸化形 酸化形 −
[AVT(R)] [AVT(LO)] [AVT(O)] [AVT(R)] [AVT(LO)] [AVT(O)]
ボ pH(25 ℃における) 9.010.0 9.010.0 9.010.0 9.010.0 9.19.5 8.59.8 9.010.0 9.010.0 9.010.0 9.19.5
イ 電気伝導率

水 (25 ℃における) mS/m 15以下 − − − 1以下 6以下 − − − 1以下
(μS/cm)(150以下) (−) (−) (−) (10以下) (60以下) (−) (−) (−) (10以下)
酸電気伝導率
(25 ℃における) mS/m − 2以下 2以下 0.3以下 2以下 − 2以下 2以下 0.3以下 2以下
(μS/cm) (−) (20以下) (20以下) (3以下) (20以下) (−) (20以下) (20以下) (3以下) (20以下)
ナトリウム Na: mg/L − − − − 0.9以下 − − − − 0.9以下
塩化物イオン Cl: mg/L 2以下 1以下 1以下 0.1以下 1以下 2以下 1以下 1以下 0.1以下 1以下
a)
りん酸イオン PO4: mg/L − − − − 3以下 − − − −
シリカ SiO2: mg/L 0.3以下 0.2以下
注a) ボイラ水のpH管理値を維持できるよう調整する。
注b) 低濃度水酸化ナトリウム処理を適用するボイラの常用使用圧力区分は,16.5 MPa以下とする。
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12 電力事業用貫流ボイラの水質

12.1 水質の管理項目及び管理値

  電力事業用貫流ボイラの通常運転時における給水の水質は,常用使用圧力及び処理方式によって区分し,
表16による。

12.2 水質に関する留意事項

  給水の水質については,次の事項に留意する。
a) 共通事項
1) 貫流ボイラは,高純度の給水を要求するため,補給水はイオン交換水を使用し,運転中の循環水の
不純物を除くため,多くの場合,汽水循環系統にろ過装置及び復水脱塩装置を設置する。
2) 給水のpH調整は,通常アンモニアによって行い,鉄系酸化物のFAC防止のために,pHを高くする
ことが望ましい。実際に,復水及び給水の溶存酸素を低値に管理するプラントでは,pH 9.3以上で
は系統中の鉄濃度が減少する傾向にある。ただし,復水器に銅系の管材を使用しているプラントで
は,高pH域におけるアンモニアによる腐食の発生に注意する。
3) 貫流ボイラは,給水の水質が障害の発生及び蒸気純度に直接影響を及ぼすため,給水中の全蒸発残
留物,すなわち,その大部分である給水の電解質成分を,可能な限り低く抑える。
b) 揮発性物質処理
1) AVT(R)の場合,溶存酸素を低減する目的で系統水中にヒドラジンを投入し,エコノマイザ入口の給
水に残留するレベルで投入することが望ましいが,脱気器出口の溶存酸素濃度に応じて管理値を低
減することも可能である。また,ボイラにもち込む鉄は極力低減することが望ましく,常用使用圧
力が10 MPa以下の場合には鉄濃度をFe: 20 g/L以下に,常用使用圧力が10 MPaを超え20 MPa以
下の場合には鉄濃度をFe: 10 μg/L以下とすることが望ましい。
注記 負圧状態で運転する復水系統及び低圧給水加熱器の抽気ドレン系統では空気の吸込みによ
って,又は補給水からのもち込みによって,溶存酸素濃度に影響を与える場合がある。
2) AVT(LO)の場合,ボイラにもち込む鉄は極力低減することが望ましく,常用使用圧力が10 MPa以
下の場合には鉄濃度をFe: 20 μg/L以下に,常用使用圧力が10 MPaを超え20 MPa以下の場合には
鉄濃度をFe: 10 μg/L以下とすることが望ましい。
3) AVT(O)の場合,溶存酸素による腐食影響を低減するため,酸電気伝導率は管理値0.02 mS/m以下に
対し,0.01 mS/m以下とすることが望ましい。
4) 銅材料を使用するプラントにおいて,AVT(O)を採用する場合,銅の溶出に特に注意する必要がある。
表16に規定する銅の管理値が守れない場合又は銅材料使用箇所の点検時などに腐食などの不具合
が認められた場合には,AVT(R)又はAVT(LO)に変更することが望ましい。
5) 還元剤(ヒドラジン)の注入停止によって,蒸気の過熱低減器スプレー水のノズルが頻繁に閉塞す
る場合があるので,その際はAVT(R)に変更するなどの対応を行う。
c) 酸素処理
1) 酸素が十分供給されないドレン系統で鉄の溶出が多いプラントでは,給水pH管理下限値を引き上
げることが望ましく,pHを9.4程度に上昇させるプラントもある。ただし,復水脱塩装置の再生頻
度が増加するとともに,系統に銅合金が使用されているプラントでは,高pH域におけるアンモニ
アによる腐食が発生するので注意する。その他,抽気系へのアンモニア注入,ステンレス鋼の採用
などを考える。復水脱塩装置の再生頻度に関しては,アンモニア形(NH4-OH形)運用を採用し,
収量を増加させることで低減させることができ,実際に一部のプラントでも運用されているが,ア

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ンモニウムイオンよりも樹脂選択性の低いナトリウムイオンのリークに注意する必要がある。再生
剤である水酸化ナトリウム由来のナトリウムイオンリークついては,酸電気伝導率では陽イオン交
換樹脂にてナトリウムイオンが水素イオンに置換され,これが当量の水酸化物イオンと反応して,
水(H2O)を生成してこれらのイオンによる電気伝導率は消滅するため監視ができないことから,
ナトリウムの計測を実施しリーク状況を確認することが望ましい。
2) 溶存酸素による腐食抑制効果を保持するため,酸電気伝導率は,管理値0.02 mS/m以下に対し,0.01
mS/m以下とすることが望ましい。
3) 鉄系酸化物表面の緻密な保護皮膜の形成には,溶存酸素O: 20 μg/L200 μg/L程度が必要である。
O: 200 μg/L以上存在すると,すぐに保護皮膜が不安定になることはないが,場合によっては孔食の
発生が徐々に進展するなど,腐食性が増すので注意が必要である。一方,保護皮膜を形成して定常
運転が継続した場合は,溶存酸素が低めの値でも保護皮膜を保持可能であるので,管理値の範囲内
で給水の鉄,銅などの濃度が最小になるのに適した溶存酸素の値を設定することが望ましい。
4) 酸素処理では,鉄の管理値をFe: 5 μg/L以下(目標Fe: 2 μg/L以下)と規定しているが,鉄系酸化物
がボイラ内で局所的に堆積し,過熱噴破する事例があることから,給水の鉄濃度はできるだけ低い
値に管理することが望ましい。

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表16−電力事業用貫流ボイラの給水の水質の管理項目及び管理値
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区 常用使用圧力 MPa 7.5を超え10以下 10を超え15以下
3 : 2
分 補給水の種類 イオン交換水
02
処理方式 揮発性物質処理 酸素処理 揮発性物質処理 酸素処理
1
還元剤 あり なし あり なし
酸化還元性 還元形 低酸化形 酸化形 酸化形 還元形 低酸化形 酸化形 酸化形
[AVT(R)] [AVT(LO)] [AVT(O)] (OT) [AVT(R)] [AVT(LO)] [AVT(O)] (OT)
給 pH(25 ℃における) 8.510.0 a) b)8.510.0 a) b)8.510.0 a) b) 8.010.0 b) 8.510.0 a) b)8.510.0 a) b) 8.510.0 a) b)8.010.0 b)
水 酸電気伝導率
(25 ℃における) mS/m 0.03以下 0.03以下 0.02以下 0.02以下 0.03以下 0.03以下 0.02以下 0.02以下
(μS/cm) (0.3以下) (0.3以下) (0.2以下) (0.2以下) (0.3以下) (0.3以下) (0.2以下) (0.2以下)
溶存酸素 O: μg/L 7以下c) 7以下c) 7を超え 20を超え 7以下c) 7以下c) 7を超え 20を超え
20以下 200以下 20以下 200以下
鉄 Fe: μg/L 30以下 30以下 20以下 20以下 20以下 20以下 10以下 10以下
銅 Cu: μg/L 10以下 10以下 10以下 10以下 5以下 5以下 5以下 5以下
ヒドラジン N2H4: μg/L 10以上d) − − − 10以上d) − − −
シリカ SiO2: μg/L 40以下e) 40以下e) 40以下e) 40以下e) 30以下e) 30以下e) 30以下e) 30以下e)
20以下f) 20以下f) 20以下f) 20以下f) 20以下f) 20以下f) 20以下f) 20以下f)

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表16−電力事業用貫流ボイラの給水の水質の管理項目及び管理値(続き)
区 常用使用圧力 MPa 15を超え20以下 20を超えるもの
分 補給水の種類 イオン交換水
処理方式 揮発性物質処理 酸素処理 揮発性物質処理 酸素処理
還元剤 あり なし あり なし
酸化還元性 還元形 低酸化形 酸化形 酸化形 還元形 低酸化形 酸化形 酸化形
[AVT(R)] [AVT(LO)] [AVT(O)] (OT) [AVT(R)] [AVT(LO)] [AVT(O)] (OT)
給 pH(25 ℃における) 8.510.0 a) b)8.510.0 a) b)8.510.0 a) b) 8.010.0 b) 8.510.0 a) b)8.510.0 a) b) 8.510.0 a) b)8.010.0 b)
水 酸電気伝導率
(25 ℃における) mS/m 0.03以下 0.03以下 0.02以下 0.02以下 0.025以下 0.025以下 0.02以下 0.02以下
(μS/cm) (0.3以下) (0.3以下) (0.2以下) (0.2以下) (0.25以下) (0.25以下) (0.2以下) (0.2以下)
溶存酸素 O: μg/L 7以下c) 7以下c) 7を超え 20を超え 7以下c) 7以下c) 7を超え 20を超え
20以下 200以下 20以下 200以下
鉄 Fe: μg/L 20以下 20以下 5以下 5以下 10以下 10以下 5以下 5以下
銅 Cu: μg/L 3以下 3以下 3以下 3以下 2以下 2以下 2以下 2以下
ヒドラジン N2H4: μg/L 10以上d) − − − 10以上d) − − −
シリカ SiO2: μg/L 20以下 20以下 20以下 20以下 20以下 20以下 20以下 20以下
注a) 全鉄系ユニットの場合は,pHの下限を9.3以上に調節し管理することが望ましい。
注b) 低圧給水加熱器の管材が銅合金製の場合は,pHの上限を9.5以下に,高圧給水加熱器が銅合金製の場合には,pHの上限を9.0以下に,復水器が銅合金製の
場合は,pHの上限を9.6以下に調節し管理することが望ましい。
注c) 脱気器性能に基づき7 μg/L以下を定める。
注d) ヒドラジンは当量の溶存酸素と反応することから,給水中の溶存酸素が完全消費されるようにボイラ(節炭器)入口で残留ヒドラジン10 μg/L以上として管
理する。脱気器が設置されていないコンバインドサイクルプラントなどにおいて,脱気後の溶存酸素の濃度がO: 7 μg/Lを超える場合には,更にゆう(尤)度
を設け,給水のヒドラジン濃度はその2倍よりも大きくなるように,その下限値を管理することが望ましい。
注e) セパレータのあるボイラに適用する。
注f) セパレータのないボイラに適用する。
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