JIS B 8327:2013 模型によるポンプ性能試験方法 | ページ 11

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す。上の図は水圧脈動の時間波形を示し,最大振幅値を読み取ることができる。また,下の図は,圧力脈
動の周波数分析結果を示し,圧力脈動の周波数成分を得ることができる。
水圧脈動波形ΔHM
ΔHM
ΔHm
(s)
ΔHM
ΔHM(オーバオール)
周波数fM(Hz)
図A.3−圧力脈動の表示方法
A.2.3.5 実物への諸量の換算
模型の水圧脈動値から実物の水圧脈動値を求める方法は,次による。模型と実物とが相似な運転状態に
おいては,キャビテーション係数が等しい場合に水圧脈動特性には,次の関係が成り立つ。
HM HP
HM HP
fM fP
nM nP
ここに, HM : 模型ポンプの水圧脈動値(m)
HM : 模型ポンプの全揚程(m)
HP : 実物ポンプの水圧脈動値(m)
HP : 実物ポンプの全揚程(m)
fM : 模型ポンプの水圧脈動周波数(Hz)
fP : 実物ポンプの水圧脈動周波数(Hz)
nM : 模型ポンプの回転速度(s−1)
nP : 実物ポンプの回転速度(s−1)

――――― [JIS B 8327 pdf 51] ―――――

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ただし,模型及び実物の各々の装置の固有振動数は,上記fM及びfPと十分離れたものでなければならな
い。
A.2.3.6 測定結果の整理方法
水圧脈動の値は,全揚程で除した無次元数で表してもよい。水圧脈動測定結果は,効率,全揚程,軸動
力と同じように吐出し量を横軸にして表す。水圧脈動を無次元化して表示した例を図A.4に示す。
図A.4−吐出しケーシング出口水圧脈動率
(水圧脈動測定結果の整理方法の例)
A.3 推力(軸方向推力及び半径方向推力)測定試験
A.3.1 模型
模型は,箇条6による。
A.3.2 試験装置及び試験揚程
試験装置は,箇条7による。試験揚程は,試験又はキャビテーション試験の揚程によるか,又は受渡当
事者の協定によって決めてもよい。
A.3.3 推力の測定方法
模型ポンプの軸受胴体を半径方向と軸方向のロードセルで支え(又は,ひずみゲージなどを貼り付け),
その電気的信号によって推力を測定する。性能試験前に,軸に半径方向と軸方向の荷重を加えて校正する。
A.3.4 測定値の表示方法と実物ポンプへの換算式
半径方向推力は,x方向とy方向の力を測定し,その方向と合力を計算し,この合力を半径方向推力と
する。半径方向推力の合力の計算及びこれら推力の模型ポンプから実物ポンプへの計算は,次の式による。
2 2
FrM FxM FyM
2 4
nP D1P
FrP FrM
nM D1M
2 4
nP D1P
FaP FaM
nM D1M
ここに, FaM : 模型ポンプにおける軸推力(N)
FrM : 模型ポンプにおける半径方向推力(N)
FxM : 模型ポンプにおける半径方向推力のx成分(N)
FyM : 模型ポンプにおける半径方向推力のy成分(N)

――――― [JIS B 8327 pdf 52] ―――――

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D1M : 模型ポンプの羽根車入口直径(m)
nM : 模型ポンプの回転速度(s−1)
FaP : 実物ポンプの軸推力(N)
FrP : 実物ポンプの半径方向推力(N)
D1P : 実物ポンプの羽根車入口直径(m)
nP : 実物ポンプの回転速度(s−1)
A.3.5 測定結果の整理方法
推力測定結果は,図10に示す効率,全揚程,軸動力と同じように吐出し量を横軸にして表す。

――――― [JIS B 8327 pdf 53] ―――――

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附属書B
(参考)
不確かさの計算
この附属書は,箇条7における測定の不確かさの計算方法を示す。
B.1 一般
測定手順,測定器及び分析の方法が,既存の法則及びこの規格の規定に完全に準拠していても,測定結
果は測定対象量の近似値又は推定値である。
この規格では,“吐出し量”などの物理量の測定値に対して,不確かさのばらつきを次のように定義する。
a) 変動 1回の読みを行っている間の平均値を中心とした,短い周期変化
b) 変量 一つの読みと次の読みとの間に起こる測定値の変化
ここでは不確かさの対象をb) とする。
各測定値に対する変動は,高精度の測定器を使用したり,試験設備の接続管に絞り緩衝装置を入れるこ
とによって小さくすることができる。一方,変量はばらつきを小さくする対処方法がないため,その不確
かさの評価手法を決めておかなければならない。
非定常な状態で測定を行う場合,従来,JIS B 8301:2000のように,測定組数に応じて各測定値のばらつ
きの許容値を数表で定めてきた。今回の改正に伴い,ISO/IEC Guide 98-3(GUM:Guide to the Expression of
Uncertainty in Measurement)が定めた測定の不確かさの考え方を取り入れ,測定値の不確かさを計算し,試
験結果の信頼度水準を明確にすることにした。
B.2 不確かさの基本的な考え方
B.2.1 一般
ポンプの運転で測定する値はサンプリングした時間の平均値であり,母平均(真の値)ではない。母平
均と測定値の間の差は測定の誤差である。母平均(真の値)は知ることができないため,不確かさの概念
はこの知り得る情報からこの差を表現する方法である。
測定の不確かさはその値のばらつきとして現れる。統計的手法は理論を応用し,測定値を客観的に見る
ことができる。標準不確かさは測定値のばらつきとみなし,標準偏差で表すことができる。その不確かさ
は1セットの測定結果から容易に計算できる。
測定の不確かさを計算するには,まず測定の不確かさの要因を調査し,それぞれの要因から,その大き
さ(標準不確かさ)をタイプ(タイプA及びタイプB)ごとに推定する。最後に個々の不確かさを合成し
て,合成標準不確かさを求める。さらに,合成標準不確かさに包含係数(k)を乗じて拡張不確かさを求め
る。この規格では,包含係数として,実用ポンプ試験でも使用されている信頼水準95 %に対応するk=2
を採用する。
B.2.2 タイプA及びタイプBの不確かさ
B.2.2.1 一般
不確かさの要因が何であれ,その要因を推定するためには“タイプA”評価と“タイプB”評価との二
つのアプローチ方法がある。測定量の不確かさは,両者の二乗和の平方根で評価する。
GUMでは,測定の不確かさを規定している。特に,誤差の構成要因,その該当部分の数量化及び測定

――――― [JIS B 8327 pdf 54] ―――――

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過程における全ての結果を統計理論から得た手法を用いてどのように決定するかを規定している。不確か
さの各構成要素は,標準偏差の評価方法で特徴付けられる。次にタイプA及びタイプBの概要について説
明する。また,統計上の内容例をB.2.2.2及びB.2.2.3で説明する。
a) タイプAの評価 繰返し測定された結果を統計分析して得られる標準偏差を用いる。ポンプの性能測
定において,測定数を増やすことによって不確かさが低減できる測定値の標準偏差を使用する。ポン
プの性能測定では,非定常状態で同一量の限られた繰返し測定を行う際,スチューデントのt分布を
適用することが一般的である。
b) タイプBの評価 繰返し測定から求めることのできない成分を,入手可能な情報に基づく科学的判断
によって,測定値のばらつき分布を仮定して,その不確かさを分散,標準偏差として推定する。その
情報には,次の事項を含む。
1) 人間の判断が入った手動測定
2) 製造業者の仕様書,説明書など
3) 製造業者又は校正業者による校正証明書に示されたデータ
B.2.2.2 タイプAの評価(ur)
実際の測定では,測定システムの特性,測定される物理量の変動又はその両方に起因して,測定値には
ばらつきが現れる。このタイプAの不確かさは,同一条件下で同じ物理量の測定数を増やすことによって
減らすことができる。
タイプAの評価では,“標準不確かさ”は測定値のばらつきを標準偏差で表す。このとき,測定数Nを
1セットとした1回の測定におけるばらつき(標準偏差)は,次の式によって求まる。
n
1 2
s x x
N 1 i1
不確かさが正規分布となる場合,算術平均xは次の式によって与えられ,サンプリングの母平均の最も
よい推定値である。
1
x x1 x2 x3 xN
N
測定数が十分に大きい場合には,不確かさは正規分布に集約されるが,30組以下の場合,この仮定は成
立しないので,小(又は厳密な)サンプル理論を適用したスチューデントのt分布を適用する。このとき,
不確かさurは,次の式によって与えられる。
er
ur 100 (%)
x
なお,
ts
er
N
ここに,tは,測定数Nの関数であり,表B.1で示される。

――――― [JIS B 8327 pdf 55] ―――――

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