JIS B 8327:2013 模型によるポンプ性能試験方法 | ページ 12

                                                                                             53
B 8327 : 2013
表B.1−スチューデントのt分布の値(95 %信頼度水準に基づく)
観測数 t 観測数 t
3 4.30 17 2.12
4 3.18 18 2.11
5 2.78 19 2.10
6 2.57 20 2.09
7 2.45 21 2.09
8 2.36 22 2.08
9 2.31 23 2.07
10 2.26 24 2.07
11 2.23 25 2.06
12 2.20 26 2.06
13 2.18 27 2.06
14 2.16 28 2.05
15 2.14 29 2.05
16 2.13 30 2.05
B.2.2.3 タイプBの評価(us)
タイプAと類似している部分(適用する分布による。)もあり,明快な区別は困難であるが,一般的に
タイプAは“統計を用いた不確かさの推定”に対して,タイプBは“その他の全ての不確かさの推定”と
定義されており,連続して測定できない,又は測定回数が十分でない場合に用いることができる。評価方
法として,次の方法を適用してもよい。
− 測定の過程に確率分布を適用して,測定値の確率分布を決める。
− 測定の上限と下限値を用いて,仮定した確率分布の標準偏差から標準不確かさを決定する。
タイプBの評価方法は,等価な標準偏差を求めるために測定値の上限値と下限値から確率分布を決めて
もよい。次のような確率分布が適用される。
a) 正規分布 正規分布を,図B.1に示す。
usp
u xi
k
ここに, usp : 確率分布
k : 包含係数(例えば2,信頼度水準95 %)(−)
図B.1−正規分布
この分布は,校正成績書の値から標準不確かさを計算する場合に適用することが多い。

――――― [JIS B 8327 pdf 56] ―――――

54
B 8327 : 2013
b) く(矩)形分布 く(矩)形分布を,図B.2に示す。
1
u xi xmax xmin
3
図B.2−く(矩)形分布
この確率分布は,通常,測定器の解像限界に対する不確かさ評価にも適用できる(例えば,A/D変
換器の解像度など)。しかし,測定アルゴリズムにおける“及び/又は”の判断又は校正プロセスにも
適用してもよい。不確かさの上限と下限の情報しか得られないような場合には,このく(矩)形分布
を適用せざるを得ない。
近年では,自動測定装置が使用される場合が多く,表8に示した測定器の不確かさのほかに,測定
器の信号変換器に測定値を取り込むA/D変換ユニットにも不確かさが生じるため,測定器の不確かさ
は,次の計算式で合成した不確かさで表される。
2 2 2
us usa usb usc
ここに, us : 測定器の不確かさ
usa : 校正デ−タ及び仕様から推定した測定器の不確かさ
usb : 信号変換器の不確かさ
usc : A/D変換ユニット(信号取込装置)の不確かさ
さらに,確率分布を含むタイプBの評価については,GUMを参照。
B.2.3 測定量の合成不確かさ(uc)
タイプA,タイプBともに不確かさを標準偏差の形で標準化して,不確かさの伝ぱ法則に従って,次の
ように合成する。
2 2
uc ur us
B.2.4 測定量の拡張不確かさ(Ue)
拡張不確かさは,包含係数kを用いて次のように計算する。通常,信頼度水準95 %を与えるk=2を用
いる。
Ue k uc
B.2.5 合成不確かさ及び拡張不確かさ
多くの測定システムにおける測定結果は,幾つかの変数の組合せからなる。例えば,ポンプ効率ηは,
独立した測定値の関数として表される。
QgH
2P

――――― [JIS B 8327 pdf 57] ―――――

                                                                                             55
B 8327 : 2013
2π n T
P2
1 000
ここに, H : 全揚程(m)
Q : 吐出し量(m3/s)
P2 : 軸動力(kW)
T : トルク(Nm)
n : 回転速度(s−1)
このように独立して測定した三つの測定値を統合してηが求まる。
つまり,物理量ηはH,Q,P2(又はT,n)の組合せであるため,各々の測定値の不確かさを合成して
uc(η) が求まる。ΔH,ΔQ,ΔP2(又はΔT,Δn)の微小変化に対するηの感度を計算すると,
H Q T n
H Q T n
ここに,偏微分量 H, Q, T, n は,感度係数(Sf)である。この式を Q g H /P2
について適用すると
H Q T n
H Q T n
不確かさの分析において, , H H, Q Q, T T 及び n n は無次元標準不確かさに相当し,
記号uc(η),u(H),u(Q),u(T)及びu(n)で表す。
H,Q,P2の不確かさは各々独立であるので,ポンプ効率ηの合成不確かさは,各不確かさの二乗和の
平方根で表される。
2 2 2
uc uH uQ uT un
さらに,拡張不確かさUe(η) は,次の式によって求まる。
2 2 2
Ue k uH uQ uT un
ここで,kは包含係数である。通常,k=2(信頼度水準95 %)でよい。
B.2.6 不確かさのバジェット表
B.2.6.1 計算方法
各不確かさ成分をまとめて全体の不確かさを明らかにしたものをバジェット表という。バジェット表の
作成に当たっては,不確かさの要因を挙げて,それらをタイプA,タイプBの不確かさ評価に分けて各々
計算する。繰返し測定値のばらつきに対する不確かさはタイプA,各測定器の校正成績書はタイプBとし,
タイプAの不確かさ確率分布はスチューデントのt分布又は正規分布を,また,タイプBは正規分布,く
(矩)形分布などを適用する。次にポンプ効率について計算例及びバジェット表を示す。
B.2.6.2 ポンプ効率の計算例
a) ポンプ仕様点性能 データサンプリング値及び測定器の校正データは,次による。
− 全揚程H=18.05 m,吐出し量Q=10.27 m3/min,回転速度n=1 801 min−1,軸動力P2=36.26 kW
− ポンプ効率η=83.28 %
− 全揚程(測定組数N=10)18.13,18.05,18.04,18.05,17.99,18.06,18.04,18.05,18.11,17.97
− 吐出し量(測定組数N=10)10.31,10.27,10.27,10.26,10.27,10.26,10.27,10.24,10.29,10.23
− トルク(測定組数N=10)19.68,19.65,19.55,19.61,19.59,19.62,19.58,19.63,19.57,19.52
− 回転速度(測定組数N=10)1 802,1 801,1 802,1 800,1 800,1 800,1 801,1 801,1 801,1 799

――――― [JIS B 8327 pdf 58] ―――――

56
B 8327 : 2013
使用測定器は,校正証明書及び仕様書から次のデータを使用する。1)3) で示される値は,測定値
近傍の誤差が正規分布に従う場合に信頼水準95 %(包含係数k=2)で表されたものと仮定し,それ
ぞれの数値を包含係数で除して,タイプBの相対標準不確かさを推定する。また,4)6) は測定全域
の誤差がく(矩)形分布に従い,4)6) の数値は両側限界の半幅を表していると仮定し,3で除し
てタイプBの相対標準不確かさを推定する。
1) 電磁流量計 0.1 %
2) トルクメータ 0.2 %
3) デジタル圧力計(吸込側,吐出し側) 各々0.1 %
4) 回転速度計 0.1 %
5) 信号変換器 0.1 %
6) /D変換器 0.1 %
注記 各々の測定器は,FS(フルスケール)を使用して測定するものと仮定する。
b) 各要因の計算
1) 吐出し量の不確かさを計算する。
タイプAの不確かさ
i N
Q Q /N 10.27 (m3/min)
i1
1 2
s Q Q
N 1
1 2 2
10.31 10.27 10.23 10.27 .0023 (m3/min)
10 1
不確かさ
ts .226 .0023
er .0008 1 (m3/min)
2 N 2 10
なお,tはスチューデント分布のt表から,t=2.26(N=10)
相対不確かさ

r .0008 1
ur Q 100 100 .0079 %
10.27
タイプBの不確かさ
電磁流量計の測定値近傍の相対不確かさは0.1 %を用い,正規分布を仮定して2で除して0.05 %
を相対標準不確かさとする。信号変換器,A/D変換器については,各々く(矩)形分布で仮定して3
で除し,0.06 %を相対標準不確かさとする。
2 2
us Q usa Q usb Q usc Q
.0052 .0062 .0062 .0096 %
したがって,合成相対不確かさuc(Q) は,
2 2
uc Q ur Q us Q .00792 .00962 .0124 %

――――― [JIS B 8327 pdf 59] ―――――

                                                                                             57
B 8327 : 2013
2) 全揚程の不確かさを計算する。
タイプAの不確かさ
iN
H H/N 18.05 (m)
i1
1 2
s H H
N 1
1 2 2
18.13 18.15 17.97 18.05 .0048
10 1
ts .226 .0048
er .0017 2 (m)
2 N 2 10
なお,tはスチューデント分布のt表から,t=2.26(N=10)
相対不確かさ
r .0017 2
ur H 100 100 .0095 %
18.05
タイプBの不確かさ
デジタル圧力計の測定値近傍の相対不確かさ0.1 %を用い,正規分布を仮定して2で除して0.05 %
を相対標準不確かさとする。信号変換器,A/D変換器については,各々く(矩)形分布を仮定して3
で除し0.06 %を相対標準不確かさとする。また,全揚程は,JIS B 8301に規定するとおり,吸込圧
(p1),吐出し圧(p2),水の密度,速度ヘッド,圧力タップの高低差などから計算するが,これら
の値のうち有意な大きさの不確かさをもち得るものは,吸込圧(p1),吐出し圧(p2)だけである。
また,吸込圧(p1)及び吐出し圧(p2)の測定には,同一仕様のデジタル圧力計を使用すると,
2 2
us H usa H usb H usc H
.0052 .0062 .006 2 2 セット .0135 %
したがって,合成相対不確かさuc(H) は
2 2
uc H ur H us H .00952 .01352 .017 %
同様な計算をトルクT,回転速度nについて実施し,計算結果を表にまとめると表B.2となり,
拡張相対不確かさ0.56 %を得る。
表B.2−ポンプ効率のバジェット表(信頼度水準95 %)
不確かさ 合成不確かさ
要因 測定値
タイプA(%) タイプB(%) (%)
吐出し量(Q) 10.26 m3/min 0.079 0.096 0.124
全揚程(H) 18.05 m 0.095 0.139 0.166
軸動力(P) 36.24 kW 0.088 0.163 0.185
内 トルク(T) 192.3 Nm 0.085 0.129 0.155
訳 回転速度(n) 1 801 rpm 0.020 0.100 0.102
効率(η) 83.28 % 0.15 0.23 0.278
拡張相対不確かさUe(K=2) − − − 0.56

――――― [JIS B 8327 pdf 60] ―――――

次のページ PDF 61

JIS B 8327:2013の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 8327:2013の関連規格と引用規格一覧