JIS B 8349-1:2017 油圧―システム及び機器から発生する圧力脈動レベルの測定方法―第1部:ポンプの流量脈動及び内部インピーダンスの測定方法 | ページ 6

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ここで,fsはサンプリング周波数,τ (=1/ fs)はサンプリング周期,Nはサンプリングデータ数である。
これらの条件の下で,x (n τ)の離散フーリエ変換は,次の式(B.12)で与えられる。
N 1 2 πnk
j
N
X(iωk ) X(k) x(nτ) e
n 0
(B.12)
Re[{X(k)}] jIm[{X(k)}], k ,2,1,0 N 1
これより,X(k)の調和振幅|X(k)|及び調和位相角∠X(k)は,それぞれ次の式で求められる。
X(k) [Re[{X(k)}]]2 [Im[{X(k)}]]2 (B.13)
X(k) tan 1[Im[{X(k)}] / Re[{X(k)}]]
(180 )π/ (B.14)
注記1 市販の24ビットのアナライジングレコーダを使用し,サンプリング周波数を10.24 kHz以上
に設定し,サンプリング時間長を0.8秒に設定すると(すなわち,この場合には,サンプリ
ングデータ数を8 192個以上に),周波数分解能は1.25 Hz以下に改善できる。
注記2 上述のフーリエ変換の周波数分解能に加えて,4.3の注記に示したポンプ軸の回転速度の設定
精度(すなわち,ポンプ基本周波数の設定精度)も考慮すると,圧力脈動の想定したn次の
調和周波数の近傍における|X(k)|の極大値がn次の調和振幅に相当すると考えてよい。
注記3 したがって,通常の形式のアナライジングレコーダを用いる場合には,ポンプ軸の回転速度
(すなわち,ポンピング基本周波数)の要求設定精度は,市販のFFTアナライザ(サンプリ
ング時間長は通常0.08秒であるので,周波数分解能は通常12.5 Hzである)を用いる場合に
比べてそれほど厳密でなくてよく,±1 %程度の設定精度で十分である。
B.3 基準管路と延長管路との長さの決定
基準管路と延長管路との長さは,次のような物理的検討の基に決められる。
基準管路の長さが1/2波長に近い場合,すなわち,cを音速及びfを周波数とすると,Lr nc/2f(n=1, 2,
3 ···)の場合には,sin (Lr) 0,cos (Lr) (−1) n,P0 (−1) n P1及びP0' (−1) n P1'となり,式(1)と式(4)
とは延長管路の長さLeに関係なく0/0の不定形になるため,これらの式からポンプ流量脈動と内部インピ
ーダンスとを評価することは不可能になる。
同様に,延長管路の長さが1/2波長に近い場合には,P0 P0'及びP1 P1'となり,式(1)と式(4)とは基準
管路の長さLrに関係なく0/0の不定形になるため,ポンプ流量脈動と内部インピーダンスとの評価が不可
能になる。
一方,計測精度の観点からは,延長管路の長さは,対象にする周波数帯域にわたって基準管路内の定在
波の形の変化ができるだけ大きくなるように選定するのがよい。同様に,基準管路は,P0とP1(及びP0'
とP1')との差が最大になるように,できるだけ長くするのがよい。よって,基準管路と延長管路との最適
長さは,解析対象の最大周波数fmaxに対応する波長の1/2より小さい範囲内で,できるだけ長いものとな
る。
例えば,解析対象の周波数帯域を約200 Hzから約3.5 kHzまでとし,基準管路内の音速を1 390 m/sと
仮定すると,最小の1/2波長は約0.2 m[c/2fmax=1 390/(2×3 500) 0.2 m]となる。この場合,上述の評価不
能条件に対する余裕安全率を約75 %とすると,基準管路と延長管路との最適長さは,約0.15 m(150 mm)
となる。

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B.4 基準管路内の音速の決定
方法1 :
試験作動油内の音速c0と作動油の密度ρとの値は,作動油の製造業者から得ることができる。基準管路
内の作動油中の音速cは,管の弾性の影響も考慮して式(B.15)で求められる。
1
c (B.15)
1 (Dr h)ρ
2
c0 Eh
ここで,ρは作動油の密度,E,Dr及びhはそれぞれ基準管路のヤング率,内径及び肉厚である。
もし,作動油の製造業者から試験作動油内の音速c0の値が得られない場合には,作動油の体積弾性係数
Bと密度ρとの値を基に,次の式からこれを推定することができる。
B
c0 (B.16)
ρ
方法2 :
体積弾性係数,密度などの作動油の物性値が利用できない場合には,基準管路内の作動油中の音速は参
考文献[7]のISO 15086-2に定める方法を用いて推定しなければならない(実験精度に関しては参考文献[8]
を参照)。
B.5 “修正”モデルにおける流量脈動Qs*と標準“Norton”モデルにおける流量脈動Qsとの近似相関関

P0とQ0とを基準管路の入口端(すなわち,ポンプ出口端)における圧力脈動と流量脈動とする。図1 a)
の標準“Norton”モデルから,次の連続の式が導かれる。
P0
Qs Q0 (B.17)
Zs
ポンプケーシング内の吐出し通路の四端子伝達マトリックス[T]を次のように表すと,
T11 T12
T (B.18)
T21 T22
“修正”モデルにおける流量脈動Qs*とP0及びQ0との関係は,伝達マトリックス係数を用いて次の式
で表される。
Qs*=T21P0+T22Q0 (B.19)
一方,標準“Norton”モデルにおいては,吐出し通路の始端の流量脈動はゼロであると仮定しているの
で,P0とQ0との間には次の関係がある。
0=T21P0+T22Qp (B.20)
ここで,Qpは吐出し通路から流れ出る流量脈動である。
標準“Norton”モデルにおける内部インピーダンスZsは,吐出し通路に流れ込む流量脈動−Qpと圧力脈
動P0との比である。すなわち,
P0
Zs (B.21)
( Qp )
式(B.20)と式(B.21)とから,内部インピーダンスZsが次のように求まる。
Zs=T22/T21又はT22=T21Zs (B.22)
上式のT22を式(B.19)に代入するとQs*として次の式(B.23)が得られ,

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P0
Qs* T21Zs Q0 (B.23)
Zs
式(B.17)と式(B.23)とから次の式が得られる。
Qs*=T21ZsQs (B.24)
もし,ポンプケーシング内の吐出し通路を,基準管路と同じ特性インピーダンスZcをもつ等価単一管路
と仮定すると,伝達マトリックスの係数の間に次の関係が成り立つ。
T11T22−T12T21=1 (B.25)
T11=T22 (B.26)
T12=Zc2T21 (B.27)
式(B.22)と式(B.25)式(B.27)とから,次の式(B.28)が得られる。
1
T21 (B.28)
2
Zs Zc2
よって,式(B.24)と式(B.28)とから,“修正”モデルにおける流量脈動Qs*が標準“Norton”モデルにおけ
る流量脈動Qs及び内部インピーダンスZsの関数として次の式(B.29)のように得られる。
Zs
Qs* Qs (B.29)
2 2
Zs Zc
式(B.29)から,Qs*はQsとZsとの測定値だけから直接に算出できることが分かる。
吐出し通路に等価な単一一様管路の長さLdは,内部インピーダンスZsの周波数特性に明瞭に現れる1/4
波長共振周波数frの値(図A.2で|Zs|の値が極小となる周波数)からその概略値が推定できる。すなわち,
Ldの概略値は次の式から求められる。
c
Ld (B.30)
4fr
式(B.22)は,上式で得られたLdの推定値を用いて次のように表せる。
cosh( βd Ld )
Zs T22 /T21
sinh(βdLd /) c
(B.31)
Zc
j
tan(βdLd )
ここで,βdは吐出し通路の波動伝ぱ係数であり,式(B.5)を基に式(B.4)から求められる。
なお,この解析で用いる仮定の下では,βdは基準管路の波動伝ぱ係数βと同じ値である。
よって,式(B.29)と式(B.31)とから,Qs*とQsとの関係式がLdの推定値を用いて次のように導出される。
Qs*=Qscos(βdLd) (B.32)
式(B.32)は,Qs*とQsとの関係式として参考文献[1]で最初に導かれた式と一致している。
B.6 音響的閉塞圧力脈動
ポンプの脈動源として標準“Norton”モデルを用いると,ポンプ出口端(換言すれば,ポンプ出口端に
接続された吐出し管路の入口端)における圧力脈動は,次の式(B.33)で算出できる。
ZsZe
P0 Qs (B.33)
Zs Ze
ここで,Zeは吐出し管路の入口インピーダンスである。
式(B.33)から,もしZeが無限に大きいとすれば(具体的には,出口ポートを遮断したと仮定した場合に

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相当),ポンプ出口ポートで発生する圧力脈動Pbは,次のように表せる。
Pb P0 ZsQs (B.34)
もし必要ならば,特性インピーダンスZcの無限に長い接続管路に吐出する場合のポンプ出口端に発生す
る無反射圧力脈動Pa.eも,式(B.33)にZe=Zcを代入することによって,次の式(B.35)で算出できる。
ZsZc
Pa.e Qs (B.35)
Zs Zc

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参考文献
[1] Edge K.A., & Johnston D.N. The secondary source method for the measurement of pump pressure ripple
characteristics−Part 1: Description of method, Part 2: Experimental results. Proceeding of Institute of
Mechanical Engineering. Part A, Vol.204, 1990.
[2] Weddfelt K. Measurement of pump source characteristics by the two-microphone method. The Second Tampere
International Conference on Fluid Power, Tamper, Finland. Paper V, 1991.
[3] Kojima E. A new method for experimental determination of pump fluid-borne noise characteristics. Proceedings
of the 5th Bath International Fluid Power Workshop, Circuit, Component and System Design, Bath, UK. 1992.
[4] Kojima E., Yu J., Ichiyanagi T. Experimental determining and theoretical predicting of source flow ripple
generated by fluid power piston pumps. SAE Technical Paper Series, 2000-01-2617, 2000.
[5] 小嶋 : 油圧ポンプの流体伝ぱ振動特性の新しい測定法(第1報 : 測定法の原理,第2報 : 試験結果と
考察),油圧と空気圧(現,日本フルードパワーシステム学会論文集),24-2,269/274,275/282(1993)
[6] 小嶋,外3名 : アキシャルピストンポンプの吐出し流量脈動のシミュレーションモデル,日本油空圧
学会論文集(日本フルードパワーシステム学会論文集),29-4,100/106(1998)
[7] ISO 15086-2,Hydraulic fluid power−Determination of the fluid-borne noise characteristics of components and
systems−Part 2: Measurement of the speed of sound in a fluid in a pipe
[8] 小嶋,一柳 : ISO/CD15086-2に定める“剛体管路内流体中の音速の測定法”の精度に関する実験的検
討,日本油空圧学会論文集(日本フルードパワーシステム学会論文集),31-2,50/57(2000)

JIS B 8349-1:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 10767-1:2015(IDT)

JIS B 8349-1:2017の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 8349-1:2017の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB0142:2011
油圧・空気圧システム及び機器―用語