JIS B 8833-1:2008 クレーン―荷重及び荷重の組合せに関する設計原則―第1部:一般 | ページ 7

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B 8833-1 : 2008
図F.2−一対の車輪の位置
F.2 接線力と変位との関係
まず最初に,接線力及び車輪と軌条との間に発生する変位との関係を想定しなければならない。車輪は
駆動モーメント (My) を軌条に伝達しなければならない。かつ,車輪の縦方向及び横方向の滑り[u (ux, uy) ]
はクレーンとランウェイによって拘束されているので,これに対応する接線力 (Fx, Fy) がクレーンに作用
する(図F.3参照)。
図F.3−接線力及び変位
一般には滑りの距離 (ux, uy),自由走行距離rψ,車輪荷重FZ及び接線力 (Fx, Fy) との間には,次のよう
な関係が存在する。
Fx=fx (Sx, Sy, Pc, 表面状態)・Fz
Fy=fx (Sx, Sy, Pc, 表面状態)・Fz
回転車輪 (fx, fy) の摩擦係数は,スリップすなわち片寄りと自由走行距離の関係(Sx=ux/rψ,Sy=uy/rψ),
車輪の軌条への接触圧 (Pc),及び軌条の表面状態に左右される。この計算を単純化するために,次の経験

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に基づく関係式を使用することができる。
< 0.015
fx=0.3 [1−exp (−250 Sx) ], for Sx
< 0.015
fy=0.3 [1−exp (−250 Sy) ], for Sy
F.3 スキュー(蛇行)による荷重
図F.4に示すとおり,このクレーンモデルは一定の速度で走行し,αの角度までスキュー(蛇行)した
と仮定する。このクレーンは,外部の装置又は車輪フランジによって水平方向にガイドされる。
ガイド力Fyは,一時的なクレーンの滑りの回転軸のまわりの回転によって生じる車輪の接線力Fx1i,Fy1i,
Fx2i及びFy2iとつり合う。ガイド装置における最大の滑りの力をSy=αとし,ガイド装置と一時的な滑りの
回転軸との間の滑りの力Syiが線形分布をしているとすると,このスキュー(蛇行)による荷重は,次のよ
うに計算することができる。
a) 一時的な滑りの回転軸とガイド装置との距離をhとすると,
(F/Fの方式の場合) h=(pμμ'l2+Σdi2)/Σdi
(F/Mの方式の場合) h=(pμl2+Σdi2)/Σdi
ここに, p : 連結した車輪の対の数
μ : 軌条1から一時的な滑りの回転軸までの距離
μ' : 軌条2から一時的な滑りの回転軸までの距離
l : クレーンのスパン
di : ガイド装置から一対の車輪iまでの距離
b) ガイド力Fy
Fy=vfmg
ここに, v : (F/Fの方式の場合) 1−Σdi/nh
(F/Mの方式の場合) μ' (1−Σdi/nh)
f : 0.3[1−exp (−250α) ]
α : ≦0.015 rad
mg : 荷をつったクレーンの質量に重力が作用したときの荷重
注記 スキューの角度α(0.015以下でなければならない)は,ある程度の寸法的な変動を考慮に入れ
たガイド装置と軌条との間隔,クレーンの車輸と軌条との摩耗などを考慮に入れたうえで,決
定しなければならない。

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図F.4−スキュー(蛇行)状態のクレーンに作用する荷重
F.4 接線力Fx及び接線力Fy
Fx1i=ξ1i fmg
Fx2i=ξ2i fmg
Fy1i=v1i fmg
Fy2i=v2i fmg
ここに,f及びmgはF.3 b) による。ξ1i,ξ2i,v1i及びv2iは表F.1による。
表F.1−ξ1i,ξ2i,v1i及びv2iの値
組合せ ξ1i=ξ2i v1i v 2i
CFF l/ nh di h
1
IFF 0 di n
1
CFM l/ nh n h
0
IFM 0
参考文献 JIS B 8831 : 2004 クレーン−荷重及び荷重の組合せに関する設計原則
ISO 2394 : 1998,General principles on reliability for structures
ISO 4310 : 1981,Cranes−Test code and procedures

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B8
3
附属書JA
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(参考)
-
1 : 2
JISと対応する国際規格との対比表
008
ISO 8686-1 : 1989,Cranes−Design principles for loads and load combinations−Part
JIS B 8833-1 : 2008 クレーン−荷重及び荷重の組合せに関する設計原則−第1
部 : 一般 1 : General
(I) ISの規定 (II) (III) 国際規格の規定 (V) ISと国際規格との
(IV) ISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価
国際 及びその内容 技術的差異の理由及び
規格 今後の対策
箇条番号 内容 箇条 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
番号
及び名称 番号 の評価
1適用範 1 適用 変更 ISO規格は許容応力設計法又は限界状態 技術的差異はない。
囲 範囲 設計法を設計原則としているが,この部で
は限界状態設計法によるものとし,JIS B
8831に許容応力設計法による規定をした。
2引用規 2 ISO 4310 : 1981 削除 JISでは,直接引用しておらず削除した。 技術的差異はない。

3 用語及 JIS B 0146-1 3 用語 ISO 4306 変更 ISO規格ではISO 4306を引用するが,JIS技術的差異はない。
び定義 及び定 では関連するJIS B 0146-1を引用規格とし
義 た。
4 記号及 4 記号 許容応力計算にかかわる 削除 適用範囲から削除したため。 技術的差異はない。
び略号 及び略 係数γfA,γfB,γfC

5 一般 5.1性能照査の計算目的 5 一般 追加 JISではタイトルを追加した。 技術的差異はない。
5.1 及び内容 5.1
転倒に対する安定モー 転倒に対する計算された 変更 JISでは抵抗値を安定モーメントとした。 技術的差異はない。
メントの値 抵抗値
寸法公差及び組立公差 寸法公差及びおさまりな 変更 JISではおさまりを組立公差とした。 技術的差異はない。
など ど
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5.2 5.2性能照査の計算方法 5.2 追加 JISではタイトルを追加した。 技術的差異はない。
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限界状態設計法による。 許容応力設計法又は限界 変更 適用範囲の項と同一。 技術的差異はない。
3-
1
状態設計法による。
: 2008
3

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B 8833-1 : 2008
B8
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(I) ISの規定 (II) (III) 国際規格の規定 (V) ISと国際規格との
(IV) ISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価
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国際 及びその内容 技術的差異の理由及び
33-
規格 今後の対策
1 : 2
箇条番号 内容 箇条 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
番号
及び名称 番号 の評価
008
5.3 5.3計算モデル及び計算 5.3 追加 JISではタイトルを追加した。 技術的差異はない。
前提
限界状態設計法 許容応力設計法又は限界 変更 適用範囲の項と同一。 技術的差異はない。
状態設計法
6.1 装置の質量に重力が作 6.1 装置の質量(死荷重)に 変更 技術的差異はない。
JISでは装置の質量の定義が明白であり,
6.1.1 用したときの荷重 6.1.1 重力が作用したときの荷 死荷重の表現を削除した。

6.1.3.2 − 6.1.3.2 軌条に関するISO規格に 削除 ISO規格では該当のISO規格を引用規格 軌条の継手部の許容食
おいて,その許容値及び として規定していないので削除した。ない違いの規定とISO規
要件を定めており,これ お,関連すると思われるISO 12488-1の規
格の規定との整合化を
らに従う場合にはφ4を1 定を考慮し附属書Dによるとした。 機種ごとに図ることを
とすることができる。 提案する予定。
附属書Dに軌条の継手 附属書Dに溶接継手でな 変更 同上 同上
部での い軌条の継手部での
6.3.2 荷重試験の荷重は,定格 6.3.2 試験荷重については,ISO変更 技術的差異はない。
JISでは,クレーン等安全規則に規定され
荷重の1.25倍とする。 4310による。 ている荷重試験の値(定格荷重の1.25倍)
を記載した。
7.3.2 許容応力設計法 削除 適用範囲の項と同一。 技術的差異はない。
7.3.2 7.3.3 変更 上記の削除によって項番変更。 技術的差異はない。
7.3.3 7.3.4
7.3.4 7.3.5
7.3.5 危険度の高い用途での 7.3.6 ハイリスク適用 変更 JISでは分かりやすい表現とした。 技術的差異はない。
リスク係数の適用
表3 表3行番号19 (γf) 削除 許容応力設計法にかかわる係数の削除。技術的差異はない。
附属書A 限界状態設計法に基づ 許容応力設計法又は限界 変更 適用範囲の項と同一。 技術的差異はない。
A.1 くもの 状態設計法に基づくもの
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A.2 削除 同上 技術的差異はない。
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A.2 A.3 変更 同上 技術的差異はない。
3-
1
図A.1 図A.2 変更 同上 技術的差異はない。
: 2008
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JIS B 8833-1:2008の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 8686-1:1989(MOD)

JIS B 8833-1:2008の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 8833-1:2008の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB0146-1:2017
クレーン―用語―第1部:一般
JISB8830:2001
クレーン―風荷重の評価