JIS B 8833-1:2022 クレーン―荷重及び荷重の組合せに関する設計原則―第1部:一般

JIS B 8833-1:2022 規格概要

この規格 B8833-1は、JIS B 0146-1に規定されたクレーンの構造部分及び機械部分に関わるJIS B 8829に従った性能照査を実施するため,限界状態設計法に基づく荷重の一般的な計算方法,及び荷重の組合せの選定の原則について規定。剛体動力学解析及び弾性静力学解析に基づいているが,解析水準がこれらと同等以上であることを示すことが可能であれば,荷重及び荷重の組合せ,並びに動荷重係数を評価するための,より先進的な手法(計算又は試験)を積極的に用いてもよい。この規格の目的は,次による。a)クレーンの個別形式に対する,より詳細な規格の制定のため,一般的な形式,内容及び変数の値の範囲を示す。b)特定の規格がないときの,設計者又は製造業者とクレーン購入者との間の協定事項の概要を示す。

JISB8833-1 規格全文情報

規格番号
JIS B8833-1 
規格名称
クレーン―荷重及び荷重の組合せに関する設計原則―第1部 : 一般
規格名称英語訳
Cranes -- Design principles for loads and load combinations -- Part 1:General
制定年月日
2008年3月25日
最新改正日
2022年2月25日
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‐ 
対応国際規格

ISO

ISO 8686-1:2012(MOD)
国際規格分類

ICS

53.020.20
主務大臣
経済産業,厚生労働
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
2008-03-25 制定日, 2012-10-25 確認日, 2017-10-25 確認日, 2022-02-25 改正
ページ
JIS B 8833-1:2022 PDF [53]
                                                                                 B 8833-1 : 2022

pdf 目 次

ページ

  •  序文・・・・[1]
  •  1 適用範囲・・・・[1]
  •  2 引用規格・・・・[1]
  •  3 用語及び定義・・・・[2]
  •  4 記号・・・・[2]
  •  5 一般・・・・[3]
  •  5.1 性能照査の計算目的及び内容・・・・[3]
  •  5.2 性能照査の計算方法・・・・[3]
  •  5.3 荷重の評価・・・・[4]
  •  5.4 荷重の分類・・・・[4]
  •  6 荷重及び適用係数・・・・[5]
  •  6.1 定常荷重・・・・[5]
  •  6.2 非定常荷重・・・・[10]
  •  6.3 特殊荷重・・・・[11]
  •  6.4 その他の荷重・・・・[14]
  •  7 荷重の組合せの選択・・・・[14]
  •  7.1 基本的考え方・・・・[14]
  •  7.2 組立,分解及び輸送時の荷重の組合せ・・・・[18]
  •  7.3 表3の適用方法・・・・[18]
  •  7.4 剛体安定性の照査のための部分荷重係数・・・・[20]
  •  附属書A(規定)限界状態設計法の適用・・・・[24]
附属書B(参考)動的影響係数の適用に関する一般的な説明 25
附属書C(参考)軌条上を走行するクレーンの動的影響係数4の値を計算するためのモデルの例 26
  •  附属書D(参考)加減速によって生じる荷重の決定例・・・・[30]
  •  附属書E(参考)スキュー(蛇行)による荷重の解析方法の例・・・・[39]
  •  附属書F(参考)巻上駆動の種類の説明・・・・[45]
  •  附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表・・・・[50]

(pdf 一覧ページ番号 1)

――――― [JIS B 8833 pdf 1] ―――――

           B 8833-1 : 2022

まえがき

  この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人
日本クレーン協会(JCA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業
規格を改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が
改正した日本産業規格である。これによって,JIS B 8833-1:2008は改正され,この規格に置き換えられ
た。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の
特許出願及び実用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS B 8833規格群(クレーン−荷重及び荷重の組合せに関する設計原則)は,次に示す部で構成する。
JIS B 8833-1 第1部 : 一般
JIS B 8833-2 第2部 : 移動式クレーン
JIS B 8833-3 第3部 : タワークレーン
JIS B 8833-4 第4部 : ジブクレーン
JIS B 8833-5 第5部 : 天井走行クレーン及び橋形クレーン

(pdf 一覧ページ番号 2)

――――― [JIS B 8833 pdf 2] ―――――

                                      日本産業規格                            JIS
B 8833-1 : 2022
クレーン−荷重及び荷重の組合せに関する設計原則−
第1部 : 一般

Cranes-Design principles for loads and load combinations- Part 1: General

序文

  この規格は,2012年に第2版として発行されたISO 8686-1を基とし,設計方法を国内の実態に合わせ
るため,技術的内容を変更して作成した日本産業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。技術的差
異の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
対応国際規格の規格群では,限界状態設計法及び許容応力設計法が規定されているが,JIS B 8833規格
群では限界状態設計法を規定し,許容応力設計法については,JIS B 8831で規定している。

1 適用範囲

  この規格は,JIS B 0146-1に規定されたクレーンの構造部分及び機械部分に関わるJIS B 8829に従った
性能照査を実施するため,限界状態設計法に基づく荷重の一般的な計算方法,及び荷重の組合せの選定の
原則について規定する。
この規格は,剛体動力学解析及び弾性静力学解析に基づいているが,解析水準がこれらと同等以上であ
ることを示すことが可能であれば,荷重及び荷重の組合せ,並びに動荷重係数を評価するための,より先
進的な手法(計算又は試験)を積極的に用いてもよい。
この規格の目的は,次による。
a) クレーンの個別形式に対する,より詳細な規格の制定のため,一般的な形式,内容及び変数の値の範
囲を示す。
b) 特定の規格がないときの,設計者又は製造業者とクレーン購入者との間の協定事項の概要を示す。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 8686-1:2012,Cranes−Design principles for loads and load combinations−Part 1: General(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”こと
を示す。

2 引用規格

  次に掲げる引用規格は,この規格に引用されることによって,その一部又は全部がこの規格の要求事項

――――― [JIS B 8833 pdf 3] ―――――

           2
B 8833-1 : 2022
を構成している。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 0146-1 クレーン−用語−第1部 : 一般
JIS B 0146-2 クレーン−用語−第2部 : 移動式クレーン
JIS B 0146-3 クレーン用語−第3部 : タワークレーン
JIS B 0146-5 クレーン用語−第5部 : 天井走行クレーン及び橋形クレーン
JIS B 8829 クレーン−鋼構造部分の性能照査
JIS B 8830 クレーン−風荷重の評価
JIS B 8842 クレーン−耐震設計に関する原則

3 用語及び定義

  この規格で用いる主な用語及び定義は,次によるほか,JIS B 0146-1,JIS B 0146-2,JIS B 0146-3及び
JIS B 0146-5による。
3.1
荷重(load or loads)
クレーンの構造部分若しくは機械部分に応力を生じさせる力,変位又は温度による内的作用若しくは外
的作用
3.2
剛体解析(analysis of rigid bodies)
剛体とみなされる要素にモデル化したシステムの運動及び内力に関する検討方法
3.3
弾性体解析(analysis of elastic bodies)
弾性とみなされる要素にモデル化したシステムの相対変位,運動及び内力に関する検討方法

4 記号

  この規格で用いる主な記号は,表1による。
表1−主な記号
記号 意味 参照箇所
動的影響係数 各箇所
6.1.1
クレーン構造物の質量に作用する巻上げ及び重力に関わる動的影響係
1

2 地上(床上)の荷の巻上げに関わる動的影響係数 6.1.2.1
3 荷の一部の急激な解放に関わる動的影響係数 6.1.2.2
4 平たんでない場所を走行することに関わる動的影響係数 6.1.3.2
5 駆動加減速による動荷重に関わる動的影響係数 6.1.4
6 動荷重試験に関わる動的影響係数 6.3.2
7 緩衝器への衝突によって生じる弾性影響に関わる動的影響係数 6.3.3
9 意図しない取扱い荷重の喪失に関わる動的影響係数 6.3.5
HC1HC4 クレーンに割り当てられる巻上等級 6.1.2.1.2 a),6.1.2.1.4
β2 巻上等級に対する係数 6.1.2.1.1,6.1.2.1.2,6.1.2.1.5

――――― [JIS B 8833 pdf 4] ―――――

                                                                                             3
B 8833-1 : 2022
表1−主な記号(続き)
記号 意味 参照箇所
β3 3の値の決定に使用する定数 6.1.2.2
vh 固有巻上速度 6.1.2.1.3(表2b)
Fx,Fx2,Fx4 緩衝器への衝突荷重 6.3.3,附属書D
7.3.2,表3,7.3.6.2,7.3.7,
γp 部分荷重係数
A.2
γm 抵抗係数 表3,附属書A
γn 危険度の高い用途でのリスク係数 7.3.5,附属書A
m 取扱い荷重に関わる質量 6.1.2.2
mH つり荷の質量 6.1.2.1.1,6.3.1,附属書D
6.1.2.1.1,6.1.2.2,7.3.1,附
g 自由落下の加速度(重力加速度) 属書C,附属書D,附属書
E,附属書F
注記 附属書において用いる記号は,当該附属書で定義している。
注a) 対応国際規格では6.1.2.2と記載しているが,HC1HC4について記載のある6.1.2.1.2に修正した。

5 一般

5.1 性能照査の計算目的及び内容

a) この規格に基づいて実施する性能照査の計算の目的は,クレーンを製造業者の取扱説明書のとおりに
実際に操作したときに,性能を発揮する能力をもつことを,定量的に確認することである。
b) 降伏,弾性不安定,疲労などによる損傷に対する照査の基本は,荷重に起因する計算応力と対応する
クレーンの構造部分及び機械部分の計算強度との比較である。
c) 損傷に対する照査は,転倒安定性についても必要となる。この規格では,荷重に起因する転倒モーメ
ントの値と,クレーンによる転倒に対する安定モーメントの値との比較を行う。さらに,安定性を確
保するために必要な荷重,及び/又はクレーンの一部若しくはクレーン自身の意図しない変位を排除
するために必要な荷重に制限がある場合がある。例えば,ジブの支持ロープが無負荷となる,クレー
ンが滑るなどである。
d) 機械装置及び構造部分の実際の形状と図面形状との違い,例えば,寸法公差及び組立公差の影響を考
慮しなければならない。ただし,これらの影響は,負荷される荷重によって生じる応力が規定の限界
値を超える可能性のある場合にだけ照査の計算に含めなければならない。
e) この規格を同じ使用条件下及び環境条件下で稼働する様々な形式のクレーンに適用する場合,損傷に
対して同等の強度を求めることが望ましい。

5.2 性能照査の計算方法

  構造設計又は性能照査の計算については,限界状態設計法による。
限界状態設計法は,荷重が組み合わされる前に,当該荷重を割増しするための部分荷重係数を用い,降
伏,座屈などの弾性不安定によって決まる限界値と比較する方法である。各々の荷重に関する部分荷重係
数を,荷重の確定に対する精度及び確率に基づいて定める。限界値は,構成部分の強度及び幾何学的形状
パラメータに対する統計的ばらつきを考慮して決める特性的強度である。この方法は,この規格がJIS B
8829及び/又は2次オーダーの弾性理論と一緒に適用される場合の前提条件である。
限界状態設計法の適用は,附属書Aによる。

――――― [JIS B 8833 pdf 5] ―――――

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  • ISO 8686-1:2012(MOD)

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