JIS B 8833-1:2022 クレーン―荷重及び荷重の組合せに関する設計原則―第1部:一般 | ページ 4

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の系のいずれかの部分に故障又は損傷が発生すると仮定しなければならない。
いずれの場合も,結果として生じる荷重は,力の伝達から生じる衝撃を考慮して,6.1.4によって決定す
る。
6.3.8 クレーン支持部の外部振動による荷重
クレーン支持部からの外部振動の例には,地震(地震荷重)又は波浪によって生じる振動がある。
このような振動による荷重は,その振動が重大なリスクを伴う場合に限り考慮しなければならない。
地震荷重は,JIS B 8842に従って計算する。

6.4 その他の荷重

6.4.1 組立,分解及び輸送時の荷重
組立及び分解工程の各段階で作用する荷重は,8.3 m/s以上の風速による荷重を含めて考慮しなければな
らない。JIS B 8833規格群の他の部において,これより高い値が規定されることもある。これらの荷重の
組合せは,7.2による。
輸送時に生じる荷重についても,考慮することが必要な場合がある。
6.4.2 作業床,通路などの上の荷重
部品そのもの及び直接の支持部材に作用する荷重は,局部荷重とみなす。この場合,次に示す荷重を考
慮しなければならない。
− 3 000 N : 材料などを置く床として使用する場合
− 1 500 N : 通路などだけに使用する場合
− 300 N以上 : 手すりの場合。場所及び使用条件に応じた値とする。

7 荷重の組合せの選択

7.1 基本的考え方

  通常操作中のクレーンに作用する応力を決定するために,弾性静力学計算で算出が可能となるように,
荷重の組合せをしなければならない。このためには,次の荷重の組合せとする。
a) クレーンへの荷重が工学的評価において,応力的に最も大きく又は不利となる大きさ,位置及び方向
に作用すると考え,最も不利な姿勢又は形態にあるものを想定する。
b) この規格に規定する値を乗じて荷重を組み合わせ,また,可能な場合には,実際の負荷をより正確に
反映した係数を乗じて荷重を組み合わせる。
基本的な荷重の組合せを表3に示す。一般的に,荷重の組合せAは定常荷重を,荷重の組合せBは定常
荷重と非定常荷重との組合せを,荷重の組合せCは定常荷重と非定常荷重と特殊荷重との組合せを対象と
している。
個々のクレーンの形式に適切な荷重の組合せは,表3及び7.2によらなければならない。

――――― [JIS B 8833 pdf 16] ―――――

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表3−荷重及び荷重の組合せ
1 2 3 4 5 6
荷重の組合せA 荷重の組合せB 荷重の組合せC 行
荷重の 部分荷 部分荷 部分荷 番
荷重,fi
種類 重係数 A1 A2 A3 A4 重係数 B1 B2 B3 B4 B5 重係数 C1 C2 C3 C4 C5 C6 C7 C8 C9 C10 C11 号
γp γp γp
クレーン構造物の質量
a) a) a)
による荷重(垂直静荷 1 1 1 − 1 1 1 − − 1 1 1 1 1 1 1 1 − − − 1
重)
つり荷の質量による荷
重力,加 1.34 2 3 1 − 1.22 2 3 1 − − 1.1 − η − 1 1 1 1 1 − − − 2
重(垂直動荷重)
速力及び
平たんでない場所を走
衝撃力
行する場合のクレーン
定常荷重 構造物の質量による荷 1.22 − − − 4 1.16 − − − 4 4 − − − − − − − − − − − − 3
(6.1参 重及びつり荷の質量に
照) よる荷重
クレーン構 巻上駆動
5 5 − 5 5 5 − 5 − − − 5 − − − − − − − − 4
造物の質量 を除く
駆動によ による荷重
1.34 1.22 1.1
る加減速 及びつり荷 巻上駆動
− − 5 − − − 5 − − − − − − − − − − − − − 5
の質量によ を含む
る荷重
b) b) b)
変位 6.1.5参照 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 − − − 6
作業中の風荷重 − − − − − 1.22 1 1 1 1 1 1.16 − − 1 − − − − − − − − 7
気象の影
非定常荷 雪及び氷による荷重 − − − − − 1.22 1 1 1 1 1 1.16 − 1 − − − − − − − − − 8

重(6.2参 温度変化による荷重 − − − − − 1.16 1 1 1 1 1 1.05 − 1 − − − − − − − − − 9
照) スキュー
(蛇行) 6.2.2参照 − − − − − 1.16 − − − − 1 − − − − − − − − − − − − 10
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――――― [JIS B 8833 pdf 17] ―――――

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B8
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表3−荷重及び荷重の組合せ(続き)
83
1 2 3 4 5 6
3-
1
荷重の組合せA 荷重の組合せB 荷重の組合せC 行
: 2
荷重の 部分荷 部分荷 部分荷 番
0
荷重,fi
2
種類 重係数 A1 A2 A3 A4 重係数 B1 B2 B3 B4 B5 重係数 C1 C2 C3 C4 C5 C6 C7 C8 C9 C10 C11 号
2
γp γp γp
地上に置かれた荷の巻上げによ
− − − − − − − − − − − 1.1 2 − − − − − − − − − − 11
る荷重
休止時の風荷重 − − − − − − − − − − − 1.16 − 1 − − − − − − − − − 12
試験荷重 − − − − − − − − − − − 1.1 − − 6 − − − − − − − − 13
− − − 7c) − − − − − −
緩衝器への衝突荷重 − − − − − − − − − − − 1.1 − 14
ティルティング(傾動)による荷
特殊荷重 − − − − − − − − − − − 1.1 − − − − 1 − − − − − − 15

(6.3参
非常停止による荷重 − − − − − − − − − − − 1.1 − − − − − 5 − − − − − 16
照)
装置の故障による荷重 − − − − − − − − − − − 1.1 − − − − − − 5 − − − − 17
クレーン支持部の外部振動によ
− − − − − − − − − − − 1.1 − − − − − − − 1 − − − 18
る荷重
過負荷防止の作動による荷重 − − − − − − − − − − − 1.1 − − − − − − − − 1 − − 19
意図しない取扱い荷重の喪失に
− − − − − − − − − − − 1.1 − − − − − − − − − 9 − 20
よる荷重
組立,分解及び輸送時の荷重 − − − − − − − − − − − 1.1 − − − − − − − − − − 1 21
抵抗係数γm(限界状態設計法) 1.1 − 1.1 − 1.1 − 22

――――― [JIS B 8833 pdf 18] ―――――

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表3−荷重及び荷重の組合せ(続き)
荷重の組合せの記号説明
A1,B1 : 通常作業時に,荷重巻上げ及び巻下げ(着地)を行う場合で,作業中の風荷重及び他の気象条件による荷重を含まない(A1)。通常作業時に,荷重巻上げ
及び巻下げ(着地)を行う場合で,作業中の風荷重及び他の気象条件による荷重を含む(B1)。通常,荷重は,加速,減速,負荷された又は無負荷のクレ
ーンの位置決め,両方向への移動の間の事象を反映するように組み合わさなければならない。地上に置かれた荷又はつり具を巻き上げる間,所定の通常
操作及び駆動装置の制御に従って,他の駆動(巻上駆動を除く。)によって生じる加減速駆動力の組合せだけを考慮しなければならない。
A2,B2 : 通常作業時に,突然つり荷の一部が落下した場合で,作業中の風荷重及び他の気象条件による荷重を含まない(A2)。通常作業時に,突然つり荷の一部が
落下した場合で,作業中の風荷重及び他の気象条件による荷重を含む(B2)。駆動力は,A1及びB1の場合と同じように組み合わせる。
A3,B3 : 通常作業時に,巻上げ中の荷重を加速する場合で,作業中の風荷重及び他の気象条件による荷重を含まない(A3)。通常作業時に,巻上げ中の荷重を加速
する場合で,作業中の風荷重及び他の気象条件による荷重を含む(B3)。その他の駆動力は,A1及びB1の場合と同じように組み合わせる。
A4,B4 : 通常作業時に,平たんでない面又は軌条上を走行する場合で,作業中の風荷重及び他の気象条件による荷重を含まない(A4)。通常作業時に,平たんでな
い面又は軌条上を走行する場合で,作業中の風荷重及び他の気象条件による荷重を含む(B4)。駆動力は,A1及びB1の場合と同じように組み合わせる。
B5 : 通常作業時に,平たんでない面を一定速度で走行及びスキュー(蛇行)の場合で,作業中の風荷重及び他の気象条件による荷重を含む。
C1 : 作業中に,表2bに該当する例外的な状況で地上に置かれた荷を巻き上げるクレーンの場合
C2 : 休止状態にあるクレーンの場合。この場合,休止時の風荷重及びその他の気象条件による荷重を含む。
C3 : クレーンの試験時の場合。駆動力は,A1及びB1の場合と同じように組み合わせる。
C4C8 : 荷をつったクレーンに,緩衝器への衝突荷重(C4),ティルティング(傾動)による荷重(C5),非常停止による荷重(C6),装置の故障による荷重(C7),
クレーン支持部の外部振動による荷重(C8)などの荷重が作用した場合
C9 : 過負荷防止の作動による荷重
C10 : 意図しない取扱い荷重の喪失によって生じる荷重
C11 : 組立,分解及び輸送時の荷重。7.2参照。
注a) 適用する部分荷重係数の値については,表4を参照。
注b) 変位による荷重に適用する部分荷重係数の値については,7.3.7を参照。
注c) 対応国際規格では2であったものを,緩衝器への衝突によって生じる弾性影響に関わる動的影響係数が6.3.3に規定されていることから7へ修正した。
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7.2 組立,分解及び輸送時の荷重の組合せ

  組立及び分解工程の各段階における荷重,及びその組合せを考慮しなければならない。それらの荷重及
びその組合せは,JIS B 8833規格群の第2部以降においてクレーンの形式ごとに定める。性能照査の計算
については,部材又は部品に大きな負荷がかかる段階ごとに行わなければならない。
輸送時に生じる荷重についても,考慮することが必要な場合がある。

7.3 表3の適用方法

7.3.1 一般
表3において,第2欄の行番号1行番号3の質量には自由落下の加速度gを乗じ,第2欄の行番号4
及び行番号5の質量には駆動による適切な加速度を乗じなければならない。この表に示す荷重,又は求め
られた荷重には,7.3.6によって該当する係数を乗じなければならない。
各荷重は,7.1に基づいて組み合わせなければならない。
7.3.2 限界状態設計法で使用する係数
各荷重に対しては,計算をモデルに適用する前に,荷重並びにその組合せA,B及びCに応じて部分荷
重係数γpを乗じなければならない。
部分荷重係数γpは,表3の第3欄,第4欄及び第5欄から選択する。
7.3.3 弾性変形
弾性変形によって,クレーンが所定の作業を行うのに適さなくなり,安定性に影響を及ぼす,又は機械
装置の動作が機能しなくなることもある。このような場合は,変形を性能照査の計算の一部にとり入れ,
また,必要に応じて所定の弾性限界値と比較しなければならない。
7.3.4 疲労強度の照査
疲労の影響を考慮しなければならない。疲労強度の照査が必要だと判明した場合には,7.1の規定に基づ
き,その確認を行う。一般的には,A1A4の定常荷重の組合せを考慮する。
作業中の風荷重,スキュー(蛇行)による荷重などの非定常荷重,及び試験荷重,クレーン支持部の外
部振動(例えば,波の影響)による荷重などの特殊荷重も考慮することが必要な場合がある。
7.3.5 危険度の高い用途でのリスク係数の適用
損傷による人的又は経済的影響が極めて大きくなる特別な事例,例えば,レードルクレーン,原子力関
連のクレーンなどでは,それぞれの用途に対する必要度に応じたリスク係数γn(>1)を用いることによっ
て,信頼性を高めるものとし,荷重には,リスク係数γnを乗じなければならない(附属書A参照)。
7.3.6 クレーン及びクレーン部品の質量
7.3.6.1 有利な及び不利な質量
所与の荷重の組合せ及びクレーンの姿勢における重力から荷重を計算するとき,クレーンの様々な部品
の質量は,検討対象の評価部位において荷重影響を増加させる(不利方向)か,又は減少させる(有利方

――――― [JIS B 8833 pdf 20] ―――――

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  • ISO 8686-1:2012(MOD)

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