JIS B 8833-1:2022 クレーン―荷重及び荷重の組合せに関する設計原則―第1部:一般 | ページ 5

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向)かのいずれかである。
同じ質量は,幾つかの姿勢では有利となり,他の姿勢では不利となってもよく,又はある荷重影響に対
しては有利となり,他の荷重影響に対しては不利となってもよい。これについて,タワークレーンにおけ
る説明を図6に示す。タワーに作用する曲げモーメントLについて,カウンタウェイトの質量は,荷をつ
り上げたときには有利となり,無負荷では不利となる。タワーに作用する圧縮力について,カウンタウェ
イトの質量は,両方の場合において不利となる。
a) 有利なカウンタウェイトの質量 b) 不利なカウンタウェイトの質量
記号説明
L : タワーに作用する曲げモーメント
mf : 有利方向に作用する質量
munf : 不利方向に作用する質量
図6−有利な及び不利な質量の説明
7.3.6.2 クレーン構造物の質量に関わる部分荷重係数(限界状態設計法)
部分荷重係数γpは,クレーン部品の質量の決定方法及び荷重影響の種類に応じて,表4から選択する。
有利な質量と不利な質量との両方をもつクレーンの一部(例えば,アンローダのガーダの全長,タワー
クレーンの上部旋回体)を,それぞれの荷重の組合せにおいて一つの部分荷重係数だけを割り当て,その
部分の重心に関連付けてもよい。
表4−部分荷重係数γpの値
クレーン部品の 表3による荷重の組合せ
質量及びその重 A B C
心の決定方法 不利 有利 不利 有利 不利 有利
計算による 1.22 0.95 1.16 0.97 1.10 1.00
計測による 1.16 1.00 1.10 1.00 1.05 1.00
特殊な条件 1.16 1.10 1.10 1.05 1.05 1.00
特殊な条件における係数は,次の両方の条件を満たせば適用してもよい。
a) クレーン部品の質量及びその重心は,計測によって決定される。
b) クレーン部品の有利な質量による合計荷重影響と,クレーン部品の不利な質量につり荷の質量を加え
た合計荷重影響の比率は,0.6未満でなければならない[式(8)参照]。

――――― [JIS B 8833 pdf 21] ―――――

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つり荷及びクレーン部品の質量の係数を乗じていない静的な値を使用する。
Lf
L 0.6 (8)
Lunf h
ここで, Lf : クレーン部品の有利な質量による静的な荷重影響
Lunf : クレーン部品の不利な質量による静的な荷重影響
Lh : つり荷の質量による静的な荷重影響
注記1 一般的に,有利な質量に関わる部分荷重係数は1を超えない。計算された荷重影響が過剰とな
る特殊な条件では,例外がある。不利な質量に関わる部分荷重係数の値は低減しない方がよい
ため,有利な質量に関わる部分荷重係数は1.0を超える人為的増加が許容されている。
注記2 式番号(8)について,対応国際規格では式番号(10)と記載されているが,対応国際規格に式(8)及
び式(9)の記載はない。そのため,この規格では式番号を変更した。
7.3.7 変位による荷重に適用する部分荷重係数
意図した変位が荷重影響を大きくするクレーンの部品については,プレストレスの過程及びそのパラメ
ータの不正確さに起因する変位の偏差を反映するために,表5に示す部分荷重係数の上限値及び下限値を
考慮しなければならない。
高力ボルトのプレストレスのように,隙間を埋めたり,又は摩擦力を引き起こすことによって,接合部
に圧縮力を生じさせるために意図した変位を局部的に適用する場合,部分荷重係数の同じ上限値及び下限
値を適用しなければならない。
表5−意図した変位による荷重に適用する部分荷重係数γpの値
部分荷重係数γpの値 表3による荷重の組合せ
A B C
上限値 1.10 1.05 1.00
下限値 0.90 0.95 1.00
クレーンに作用する荷重影響を大きくするような,意図しないが合理的に予見可能な任意の方向に作用
する弾性体又は剛体の変位は,荷重とみなし,表6に示す部分荷重係数によって増幅しなければならない。
一般的に,意図しない変位の方向は変化する場合があるため,全ての方向を考慮するのがよい。
表6−意図しない変位による荷重に適用する部分荷重係数γpの値
部分荷重 表3による荷重の組合せ
係数 A B C
γp 1.10 1.05 1.00

7.4 剛体安定性の照査のための部分荷重係数

  クレーンが剛体として安定であることを照査するために使用する部分荷重係数は,関連する荷重の組合
せA1,A2,B1,C2,C3,C4,C6,C8 1),C9,C10及びC11について,表7に示す。
注1) 対応国際規格ではC7であったものを,表7にはC7の記載がないためC8へ修正した。
これらの荷重の組合せにおいて,3と9とを除く動的影響係数iは1.0に設定しなければならない。3
の計算値が−0.1より大きい場合,3を−0.1に設定しなければならない。

――――― [JIS B 8833 pdf 22] ―――――

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クレーンの質量による転倒モーメントが支配的である場合,全体の荷重係数1.2を達成するために,よ
り高い部分荷重係数を適用することが推奨される。

――――― [JIS B 8833 pdf 23] ―――――

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B8
2
表7−剛体安定性の照査のための部分荷重係数
83
荷重の組
3
荷重の組合せA 荷重の組合せC
-
1
合せB
: 2
荷重の種類 荷重 fi i a) A1 A2 B1 C2 C3 C4 C6 C8 C9 C10 C11
02
S2 S1, S2 S1, S2 S1,
2
S1 S2 S1 S2 S1 S2 S1 S2 S1 S1 S1 S2 S1
S2 S2 S2
クレーン構造物
の質量による荷
1 1.1 1.05 1.1 1.05 1.1 1.05 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0
重(垂直静荷重),
不利方向
重力,加 クレーン構造物
速力及び の質量による荷
1 0.95 1.0 0.95 1.0 0.95 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0
衝撃力 重(垂直静荷重),
有利方向
つり荷の質量に
定常荷重
よる荷重(垂直 2 1.34 1.22 1.0 1.0 1.22 1.1 1.0 1.0 − − 1.0 b) 1.1 1.05 1.0 1.0 b) 1.0 b) −− −
動荷重)
クレーン構造物
の質量による荷
駆動によ 重及びつり荷の
5 1.34 1.22 1.34 1.22 1.22 1.1 − − 1.1 1.0 − − − − − − − − −
る加減速 質量による荷
重,巻上駆動を
含む。
変位 6 1.1 1.1 1.1 1.1 1.05 1.05 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 − 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0
作業中の風荷重 7 − − − − 1.22 1.16 − − 1.0 1.0 − − − − 1.16 1.1 1.16 1.1 −
気象の影
非定常荷重 雪及び氷による
響 8 − − − − 1.22 1.22 − − − − − − − − − − − − −
荷重

――――― [JIS B 8833 pdf 24] ―――――

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表7−剛体安定性の照査のための部分荷重係数(続き)
荷重の組
荷重の組合せA 荷重の組合せC
合せB
荷重の種類 荷重 fi i a) A1 A2 B1 C2 C3 C4 C6 C8 C9 C10 C11
S1, S1, S1,
S1 S2 S1 S2 S1 S2 S1 S2 S1 S2 S1 S2 S1 S2 S1 S2
S2 S2 S2
休止時の風荷重 12 − − − − − − 1.16 1.1 − − − − − − − − − − −
試験荷重 13 − − − − − − − − 1.16 1.1 − − − − − − − − −
緩衝器への衝突荷重 14 − − − − − − − − − − 1.1 − − − − − − − −
非常停止による荷重 16 − − − − − − − − − − − 1.1 1.1 − − − − − −
クレーン支持部の外部振動
18 − − − − − − − − − − − − − 1.0 − − − − −
による荷重
特殊荷重
過負荷防止の作動による荷
19 − − − − − − − − − − − − − − 1.0 1.0 − − −

意図しない取扱い荷重の喪
20 − − − − − − − − − − − − − − − − 1.0 1.0 −
失による荷重
組立,分解及び輸送時の荷
21 − − − − − − − − − − − − − − − − − − 1.1

S1,S2は安定性等級である。
安定性等級S1の列に規定されている部分荷重係数は,あらゆる種類のクレーンに適用可能である。
安定性等級S2の列に規定されている部分荷重係数は,次の全ての条件を満たすクレーンにだけ適用してもよい。
a) クレーンを支持する地面は,意図しない大きな変位を起こすことなく,又は安定性に及ぼす影響を考慮することなく,支持力に確実に耐えることが可能
なことが証明されている。これは,支持部(剛体運動を引き起こさないもの)が無負荷になり,他の支持部で最大の力を引き起こす場合においても証明
される。
b) クレーン操作者に事前に警告し,最終的に,任意の姿勢,位置及び負荷の状況において,剛体の不安定状態に近づいた場合に,任意の動作を停止する荷
重指示装置及び制限装置を装備している。
c) 関連する質量及びその重心は,±2.5 %の範囲を満足しなければならない。
d) クレーン並びにその指示装置及び制限装置に精通している有能なクレーン操作者によって操作されるクレーン
注a) 表3の行番号と対応する。
注b) 不利方向となる場合にだけ適用する。
B8 833-
1 : 2022
2

――――― [JIS B 8833 pdf 25] ―――――

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  • ISO 8686-1:2012(MOD)

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