JIS B 8833-1:2022 クレーン―荷重及び荷重の組合せに関する設計原則―第1部:一般 | ページ 6

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B 8833-1 : 2022
附属書A
(規定)
限界状態設計法の適用
A.1 一般
性能照査の計算において考慮すべき荷重及び荷重の組合せの決定に関して,この規格は限界状態設計法
に基づくものである。荷重と応力との関係が非線形である場合(2次オーダーの弾性理論を適用する場合)
には,限界状態設計法を適用する。
注記 JIS B 8829は,限界状態の値を示しているが,許容応力の値は示されていない。
A.2 限界状態設計法
個別に明示された又は特有の荷重fiを計算し,必要に応じて,該当する係数及び部分荷重係数γpを乗
じる。次に,考慮対象となる荷重を組み合せて,組合せ荷重Fjを求める。個々の荷重に関する係数及び
部分荷重係数γpは,表3及び表7による。
必要な場合は,組合せ荷重Fjにリスク係数γn(7.3.5参照)を適用して設計荷重γnFjを求める。荷重影響
Skは,設計荷重から決定する。荷重がある部材又は部品にかかることによって生じる応力σ1lを計算し,適
切な荷重係数を用いて計算した局部的な応力σ2lと組み合わせる。
その結果によって求められた設計応力σlを,該当する限界値lim σと比較する。
限界状態設計法の流れを示すフローチャートを,図A.1に示す。
記号説明
fi : 部材又は部品にかかる荷重
Fj : 部分荷重係数及びリスク係数を乗じた荷重fiの組合せ荷重
Sk : 組合せ荷重Fjによる部材又は支持部分任意の断面kに働く荷重影響(例えば,内力,モーメント)
σ1l : 荷重影響Skによってある部材lに生じる応力
σ2l : ある部材lに生じる局部的な応力
σl : ある部材lに適用する設計応力
R : 降伏点,座屈限界又は疲労強度(限界値)の応力のような,材料,特定の部品又は継手の規定の強度
若しくは耐力
lim σ : 設計限界応力
γp : それぞれの荷重の組合せによって,各荷重に適用される部分荷重係数
γn : リスク係数(該当する場合)
γm : 抵抗係数
ここに示したように,応力と比較を行う代わりに,力,モーメント,たわみなどの比較を行ってもよい。
注記 限界状態設計法に関する一般的な説明は,ISO 2394を参照。
図A.1−限界状態設計法の代表的なフローチャート

――――― [JIS B 8833 pdf 26] ―――――

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附属書B
(参考)
動的影響係数の適用に関する一般的な説明
一般的に,各種の荷重(箇条6参照)によって引き起こされる動的変動は,質量に作用する重力と剛体
の運動による慣性力とに,動的影響係数を乗じることによって求められる(図B.1参照)。
荷重の変化及び動的な応答を係数では決められない場合は,弾性動力学解析又は実験を行わなければ
ならない。ただし,これらの影響が無視できるほど小さいことが経験上判明している場合は,この限りで
はない。
a) 動的影響係数に含まれる荷重影響の例 b) 動的影響係数には含まれない荷重影響の例
記号説明
1 : 静的軸力
2 : 振動によって加わる曲げ
図B.1−動的影響係数の適用

――――― [JIS B 8833 pdf 27] ―――――

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附属書C
(参考)
軌条上を走行するクレーンの動的影響係数4の値を計算するための
モデルの例
C.1 一般
段差又は隙間のある軌条(6.1.3.2参照)上を走行又は横行することによって生じる動荷重は,適切な弾
性動力学のモデルを用いて計算してもよい。軌条上の段差又は隙間を表現するには,変動関数を用いても
よい。
C.2 弾性動力学モデル
C.2.1 一般
この例では,単純なモデルを用いて,系に作用する外力によってクレーンに生じる動荷重を評価する。
一定速度v(m/s)で,水平に移動する単一質量m(kg)が,ばね定数c(N/m)の線形弾性ばねによって
支えられ,軌条上を走行する(図C.1参照)。
変動関数h(t)(単位 : m)及び座標z(t)(単位 : m)を用いて,ばねに支えられた質量の位置を示すと,
ばね内の動的な力は,F(t)=c[h(t)−z(t) ](N)という式から求まる。
最大力Fmaxは,応答時間内で式F(t)の最大値で与えられる。最大力は,系に作用する励振時間内又はそ
の後に発生する。
図C.1−動的影響係数4を決定するためのモデル
C.2.2 段差又は隙間の上を通過するときの車輪中心の動き
段差又は隙間の上を通過するときの車輪中心の動き,及びそれに対応する式を図C.2に示す。

――――― [JIS B 8833 pdf 28] ―――――

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eG2
eS 2rhS (hS≪r) hG eG r
8r
a) 段差の上を通過する場合 b) 隙間の上を通過する場合
記号説明
r : クレーン走行車輪の半径
hS : 軌条の段差(高さ)
eG : 軌条の隙間(幅)
図C.2−車輪中心の動き
C.2.3 弾性動力学モデルの励振に関する近似変動関数
弾性動力学モデルの励振に関する近似変動関数h(t)を図C.3に示し,対応する計算式を,C.2.4に記載す
る。
hS1cosΩ hG1cosΩ
ht t ht t
2 2
ここで, Ω·tS=π ここで, Ω·tG=2π
a) 段差の上を通過する場合 b) 隙間の上を通過する場合
図C.3−変動関数h(t)
C.2.4 垂直方向の最大加速
C.2.4.1 ばねの下端
一定速度で段差又は隙間の上を通過するときのばねの下端における垂直方向の最大加速度h 次の式
によって求める。
2
hS hG π v2
h Ω2 Ω2
2 2 2 r
この式の記号hS,hG,Ω,v及びrは,図C.2及び図C.3による。

――――― [JIS B 8833 pdf 29] ―――――

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B 8833-1 : 2022
C.2.4.2 段差の上を通過する質量
質量mが段差の上を通過するときの垂直方向の最大加速度z 次の式によって求める。
zh
S S
この式のαSは,次の式によって求める。
h 2r
S
πvhS
ここで, cm/ (弾性動力学モデルにおける固有振動数)
C.2.4.3 隙間の上を通過する質量
質量mが隙間の上を通過するときの垂直方向の最大加速度z 次の式によって求める。
zh
G G
この式のαGは,次の式によって求める。
eG
G
2πv
C.2.5 係数ξS及びξG
図C.4では,係数に関するξS(αS)及びξG(αG)の曲線の放物線形の変動関数(par)並びに従来導入さ
れていた余弦波の変動関数(cos)の曲線を比較している。括弧内の数字[(1)又は(2)]は,係数ξの有効な
区間を示している。区間(1)はtS及びtGの時間帯で,区間(2)はその後の応答時間である。
段差又は隙間の両方の振動について,α≦1.3に対する,ξS又はξGの最大値は,車輪が非平たん部分を通
過した後の区間(2)で余弦波の変動関数[cos(2)]で発生することが判明している。
この場合,次の式を用いて,係数の値を計算で決定してもよい。
2 2
S G
S 2
22cosπ S 又は G 2
22cos2π G
1 S 1 G

――――― [JIS B 8833 pdf 30] ―――――

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JIS B 8833-1:2022の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 8686-1:2012(MOD)

JIS B 8833-1:2022の国際規格 ICS 分類一覧

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