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B 8833-1 : 2022
附属書E
(参考)
スキュー(蛇行)による荷重の解析方法の例
E.1 クレーンのモデル
クレーンのスキュー(蛇行)(6.2.2参照)によって生じる車輪と軌条との間の力と同様に,そのガイド
装置に生じる接線方向の力を計算するためには,単純な走行系のモデルが必要である。クレーンは,スキ
ュー(蛇行)防止の制御はなく,一定速度で走行する場合を考える。
このモデルは,横方向に一直線上に並んだn対の車輪からなり,そのうちp対の車輪は連結されている。
車輪は独立したi対のものがあり,結合(機械的又は電気的な手段によって得られる同じ回転速度)の場
合(C)と,お互いが別々に独立して取り付けられている場合(I)とがある。独立単一駆動の場合は,後
者に当てはまる。
各車輪は,剛性のある軌道上を走行する剛性のあるクレーン構造に,幾何学的に理想的な位置に配置さ
れる。このモデルでは,車輪径の誤差は無視している。これらの車輪の横方向の動きは,固定されている
場合(F)と移動可能な場合(M)とがある。横方向の自由度は,例えば,揺脚などで与えることが可能で
ある。
横方向に一直線上にある一対をなす車輪の各種組合せを,表E.1に示す。
表E.1−各種車輪の組合せ
車輪の動き 結合車輪(C) 独立車輪(I)
CFF IFF
固定·固定(F·F)
CFM IFM
固定·可動(F·M)
図E.1には,走行クレーン前面のガイド装置の位置から各車輪までの位置を,距離diで示している。
荷をつったクレーンの質量による荷重(mg)は,軌条1からμlの距離で作用し,クレーンのランウエイ
の両側の車輪nに等しく分配されると仮定した。
――――― [JIS B 8833 pdf 41] ―――――
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B 8833-1 : 2022
記号説明
1 : ガイド装置 5 : 車輪対i
2 : 走行方向 6 : 車輪対n
3 : 車輪対1 7 : 軌条1
4 : 車輪対2 8 : 軌条2
μ'l : 軌条2から荷をつったクレーンの質量による荷重までの距離
注記 外部のガイド装置の代わりにフランジ付き車輪を用いる場合は,d1=0となる。
図E.1−車輪対の位置
E.2 接線力と変位との関係
まず最初に,接線力及び車輪と軌条との間に発生する変位との関係を想定しなければならない。車輪は
駆動モーメント を軌条に伝達し,車輪の縦方向及び横方向の滑り
My x,
uuuはクレーンとランウエイ
y
によって拘束されているので,これに対応する接線力
x,
FFがクレーンに作用する(図E.2参照)。
y
――――― [JIS B 8833 pdf 42] ―――――
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B 8833-1 : 2022
記号説明
u : 滑り距離
rψ : 回転距離
図E.2−接線力及び変位
一般的に,滑りの距離 uu,自由回転距離rψ,車輪荷重Fz及び接線力
x, y x,
FFとの間には,次のよう
y
な関係が存在する。
Fx fssp
x x,y, c , 表面状態 Fz
Fy fssp
y x,y, c , 表面状態 Fz
回転車輪 の摩擦係数は,スリップ,すなわち,滑りと自由回転距離との関係 ur
x/
x,
ff y sx 及び
sy ur
y/ ,車輪の軌条への接触圧 cp,及び軌条の表面状態に左右される。この計算を単純化するた
めに,次の経験に基づく関係式を使用してもよい。
250sx
fx 0 1e sx 0.015
≦ の場合
250sy
fy 0 1e sy 0.015
≦ の場合
――――― [JIS B 8833 pdf 43] ―――――
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B 8833-1 : 2022
ここで,粘着係数は,
μ0=0.3 : きれいな状態に保たれた軌条の場合
μ0=0.2 : 通常操作及び環境下の軌条の場合
E.3 スキュー(蛇行)による荷重
E.3.1 一般
図E.3に示すとおり,このクレーンモデルは一定の速度で走行し,αの角度までスキュー(蛇行)した
と仮定する。このクレーンは,外部の装置又は車輪フランジによって水平方向にガイドされる。
記号説明
1 : 動作方向 5 : 滑り回転軸
2 : 軌条の方向 6 : 軌条1
3 : 車輪対i 7 : 横滑り
4 : 軌条2 8 : ガイド装置
図E.3−スキュー(蛇行)状態のクレーンに作用する荷重
スキューの角度αは0.015以下とするのがよく,ある程度の寸法的な変動を考慮に入れたガイド装置と
軌条との間隔,クレーンの車輪と軌条との摩耗などを考慮に入れた上で決定するのがよい。スキューの角
度( g t w )は,表E.2から選択してもよい。
――――― [JIS B 8833 pdf 44] ―――――
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B 8833-1 : 2022
表E.2−スキューの角度α
記号 スキューの角度 フランジ付き車輪 ガイドローラ
4
g s≦
sg min / wb
g sg minのとき
3
軌道の隙間sg
4
αg g g /
0.75sw b sg sg minのとき
3
クレーン走行 10 mm
sg≧sg min 5 mm
sg≧sg min
トロリ横行 4 mm
sg≧sg min 2 mm
sg≧sg min
αt 許容差(車輪のアライメント,軌条の真直度) t 0.001 rad
αw 摩耗 w h /
0.1bw b w 0.03bw
h /b
記号説明
wb : ホイールベース(すなわち,ガイドローラの間隔,又は最初の車輪と最後の車輪との間隔)
bh : 軌条の踏面幅
sg min : 計算のための軌道の最小隙間
ガイド力Fyは,一時的なクレーンの滑りの回転軸の周りの回転によって生じる車輪の接線力Fx1i,Fy1i,
Fx2i及びFy2iと釣り合う。ガイド装置における最大横滑りをys とし,ガイド装置と一時的な滑りの回転
軸との間の横滑りyisが線形分布をしているとすると,このスキュー(蛇行)による荷重は,E.3.2及びE.3.3
に従って計算することが可能である。
E.3.2 一時的な滑りの回転軸とガイド装置との距離h
(F·Fの方式の場合) h p l2 di2/ di
(F·Mの方式の場合) h pl2 di2/ di
ここで, p : 連結した車輪対の数
μ,μ' : スパンlの割合(図E.1参照)
l : クレーンのスパン
di : ガイド装置から車輪対iまでの距離
E.3.3 ガイド力Fy
Fy fmg
ここで, v : 1 i /
dnh (F·Fの方式の場合)
' 1 i /
dnh (F·Mの方式の場合)
f : 01e 250
α : ≦0.015 rad
mg : 荷をつったクレーンの質量に重力が作用したときの荷重
注記 フランジ付き車輪に作用するガイド力は,D.8に示すように,クレーンの端部に集めた車輪間に
分配させることが可能である。
E.4 接線力Fx及びFy
Fx1i 1ifmg
Fx2i fmg
2i
Fy1i 1ifmg
――――― [JIS B 8833 pdf 45] ―――――
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JIS B 8833-1:2022の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 8686-1:2012(MOD)
JIS B 8833-1:2022の国際規格 ICS 分類一覧
JIS B 8833-1:2022の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0146-1:2017
- クレーン―用語―第1部:一般
- JISB0146-2:2017
- クレーン―用語―第2部:移動式クレーン
- JISB0146-3:2012
- クレーン用語―第3部:タワークレーン
- JISB0146-5:2012
- クレーン用語―第5部:天井走行クレーン及び橋形クレーン
- JISB8829:2018
- クレーン―鋼構造部分の性能照査
- JISB8830:2001
- クレーン―風荷重の評価
- JISB8842:2020
- クレーン―耐震設計に関する原則