JIS B 8842:2020 クレーン―耐震設計に関する原則 | ページ 3

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*
図2−基本加速度応答倍率 3β(クレーン構造物の固有周期又は固有振動数及び
クレーン設置場所の地盤種別による。)
5.2.4.3 減衰比の違いを考慮した加速度応答倍率の補正係数η
式(4)に示す減衰比の違いを考慮した加速度応答倍率の補正係数ηは,クレーン構造物の減衰比ζによっ
て表3から求める。
表3−減衰比の違いを考慮した加速度応答倍率の補正係数η
減衰比ζ 0.01 0.015 0.02 0.025 0.03 0.04 0.05 0.1
η 1.24 1.15 1.06 1.0 0.94 0.87 0.80 0.62
部材の応力が弾性限度内にある構造物の減衰比の代表的な値は,溶接構造物に対してζ=0.025,ボルト
接合に対してζ=0.04,溶接とボルトとの組合せ構造に対してζ=0.03である。部材が弾性限界に近い応力
で使われる場合は,減衰比を割増してもよい。
減衰比は,次の方法によって得てもよい。
a) 計測
b) 構造部材の非線形挙動又は摩擦接合部の摩擦力変位関係のヒステリシス評価
5.2.4.4 支持構造物による応答増幅率δ
支持構造物上で運転されるクレーンの場合,δは,式(5)から求める。ただし,地表面又は地表面に敷か
れたレール上で運転されるクレーンの支持構造物[建築物,ふ(埠)頭,岸壁など]による応答増幅率を
求める場合,δ=1とする。

――――― [JIS B 8842 pdf 11] ―――――

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2
1
.071 ≧1 (5)
2 2 2
1
ここに, λ : 表4で与えられるクレーン構造物と支持構造物との固有
周期比に関する係数
κ : 図3で与えられるクレーン構造物と支持構造物との相互
作用における減衰効果に関する係数であり,図3のζは,
クレーン構造物の減衰比(5.2.4.3参照)を示す。
表4−クレーン構造物と支持構造物との固有周期比に関する係数λ
固有周期比 λ
2
1.8 TT
c p
Tc/Tp≦0.9 1 1 2 2
Tc 0.81 Tp
0.9 2
2.2 TT
c p
Tc/Tp>1.1 1 1
Tc2 1.21 Tp2
ここに,
mc
: クレーン構造物とクレーンを含む支持構造物との質量比
mc ms
mc : クレーン構造物全体の質量
ms : 支持構造物全体の質量
Tc : 支持構造物を剛体とした場合のクレーン構造物の固有周期
Tp : クレーン構造物を剛体とした場合の支持構造物の固有周期

――――― [JIS B 8842 pdf 12] ―――――

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κ
クレーン構造物の減衰比 ζ
図3−係数κと減衰比ζとの関係
減衰比をζ=0.025とし,クレーン構造物とクレーンを含む支持構造物との質量比θをパラメータとした
場合の,支持構造物による応答増幅率δの固有周期比に対する変化を図4に示す。クレーン構造物の固有
周期が支持構造物の固有周期に近接し,かつ,支持構造物の質量がクレーンの質量より相当大きな場合,δ
は大きくなる。
なお,垂直方向に十分な剛性がある支持構造物では,一般に支持構造物の垂直方向の固有周期が短いた
め,水平方向ほど地震動が増幅されない。

――――― [JIS B 8842 pdf 13] ―――――

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図4−式(5)によるδのTc/Tpによる変化

5.3 設計垂直震度KVの計算

  設計垂直震度KVは,式(6)から求める。
KV=c×KH (6)
ここに, c : 垂直震度影響係数
ただし,この規格では0.5とする(附属書F参照)。
KH : 式(1)の設計水平震度
ただし,KV用にKHを算出する場合の支持構造物による
応答増幅率は,δ=1を用いる(図4参照)。

5.4 地震設計荷重の計算

5.4.1 設計地震加速度の計算
設計水平地震加速度aH及び設計垂直地震加速度aVは,式(7)及び式(8)によって,設計水平震度KH及び
設計垂直震度KVから求める。
aH=KH×g (7)
aV=KV×g (8)
5.4.2 地震設計荷重の計算
クレーン構造物又はクレーン構造部材に働く水平地震設計荷重FH,及び垂直地震設計荷重FVは,式(9)
及び式(10)から求める。
FH=KH×Wc 又は FH=aH×mc (9)
FV=KV×Wc 又は FV=aV×mc (10)
ここに, Wc : クレーン構造物の質量による荷重(垂直静荷重)
mc : クレーン構造物の質量
つり荷による地震設計荷重は,水平及び垂直それぞれ式(10)及び式(11)から求める。水平地震設計荷重が

――――― [JIS B 8842 pdf 14] ―――――

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省略可能であるとしても,垂直地震設計荷重は考慮する必要がある。
FRH=KH×χ×WR 又は FRH=aH×χ×mR (11)
FRV=KV×χ×WR 又は FRV=aV×χ×mR (12)
ここに, χ : つり荷への地震の影響係数
WR : クレーンのつり荷の質量による荷重(垂直動荷重)
mR : つり荷の質量
χは0.01.0の範囲で,JIS B 8822-1のクレーン分類に従って選択する。χの値は,表5によって選択す
る。
表5−つり荷への地震の影響係数χ
クレーン分類
A1 A2 A3 A4 A5 A6 A7 A8
(JIS B 8822-1)
χ 0.0 0.14 0.28 0.43 0.57 0.71 0.86 1.0
リスク係数γnを考慮した水平地震設計荷重FHr,垂直地震設計荷重FVr並びにつり荷による地震設計荷重
のFRHr,及びFRVrは,式(13)式(16)から求める。
なお,リスク係数の考え方については,附属書JCに示す。
FHr=FH×γn (13)
FVr=FV×γn (14)
FRHr=FRH×γn (15)
FRVr=FRV×γn (16)

6 応答スペクトル法による地震設計荷重の算定

6.1 一般

  応答スペクトル法は,クレーン構造物を多自由度系とみなしたモデルの,地震応答に関係する振動数範
囲における複数の振動モードを包含した範囲で,クレーンの地震応答を計算する方法である。
実際のクレーン構造物は無限な自由度をもつが,FEMなどの認知された方法によって,多自由度系の質
点−ばねモデル法を使った有限な自由度の動的システムに離散化して,クレーンの主要な振動特性を得る
ことから応答計算を開始する。
構築したモデルを固有値解析することによって,各次の固有周期又は固有振動数,振動モードの形状及
び振動モードの刺激係数を計算する。
クレーン構造物の応答は,通常,3方向(垂直1方向及び水平直交2方向)別々に計算し,各次の固有
振動モード応答は,固有振動モードの振動数又は周期,減衰,及び有効振動モード質量に対応した応答ス
ペクトルから得られる最大応答加速度又は変位として計算する。
この規格では,垂直応答スペクトルは水平応答スペクトルの50 %として計算する。水平直交2方向のス
ペクトルが異なる場合は,大きい方の値から垂直応答スペクトルを計算する。ただし,支持構造物上のク
レーン構造物にあっては,δ=1として垂直応答スペクトルを計算する。
3方向それぞれの応答は,次の認められた方法によって,各次の固有振動モード応答を重ね合わせて得

――――― [JIS B 8842 pdf 15] ―――――

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JIS B 8842:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 11031:2016(MOD)

JIS B 8842:2020の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 8842:2020の関連規格と引用規格一覧