JIS B 8842:2020 クレーン―耐震設計に関する原則 | ページ 5

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B 8842 : 2020
附属書B
(規定)
設計加速度
基本水平震度Abgは,クレーンが設置されている地域の地震発生評価に基づき決定する。ISO 11031:2016 1)
における基本水平震度Abgは,再現期間475年に基づく。これは50年10 %の発生確率(1年に0.2 %)に
一致する。
この規格では,基本水平震度Abgにfconを乗じて再現期間72年相当の水平震度に変換することを念頭に,
地震発生度が相対的に低い地域の水平震度が極端に小さくなることがないように配慮した。すなわち,再
現期間475年相当の基本水平震度AbgをSA地域及びA地域で定め,B地域及びC地域のAbgをA地域の
それぞれ0.9倍及び0.8倍となるように設定した。Abgの分布を図B.1に,地域区分ごとのAbgの値を表B.1
に示す。
なお,地表面の基本震度Asgは,地盤種別補正係数β2(表2)をAbgに乗じた値である。
注1) 日本以外の各国のAbgは,ISO 11031のAnnex B(Design accelerations and seismic zones)を参照。
地域C 地域A
地域B 地域SA
図B.1−日本の地域区分

――――― [JIS B 8842 pdf 21] ―――――

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表B.1−日本の基本水平震度
地域区分 基本水平震度
Abg
SA 0.45
A 0.36
B 0.33
C 0.29

――――― [JIS B 8842 pdf 22] ―――――

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附属書C
(参考)
応答スペクトル法
応答スペクトル法による地震設計荷重の算定のステップを,表C.1に示す。
表C.1−応答スペクトル法を用いた一方向の地震応答の手法[“resp(dir)”の算出]
ステップ1−振動モード,固有周期又は振動数の計算
部材を多質点によって
振動モード1 振動モード2 振動モード3
モデル化
ステップ2−選択した固有振動モードについて検討する方向の応答スペクトルから地震による基本加速度応
答倍率の決定
β3(T)*
β3(T3)*
β3(T2)*
β3(T1)*
T3 T2 T1 T
ステップ3−選択した固有振動モードについて全節点の地震設計荷重Fjiの計算
Fj1 Fj2 Fj3
振動モード1のときの節点jの 振動モード2のときの節点jの 振動モード3のときの節点jの
地震設計荷重 地震設計荷重 地震設計荷重
注記 選択した固有振動モードについて,全ての節点の地震設計荷重は刺激係数及び固有振動モードの応答ス
ペクトルを用いて計算する。

――――― [JIS B 8842 pdf 23] ―――――

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表C.1−応答スペクトル法を用いた一方向の地震応答の手法[“resp(dir)”の算出](続き)
ステップ4−選択した固有振動モードiについて全節点jにおける部材の応力Nji(軸力),Vji(せん断力)及
びMji(曲げモーメント)の各振動モード成分を計算
例 重要であるとして選択した固有振動モード1,2及び3の節点jにおける曲げモーメントの固有振動モー
ド MZL ,,,
jxi が重要であるとして選択した方向の地震による場合
MZL,,,1
jx MZL,,,2
jx MZL,,,3
jx
固有振動モード1のときの節点j 固有振動モード2のときの節点j 固有振動モード3のときの節点j
における断面の局所軸ZL回りの における断面の局所軸ZL回りの における断面の局所軸ZL回りの
曲げモーメント 曲げモーメント 曲げモーメント
(地震設計荷重方向x) (地震設計荷重方向x) (地震設計荷重方向x)
ステップ5−選択した全ての固有振動モードiについて必要な全ての節点jにおけるステップ4によって計算
した応力N,V及びMによる地震応答resp(dir)(応力,変位)の計算
例 重要であるとして選択した節点jの断面における局所軸ZL回りの曲げモーメントによる曲げ応力
bZ (地震設計荷重方向x)
1 ,,
, L , jxi
respx
1 bZ 1 ,,1
, L, jx respx
2 bZ
, L, jx
1 ,,2
respx
3 , L, jx
bZ 1 ,,3
節点j1の固有振動モード1のとき 節点j1の固有振動モード2のとき 節点j1の固有振動モード3のとき
の節点jにおける局所軸ZLに関す の節点jにおける局所軸ZLに関す の節点jにおける局所軸ZLに関す
る曲げモーメントによる応力 る曲げモーメントによる応力 る曲げモーメントによる応力
(地震設計荷重方向x) (地震設計荷重方向x) (地震設計荷重方向x)
ステップ6−地震設計荷重方向に対する要素部材の地震応答の総和(TSR)を選択した全ての固有振動モード
についてSRSSによって合計する(全ての節点の応力,変位)。
2 2 2
respdir
t respdir
1 respdir
2 respdir
3
例 地震設計荷重方向xによる節点j1の曲げ応力の合計
bZ 1 , は固有振動モード1,2及び3についてステッ
, L, jx
プ5で計算した局所軸ZL回りの曲げモーメントによる応力を合計する。
2 2 2
, L ,,
bZ jx
1 bZ jx
, L ,,,1
1 bZjx , L ,,,3
bZ
, L, 1 ,,2 jx
1

――――― [JIS B 8842 pdf 24] ―――――

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附属書D
(参考)
時刻歴応答法と応答スペクトル法·修正震度法との比較
D.1 一般
時刻歴応答法は,耐震設計について非常に詳細な評価が必要とされる場合,又は非線形挙動が許容され
る場合に,地震設計荷重の計算のための修正震度法及び応答スペクトル法に代わるものとして用いられる。
時刻歴応答法は,非常に詳細な方法だが,入力として使用する地震動は特定の時刻歴入力波形となる。
考慮中のクレーンに多かれ少なかれ影響する一つの応答スペクトルからスペクトル適合波と呼ばれる複数
の時刻歴入力波形を生成することができるので,同一の応答スペクトル曲線となる,少なくとも二つ,で
きれば三つの統計的に独立した時刻歴入力波形が使用されることが重要であり,そうでなければ信頼性に
欠ける結果を招く可能性がある。クレーン設置場所の震源及び地盤特性を考慮したサイトごとに設定され
る地震波を用いる場合も,想定する断層及び地盤特性を十分に調査する必要がある。
時刻歴応答法を,修正震度法及び応答スペクトル法と比較して表D.1に示す。
表D.1−地震応答解析3方法の特徴
応答解析方法 複雑さ 構造解析の範囲 地震による加速 地震設計荷重の 応答の特徴
難しさ 度の詳しさ 詳しさ
扱いやすく簡単, クレーンの固有
コンピュータの 周期/振動数か
近似だが安全側
修正震度法 使用が推奨され 弾性範囲で線形 近似 らの応答スペク
を目指す
るが必須ではな トル及び推定値
い に依存
より詳細ではあ より詳細ではあ
応答スペクトル より複雑でコン るが,地震設計荷
るが,地震加速度
使用する応答ス
法(箇条6及び附 ピュータの使用 弾性範囲で線形 の最大値だけを 重とクレーン応
ペクトルによる
属書C参照) が要求される 使用する方法の 答の上限推定値
限界内 しか得られない
地震動による地
実際的な地震動
複雑でコンピュ 震設計荷重に対
時刻歴応答法 を入力に使用し
弾性,塑性,線形, 使用する地震波
ータの使用が必 するクレーン応
(D.2参照) 非線形 た詳細なシミュ による
須 答の詳細なシミ
レーション
ュレーション
D.2 時刻歴応答法による地震応答
地震の加速度波形は,過去に発生した地震の記録又は人工的若しくはシミュレーションによって合成し
たものである。観測地震波は,過去の実際の地震波の観測記録である。
人工的な加速度波形は,次の二つの方法から作成される。一つは,地盤の最大加速度の設計値と加速度
波形の持続時間との関係を示す応答スペクトルに合わせて作られるスペクトル適合地震波であり,もう一
つは断層破壊の物理的過程をシミュレートする模擬地震波である。この場合,指定された方向の地震入力
として使用しなければならないこともある。
加速度波形は,震源の物理的シミュレートを用いて作られる。異なる加速度波形を異なった方向の地震
入力用として使用しなければならないことがある。

――――― [JIS B 8842 pdf 25] ―――――

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JIS B 8842:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 11031:2016(MOD)

JIS B 8842:2020の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 8842:2020の関連規格と引用規格一覧