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B 8842 : 2020
時刻歴応答法には,次の二つのオプションが利用可能である。
a) 直接時間積分法は,離散化されたクレーンモデルの運動方程式の直接時間積分によって時刻歴応答を
求める方法である。この方法は全ての非線形特性を扱うことができるが,計算の複雑さによる計算機
及び解析エンジニアの負担が大きくなる。
b) モード重ね合せ法は,固有値解析から選択した固有振動モード形状ごとのステップバイステップの積
分値を求めそれを重ね合わせて,地震応答の時刻歴とする。これは,直接時間積分法よりも簡便であ
るが,非線形性の取扱い能力には限界がある。
時刻歴応答法に基づく水平一方向の地震応答解析の主要なステップを,表D.2に示す。
表D.2−時刻歴応答解析のステップ(一方向)
ステップ1 クレーン構造物のモデル化。FEMなどによって質点−ばねモデルとする。
ステップ2 入力する地震動の選択。地震の加速度波形(人工波,記録波又はシミュレート波)を用いる。
Y
X
ステップ3 クレーン応答の計算。これは地震動と他の非地震設計荷重,例えばクレーンの質量による荷重
(垂直静荷重),つり荷の質量による荷重(垂直動荷重)を入力とし,時間領域でシステム方程式の時間ステ
ップごとに積分される時間変化に伴う節点加速度に関係する。
Y
X
ステップ4 構造部材の節点における時間変化に伴う変位及び応力の計算並びに最大値の算出。
1 : 最大加速度,2 : 最大せん断力,3 : 最大曲げモーメント,X : 時間,Y : 加速度
――――― [JIS B 8842 pdf 26] ―――――
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B 8842 : 2020
附属書E
(参考)
リヒタースケール,地表面地震加速度及び震度階の関係
(対応国際規格で記載されている表は,JISでは採用しない)
――――― [JIS B 8842 pdf 27] ―――――
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B 8842 : 2020
附属書F
(参考)
垂直震度影響係数
垂直震度影響係数cは,垂直及び水平の設計震度KV及びKHに関係する。
地震動の距離減衰式から得られた応答スペクトルの垂直方向加速度と水平方向加速度との比は,周期0.1
5秒の範囲で約0.40.7の範囲である(図F.1[1],[2],[3]参照)。
垂直震度影響係数cを0.5に設定することが望ましい。
[1]
[2]
[3]
垂
直
震
度
影
響
係
数
(c)
c=0.5
周期(秒)
注記 c=KV/KH
図F.1−地震動の距離減衰式からの応答スペクトルと地震の周期成分との垂直震度の水平震度に対する比
――――― [JIS B 8842 pdf 28] ―――――
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B 8842 : 2020
附属書JA
(参考)
地盤種別補正係数β2の算定
JA.1 地盤種別補正係数β2
地盤種別補正係数β2は,表層地盤の種別によって定められる。これは,地震動が基盤から表層地盤を伝
わって地表面に達する間に増幅される程度の違いを表している。この規格では,埋土又は沖積層の厚さに
よって地盤を4種類に分類した。地盤種別0は第三紀以前の堅固な岩盤が露頭している岩盤の種別である。
表層地盤に地盤改良を施した場合には,地盤の剛性は高まるものの地震動増幅の低減効果は評価し難い
ことから,改良前の地盤をもって地盤種別を評価するものとした。ただし,地盤改良の一種ではあるが,
軟弱層を広範囲に除去した場合には,新たに露出させた地盤を地表面として表層地盤を評価してよい。
表層地盤の固有周期が地震動の卓越周期と一致し共振する場合を除いて,実例によると基盤での地震動
は,表層地盤で1.5倍2.0倍程度増幅される[高圧ガス保安協会“コンビナート保安·防災技術指針”(1974)
による]そこで,他基準を参考に係数を設定した。
また,周期の長い地震波ほど深い地盤構造の影響を受けるため,周期2s以上のいわゆる長周期地震動に
関しては,沖積層の厚さだけで増幅の程度を推し量ることが適当か否かは今後の課題である。長周期のク
レーンの設計時には,設置予定地点が長周期地震動の発達しやすい地点かどうかを十分に検討する必要が
ある。
注記 消防法における屋外貯槽の設計基準では,長周期地震動が発達する可能性の高い地域に対して,
卓越周期を考慮した応答倍率が個別に設定されている。
JA.2 地盤種別の判定
地盤種別の判定は,ボーリングによる土質調査,又は地震観測若しくは常時微動観測によって行われる
が,地震観測又は常時微動観測の場合は地震工学の専門技術者の判断によることが必要となる。
一つの目安として,地盤種別ごとの平均周期及び卓越周期を,表JA.1に示す。
表JA.1−地盤の区分及び周期
地盤種別 平均周期 卓越周期
地盤種別1 0.2秒間以下 0.1秒間以下
地盤種別2 0.10.8秒間 0.30.6秒間付近
地盤種別3 0.6秒間以上 1.0秒間付近
JA.3 地盤調査が行われている場合の地盤の特性値
標準貫入試験等の地盤調査が行われている場合,地盤種別は,表JA.2によって特定できる。
なお,地表面が基盤面(クレーンが設置される地点を含む十分広い領域に広がる,標準貫入試験のN値
50以上の地層の上面又はせん断弾性波速度が400 m/s以上の地層の上面)と一致する場合は,地盤種別1
とする。
――――― [JIS B 8842 pdf 29] ―――――
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B 8842 : 2020
表JA.2−地盤調査が行われている場合の地盤の特性値TG
地盤種別 地盤の特性値TG 概略該当地盤
地盤種別1 0.1未満 良好な地盤
地盤種別2 0.1以上,0.6未満 中間的地盤
地盤種別3 0.6以上 軟弱地盤
地盤の特性値TGは,次の式で算出される。
n
Hi
TG 4
i 1 Vsi
ここに, TG : 地盤の特性値(s)
Hi : i番目の地層の厚さ(m)
Vsi : i番目の地層の平均せん断弾性波速度(m/s)
粘性土層の場合 :
1
Vsi 100Ni3
砂質土層の場合 :
1
Vsi 80Ni3
ここに, Ni : 標準貫入試験によるi番目の地層の平均標準貫入試験の
N値
i : 該当地盤が地表面から基盤面までn層に区分されるとき
の,地表面からi番の地層番号
――――― [JIS B 8842 pdf 30] ―――――
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JIS B 8842:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 11031:2016(MOD)
JIS B 8842:2020の国際規格 ICS 分類一覧
JIS B 8842:2020の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB8822-1:2001
- クレーン及び巻上装置―分類及び等級 第1部:一般
- JISB8829:2018
- クレーン―鋼構造部分の性能照査
- JISB8833-1:2008
- クレーン―荷重及び荷重の組合せに関する設計原則―第1部:一般