JIS B 9718:2013 機械類の安全性―危険区域に上肢及び下肢が到達することを防止するための安全距離 | ページ 5

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B 9718 : 2013 (ISO 13857 : 2008)
附属書B
(参考)
下肢による自由な接近を防止するための距離
既設の保護構造物下で下肢の自由な動きを制限するために,追加の保護構造物を使用することができる。
この方法に対して,この附属書に示される距離は,地上面又は基準面から保護構造物までの高さに関係す
るものである。この方法は,限定的な保護を提供するものであり,多くの場合,他の方策を採用すること
がより適切である。
注記 これらの距離は,安全距離Srではない。接近を制限するためには追加の方策を必要とする場合
がある。
ケース1 ケース2 ケース3
記号の説明
1 基準面 h 保護構造物までの高さ
2 股関節 l 防止のための距離
3 保護構造物
図B.1−保護構造物下での自由な接近の防止
表B.1は,人が補助なしに立っている状態で,下肢の接近を防止する距離を示す(図B.1参照)。
滑り又は故意の挿入のおそれがある場合,表B.1に示される値を適用することは不適切である。
この表の値を補間して使用するのは好ましくない。保護構造物までの高さhが二つの値の間にあるなら,
そのときは,より高い値hに対する距離を使用するのが望ましい。
表B.1−下肢の接近が制限される場合の距離
単位 mm
保護構造物までの高さ 距離
h l
ケース1 ケース2 ケース3
h≦200 ≧340 ≧665 ≧290
200 400 600 800注記 e>180 mmの長方形開口部及びe>240 mmの正方形又は円形開口部は,全身の接近を許すおそれがある。

――――― [JIS B 9718 pdf 21] ―――――

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B 9718 : 2013 (ISO 13857 : 2008)
附属書JA
(参考)
日本人の保護構造物越え到達距離
JA.1 附属書JAの目的
この規格の基となったISO 13857:2008で規定されている上方への到達を防止する安全距離及び保護構造
物越えの到達に対する安全距離は,欧州各国で測定された人体寸法を反映して策定されたとされる。この
ため,ISO 13857:2008を基にその技術的内容を変更することなく日本工業規格(日本産業規格)を作成するに当たり,ISO
13857:2008の規定値が欧州人と明らかに体格が異なる日本人(参考文献[4])にとって妥当であるか検証し
ておく必要があった。
ただし,各種到達距離の計測方法及び被験者に関して,規格には明言されておらず,参考となる文献も
知られていなかった。そこで,計測方法の整備も並行しつつ,規格に示された条件で日本人を対象に各種
到達距離を測定する調査を実施してきた(参考文献[5],[6],[7])。
このうち,この附属書では,その妥当性が疑われた保護構造物越え到達距離(4.2.2)に関して,計測方
法,被験者の身体特性及び測定結果を示す。
JA.2 計測及び算出の方法
JA.2.1 計測方法
保護構造物越え到達距離は,図JA.1に示す50 mm間隔で高さを設定できる仮想的な保護構造物を用い,
被験者の右手先第三指先端(爪の中心部分)に直径25 mmの標点を貼付し,この標点の中心の軌跡を 3
次元動作計測装置(参考文献[5])によって60 Hzのサンプリング周波数で測定した。測定の際,被験者に
は,右手先をできるだけ高く,かつ,遠くに伸ばしながら,上方から前方,そして下方に弧を描いて動か
すよう指示した。また,仮想保護構造物の高さの範囲は,被験者の体格に応じて,構造物に体重を預けて
到達動作を行ったとしても構造物の反対側に転がり落ちることはない最も低い高さを下限として,また,
上方に手を伸ばして構造物の上端に第三指の指先が触れる最も高い高さを上限として設定した。この範囲
で仮想保護構造物の高さを50 mmごとに変え,各々の高さにおいて10回の測定を行った。
被験者は,健常な13名の成人男性とした。表JA.1に被験者の身体特性を示す。身長,体重ともISO/TR
7250-2:2010[4]に掲載されている日本人の値との間に有意な差のないことを確認している。
表JA.1−計測に参加した13名の成人男性被験者の身体特性
計測項目 平均値 標準偏差 最大値 最小値
年齢[歳] 23.5 1.3 25.0 21.0
身体質量[kg] 67.1 7.4 82.3 51.9
身長[mm] 1 708.9 71.0 1 828.0 1 586.0
座高[mm] 928.3 30.8 982.0 877.0
座位膝蓋骨上縁高[mm] 502.9 23.6 536.0 458.0

――――― [JIS B 9718 pdf 22] ―――――

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B 9718 : 2013 (ISO 13857 : 2008)
c
b a
記号の説明
a 2 600 mm(保護構造物の高さ)
b 940 mm [保護構造物の(左右)幅]
c 50 mm (高さ設定の最小間隔)
図JA.1−計測で用いた保護構造物及び到達動作
JA.2.2 算出方法
図JA.2に示すように,まず,表1及び表2に規定されている保護構造物の高さにおいて記録した指先標
点の軌跡から,表1及び表2に規定されている危険区域の高さが保護構造物の反対側で指先標点軌跡に接
する点の位置を求め,この点と保護構造物との間の水平距離(図JA.2中c)を水平到達距離として算出し
た。次に, 10回の測定で得た個々の軌跡についてこの操作を行い,それらの水平到達距離の平均値をもっ
て各被験者の代表値とした。最後に,表1及び表2に規定されている保護構造物の高さごと及び危険区域
の高さごとに13名の被験者の代表値から平均値M及び標準偏差SDを導出し,次の式(JA.1)によって表1
及び表2に対応する保護構造物越え到達距離の95パーセンタイル値D95pを求めた。
D95p=M+1.645 SD (JA.1)

――――― [JIS B 9718 pdf 23] ―――――

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B 9718 : 2013 (ISO 13857 : 2008)
1
4
2
c
b a
3
記号の説明
a 危険区域の高さ 1 指先標点の軌跡
b 保護構造物の高さ 2 保護構造物
c 危険区域までの水平到達距離 3 基準面(床)
4 危険区域(指先標点の軌跡に接する点)
図JA.2−危険区域までの水平到達距離
JA.3 測定結果及び考察
保護構造物の高さごと,危険源の高さごとに保護構造物越え到達距離の95パーセンタイル値を表JA.2
に示す。表1との比較から,表JA.3に示す三つの箇所(A,B,C)において,表1に規定される水平安
全距離の値よりも保護構造物越え到達距離の95パーセンタイル値が大きくなることが分かった。

――――― [JIS B 9718 pdf 24] ―――――

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B 9718 : 2013 (ISO 13857 : 2008)
表JA.2−13名の被験者から求めた危険区域までの保護構造物越え到達距離の95パーセンタイル値
単位 mm
保護構造物の高さ(表1及び表2のb)
危険区域の高さ
(表1及び表2の 1 000 1 200 1 400 1 600 1 800 2 000 2 200 2 400
a)
保護構造物越え到達距離の95パーセンタイル値
2 500 0 0 0 0 0 0 0 0
2 400 0 0 0 0 0 0 0 0
2 200 498 508 430 461 351 241 124 0
2 000 828 719 632 673a) 469 225 0 0
1 800 1 092 901 758 722 480 0 0 0
1 600 1 133 944 806 735 334 0 0 0
1 400 1 178 968 811 693 0 0 0 0
1 200 1 199 950 767 552a) 0 0 0 0
1 000 1 192 885 679 0 0 0 0 0
800 1 155 767 432 0 0 0 0 0
600 1 093 537a) 0 0 0 0 0 0
400 1 009 0 0 0 0 0 0 0
200 782 0 0 0 0 0 0 0
0 0 0 0 0 0 0 0 0
注a) 保護構造物越え到達距離の95パーセンタイル値が,表1の値より大きい箇所
表JA.3−保護構造物越え到達距離95パーセンタイル値が表1の値より
大きくなる箇所における到達距離の比較
項目 A B C
危険区域の高さ 2 000 mm 1 200 mm 600 mm
保護構造物の高さ 1 600 mm 1 600 mm 1 200 mm
表1の水平安全距離 600 mm 500 mm 500 mm
表JA.2の保護構造物越え到達距離 673 mm 552 mm 537 mm
注記 表1において上記ACに該当する箇所は,表1中に注c)を付して示してある。
したがって,これらに該当する危険区域及び保護構造物の高さにおいて水平安全距離を表1に従って設
定する場合には,欧州人より身長が低い日本人であっても上肢が危険源に到達する可能性があるため,こ
れに対する配慮が必要である。
他方,表2については,ISO 13857:2008で規定されている水平安全距離の値を超える結果は,この測定
では得られなかった。

――――― [JIS B 9718 pdf 25] ―――――

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  • ISO 13857:2008(IDT)

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