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B 9901-2 : 2022
− 同じガスでも供給濃度によって異なる(例外として,Δpは影響を受けない)。
− 共存ガス,温度,湿度及び気流の影響を受ける。
計画している実用上のパラメータ値及び濃度で試験を行うことが理想的であるが,それでは実際の耐用
年数(例えば,数年間)と同じ試験期間が必要となる。試験を加速する方法の一つとして,濃度を上げる
ことが挙げられる。この規格では,受渡当事者間で濃度を上昇させることについて合意することが望まし
い。他の方法としては,一般的なベンチマーク試験のために,三つの濃度を使用することである。一つは,
除去効率の決定のために極力低い濃度で,残りの二つは,除去容量の決定のために高い濃度を使用する。
重要な性能パラメータに加えて,他の重要な要素も考慮しなければならない。GPACM-LF(粒状,ペレッ
ト状など)又はGPACM-FSF(繊維状など)を使用するガス除去フィルタの場合は,運転開始直後に粒子
が流出することがあり,他の形式のガス除去材でも起こり得る。これは,分析機器の感度及びガス除去フ
ィルタの下流に使用する除じん(塵)フィルタに影響を及ぼす可能性がある。この他に考慮してもよい要
因としては,排出ガスの種類,耐食性,質量及び奥行きが挙げられる。
5.2 試験準備及び試験装置の標準構成図
試験装置は,様々な方法で設計することが可能なので,特定の工学的手法又は分析手法を強要すること
は,この規格の目的ではないが,幾つかの設計及び分析技術を,附属書B及び附属書Cに示す。装置の使
いやすさ,及び技術的な課題に対する具体的な対策方法は,この規格の使用者に委ねる。重要なパラメー
タが幾つかあり,これらを規定範囲内で管理しなければ,データが大きくずれてしまうか,ベンチマーク
試験を行うことは不可能である。これらのパラメータを,図1及び表1に示す。これら要求水準の遵守に
ついては,箇条7に規定する試験によって性能検証することが望ましい。
ガス除去フィルタは,漏れ又はバイパスがないように設置する。試験流量は完全混合され,断面におけ
る流速及び上流濃度は一様であることが望ましい。図1に試験装置の標準構成図を示す。記録するパラメ
ータは,2か所(図1の2及び6)の濃度C,圧力p,温度T及び相対湿度RHとする。風量は,3番目の
位置(図1の7)で記録する。
図1に示すダクトの内寸(ID),幅及び高さは,ガス除去フィルタ全断面で610 mm×610 mmとするこ
とが望ましい。610 mm×610 mmを下回り,実サイズ(フルサイズ)300 mm×300 mm以上のガス除去フ
ィルタには平板アダプタを使用して試験することが可能である。試験用ガス除去フィルタの許容サイズは,
300 mm×300 mmから610 mm×610 mmまでである。ガス除去フィルタ接続ダクトの長さは,風量測定の
精度を高めるためにダクト内寸(ID)より大きくなければならない(風量測定に,オリフィス装置を用い
る場合はIDの3倍以上,ピトー管を用いる場合はIDの1倍以上が必要である。)。なお,く(矩)形ダク
トのIDは,(ダクト幅W+ダクト高さh)/2とする。ガス除去フィルタ前後のダクト径を変形させる場合
は,ガス除去フィルタ全断面の流速が一様になるように設計することが望ましい。
ただし,フィルタろ材を通過する風速及びSV条件下のJIS B 9901-1の試験方法による結果を想定値と
することが可能である。
――――― [JIS B 9901 pdf 6] ―――――
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記号説明
1 拡散器及び整流格子
2 サンプリング管 : 複数の先端吸引部をもつフォーク型又は類似のサンプリング口に
よる断面全体の空気を混合採取。
3 試験を行うガス除去フィルタ
4 試験ダクトのガス除去フィルタ断面
5 ガス除去フィルタ前のX mmにおけるTU,RHU,pU及びCUの上流サンプリング管
6 ガス除去フィルタ後のY mmにおけるTD,RHD,pD及びCDの下流サンプリング管
7 ガス除去フィルタ後のZ mmにおける風量Qの測定装置
W ガス除去フィルタ断面に沿った試験ダクトの内寸幅
h ガス除去フィルタ断面に沿った試験ダクトの内寸高さ
図1−試験装置の標準構成図
5.3 生データ,精度及び標準パラメータ
表1に示す全ての測定パラメータについては,自動記録装置を用いて連続的に測定することが望ましい。
サンプリングは,変化するデータを円滑に測定し,全ての現象を見落とさないように頻度を多くすること
が望ましい。表1に,精度を規定し,加えて標準パラメータを示す。
――――― [JIS B 9901 pdf 7] ―――――
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表1−標準パラメータ,測定頻度及び試験時の精度についての要求項目
測定パラメータ 標準パラメータ 単位 範囲 精度 許容変動幅 測定頻度
CU : 上流の濃度 5.4又は5.5で選択 ppb, 100100 000 ±1.5 % ±3 % 5分間,1時間,4
ppm 時間,12時間a)
CD : 下流の濃度 該当なし ppb, CU 100 000に対 ±1.5 % ±3 % 1分間b)
ppm して1 %2 %
TU : 上流の温度 5.4又は5.5で選択, 顰 該当なし ±0.5 ±3 CDと同じ
又は23
TD : 下流の温度 該当なし 該当なし
RHU : 上流の相対 5.4又は5.5で選択, % 該当なし ±1 %RH ±10 %RH CDと同じ
湿度 又は50
RHD : 下流の相対 該当なし 該当なし
湿度
pU : 上流の圧力 − Pa − ±5 % ±5 % CDと同じ
pD : 下流の圧力
装置に固有値
Δp (pU-pD) : 圧力損 Pa − ±2 % ±2 % CDと同じ
失
Q : 風量 風速2.5 m/s(5.4)又m3/h 該当なし ±5 % ±3 % CDと同じ
vf : 面風速 は使用者が選択する m/s 該当なし 該当なし
値(5.5)
tr : 滞留時間 製造業者推奨値 s − 該当なし 該当なし 該当なし
SV : 空間速度 製造業者推奨値 h-1 − 該当なし 該当なし 該当なし
注a) 上流濃度は,許容変動幅±3 %が望ましく,最低限,個々の試験手順の前後に測定する必要がある。
注b) 除去効率50 %までの測定データが100点以上の場合は,測定間隔を更に長くしてもよい。テナックス管な
どのオフライン装置を使用した低濃度検出で長時間サンプリングが必要な場合は,5分間隔よりも測定頻
度は少なくしてもよい(サンプリング時間に応じて測定間隔は任意に設定してもよい)。
温度及び相対湿度は,ベンチマーク試験(5.4参照)のための標準値が指定されているが,特定のガス除
去フィルタ又は用途に適合するように変更してもよい(5.5参照)。
5.4 標準的なベンチマークの設定
5.4.1 一般事項
測定誤差,利用可能な測定技術の分解能及び許容される試験時間を考慮し,ベンチマークを目的とする
場合の,三つの濃度レベル及び3種類のガスに加え,面風速,温度,及び相対湿度は,表2による。この
設定の目的は,種々のガス除去フィルタに関する初期スクリーニングを行いやすくし,基本性能を把握す
ることにある。この試験は,特定の用途における最適なフィルタを決定するためには十分でない可能性が
あることに注意する。
5.4.2 初期除去効率試験
初期除去効率試験は,低濃度で行わなければならない。実際の用途と同じ濃度が理想的であるが,低濃
度の発生及び分析には技術的又は経済的な限界があるため,多くの場合,濃度を上げる必要がある。試験
によってフィルタが飽和しないように,許容できる効率減衰の最大値を定める。この試験は,1時間から
3時間までかかる。
5.4.3 試験濃度
1時間から12時間までで負荷試験が実施できるように,供給ガス濃度は,9 ppm及び90 ppmの低濃度
――――― [JIS B 9901 pdf 8] ―――――
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及び高濃度2段階とする。フィルタの除去効率が10 %を超えて減衰する様子を把握するためには,高濃度
の負荷試験が必要である。有効なデータを得るためのフィルタ負荷試験となるよう,許容できる効率減衰
の最小値をあらかじめ定める。同じ供給ガスと同じ面風速といった試験条件下で,9 ppm又は90 ppmのい
ずれかの濃度で測定していれば,異なるガス除去フィルタを比較することが可能である。
5.4.4 SO2及びNH3をそれぞれ用いた酸性ガス及び塩基性ガス用フィルタの試験
無機酸性ガス及び塩基性ガスでの試験は,実用上の条件に近いデータを得るため,できるだけ低濃度条
件を採用する方が望ましいが,試験時間の短縮を目的とした高濃度条件で試験することを妨げるものでは
ない。その場合,吸着材のデータが有効であるか慎重に検討する。
5.4.5 トルエンを用いたVOCガス用フィルタの試験
トルエンガスを用いる試験では,実用上の条件に近いデータを得るため,できるだけ低濃度条件を採用
する。高濃度条件では,細孔容積によって吸着材ごとの等温線が逆転したり,除去性能が得られなかった
り容易に脱着してしまうといった,実用上無意味な結果になる。より高い濃度は,吸着材が50 kg(100 lb)
を超える非常に大量のフィルタに対して必要になる。多くの場合,より低い濃度を使用し高い最終効率で
試験停止する方が,より高い濃度を使用しゼロの最終効率まで全曲線を描くよりも有用なデータが得られ
る。
表2−標準化されたベンチマーク試験の試験ガス及びその濃度
初期除去効率測定のための試験ガス及び濃度(6.3)
パラメータ 選択ガス 負荷 単位 代表的な 面風速 TU RHU 試験中b)の最大
レベル 分析技術d) (m/s) () (%) 許容効率減衰
酸性ガス SO2a) 450 ppb UV蛍光 2.5 23 50 5%
塩基性ガス NH3 450 ppb 化学発光 2.5 23 50 5%
VOCガス トルエン 5 ppm PID又はFID 2.5 23 50 5%
除去容量測定のための試験ガス及び濃度(6.4)
パラメータ 選択ガス 負荷 単位 代表的な 面風速 TU RHU 12時間c)後の
レベル 分析技術d) (m/s) () (%) 最小許容効率
減衰
酸性ガス SO2a) 9/90 c) ppm UV蛍光 2.5 23 50 >10 %
塩基性ガス NH3 9/90 c) ppm 化学発光 2.5 23 50 >10 %
VOCガス トルエン 9/90 c) ppm PID又はFID 2.5 23 50 >10 %
注a) 他の酸性ガスの場合は,SO2を使用しないことがある。H2S,NO,NO2などの用途では,5.5及び附属書B
に従って当該ガスで試験する方がよい場合がある。
注b) 初期除去効率のための試験では,試験中に減衰することは望ましくないが,もし選択した低濃度がフィル
タの処理能力を十分に超えている場合は許される。そこで,初期除去効率試験の間の最大許容効率減衰を
与えた。ガス除去フィルタがこの要求を満さない場合,5.5に従って試験してもよい。
注c) フィルタ型式,質量,目的,データシートなどに応じて,低濃度又は高濃度を選択する。トルエンには,よ
り低い濃度がよく,全てのガスが12時間後に最小許容最終除去効率に達するためには,より高い濃度を必
要とすることがある。
注d) この規格では,附属書Bに記載する測定法を推奨する。しかし,ガス除去フィルタ供給者が推奨測定法と
の相関を文書で明らかにすることができる場合は,他の測定法を用いることが可能である。
5.4.6 保持力試験
トルエンで試験するサンプルについては,保持力の測定を推奨する(6.5参照)。この試験は,除去容量
試験の直後に,同じ風量を維持しながら,負荷ガスの供給を停止した状態で実施する。その後,減衰する
――――― [JIS B 9901 pdf 9] ―――――
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下流濃度を,濃度が最初の負荷濃度の5 %未満になるまで,又は最大6時間の試験時間になるまで記録す
る。
5.5 受渡当事者間の協定によって選択する試験パラメータ
5.5.1 一般事項
標準設定では,定格風量,試験ガス,試験濃度,温度,相対湿度及び試験時間を除く全てのパラメータ
を規定しているが,これらは具体的な用途によるため,受渡当事者間の協定によって決めることが望まし
い。
5.5.2 風量
ガス除去フィルタの定格風量は,要求される除去性能,対象ガス成分,ガス濃度,混在する他のガス成
分,温湿度などの環境要因によって異なる。定格風量は骨格をなすパラメータであり,風量が異なれば期
待どおりの性能を発揮しない。概してフィルタは,定格風量より少ない風量では高い性能を,定格風量よ
り多い風量では低い性能を示す。
5.5.3 試験ガス
試験ガスは,ガス除去フィルタの用途に合わせて選択するのが望ましい。例えば,そのフィルタで除去
しようとしているガスを試験ガスとする。可能であれば,実際の用途と同じガスを採用する。附属書Bに
は,既知の汚染ガスを複数提示している。
5.5.4 試験濃度
表2に示す試験濃度は推奨値であり,実際のガス除去フィルタ性能を過小評価又は過大評価する危険性
がある。物理吸着によって有機化合物を除去するように設計されたガス除去フィルタの場合,吸着等温線
からも推測されるように,得られた除去容量は,選択した試験濃度の関数となる。さらに,高濃度試験で
最高の性能を発揮するフィルタが,実際の設備で低濃度条件下ではそうならない場合があるので,初期効
率決定及び容量決定の両試験では,実用上起こり得る低濃度で除去容量試験を行うことが望ましい。化学
吸着によって酸性ガス又は塩基性ガスを除去するように設計されたガス除去フィルタについて,化学吸着
機構だけが作用する場合は,通常負荷濃度の範囲内では特別な場合を除き容量の濃度依存性は小さい。た
だし,有機酸性ガス及び塩基性ガスについては,物理吸着によっても除去されるだけではなく触媒反応も
知られており,単純な化学吸着による容量にこれらの現象による効果が加算される。それぞれの場合ごと
に,選択した試験濃度の影響を見極める必要がある。
5.5.5 温度及び相対湿度
温度は,化学吸着における化学反応速度,及びVOCなどの物理吸着に影響を及ぼす。相対湿度は,水分
を必要とする化学反応が進行する最低限の値以上にする。物理吸着によるVOC除去用吸着剤の場合,空
気中の水分と汚染物との間での吸着部位の奪合いが起こるため,相対湿度は多大な影響を与える可能性が
ある。実用上想定される温度又は相対湿度が表1に規定する標準的な数値と大きく異なる場合は,実際の
使用条件をパラメータとして採用する方がよい。
5.5.6 試験継続時間
試験継続時間は,試験ガス,その濃度,吸着材及び目的によって決まり,1時間から数箇月程度までに
なることがある。特定のケースごとに,5.5.25.5.5の四つのパラメータを受渡当事者間の協定に基づき決
――――― [JIS B 9901 pdf 10] ―――――
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JIS B 9901-2:2022の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 10121-2:2013(MOD)
JIS B 9901-2:2022の国際規格 ICS 分類一覧
- 91 : 建設材料及び建築物 > 91.140 : 建築物の付帯施設 > 91.140.30 : 通風及び空気調和システム
- 23 : 一般的に利用される流体システム及びその構成要素 > 23.120 : 換気装置.ファン.空調装置
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- 規格番号
- 規格名称
- JISB9901-1:2022
- 一般換気用ガス除去フィルタの性能試験方法―第1部:ガス除去材
- JISB9908-1:2019
- 換気用エアフィルタユニット・換気用電気集じん器の性能試験方法―第1部:粒子状物質捕集率に基づく仕様,要件及び分類
- JISZ8122:2000
- コンタミネーションコントロール用語