JIS B 9901-2:2022 一般換気用ガス除去フィルタの性能試験方法―第2部:ガス除去フィルタ | ページ 3

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定することが望ましいが,一般的な除去フィルタの初期スクリーニングとしては,標準的なベンチマーク
設定を採用することが望ましい。

6 試験手順

6.1 一般事項

  この箇条では,圧力損失,初期除去効率,除去容量及び保持力を順番に調整して測定するための試験手
順を詳細に規定する。
この試験手順は,特定のガスを用いた試験及び標準的なベンチマークの設定に適用する。試験全体とし
ては,四つの重要なパラメータを決定するため,4部構成になっている。まず最初にΔpを測定しフィルタ
の試運転調整を行う。これは,どのような試験を行う場合も,必ず事前に実施する必要がある。使用者の
必要性及び試験対象とするガス除去フィルタに応じて,重要なパラメータを決定することが望ましい。残
りの三つのパラメータ全て又はそれらの一部を実施することは任意とするが,少なくとも6.4は実施する
ことが望ましい。ただし,いずれの測定も,この規格に規定する方法を遵守しなければならない。
試験装置,ガス発生フィルタ,及び分析機器の性能検証は,試験開始前に実施する(箇条7及び附属書
A参照)。特に,1台の分析機器だけを使用する場合は,6.3及び6.4で用いる濃度及び流量に対して,上流
及び下流の間の立上がり時間tRC及び立下がり時間tDCをあらかじめ測定しておくことが望ましい。

6.2 試運転調整及び圧力損失の測定

6.2.0A  一般事項
性能測定を行う前に,試験フィルタ全体の温度及び湿度が安定する(平衡時間)まで,所定の風量,温
度及び相対湿度の試験ガスを含まない清浄空気でフィルタの試運転調整を行わなければならない。定格風
量時の圧力損失を測定し記録する。さらに,定格風量の50 %,75 %,100 %及び125 %の風量で圧力損失
を測定し,風量と圧力損失との関係を記録する。Δp値は,試験したフィルタに起因しない他の流量制限に
加え,試験ダクトと使用するアダプタプレートとの影響を受けることに注意しなければならない。流量制
限が最小限のダクトを使用し,フィルタが設置されていないダクト内の圧力損失を記録して,フィルタ前
後の圧力損失を補正できるようにすることが望ましい。推定される偏差については,報告書に記載するこ
とが望ましい。
6.2.1 試験手順
試験手順は,次による。
1) 5.4又は5.5に従って,試験対象となるフィルタの所要風量(つまり,フィルタの定格風量又は特定の
用途のための風量),温度,相対湿度,試験ガス種及び試験濃度CUを選択する。
2) 附属書A又は製造業者の推奨条件に従って,分析機器の校正を行う。
3) 試験装置を準備し,ガス除去フィルタを内蔵しない状態で密封する。試験ガス発生源を準備し,始動
させ,所要風量において表1に規定された精度で,選択した試験ガス濃度に到達可能であることを確
認する。立上がり時間及び立下がり時間は,同試験条件についてあらかじめ分かっていなければ,箇
条7に従い測定する。
4) 試験ガス発生源を停止(排気)して,濃度をゼロにする。
5) ガス除去フィルタを試験する定格風量の50 %,75 %,100 %及び125 %における風量で,空のダクト

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における圧力損失Δpを記録する。所要風量に戻す。
6) 試験装置にガス除去フィルタを取り付ける。
7) 所要風量(フィルタの定格風量又は特定の用途のための風量)になるように増加させる。
8) 風量を安定化させ,圧力損失Δpを記録する。
9) 設定風量/定格風量を,次の百分率増分に変更する。
10) 定格風量の50 %,75 %及び125 %について,8)及び9)を繰り返す。
11) 風量を100 %設定に戻す。
12) 温度T及び相対湿度RHは1分ごとに測定する。同じプローブの指示値がRHU及びRHDは1 %以内,
TU及びTDは0.2 以内で,これら四つのパラメータが少なくとも15分間安定すれば平衡時間に達し
たことになり,それ以降の試験を行う準備ができたとみなす(6.3.1に続く)。
6.2.2 計算
6.2.1の12)以外の計算は行わない。
6.2.3 報告及び図
風量に対する圧力損失をプロットすると,そのグラフの傾きを用いて,流れに対する抵抗の観点から製
品を比較することが可能である(図2参照)。
8.2に示す試験報告書の例の1ページに,圧力損失Δpの値を記載する。
記号説明
ガス除去フィルタ
Q 風量(m3/h)
Δp 圧力損失(Pa)
図2−風量と圧力損失との関係(例)

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6.3 初期除去効率

6.3.0A  一般事項
一般換気用に設計されている多くのガス除去フィルタは,圧力損失が最小限になるように最適化する必
要があり,その結果,最初から既に除去効率が100 %に満たないことがよくある。そのため,試験手順の
2番目は,実用に近い条件下でのガス除去フィルタの初期除去効率を評価する。この試験は,実際の用途
に類似する十分に低い濃度で行うことが望ましい。試験のために現実的な濃度レベルと嗅覚いき(閾)値
などのガス特性とに基づいて選択した特定のガスを適用するか,又は標準ベンチマーク試験を行う(表2
参照)。この試験の目的は,現実的な濃度で除去効率を測定することである。しかし,試験を繰り返してい
る間に除去効率が明らかに低下傾向を示す場合は,選択した濃度及び流量条件が初期除去効率の測定に適
しておらず,むしろ吸着容量試験に適していることになる。その場合,当初の試料は部分的に既に飽和し
ているので,より低いCUを採用し新しいガス除去フィルタ試料で再度試験を行う。最大許容効率減衰は,
表2による。この試験の所要時間は,通常3時間未満である。
6.3.1 試験手順
試験手順(6.2.1の続き)は,次による。
13) 6.2.1に規定する手順で,ガス除去フィルタを試験装置に取り付け,所要風量を供給し平衡状態にする。
CUに達するまでの立上がり時間tREは,7.2に規定するように事前に測定する。
14) TU,TD,RHU,RHD,Δp及びQを,5分ごと又はより高頻度に記録する。
15) 試験ガスの供給を開始し,tRCだけ待つ。開始時刻t0を記録する。
16) CDに切り替えて測定を始める。ガス除去フィルタは発生源が止まった状態で設置するので,下流濃度
はそのまま有効であり,立下がり時間tDEを待つ必要はない。
17) 測定値が安定するまで,又は少なくとも10分間,CDを測定する。
18) CUに切り替えて測定を始める。濃度の増加に注意する。ただし,tREの間の測定値は不要とする。
19) 測定器の指示値レベルが十分に安定するまで,又は少なくとも10分間,CUを測定する。
20) CDに切り替えて測定を始める。濃度の減少に注意する。ただし,tDEの間の測定値は不要とする。
21) 測定値が安定するまで,又は少なくとも10分間,CDを測定する。
22) 手順18)21)を更に2回繰り返し,四つのCD値群及び三つのCU値群を得る。
23) tENDを記録する。
24) 試験ガスの発生を停止する(6.4.1に続く)。
6.3.2 計算
初期除去効率EIは,選択する試験ガス,その濃度及び流量が示されていない限り説明できないので,こ
れらの値は8.2に示す試験報告書の1ページに記載されている値とともに報告することが望ましい。
(CU CD )100
EI (1)
CU
手順17)22)で得られた値を使用し,統計的に外れ値を削除し,七つの平均値を求める。四つのCD値群
及び三つのCU値群が均一であれば,CU及びCDは平均値だけで表し,EIを計算する。
例 流量1 250 m3/hでトルエンの試験濃度を500 ppbに設定し,試験はt0に開始,CUの平均値は495 ppb,
CDの平均値は25 ppbであった。EI=(495−25)/495×100=94.9 %

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EIを得るにはガス除去フィルタの除去容量の一部を消耗することになるので,この容量を算定しなけれ
ばならない。試験期間が短く,負荷が少ないので,積分せずに平均濃度を使用してもよい。
ml ml m3 mg tENDmin t0 min
msEIg寰 CU 3
CD 3
QA k 1000 (2)
m m h ml 60
ここで, QA : 風量測定の算術平均値
k : ppmをmg/m3に変換するための温度,絶対圧力及びガス依
存定数。これは,試験を行う温度及び絶対圧力における試
験ガスのガス密度に等しい。
6.3.3 報告及び図
− 試験報告書の例の1ページに記載するEIの数値を記録する。
− 試験報告書(箇条8参照)に上流及び下流の濃度をプロットする。

6.4 除去容量の測定

6.4.0A  一般
除去容量試験は,より高濃度で行う。通常は約10 ppmであるが,確実に100 ppm未満で行うか,又は表
2に規定する標準ベンチマーク試験に従って行う。この試験の目的は,ガス除去フィルタの除去容量を測
定することであり,この試験では,下流側を連続的に測定し,上流側は安定性を確認するため定期的に測
定することが望ましい(例えば,5時間ごとに1時間など)。最適な測定間隔は予想される総試験時間,設
定した終了時間,ガス除去フィルタ上での濃度差,tRC及びtDCによって異なる。終了時間又は最終除去効
率は,受渡当事者間で用途に応じて選択する。典型的な選択は,90 %,50 %又は30 %の最終除去効率であ
る。
6.4.1 試験手順
試験手順(6.2.1又は6.3.1の続き)は,次による。
25) 除去容量試験は,6.2.1又は6.3.1の直後に開始してもよい。CUに達する時間tRCは,7.2に規定するよ
うにあらかじめ決めるガス除去フィルタを試験装置に設置し,所要風量を供給し,あらかじめ平衡状
態にするのが望ましい。
26) CUになるよう,試験ガス発生源を準備し,始動する。
27) TU,TD,RHU,RHD,Δp及びQを,5分ごと又はより高頻度に記録する。
28) 試験ガスの供給を開始し,tRCだけ待つ。開始時刻t0を記録する。
29) 安定した測定値が得られるまで,又は少なくとも20分間,CDを測定する。
30) CUに切り替えて測定を始める。濃度の増加に注意する。ただし,tRCの間の測定値は不要とする。
31) 測定器の指示値レベルが十分に安定するまで,又は少なくとも30分若しくは1時間,CUを測定する。
32) CDに切り替えて測定を始める。濃度の減少に注意する。ただし,tDCの間の測定値は不要とする。
33) 予想される総試験時間に応じて,より長い時間(例えば,3.5時間,5時間,11時間)CDを測定する。
34) 終了時間に達してから安定するまで少なくとも10分間,念のため,手順30)33)を繰り返す。
35) 除去容量試験終了時刻tEND及び最終除去効率EENDを記録する。
36) 保持力試験を行う場合は,この試験の直後に続けなければならない。
37) この試験を終了せず,引き続き6.5.1の保持力試験を行うか,又は試験ガスの発生を停止し試験を終了
する。

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6.4.2 計算
データ記録計から,日付,時間,試験時間,CU,CD,TU,TD,RHU,RHD,Δp及びQを含む生データ表
を作成することが望ましい。性能検証のためには(箇条7参照),ガス発生装置の稼働状況(マスフローバ
ルブのシグナルなど)についての記録を取ると,ガス発生装置の監視にも役立つ。また,これらの情報,
又は少なくとも濃度対時間を,コンピュータ上で作図すれば有益である。
効率の計算及び除去容量の計算は,次による。
a) 効率の計算 生データ表から,式(1)に従って除去効率ECを計算し,時間に対してプロットする。図3
参照。
記号説明
t 時間(h)
E 除去効率(%)
t0 開始時刻
tEND 終了時刻
図3−除去効率曲線(例)
b) 除去容量の計算 除去容量msは,ガス除去フィルタによって吸着された試験ガス量である。6.4.1の
試験手順では1台の分析機器しか用いていないので,測定していない濃度は平均値で補間しなければ
ならず,除去容量msは,その増加分として計算することになる。二つの分析機器を使用する場合は,
補間は必要ないことに留意する。また,tRCとtDCとの間で破棄した値も同様に平均値で補間する。ま
た,いずれかの濃度(CU又はCD)及び流量は,連続的に,例えば3分ごとに測定するとよい。式(3)
での時間の単位を“h”として,上流側の濃度を1時間経過後及びその後6時間ごとに測定した例を,
図4に示す。

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  • ISO 10121-2:2013(MOD)

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