JIS B 9908-4:2019 換気用エアフィルタユニット・換気用電気集じん器の性能試験方法―第4部:換気用エアフィルタユニットの除電処理の試験方法 | ページ 2

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は液体のIPAと接触させない。
この規格は,安全衛生に関して考えられる全ての問題を考慮したものではない。この方法を適用する前
に作業者の安全衛生のために適切な処置をとることは,この規格の使用者の義務である。加えて,使用責
任者は,法律及び規制の遵守に注意を払わなければならない。
IPA分子式 C3H8O
IPA物性
密度 0.785 5 kg/m3
分子量 60.09 g/mol
融点 185 K
沸点 355 K
引火点 285 K
発火点 698 K
蒸気圧 0.059 7 bar (298 K) / 0.043 2 bar (293 K) / 0.081 4 bar (303 K)
IPAの蒸気圧は次の式で計算される。
B
log10 P A
T C
ここに, P : 蒸気圧(bar)
T : 温度(K)
A : 4.577 95
B : 1 221.423
C : −87.474
注記 1 bar=100 kPa
爆発限界(空気中) 下限濃度2 vol%,上限濃度12 vol%(いずれも293 Kにおいて)
CAS番号 67-63-0
除電処理試験においてIPAは最低99.5 %の純度が必要である。

7 処理キャビネット

7.1 一般

  処理キャビネットは,フィルタユニット保持チャンバ及びIPAトレイ保持チャンバで構成する。それぞ
れのチャンバには作業のための扉を別々に設けてもよい。フィルタユニット保持チャンバは,フィルタユ
ニットを処理キャビネットの壁に接触させず,IPA蒸気が拡散によって自由に通過できるようにフルサイ
ズのエアフィルタユニット試験体の装着が可能としなければならない。処理キャビネット全体の空気と
IPA蒸気との混合状態を均一安定化するために,IPAトレイ保持チャンバとフィルタユニット保持チャン
バとの間は広く開口していなければならない。バグフィルタのような自立構造で剛性のない試験体を装着
した場合に,ろ材全体をIPA蒸気にさらすようにするため,フィルタユニット保持フレームは水平にし,
試験体は垂直に取り付ける。

7.2 処理キャビネット寸法及び材質

  処理キャビネットは,ステンレス又は亜鉛めっき鋼板で作製する。IPA蒸気は空気より密度が高く,チ
ャンバの下の方に滞留し,フィルタユニットの全ての領域がIPA飽和蒸気の暴露を受けないおそれがある。
そのため,キャビネットのIPA保持チャンバ内部のIPAトレイの位置はフィルタユニット保持チャンバに

――――― [JIS B 9908-4 pdf 6] ―――――

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隣接して,キャビネット内のIPA蒸気の均一な分布を素早く得られるようにする。
処理キャビネットは,開口寸法が610 mm×610 mmのフルサイズフィルタユニットを装着できるように
する。エアフィルタユニット試験体の最大長さ/厚さは760 mmである。空気が拡散によって試験体の周
りを自由に通ることができるようにする。図1に,推奨される処理キャビネットの概略図を示す。
単位 mm
図1−除電処理キャビネット概略図
除電処理キャビネットの内側の空気を迅速にIPAで飽和するために,処理を開始する前に,少なくとも
合計1 dm3の液体IPAをトレイに注入しておく。トレイは,少なくとも1.0 m2のIPA蒸発面積がなければ
ならない。各々のトレイは液体のIPAを注入し,処理を始めるまではカバーをしておく。処理キャビネッ
トの中のIPA蒸気は,外気と交わらないようにする。
IPAを入れた容器は,蒸気の特性を大きく変質させるおそれのある日光,放射熱などの直射がないよう
にしなければならない。これを厳守し適正な範囲内に温度及び湿度を管理する場合,チャンバ内の空気は
IPA蒸気でほぼ飽和するので,試験体の周囲のIPA蒸気濃度を測定器で確認する必要はない。
液体IPAの入ったトレイはカバーを外し,キャビネットの内側に置く。キャビネットを密閉した後30
分間放置し,その後,フィルタユニット試験体をキャビネットに置き密閉する。処理終了時間に達したと
き,素早くキャビネットからフィルタユニット試験体を取り出す。最後に,IPAトレイをキャビネットか
ら取り出し,それらにカバーをし,排気フードの中に保管する。

7.3 環境,温度及び相対湿度

  処理キャビネットを設置する室内空気は,23±5 ℃で相対湿度を(50±15)%に管理しなければならな
い。特に,室内温度は処理キャビネット内での蒸発及び拡散プロセスに敏感に影響するので,連続的又は
少なくとも1時間ごとに記録しなければならない。温度計測器は,±1 ℃の精度がなければならない。相
対湿度測定器は±2 %の精度がなければならない。温度及び相対湿度の測定器は校正を毎年行わなければ

――――― [JIS B 9908-4 pdf 7] ―――――

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ならない。季節によって相対湿度が大きく変化する場所では,より頻繁な校正が必要である。
室内空気でのフィルタユニット試験体の安定化のための標準的な雰囲気条件は,23±5 ℃で相対湿度(50
±15)%でなければならない。

8 安全性

  この処理試験は,健康上有害な試薬(IPA)の使用が必要である。この規格は,安全衛生に関して可能
性のある問題全てを考慮したものではない。この方法を適用する前に作業者の安全衛生保護のために適切
な処置をとることは,この規格の使用者の義務である。加えて,使用責任者は法律及び規制の遵守に注意
を払わなければならない。
幾つかの有益な情報を附属書Aに示す。

9 試験方法

9.1 一般

  規定する手順は,フルサイズフィルタユニットの粒径別捕集率に対する静電気的な影響を評価するため
にIPAを用いて標準化した処理に基づいている。
試験では,初めに未処理のエアフィルタユニット試験体の粒径別捕集率を測定する。次に,試験体はIPA
蒸気で除電処理する。IPAを再利用する場合には,IPA純度は99.5 %よりも高くなければならない。エア
フィルタユニット試験体はIPA蒸気に暴露した後,少なくとも30分間は標準的な雰囲気条件下で静置す
る。その後,処理前に行った粒径別捕集率試験と同様の方法及び試験エアロゾルを用いてJIS B 9908-2に
従って粒径別捕集率測定を行う。その試験体にIPAの残存がないことを確認するために,試験体は23±5 ℃
で相対湿度が(50±15)%の清浄空気で10分間パージを行い,更に粒径別捕集率試験を再度行う。
IPA蒸気暴露処理は,箇条7で規定する処理キャビネットを使用する。このキャビネットは,液体IPA
を入れる幾つかのトレイを備えている。フィルタユニット試験体は幾つかの更なる試験を行わなければな
らず,全試験の期間中はフィルタユニットに損傷又は汚染を与えないように保管しなければならない。
IPA蒸気暴露処理は,次のように行う。
a) 少なくとも30分間,標準雰囲気条件下でエアフィルタユニット試験体を安定化する。試験体をグラム
単位までひょう量し,JIS B 9908-2に従って新品の未処理の試験体の初期の粒径別捕集率及び圧力損
失を測定する。
b) 規定された手順に従ってフィルタユニット試験体を23±5 ℃の飽和IPA蒸気に24時間暴露する。
c) 少なくとも30分間,標準雰囲気条件下で試験体を安定化し,ひょう量し,粒径別捕集率及び圧力損失
を測定する。清浄乾燥空気で10分間パージした後,粒径別捕集率試験を再度実施する。
次のことがあった場合,二つ目の新品の試験体で除電処理を含む試験を行う。
a) ±1 %又は±20 gを超える質量変化
b) ±10 %又は±10 Paを超える圧力損失の変化
c) 0.4 μmの捕集率が,パージ前後で±5 %ポイントを超える変化
上記のa),b) 又はc) の変化を満たさない場合は,試験を中止し,ろ材又はフィルタユニット構造物が
IPA蒸気に影響を受けるかどうか,又は試験機器類若しくは試験手順に不備がないかを確かめる。

9.2 除電処理手順

  エアフィルタユニット試験体の除電処理は,次のように行う。

――――― [JIS B 9908-4 pdf 8] ―――――

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a) 標準雰囲気下で少なくとも30分間,試験体を安定化する。その後,試験体をグラム単位までひょう量
し,JIS B 9908-2に従って新品の未処理の試験体の初期の粒径別捕集率及び圧力損失を測定する。
b) 箇条7の要求事項を遵守してトレイにIPAを注入し,それぞれのトレイをグラム単位までひょう量す
る。
c) 処理キャビネットのIPAトレイ保持チャンバの中にIPAトレイを順々に置き,カバーを取り外した後,
処理キャビネットを密閉して30分間放置する。
d) フィルタユニット保持チャンバの扉を開け,迅速に規定の場所に試験フィルタユニットを装着する。
拡散による処理キャビネット内のIPA濃度の均一化が容易にできるようにフィルタユニットが装着さ
れていることを確認し,処理キャビネットを密閉する。
e) 23±5 ℃の飽和IPA蒸気のフィルタユニット試験体への暴露を24時間行う。気圧を含む部屋の雰囲気
条件は記録しておく。
f) 処理終了時間に達した時点で,フィルタユニット保持チャンバの扉を開け迅速に試験フィルタユニッ
トを取り出し,扉を閉める。
g) 少なくとも30分間,標準雰囲気条件で試験体を安定化する。
h) PAトレイを処理キャビネットから取り出し,カバーをして排気フードの中に置く。IPAの蒸発量を
確かめるために,グラム単位まで各々のトレイをひょう量する。
i) グラム単位までフィルタユニットをひょう量し,JIS B 9908-2に従って粒径別捕集率及び圧力損失を
測定する。10分間パージした後,粒径別捕集率試験をもう一度,繰り返す。

10 適格性確認

  温度測定器及び相対湿度センサーは,最低でも年に一度は点検し校正しなければならない。使用するそ
の他の器具は,メーカの推奨に従って校正し保守することが望ましい。
処理キャビネットの気密性は,JIS B 9908-2で規定するリーク試験と同等のリーク試験で定期的に確認
しなければならない。IPA蒸気の不要な漏出を避け,爆発の危険性及び人へのIPA蒸気暴露を下げるため
に,キャビネットは200 Paに加圧した後に1分間に30 Paを超える圧力低下が生じない気密性を確保しな
ければならない。これによって,24時間の処理サイクルの間のIPA損失を最大30 gに抑えることができ
る。
除電処理に従事する要員に必要な力量を明確にし,処理キャビネットの管理者及び作業者は,必要な力
量をもつことを認定した者でなければならない。

11 試験結果の報告

  試験結果は,フィルタ製造業者,フィルタモデル及び説明に関する情報とともに粒径別捕集率及び圧力
損失をJIS B 9908-2の試験報告フォーマットで報告する。さらに,次に示す処理の間の状況及び試験デー
タに関する補足情報を報告する。
a) 規定の範囲内に保持されていたことを示す処理時間中の室内空気温度,相対湿度及び気圧
b) PA液の純度(最低99.5 %)
c) 暴露/処理時間
d) 箇条7の最小限の要求事項を満たしている,キャビネットの主要部の寸法及び容積を加えた写真,図
面,IPAトレイの総数,蒸発面積(トレイの数及びサイズ),トレイに注入したIPA量などの情報を含
む処理キャビネットの説明

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e) 除電処理前後のフィルタユニット試験体の質量及びIPAの蒸発量を確認するために測定した処理前後
のIPAトレイの質量
f) 除電処理前後の定格風量における試験体の圧力損失
g) 除電処理前後の定格風量における粒径別捕集率曲線
h) 注記

――――― [JIS B 9908-4 pdf 10] ―――――

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JIS B 9908-4:2019の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 16890-4:2016(MOD)

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