JIS C 4411-2:2019 無停電電源装置(UPS)―第2部:電磁両立性(EMC)要求事項 | ページ 4

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附属書A
(規定)
エミッション測定方法
A.1 一般事項
この附属書は,UPSが発する伝導エミッション及び放射エミッションのレベルの測定方法を説明するこ
とを目的とする。
この附属書は,主に連続して発生するエミッションに関連している。
製造業者は,UPSの寸法及び定格容量に応じて,最適なテストサイト及び試験配置を選択してもよい。
例えば,複数台のUPSユニットで構成するシステムの場合,唯一の方法は,据付け場所での評価となる。
そのため,ここで規定しているセットアップ及び試験方法は,ほとんどのUPSに適合できるように,でき
る限り一般的な基準を与えている。
試験は,製造業者が指定する特定の動作環境,及びこの附属書の規定に従って行う。
A.2 測定装置
A.2.1 測定器
準せん頭値検波及び平均値検波器式受信機は,CISPR 16-1-1:2015による。
A.2.2 擬似電源回路網(AMN)
交流入力電力ポート雑音端子電圧の計測は,CISPR 16-1-2:2014及びAmendment 1:2017の箇条4に規定
するとおり,50 Ω/50 μHのインピーダンスで構成するAMNを用いて行う。
AMNは,交流入力電力ポート雑音端子電圧の測定点における電源系統側の無線周波数インピーダンス
を規定の値にするため,及び電源供給線上の外来雑音からEUTを分離するために用いる。
A.2.3 電圧プローブ
UPSの出力を測定する場合,及びUPSの定格入力電流が大きく,AMNを用いることができない場合は,
CISPR 16-1-2:2014及びAmendment 1:2017の箇条5の要求事項に従い,図A.1に示す電圧プローブを用い
る。電圧プローブは,基準グラウンド面に対してそれぞれの電源線に順番に接続する。
電圧プローブは,阻止コンデンサ及び抵抗器からなり,電源線と大地との間の全抵抗成分は,1500 Ω以
上とする。測定受信機の過電流保護に用いるコンデンサなどによる測定精度への影響は,1 dB未満又は校
正時の不確かさ以下にする。
電圧プローブの接地線,試験する主ケーブル及び基準グラウンド面によって形成されるループは,強磁
界の影響を低減するために最小化することが望ましい。
通常の電圧プローブでは届かないポートを測定する場合は,電圧プローブの接地線に延長用の編組の接
地線を接続してもよい。
A.2.4 アンテナ
アンテナは,CISPR 16-1-4:2010及びAmendment 1:2012の箇条4に適合しなければならない。
A.2.5 コモンモード吸収デバイス(CMAD)
CMADは,放射エミッションの測定の試験領域外に出るケーブルに用いる。CMADは,異なる試験場所
間での放射エミッションの測定結果のばらつきを小さくするために用いる(詳細は,CISPR 16-1-4:2010
の箇条9参照)。

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A.2.6 不平衡擬似回路網(AAN)
AANは,平衡(ディファレンシャルモード)信号を打ち消しながら,遮蔽されていない平衡信号(例え
ば,電気通信)線の不平衡(コモンモード)電圧を測定又は注入するために用いる(詳細は,CISPR
16-1-2:2014及びAmendment 1:2017の箇条7参照)。
A.3 EUTの配置
A.3.1 この規格に規定がない場合,UPSは,EUTの代表的な方法で,配置・据付け・調整・運転を行う。
ケーブル,負荷及び周辺機器は,UPSの各種のポートごとに少なくとも一つずつ接続する。実際には,各
ケーブルは,実使用時の代表的な機器に接続する。
同種の複数のポートがある場合は,予備試験の結果によって,ケーブル,負荷及び周辺機器をUPSに追
加しなくてはならないことがある。
追加ケーブルの本数は,ケーブルを追加してもエミッションレベルが2 dBを超えて増加しない本数に制
限することが望ましい。ポートの構成及びポートへの接続機器の選択についての根拠を,試験報告書に記
載する。
A.3.2 接続ケーブルは,個々のUPSに必要条件として指定する種類及び長さとする。長さを変えられる
場合は,最大エミッションを発生する長さを選択する。
A.3.3 規格値に適合するために,シールドケーブル又は特殊ケーブルを用いて試験する場合は,取扱説明
書にそのようなケーブルを用いる必要がある旨の注記を記載する。
A.3.4 ケーブルの余長分は,ケーブルの中心付近で0.3 m0.4 mの長さで束ねる。ケーブルが太い若しく
は硬いため,又は試験が使用者の設備で行われているため,束ねることができない場合は,余分なケーブ
ルの処理を,試験報告書に詳細に記載する。
A.3.5 どんな試験結果でも,試験結果を再現できるようにケーブル及び機器の位置関係についての詳細な
説明を添付する。例えば,ケーブルの長さ,ケーブルの種類,シールド,接地などの条件がある場合は,
それらの条件を指定し,文書化する。それらの条件は,取扱説明書に記載する。
A.3.6 ほかの機器と相互に作用して一つのシステムを構成する機器を評価する場合は,システム全体を構
成するために必要な機器を加えるか,又はシミュレータを用いて,その評価を行ってもよい。いずれの方
法を用いても,システムのEUT以外の部分又はシミュレータの影響がA.6.5に規定する周囲雑音の条件を
満たすようにした上で,EUTが確実に評価されることに注意を払わなければならない。実機の代わりに用
いるいずれのシミュレータも,インタフェースの電気的及び場合によっては機械的な特性,特に無線周波
数信号及びインピーダンス,並びにケーブル構成及び種類に関して,正確に再現しなければならない。
注記 この手順は,異なる製造業者の別機器と組み合わせて一つのシステムを構成する機器の評価を
可能にする。
A.3.7 UPSが別置きの直流源に接続する端子を備えている場合,これらの端子は,試験セットアップに含
める。卓上形UPSの場合,蓄電池及びそのきょう体は,取扱説明書に従った場所に配置する。床置形UPS
の場合,別置きの直流源及びそのきょう体は,UPSのすぐ近くに配置し,取扱説明書に従って配線する。
直流源がUPSから離れている大形UPSの場合,取扱説明書に従って配線し,かつ,蓄積エネルギー運転
状態で測定できるように試験用の蓄電池又は直流電源をケーブルに接続する。
試験を実施できない場合又は蓄電池がその蓄電池室を含めて他者から供給されている場合は,そのこと
を試験報告書に記載する。
A.3.8 交流出力は,試験中に出力電力を必要なレベルに調整可能な抵抗負荷装置に接続する。

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A.3.9 グラウンド面に関するEUTの配置は,実装状態に合わせる。すなわち,床置形のUPSの場合は,
グラウンド面上か,又はグラウンド面に置いた絶縁床面(例えば,木)上に設置し,卓上形UPSの場合は,
非導電性の机の上に設置する。電源ケーブル及び信号ケーブルは,グラウンド面に対して実際に用いる場
合と等しくなるように配置する。グラウンド面は,金属製であってもよい。
注記 端子電圧測定についてのグラウンド面の要求事項はA.6.3に,また,電界強度測定についての
グラウンド面の要求事項は,A.9.1に規定する。
A.4 最大エミッションを発生する配置の決定
代表的な配置での試験セットアップにおいて代表的な運転状態及びケーブル配置でUPSを運転して,エ
ミッションの限度値に対する比が最大になる周波数を事前に確認する。
エミッションの限度値に対する比が最大になる周波数の確認は,できるだけ細かい刻みで多くの周波数
で行う。また,附属ケーブル,UPSの配置及び運転状態を変えて,エミッションの限度値に対する比が最
大になることを確認する。
UPS設置方法を,図A.3図A.10に示す。UPSと周辺機器との間の距離は,図に示す値とし,ケーブル
だけをエミッションが最大となるように動かす。
このとき,ケーブルは,卓上形UPSの場合は,通常の配置の範囲内で配線することが望ましい。床置形
UPSの場合,使用者が配線すると想定される方法と同じ方法で配線することが望ましく,それ以上に動か
す必要はない。配線方法が不明確な場合,又は配線方法が個別に異なる場合は,床置形UPSのケーブルは,
実用的な範囲でエミッションが最大となるように配線する。
伝導エミッション及び放射エミッションの最終測定は,それぞれ,A.6,A.7及びA.8に従って行う。
A.5 EUTの動作
UPSは,定格(公称)動作電圧及び設計で想定した代表的な負荷状態で動作させる。負荷は,実負荷で
も,又は模擬負荷でもよい。UPSのいずれの運転状態においてもエミッションを検出できるように,UPS
の各部を動作させるようにすることが望ましい。
A.6 入力電力ポートの雑音端子電圧の測定方法
A.6.1 測定受信機
測定は,A.2.1で規定する準せん頭値検波付き及び平均値検波器付きの受信機を用いて行う。
A.6.2 擬似電源回路網(AMN)
A.6.2.1 一般事項
A.2.2に規定するAMNを用いる。
EUTをAMNへ接続し,EUTの表面とAMNの最も近い表面との間の距離が0.8 mとなるように設置す
る。
UPSに電源ケーブルが附属している場合,このケーブルは1 mの長さとし,1 mを超える場合は,余分
な部分を折り畳み長が0.4 mを超えないようにできる限り折り返して束ねる。
電源ケーブルが製造業者の取扱説明書で指定されている場合,1 mの長さの指定されたケーブルでEUT
とAMNとを接続する。
EUTは,製造業者の取扱説明書の指示のとおりに配置し,端末処理したケーブルで接続する。
安全対策として接地が要求されている場合は,接地端子をAMNの基準接地点に接続する。製造業者が

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附属又は指定していない場合には,接地配線は1 mの長さとし,かつ,主回路電線と0.1 m以下の距離で,
平行に布設する。
安全対策のための接地配線と同じ端子に接続するように製造業者によって指定又は供給されるその他の
接地配線(例えば,EMC対策用)も,AMNの基準接地点に接続する。
外来雑音によってある周波数のエミッションが測定できない場合,AMNと電源との間に適切な高周波
フィルタを接続するか,又は測定をシールドルームの中で行ってもよい。高周波フィルタを構成する部品
は,測定システムの基準接地に直接接続する金属遮蔽物で囲うことが望ましい。AMNのインピーダンス
に関する要求事項は,測定周波数において,高周波フィルタを接続している状態で満足しなければならな
い。
A.6.2.2 除外事項
定格容量がAMNの標準定格を超えているUPSについては,CISPR 16の規格群に従った図A.1に示す
電圧プローブを用いて電源端子電圧を測定してもよい。
この方法で測定する場合,UPSの設置場所における電源インピーダンスにできる限り合わせるために,
少なくともUPSの定格電流を通電できる電源とする。
A.6.3 グラウンド面
非接地で,かつ,床置形ではないUPSの場合,EUTは,2 m×2 m以上の水平又は垂直金属平面からな
る基準グラウンド面から0.4 m離した位置に配置し,かつ,EUTの一部ではないほかの金属平面又はほか
のグラウンド面から0.8 m以上離す。シールドルームで測定する場合,EUTをシールドルームの壁の一つ
から0.4 mの位置としてもよい。
床置形EUTは,通常の使用状態で床に接触しているという点を除いては,非接地で,かつ,床置形では
ない場合と同じ状態とする。床は,金属製でもよいがEUTの床固定部と金属接触してはならない。金属製
の床は,基準グラウンド面として扱ってもよい。基準グラウンド面は,EUTの境界から0.5 m以上外側に
広く,かつ,2 m×2 m以上の平面とする。
AMNの基準接地点は,幅に対する長さが3倍未満のできるだけ短い導体で基準グラウンド面に接続す
るか,又は基準グラウンド面にボルト締めする。
A.6.4 雑音端子電圧測定のためのUPSセットアップ
UPSは,A.3の要求事項に従って配置して運転し,かつ,卓上形UPS及び床置形UPSでは,図A.3図
A.8に従ってセットアップする。
卓上形UPSは,水平グラウンド面(A.6.3参照)から0.8 mの高さの非導電性の台上に,水平グラウン
ド面に接続されている垂直グラウンド面から0.4 m離して設置する。
卓上又は床置のいずれでも使用できるように設計したUPSは,標準的な設置方法が床置形でない場合は
卓上形の配置だけで試験するが,そうでない場合はいずれかの配置だけで試験を行う。
壁取付形用に設計したUPSは,卓上形UPSと同じように試験する。UPSの方向は,通常運転するとき
と同じ状態で試験する。
テストサイト又は使用者の設置場所で,A.6.2.2の除外事項に従って試験を行う場合を除き,交流入力電
力ポートは,電源ケーブルを介してAMNと接続する。交流出力電力ポートは,負荷に接続する。外部ネ
ットワーク線に接続することを想定する場合,ネットワークポートは,信号ケーブルを介してAANに接
続する。
A.6.5 雑音端子電圧測定
A.4で規定するように,限度値に対して雑音端子電圧が最大になるUPSの配置,ケーブル配置及び運転

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状態を見つける。
この配置を用いて,データの測定及び記録を行う。EUTの交流入力電力ポート及びネットワークポート
の各々について,限度値に対する比が20 dB以下の雑音端子電圧測定結果のうち,限度値に対する比の大
きい方から6点以上の周波数を記録する。それぞれの雑音端子電圧測定値に対して,ポートのどの導体で
発生したかが分かるようにする。
ネットワークポートの伝導エミッションは,特に指定がある場合,CISPR 16-1-2:2014及びAmendment
1:2017の箇条5に従って電流プローブを用いて,電圧ではなく電流で測定する。
A.7 交流出力電力ポートの測定方法(測定する場合)
交流出力電力ポートを抵抗負荷に接続し,出力電力をゼロから最大である定格まで徐々に増加して,雑
音端子電圧が最大になる状態を見つける。
負荷は,非正弦波による測定誤差を避けるために,純抵抗とすることが望ましい。
出力電圧は,雑音端子電圧が最大になったところで,CISPR 16の規格群に従った図A.1に規定する特性
の電圧プローブによって測定する。
UPSの交流出力電力ポートを負荷装置に接続して測定するときは,雑音端子電圧は,5.3.2.3の限度値を
超えてはならない。
測定受信機の過電流保護に用いる電圧プローブのコンデンサ又はその他の機器による測定精度への影響
は,1 dB未満になるようにするか,又は校正時の不確かさ以下にする。
電圧プローブを接続するときの代表的な試験配置を図A.7に示す。電圧プローブのケーブル長をできる
限り2 m以内とするか,2 mを超える場合は,ケーブルの損失を補正する。
基準グラウンド面に対するそれぞれの交流出力電力ポートをプローブで測定し,その結果を記録する。
可能な場合,負荷は,床置形のときはUPSから0.8 m,卓上形のときはUPSから0.1 mの位置とする。
負荷ケーブルの長さは,1 mとする。
UPSの入力電源を,AMNを通して接続している場合,規定の電源インピーダンスを保持するため,AMN
はそのまま残す。
上記の電圧プローブを用いる代わりに,AMNを交流入力電力ポートの測定と同じように用いてもよい。
共振に関する配慮が必要となる場合がある。
A.8 放射エミッションの測定方法
A.8.1 一般事項
周波数範囲30 MHz1 000 MHzでは,測定は,準せん頭値検波器付き受信機で行う。
放射エミッションの測定は,EUTの境界から規定した距離で行う。境界は,EUTを取り囲む単純な図形
で定義する。全てのシステム内のケーブル及びUPS本体は,この境界内に含まれるようにする。
カテゴリC2及びカテゴリC1のUPSの測定距離は,5.3.3.1による。
A.8.2 測定用受信機
測定用受信機は,CISPR 16-1-1の要求事項に従う。
A.8.3 アンテナ
試験は,CISPR 16-2-3:2010,Amendment 1:2010及びAmendment 2:2014の箇条7に従って行う。

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JIS C 4411-2:2019の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 62040-2:2016(MOD)

JIS C 4411-2:2019の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 4411-2:2019の関連規格と引用規格一覧