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表B.5−フロー電池を使用したBESSの危険源(分類C-D)
システムの危険源 : 各サブシステムの組合せ
種類 サブシステムインシデントとしての危険源(該当Y又は非該当N及び詳細)
電気的 Y 表B.1に同じ
爆発 Y · 電気化学的蓄電サブシステム及び流体システムの組合せにおける,可燃性ガスの滞留
· 電気化学的蓄電サブシステム,電力変換サブシステム,保護サブシステム,きょう体及
び電力システム接続端子の組合せにおける,スパーク
· 電気化学的蓄電サブシステム,電力変換サブシステム,制御·通信サブシステム,保護
サブシステム,きょう体及び電力システム接続端子の組合せにおける,導電体のヒュー
ズ
火災 N 変圧器の絶縁油火災など
温度 Y · 電気化学的蓄電サブシステム,電力変換サブシステム,制御·通信サブシステム,熱交
換器,流体システム,きょう体及びインターフェースの組合せにおける,熱された面の
暴露
· 制御·通信サブシステム及び熱交換器の組合せにおける,温度制御故障
化学的 Y · 電気化学的蓄電サブシステム,熱交換器及び流体システムの組合せにおける,電気化学
的蓄電サブシステムからの液漏れ及びガス放出
· 電気化学的蓄電サブシステム及び制御·通信サブシステムの組合せにおける,水の電気
分解によるガス発生
B.2 危険源に対する考慮事項
B.2.1 一般事項
BESSに対して対策すべき危険源は,火災,爆発,化学的,電気的及び物理的危険源である。これらの危
険源はBESSに使用されている技術によって異なるとともに,通常運転状態だけでなく,異常状態におい
ても異なる場合がある。
B.2.2 火災危険源
酸素·熱·可燃物(火災トライアングル)の要素の制御を通して,火災危険源発生の可能性を評価する
ことが可能である。発火に至るための十分な濃度の可燃物,酸素及び熱源がない限りは,火災は起こり得
ない。
B.2.3 化学的危険源
化学的危険源は,BESSの通常運用における危険物質限界に従って分類する。
B.2.4 電気的危険源
BESSに対して作業を行う者が,50 Vを超える通電部分に接触し,エネルギーレベルが1.2 cal/cm2(5
J/cm2)(皮膚に第二度熱傷を引き起こす可能性がある)のアークにさらされる可能性のある場合の電気的
危険源は,感電及びアークフラッシュである。火災又はその他の緊急事態にさらされたBESSへの緊急対
応者に対する電気的危険源に対処する必要がある。これには,BESSの損傷部分とその周囲の水との間の
短絡による感電又はアークフラッシュの危険性が含まれる。初期対応者は,訓練された電気作業者ではな
く,また,充電部及びアークフラッシュに直接接触するための適切な個人用防護具(PPE)をもっていない
可能性があるため,電圧及びエネルギーの許容レベルは,適切なPPEをもつ訓練された作業者に許容され
るレベルよりも下げる必要がある。
――――― [JIS C 4441 pdf 51] ―――――
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B.2.5 エネルギー危険源
期間累積エネルギーは,BESSの全部又は一部に含まれ得る電気エネルギーの未知の危険なレベルを指
す。これには,BESSが損傷を受け及び/又は放電されたと思われることで,危険なエネルギーを認識し
ておらずシステムに近接している人に対し,再度危害を及ぼすことも含まれる。この危険源は潜在的に未
知の電気危険源を再度誘発するため,訓練を受けた作業者による修理及び交換を行う通常状態と,損傷し
たがまだ危険なエネルギーを包含している可能性のある BESSを扱う緊急対応者が対応する状態との,い
ずれに結び付けるかによって,その許容レベルが異なる。
B.2.6 物理的危険源
物理的危険源は人体に対する危険源で,十分な運動エネルギーをもつ部品又はやけどを引き起こすよう
な熱的特性をもつ部品との接触によって発生する可能性がある。また,安全に圧力を下げる又は流体を保
持する機能が不十分な構造であることが原因となり,流体を危険なレベルの高圧力状態で保持している部
品との接触によっても発生する可能性がある。電気化学的蓄電サブシステムにおいては,適切に熱的隔離
を施していない場合は,通常の運用及び修理工程において作業者がやけどを負う可能性がある。
B.2.7 高圧力危険源
通常運転下でのこれらのシステムにおいて高圧力危険源が発生した事例はないが,異常状態においては
過熱によって高圧力状態になる可能性があるため,物理的危険源に至る場合がある。この種の危険源は,
損傷したBESSに対する初期対応者を負傷させるおそれがある。適切に保護されていない冷却又は換気の
ためのファンブレードのような可動部を除き,市販のBESSにおいては,通常,運動エネルギーによって
発生する危険源はない。
B.3 通常運転下における危険源に対する考慮事項
B.3.1 火災危険源及び爆発危険源
通常運転下における火災及び爆発危険源は,運転中若しくは保守作業中に可燃性物質に接触する可能性
のある熱源によって,又は電池の水溶液系電解液から放出される水素のようなBESSの通常運転の一部と
して発生する可能性のある可燃性の流体若しくは固体の発火によって,引き起こされる。
B.3.2 化学的危険源
通常運転下において,システムの保守,修理又は交換のために,作業者がシステムに接触することによ
って危険な物質にさらされる可能性がある。
化学的危険源の例を,次に示す。
a) 液体による危険源 :
1) 腐食性の電解液 : pHが2以下又は11.5以上の電解液をもつ電池は腐食性である。保守又は通常運
転中において,これらの電解液が漏れ出すリスクが存在することは問題である。流出に対する対策
がとられることが望ましい。また,作業者は,適切な安全作業手順に従い,保護服を着用してシス
テム周辺で作業することが望ましい。これらは,VRLA(制御弁式鉛蓄電池 : Valve-Regulated Lead-
Acid battery)形の鉛蓄電池には適用しない。
2) 有毒流体 : 通常運転及び保守において,有毒流体への暴露が発生する可能性がある。作業者の有毒
流体への暴露については,GHSs(Globally Harmonized Systems)に記載がある。システムに接触する
――――― [JIS C 4441 pdf 52] ―――――
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作業者は,これらの可能性について認識し,危険源を回避するための適切な手順並びに機器及び個
人用防護具(PPE)を備える必要がある。
b) 酸化剤 : BESS内に酸化剤が存在する可能性がある。酸化剤は,その他の物質が発火する可能性を高め
る。
c) 有毒ガス : 一部のBESSシステムでは,通常の保守及び運用条件下で有毒ガスにさらされる可能性が
ある。
注記1 これらのガスの濃度は,適用される関連法令,関連条例などに従って制限される。
注記2 例えば,OSHA(米国労働安全衛生庁)及びNIOSH(米国国立労働安全衛生研究所)は,
許容暴露限度(PEL),8時間又は10時間の勤務時間中の暴露の推奨暴露限界(REL),並
びに生命及び健康に直ちに危険な濃度である脱出限界濃度(IDLH)を含む暴露に関するガ
イダンスを提供している。
d) 固体 : 一部の電池技術に含まれている可能性のある水反応性及び有毒金属は,異常状態で問題が発生
する可能性がある。ただし,通常,これらの有害物質は,システムの定期的な保守及び運用中には暴
露されない。これらの有害物質を含む電池には,リスク分析の結果,関連法令,関連条例などに適合
する適切な記号を表示することが望ましい。
B.3.3 電気的危険源
通常の動作条件下において,一部の電池システムには,運用及び保守の一環として対処する必要がある
電気的危険源が発生する場合がある。通常の動作状態で発生する可能性のある電気的危険源には,次が含
まれる。
a) 感電 : 電圧が50 Vを超えるBESSは,システムの操作及び保守中に充電部と接触する可能性のある訓
練された作業者に危険をもたらす可能性がある。これらのシステムを運用する際には,作業者が適切
な表示,手順及び保護具を使用することが必要である。
b) アークフラッシュ : 入射エネルギーレベルが5 J/cm2(23.8 ft-lb/in2)を超えるBESSは,通常の運用及
び保守中にアークフラッシュによる作業者の負傷を防止するために,アークフラッシュの境界を計算
し,表示によって識別し,適切な手順及び機器を備えることが望ましい。
c) 貯蔵されたエネルギーの危険性 : 蓄積され,将来の使用のために蓄えられるエネルギーは,一般に電
気の形で貯蔵されたエネルギーである。貯蔵されたエネルギーの危険性の例は,十分に放出されてい
ないBESS又は損傷したBESSへの作業者の暴露であり,感電及びアークフラッシュの可能性がある。
通常の動作条件において,商業用及び産業用BESSが設置されている場所では,保守のために危険な
電圧及びエネルギーを分離するための現地での指示,また,安全な交換及び廃棄のための放電に関す
る現地での指示を維持することが望ましい。家庭用及び小規模の商業用システムは,通常の動作条件
下で残存した貯蔵エネルギーによる危険を確実に排除するために,これらの義務を遂行するための情
報を提供し,訓練された作業者が利用できるようにすることが望ましい。
B.3.4 物理的危険源
物理的危険源には,次を含む。
a) やけどの危険性 : 保守中に高温の表面に接触する可能性があり,個人用防護具(PPE)を着用していな
いとやけどを負う可能性がある。
b) 圧縮ガスをはじめとする加圧流体を含む部品がある場合がある。
c) 運動エネルギーをもつ部品 : BESSの調整部品の一部で,適切に保護されていない場合に怪我を引き
起こす可能性のある可動部品が含まれている可能性がある。これは,電池とフライホイールとのハイ
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ブリッドシステムでも問題になる可能性がある。
B.4 緊急·異常状態時の危険源考慮
B.4.1 火災危険源
火災危険源には,次を含む。
a) 発火源付近の可燃性ガスの過熱及び排気による可燃性濃度又は引火性濃度は,緊急時又は異常状態時
に発生することがある。水素のような噴出ガスの濃度が高温部の存在下で可燃性濃度又は引火性濃度
を生じるのに十分であれば,発火が起こり,火災又は爆発が生じる。ナトリウム塩化ニッケル(NaNiCl)
電池及びナトリウム硫黄(NaS)電池のような気密封止された形を除いて,全ての電池は,加圧による
電池セルの爆発を防ぐために,過熱時に内部圧力を緩和する手段を備えている。
b) 短絡などの異常状態時に,電気部品が過熱して火災になることがある。
c) ESSの中には,防火のために不活性ガスを使用するものがある。これらのガスは有毒ではないが,窒
息を引き起こすことがある。ガスの不用意な漏出を防ぐことが望ましい。
B.4.2 化学的危険源
化学的危険源の例を,次に示す。
a) 液体危険源の例 :
1) 腐食性物質の漏出 : NFPA 704:2017(NFPA : National Fire Protection Association,全米防火協会)の表
B.1によれば,pHが2以下又は11.5以上の液体は,腐食性及び危険性レベル3であり,直接接触す
る人に重篤又は永続的な眼の損傷を引き起こす可能性がある。腐食性物質を含む一部のシステムで
は,緊急時又は異常状態時に,システムから漏出又は流出する可能性がある。NFPA 704のハザード
ダイヤモンドでは,腐食性液体を含む電池には,健康障害レベル3のマークが付けられる必要があ
る。
2) 有毒な液体蒸気への暴露 : 火災並びに危険な漏出及び流出のような緊急状態下で発生する可能性の
ある液体蒸気には,様々なレベルの毒性がある。NFPA 704には,次のような危険源レベルの範囲が
示されている。
2.1) レベル4は,緊急状態において致死性がある。68 °F(20 ℃)における飽和蒸気濃度が急性吸入毒
性のLC50の10倍以上であり,LC50が1 000 ppm以下である液体。
2.2) レベル3は,重症又は永久的な損傷を引き起こす可能性がある。68 °F(20 ℃)における飽和蒸気
濃度が急性吸入毒性のLC50以上であり,LC50が3 000 ppm以下であり,かつ,危険度4の判定
基準を満たしていない液体。
2.3) レベル2,は,緊急状態において一時的な機能不全又は後遺障害を引き起こす可能性がある。68 °F
(20 ℃)における飽和蒸気濃度が急性吸入毒性のLC50の1/5以上であり,LC50が5 000 ppm以
下であり,かつ,危険度3又は危険度4のいずれの判定基準にも適合しない液体。
2.4) レベル1は,緊急状態において著しい刺激を引き起こす可能性がある。急性吸入毒性のLC50が
10 mg/Lよりも大きく200 mg/L以下のミスト。
b) 酸化剤 : BESS内に酸化剤が存在する可能性があり,酸化剤は他の物質の火災の強度を増大させる。
NFPA 400:2019の附属書Gは,酸化性物質を分類するための試験に関する情報を提供し,その分類の
下で既知の酸化性物質を特定する。また,NFPA 400:2019の附属書Gは,特定のBESS技術の異常状
態下で発生する可能性がある,既知の酸化剤が大量に露出量された場合に使用する安全対策に関する
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ガイダンスを提供する。酸化剤を含む電池は,NFPA 704のハザードダイヤモンドの特別危険区域にマ
ークされる。
c) 固体 : 一部の電池技術には,空気中に含む水分と接触すると激しく反応する水反応性材料が含まれて
いる。通常使用条件下では暴露されないが,これらの物質は異常状態下で暴露される可能性がある。
水反応性物質を含む電池は,NFPA 704のハザードダイヤモンドにそのように表示されることが望ま
しい。
d) ガス−有毒ガス : 液体から発生する有毒蒸気と同様に,有毒ガスに関連する危険度にはレベル4から
レベル1まで様々なレベルがある。
1) レベル4 : 緊急状態で致命的となる可能性のあるガス。急性吸入毒性のLC50が,1 000 ppm以下の
ガス。
2) レベル3 : 緊急状態で重傷又は永久的な傷害を引き起こす可能性のあるガス。急性吸入毒性のLC50
が,1 000 ppmを超えるが3 000 ppm以下のガス。.
3) レベル2 : 緊急状態で一時的な機能不全又は後遺障害を引き起こす可能性のあるガス。急性吸入毒
性のLC50が,3 000 ppmを超えるが5 000 ppm以下のガス。
4) レベル1 : 緊急状態で著しい刺激を引き起こす可能性のあるガス。急性吸入毒性のLC50が,5 000
ppmを超えるが10 000 ppm以下のガス及び蒸気。
注記 NFPA 704に概説されているように,吸入による急性毒性のLC50は蒸気,ミスト,粉じん(塵)
の濃度であり,雌雄両方の若い成体アルビノラットに1時間連続吸入させた場合,試験動物の半
数が14日以内に死亡する可能性が極めて高い濃度である。蒸気の吸入毒性の判定基準は,1時間
暴露に関するLC50データに基づいている。
B.4.3 電気的危険源
電気的危険源の例を,次に示す。
a) 感電 : 電圧が50 Vを超える回路には,感電の危険性がある。これは,緊急時の初期対応者が訓練を受
けておらず,また,訓練を受けた電気関係の作業者が通常運用時及び保守時に使用する保護用の装置
をもっていない可能性があるために起こる。電気危険源に対処する方法について,保守要員及び初期
対応者が情報を利用可能である必要がある。
さらに,緊急状態においては,緊急時対応者が,水などの導電性流体と接触している充電部に,及
び異常状態の結果として露出している充電部にさらされる可能性がある。BESSの製造業者·設置者
は,初期対応者のために,隔離距離,水噴霧の種類及び角度を定義することが望ましい。緊急時対応
ガイドラインは,危険電圧の隔離の問題を扱うことが望ましい。
注記 PV火災への水噴霧による消防士への潜在的衝撃の問題に関するUL研究は,水の適用による
感電の危険性が電圧,水の伝導率,距離,及び噴霧パターンに依存することを示している。
例えば,次の事項を示す。
1) 固体ストリームからフォグパターン[10°の円すい(錐)角]への僅かな調整は,測定
された電流を人が感電するレベル以下に減少させた。
2) 通電中の電気装置には,塩水を使用してはならない。
3) 6.1 m(20 ft)の間隔は,1 000 Vの直流源からの潜在的な衝撃危険源を,安全と考えられ
る2 mA未満のレベルまで減少させるために決定された。
b) 感電,アークフラッシュ及びアークブラストの危険性 : 初期対応者は,一般に,訓練を受けておらず,
アークフラッシュ,アークブラスト及び感電の危険性から保護するための適切な衣服,手袋などの保
護具をもっていないため,危険なレベルのエネルギーが存在すると,緊急時対応中に危険な電気事象
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JIS C 4441:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 62933-5-2:2020(MOD)
JIS C 4441:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 27 : エネルギー及び熱伝達工学 > 27.010 : エネルギー及び熱伝達工学一般
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.020 : 環境保護 > 13.020.30 : 環境インパクトアセスメント
JIS C 4441:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC0366:1997
- 建築電気設備の電圧バンド
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISC5750-4-3:2011
- ディペンダビリティ マネジメント―第4-3部:システム信頼性のための解析技法―故障モード・影響解析(FMEA)の手順
- JISC5750-4-4:2011
- ディペンダビリティ マネジメント―第4-4部:システム信頼性のための解析技法―故障の木解析(FTA)
- JISC60068-2-52:2020
- 環境試験方法―電気・電子―第2-52部:塩水噴霧サイクル試験方法(塩化ナトリウム水溶液)(試験記号:Kb)
- JISC60364-4-44:2011
- 低圧電気設備―第4-44部:安全保護―妨害電圧及び電磁妨害に対する保護
- JISC61000-6-7:2020
- 電磁両立性―第6-7部:共通規格―工業環境における安全関連機能(機能安全)の遂行を意図した装置に対するイミュニティ要求事項