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C 4441 : 2021
附属書JB
(参考)
貯蔵状態の表現
この附属書は,この規格の対応国際規格の中で参照しているIEC TS 62933-5-1:2017の6.2を翻訳し,一
部国内事情及び解釈を加えて作成したものである。
JB.1 電力システムの種類
EESSは,電力システム又は任意の他の供給源からの電気エネルギーを貯蔵することができ,かつ,電力
システムに電気エネルギーを供給することができるあらゆる形の電力システム接続エネルギー貯蔵システ
ムを含む。“電力システム”には,次のものが含まれる。
a) 送電系統
b) 配電系統
c) 業務用施設内系統
d) 産業用施設内系統
e) 住宅内配線
f) 独立系統
JB.2 機能の種類
EESSの機能の一部には,次のものがある。
a) ピークシェービング(長期的機能)
b) 負荷平準化(長期的機能)
c) 周波数調整(短期的機能)
d) 再生可能エネルギーの安定化(短期的機能)
e) バックアップ電源
JB.3 設置場所
EESSの設置場所は,次のものがある。
a) 集合住宅を含む住宅
b) 商業施設及び公共施設
c) 産業施設
d) 公益施設
物理的な保管場所も考慮することが望ましい。物理的な保管場所の例を,次に示す。
· 閉鎖及び/又は開放された屋外
· 閉鎖及び/又は開放された屋内
――――― [JIS C 4441 pdf 76] ―――――
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C 4441 : 2021
· 地下
JB.4 ぜい弱な要素
潜在的な事故又は偶発的なインシデントを評価するためには,影響を受ける可能性のある環境の要素を
明確に特定することが不可欠である。一般に,次の要素を考慮する必要がある。
· 人々[例えば,関係する現地作業者,居住者,敷地周辺で働く人々(人数,滞在時間,施設からの距
離,人々の種類及び制限を含む。)]
· 検討範囲に直接含まれない設備及び機器
· 重要な安全装置
· EESSに依存する機器
· 特性及び構造
· 自然環境(例えば,地下水,河川,土壌,大気,風向,地震レベル,落雷レベル及び高度)
JB.5 一般的にアクセス可能な場所におけるEESSのための特別な対策
住宅内配線では,訓練を受けていない一般の人々にEESSがさらされることに関して追加の懸念がある。
住宅内配線に設置された機器は,一般の人々が直接接触するおそれのある場所に設置される可能性がある
ため,システムの設計はこの点を考慮に入れる必要がある。これらには,限られた開口部をもつきょう体
及び防護物の使用による危険な部品へのアクセスの防止,熱による危険を防止するための断熱,並びに改
ざん又は誤操作を防止するための制御へのアクセスの防止が含まれる。現地に熟練した作業者がいないと
き,コントロールを自動化し,あるレベルからはアクセスできないように設計する必要がある。住宅内配
線で使用する機器が車庫又は道路の近くに配置されている場合,車両からの偶発的な衝撃による損傷を防
止するために,防護を備える必要がある場合がある。住宅内に設置される場合,EESSは地域の住宅建築基
準を満たす必要がある。住宅内配線でのEESSの使用は,幾つかの技術を制限する可能性があり,その場
合,居住環境では危険性を十分に軽減することができないこともある。
JB.6 外部からの影響源
一般に,影響の発生源を特定することが望ましい。
· 立地発生源 : 他の施設,危険物,車両及びその他の移動物,作業,公共施設の損失,悪意のある行為
· 自然発生源 : 異常気象(霜,風,雪,霧など),地滑り及び地震,落雷,落雪,真水又は塩水の氾濫
注記 翻訳元のIEC TS 62933-5-1:2017では,“落雪”は含まれていないが,この規格では追加した。
JB.7 無人運用
無人運用EESSは,その運用中に様々な外部攻撃及び内部トラブルを受ける可能性がある。多くの場合,
システムは振動,音,又は臭気を発することがあり,これらは人間によって検出されないことが多い。遠
隔監視システムは,故障信号をオペレータ制御ステーションに送る場合がある。オペレータは必要な操作
を遠隔で行い,操作信号がシステムに送られる。誤ったシグナルの往復に伴うリスク及び人的ミスに伴う
リスクの両方を考慮することが望ましい。
――――― [JIS C 4441 pdf 77] ―――――
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C 4441 : 2021
JB.8 意図しない単独運転
一般に,配電系統の線路遮断器が開いていると,配電系統はEESSの停電時に無電圧になる(図JB.1を
参照)。EESSに接続されている配電線では,本来は無電圧であるはずの領域が通電され,その場合,EESS
は動作を継続し,電力ネットワークから分離されない。EESSから供給される電力だけで配電線にエネル
ギーが供給される状態は,意図しない単独運転と呼ばれる。
自立運転のために設計されたEESSでは,配電線で遮断器が開いた場合,配電系統から切断された需要
家の負荷に対し,EESSによって電力を供給することができ,局所的なエネルギー生産が可能になる。
意図しない単独運転は,人体及び施設の安全に大きな影響を及ぼす危険がある。事故の調査中又は機器
の取外し作業中は,技術スタッフだけでなく,一般の人も感電する危険がある。
保護リレー又は他の方法を使用して,直接的又は間接的に検出し,EESSを配電線から迅速に切断する
ことによって,単独運転を防止するための対策を講じることが求められる。
2開放
配電線 3閉路
電気エネル
ギー貯蔵シ
ステム
1電気的な衝撃
需要家
配電線の線路遮断器が開いても,EESSの電力と需要家の需要とが同じであれば,EESSの遮断器は開かない。
図JB.1−電気エネルギー貯蔵システムの単独運転
注記 翻訳元のIEC TS 62933-5-1:2017では,自立運転用に設計されている場合は,この規定の適用を除
外する旨記載されているが,我が国における系統連系規程(JEAC 9701)では,自立運転用に設
計されていても,単独運転が発生した場合は保護リレーなどを使用して検出することを必須とし
ているため,この附属書では削除した。
――――― [JIS C 4441 pdf 78] ―――――
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C 4441 : 2021
附属書JC
(参考)
システムレベルのリスクアセスメント
この附属書は,この規格の対応国際規格の中で参照しているIEC TS 62933-5-1:2017の6.3.3を翻訳して
作成したものである。
JIS C 5750-4-3に記載されている故障モード及び影響解析(FMEA)の手順など,システムの信頼性に関
する分析技法を効率的に使用することは,EESSを安全に保つための重要なアクションの一つである。シ
ステムレベルのFMEAでは,全ての構成要素機能及び構成要素間のあらゆる接続点が正しく定義される場
合は,構成要素及び接続点機能の誤動作の影響が解析される。また,作業者の役割を定義し,人的エラー
の影響を考慮する場合がある。
低リスクで低複雑性のシステムでは,故障モード影響致命度解析(FMECA)は,非常に費用対効果が高
く適切な方法である。FMECAで解析中に高リスクの影響の可能性が認識された場合,FMECAよりも確率
論的リスク評価(PRA)を優先して使用することが推奨される。
JIS C 5750-4-4に記載されている故障の木解析(FTA)及びIEC 61882に記載されているHAZOP(Hazard
and Operability Study)のようなIEC規格に定義されている他のリスク解析ツールを,代替として使用する
ことがある。リスク分析の結果を文書化することで,検討結果はEESSの運用に責任のある組織が利用す
ることが可能である。
FMEA,FTA又はHAZOPが火災,爆発又は有毒ガスの排出の可能性を示す場合,JIS C 0508規格群又
はその派生規格に従って機能安全管理を実施することが望ましい。
公衆回線を利用する場合には,部分的にしか利用しない場合でもサイバーセキュリティを考慮する必要
がある。サイバーセキュリティのリスク分析は,ここに記載する分析とは別に行う場合がある。
――――― [JIS C 4441 pdf 79] ―――――
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C 4441 : 2021
附属書JD
(参考)
リスク低減のために必要な要求事項
この附属書は,この規格の対応国際規格の中で参照しているIEC TS 62933-5-1:2017の7.17.8を翻訳
し,一部国内事情及び解釈を加えて作成したものである。IEC TS 62933-5-1:2017の7.17.8とJD.1JD.8
とがそれぞれ対応している。
JD.1 リスク低減のための一般的対策
システムレベルのFMEA又はリスク分析結論の結果として,事故を防止し,その影響を制限するために
必要な予防及び保護措置を講じなければならない。これは,結果の確率及び/又は重大性が高すぎる全て
のシナリオに対して,図JD.1に従ってリスク低減措置を提案することを意味する。JD.1は,リスク低減
のためのガイダンスを記載することを意図している。詳細は技術ごとに個別に議論することが望ましい。
開始
電気貯蔵方式の決定
実験,シミュレ
ーション,調査
危険源の特定 など
リスクの見積
リスクの低減
リスク評価
いいえ
はい
終了
図JD.1−一般的なリスクアセスメント手順における反復確認順序
リスク分析において考慮されるシナリオには,システムに対する深刻な自然災害及び深刻な社会的·人
的影響の両方の外部影響を含む。自然災害にはあらゆる種類の自然災害が含まれ,その中には季節的なも
のもあれば,地震,洪水,津波などのほとんど前触れのないものもある。社会的·人的影響には,一人に
よる妨害行為,社会的混乱,テロなどがある。
予防策は,システムの設置場所に大きく依存するが,EESSに重大な影響を及ぼす可能性のあるまれな
外部事象に対しても,方策を特定することが望ましい。ここで特定される予防策は,影響を回避し,限定
されたシステム損傷への影響を最小化し,かつ,壊滅的なシステム損傷を緩和するための方策である。
予防策にもかかわらず,部分的な被害が生じた場合には,直ちに被害の拡大を抑制する方策をとること
――――― [JIS C 4441 pdf 80] ―――――
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JIS C 4441:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 62933-5-2:2020(MOD)
JIS C 4441:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 27 : エネルギー及び熱伝達工学 > 27.010 : エネルギー及び熱伝達工学一般
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.020 : 環境保護 > 13.020.30 : 環境インパクトアセスメント
JIS C 4441:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC0366:1997
- 建築電気設備の電圧バンド
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISC5750-4-3:2011
- ディペンダビリティ マネジメント―第4-3部:システム信頼性のための解析技法―故障モード・影響解析(FMEA)の手順
- JISC5750-4-4:2011
- ディペンダビリティ マネジメント―第4-4部:システム信頼性のための解析技法―故障の木解析(FTA)
- JISC60068-2-52:2020
- 環境試験方法―電気・電子―第2-52部:塩水噴霧サイクル試験方法(塩化ナトリウム水溶液)(試験記号:Kb)
- JISC60364-4-44:2011
- 低圧電気設備―第4-44部:安全保護―妨害電圧及び電磁妨害に対する保護
- JISC61000-6-7:2020
- 電磁両立性―第6-7部:共通規格―工業環境における安全関連機能(機能安全)の遂行を意図した装置に対するイミュニティ要求事項