JIS C 4441:2021 電気エネルギー貯蔵システム―電力システムに接続される電気エネルギー貯蔵システムの安全要求事項―電気化学的システム | ページ 17

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が望ましい。実証済みの消火活動,内部伝搬低減手段,緊急用消火器及び緊急停止もその予防の一部であ
る。被害の程度によっては,更に救急隊の出動も含まれる。
図JD.2に,EESSの一般的なリスク低減策を示す。危険なインシデントが発生した場合,予防及び緩和
の層で,被害の伝搬を抑制する手段を検討することが望ましい。さらに,危険源の規模を最小限に抑える
ために,施設の緊急対応及び地域の緊急対応を事前に計画及び準備することが望ましい。
図JD.3に,インシデントから重大事故への損傷の伝搬,及び損傷を最小限に抑えるための階層化された
対策を示す。外部からの影響,ハードウェア,ソフトウェア及びシステムの誤作動,合理的に予見可能な
誤使用などの軽微なインシデントは,システムに部分的な損傷を引き起こす可能性がある。部分的な損傷
がシステムのより広い領域に伝搬すると,大きな事故が発生する可能性がある。損傷の伝搬を抑制するた
めの階層化された対策の必要性は,通常の制御及び監視とは別に考慮することが望ましい。
地域緊急対応
施設緊急対応
緩和
予防
制御,監視
BESS
図JD.2−一般的なリスク低減策
制御,監視
施設緊急対応
外部からの影響 予防 緩和
ハードウェア,ソフトウェ
重大事故
ア,システムの誤作動 部分的損傷 損傷の伝播
合理的に予見可能な誤使用
地域緊急事態
インシデント
許容できるリスク 許容できないリスク
図JD.3−インシデントから重大事故への損傷の伝搬

――――― [JIS C 4441 pdf 81] ―――――

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JD.2 近隣住民への被害防止対策
近隣住民に影響を及ぼす可能性のある事故現象(爆発,火災,毒物の拡散など)に注意することが望ま
しい。
“重大事故”とは,EESSの運用中の制御不能な現象に起因する大規模な放出物,火災又は爆発の発生を
意味する。施設の内外で,直ちに又は遅延して人の健康又は環境に重大な危険をもたらし,有害物質をも
たらす。
事業者は,重大事故を防止し,その影響を緩和し,かつ,回復措置を講じるために必要な全ての措置を
講じる一般的義務を負うことが望ましい。
火災,爆発又は有毒ガスの放出に関するリスクアセスメントで許容できない危険源の可能性が示された
場合,EESSには,危険源リスクを許容可能なレベルに低減するため,JIS C 0508規格群に適合した安全関
連システム(SRS)を設けることが望ましい。EESS制御サブシステムから独立した,信頼性の高いシンプ
ルなハードウェアSRSを使用することが望ましい。
JD.3 作業者·住民の被害防止対策
JD.3.1 電気的危険源からの保護
EESSの全ての電気エネルギー源は,人間の電気的危険源への暴露を最小限に抑え,動植物によるEESS
へのアクセスを防ぐように制御することが望ましい。危険な電圧回路を備えたEESSの充電部は,偶発的
な接触から囲い,柵,防護などの他の手段で保護し,充電部への不注意なアクセスを防止することが望ま
しい。
操作及び保守の指示には,安全な作業慣行に関する情報を含めなければならない。可能な限り,通常,
危険な電圧で通電されている導体が安全に絶縁され接地されている場合にだけ作業を開始することが望ま
しい。アークフラッシュ及び衝撃の危険源に対する特別な保護手段を必要とするエネルギー貯蔵システム
内及び周辺の領域には,危険源及び必要な予防措置を特定するための警告標識を提供しなければならない。
隔離が不可能な場合,例えば,電池端子での作業の場合,タスクを実行するために必要な適切な個人用防
護具(PPE)に関する指示を提供しなければならない。
通電中に検査,調整,サービス,又は保守を必要とする可能性があるEESS及び関連する電気機器は,
感電又はやけどのリスクを最小限に抑えるように設計することが望ましい。危険な充電部へのアクセスを
防止することが現実的でない状況では,有資格者に危険を警告するために警告通知を設置することが望ま
しい。
電線·ケーブル製品が真水,塩水又は過剰な水分にさらされると,かび又は腐食によって部品が損傷す
る可能性がある。このような損傷は,絶縁不良又は終端不良を引き起こす可能性があり,更に電気的な危
険を発生させる可能性がある。
電気的危険源に対する予防措置の例としては,次を考慮する必要がある。
· 地絡検出
· 過電圧·不足電圧の検出
· 過電流·不足電流の検出
· 異常温度

――――― [JIS C 4441 pdf 82] ―――――

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· 雷保護
· 静電放電
· ヒューズ
補足情報は,JIS C 60364-4-41に提供されており,低電圧電気設備に適用される感電に対する保護を扱
っている。
意図しない単独運転の場合,EESSが電力リスクを低減するために電力システムに接続されているとき
は,単独運転を検出するために次の二つの方法を組み合わせて使用することが望ましい。
a) 受動的方法 単独運転に移行するときの発電出力と負荷との不均衡によって,電圧位相及び周波数が
急激に変化する現象を検出する。
b) 能動的方法 EESSの出力に平時から変動を与えておき,単独運転移行時に当該変動に起因して生じ
る電圧,周波数及びラインインピーダンスの変化を検出する。
単独運転が検出されたとき,EESSは自動的に電力システムから切り離されなければならない。
注記 翻訳元のIEC TS 62933-5-1:2017では,意図的な単独運転用に設計されている場合は,この規定の
適用を除外する旨記載されているが,我が国における系統連系規程(JEAC 9701)では,自立運
転用に設計されていても,単独運転が発生した場合は保護リレーなどを使用して検出することを
必須としているため,この附属書では削除した。
保守作業が計画されている場合,いかなる処置作業の前に,電力システムの関連部分の電気絶縁の適切
な分析が実施され,文書化されることが望ましい。
JD.3.2 機械的危険源からの保護
機械的に引き起こされる怪我に対する基本的な安全対策は,特定のEESSの機能である。基本的な安全
対策には,次が含まれる。
· きょう体の構造要求事項(丸みのある縁及び角,可動部が接近できないようにするための囲い)
· 可動部へのアクセスを制御する安全インターロック
· 可動部の動きを止める手段
· 機器を安定させる手段
· 強固なハンドル
· 強固な取付手段
· 爆発又は機械的故障の間に放出される部品を収容する手段
JD.3.3 その他の危険源からの保護
JD.3.3.1 爆発からの保護
爆発性雰囲気と爆発の潜在的な発生源としての効果的な点火源との組合せには,爆発防止及び保護の基
本原則を次の順序で適用する必要がある。
a) 予防
− 爆発性雰囲気を回避又は削減する。この目的は,主に可燃性物質の濃度を爆発範囲未満の値に変更
するか,又は酸素の濃度を限界酸素濃度(LOC)未満の値に変更することによって達成される。
− 有効な発火源を避ける。

――――― [JIS C 4441 pdf 83] ―――――

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b) 保護
− 隔離,通気,抑制,封込めなどの保護方法によって爆発を停止し,範囲を十分に安全なレベルに制
限する。a)に記載されている二つの措置とは対照的に,ここでは爆発の発生が受け入れられる。
リスクの低減は,上記の予防又は保護の原則のいずれかを適用することによって達成することが可能で
ある。これらの原則を組み合わせて適用することも可能である。
爆発性雰囲気の回避が,常に第一の選択である。
爆発性雰囲気が発生する可能性が高いほど,発火の可能性を防ぐための対策の範囲が広くなる。
適切な対策の選択を可能にするために,個々のケースごとにリスク低減アセスメントを実施しなければ
ならない。
爆発予防及び保護措置の計画においては,起動及び停止を含む通常動作を考慮する。さらに,技術的故
障の可能性だけでなく,合理的に予見可能な誤使用を考慮する。爆発防止及び防護措置の適用には,事実
に関する十分な知識及び経験が必要であるため,有能な人に指導を求めることが望ましい。
JD.3.3.2 EMCからの保護
危険源の発生を防ぐために,EESSは,IEC 61000規格群などの関連するIEC文書を満たし,電気,磁
気,及び電磁妨害に対して十分な耐性をもつ機器で構成することが望ましい。
部品の十分なEMC耐性は,単一部品のEMC耐性試験で確認されるが,システムの相互作用が磁気及び
電磁妨害を増幅し,個々の部分の誤作動及び部品間の誤通信を引き起こす可能性があることを考慮するこ
とが望ましい。本質的な安全を実現するために,EESSが設置されている環境で発生する可能性のあるEMC
妨害の存在を考慮して,EESSの保護制御を設計し,試験することが望ましい。
JD.3.3.3 火災危険源からの保護
電気的に引き起こされる火災に対する基本的な保護策は,通常動作状態及び異常動作状態下で,材料の
温度が発火を引き起こさないようにすることである。電気的に引き起こされる火災に対する補足的な保護
によって,発火の可能性が減少し,また,発火した場合でも延焼の可能性が減少する。
予防及び保護方策の例には,次のものを含む。
· システムの構築に不燃性又は難燃性の材料を使用する。
· 過熱につながる可能性のあるプロセスの逸脱を分析することによって,過熱のリスクを排除又は最小
化する。
· 火災による人並びに/又は財産及び/若しくは環境に対する損傷のリスクを排除又は最小限に抑える
ために,想定される火災リスクに応じた設備ユニット·施設の遮蔽,隔離,囲いなどによって制限す
る。
· 検出,制御,警報及び消火機能のための装置を含む統合火災検出及び消火設備(安全部品)を適切に
使用することによってリスクを低減することが可能である。
· 貯蔵装置及び/又は補助装置の計画的な停止又は緊急停止
· 消火設備で覆われた保護区域の隔離。例えば,囲い又はウォーターカーテンによる隔離。
· 設備及び技術的な火災防護設備を適切な状態に維持し,運転の準備ができており,必要な消火措置を
開始可能とするために,利用者に包括的で理解しやすい文書を提供する。

――――― [JIS C 4441 pdf 84] ―――――

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エネルギー貯蔵システムに要求される火災の検知及び消火のレベルは,システムの設置の大きさ,技術,
場所,並びに危険物質の量及び配置に依存する。防護は,EESSの設置場所への消火システム設置のために
維持すべき適切な消火材料に関する指示,設置の指示,並びに従うべき基本的な清掃手順及び安全手順と
同じくらい基本的なものである。
要求される火災検知及び消火システムのレベル及び形を決定するために,エネルギー貯蔵システムの設
置について火災リスクの評価を実施し,人及び財産を保護するための適切な火災予防及び火災保護要求事
項が関連法令,関連条例などに従い,満たされているかを確認する。
消火装置の設置が必要なエネルギー貯蔵システムの設置には,システムの設置場所(屋内など),エネル
ギー貯蔵技術,並びに該当する設置方法,建物及び火災に関連する法令,条例などに応じて,火災を検知·
抑制するための手段が備わっていなければならない。エネルギー貯蔵システムの一部として提供されてい
ない場合,適切な火災検知·抑制システムの選択及び設置に関するガイダンスは,エネルギー貯蔵システ
ムの設置及び保守の指示書において提供する。
補足情報はIEC 60364-4-42に提供されており,電気設備によって引き起こされる燃焼及び炎を含む熱影
響に対する保護を扱っている。
JD.3.3.4 熱的危険源からの保護
高温部品を含むシステムでは,高温部品を保護するための断熱又は適切な保護手段を備える。
システムが通常の動作で高温の部品を含んでいるかどうかにかかわらず,システムが通常の動作から外
れている場合,システムの部品の温度が上昇する可能性がある。そのような部品は,設計段階で特定する。
保護及び/又は適切な標識を提供する。
通常運転からの逸脱による温度上昇を温度センサーで常時監視し,作業者の危険度に応じて作業者の安
全のための警報を行う。
JD.3.3.5 化学的危険源からの保護
有害物質による傷害に対する基本的な安全対策は,物質の封込めである。
有害物質による傷害に対する補足的な安全対策には,次のものがある。
· EESS内に液体を貯蔵するのに十分な容量をもつ第2の容器又は耐漏液容器
· 封込めトレイ
· 不正アクセスを防止する不正開封防止ねじ
· 指示セーフガード
· センサー及びアラーム
· 含まれる化学物質に対する材料の耐性
有毒ガスが放出される可能性がある場合には,有毒ガスの蓄積を避けるための対策を考慮することが望
ましい。有毒ガスの蓄積対策は,地形,建物の設計及びガスの物理的特性を考慮することが望ましい。有
毒ガスの検出及び警報は,それらの措置の一部である場合がある。また,適切な個人用防護具(PPE)の使
用を考慮することが望ましい。

――――― [JIS C 4441 pdf 85] ―――――

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JIS C 4441:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 62933-5-2:2020(MOD)

JIS C 4441:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 4441:2021の関連規格と引用規格一覧