JIS C 4441:2021 電気エネルギー貯蔵システム―電力システムに接続される電気エネルギー貯蔵システムの安全要求事項―電気化学的システム | ページ 4

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4.3 BESSの所有権,管理又は使用の変更

  所有権又は運用上の責任の移管が発生する全ての場合において,新しい所有者に対して,監視ログ情報
を,7.13.2及び7.13.3の要求事項に適合するための方策とともにシステム文書の一部として移譲すること
が望ましい。特定されたBESSのリスクを制御する必要がある場合,計画された又は実施された変更から
生じる,既存又は新規の安全に関するリスクを管理·制御するための役割及び責任を明確にすることが望
ましい。
附属書Aに,BESSの所有権に関する詳細情報を示す。

5 危険源に関する考慮事項

  EESSの一般的危険源に関する考慮事項を附属書JAに示す。

6 BESSのリスクアセスメント

6.1 BESSの構造

6.1.1 一般的特徴
適切な安全性リスクアセスメントのため,次のような特徴を明確にしたBESSのモデルを作成しなけれ
ばならない。
主POC,補助POC及び制御サブシステムを含むBESSの例を,図2及び表3に示す。BESSによって
は,幾つかのサブシステムが存在しない場合がある。マネジメントサブシステム,通信サブシステム,保
護サブシステムなどの間をつなぐ通信の配置は点線で示す。
制御サブシステム
通信サブシステム
マネジメント
サブシステム 通信インター
保護サブシステム
フェース
補助サブシステム 補助接続端子
補助POC
主サブシステム
電気化学的蓄電 電力変換サブ
主接続端子 主POC
サブシステム システム
図2−BESS構成の一例
注記 図2は例であり,典型的なBESSの構成を示している。図2に当てはまらない場合もある。

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表3−BESSサブシステム内の構成要素の例
サブシステム 構成要素,仕様など
マネジメントサブシステムシステム制御及び/又は電力マネジメントなど
通信サブシステム 操作パネル(ヒューマンインターフェース),システム通信及び/又は監視,計器通
信など
保護サブシステム 継電器(接地,過電流,過電圧,不足電圧,周波数上昇,周波数低下など)など
補助サブシステム 火災,熱及び/又は発煙検出システム,消火システム,消火器,HVAC(暖房·換気·
空調),システムアンカー,予備変圧器,予備電源供給スイッチ,予備UPSなど
補助接続端子 接続端子,ケーブル(形,耐火等級,耐熱等級,化学耐性等級,大きさ,柔軟性)な

電気化学的蓄電サブシステ電池(BMSを含む。),通信機器,保護機器,機械的固定,ケーブルなど
ム 注記 一つのBESSが複数の電気化学的蓄電サブシステム,複数の形の電池種をも
つ場合がある。
電力変換サブシステム 変圧器,逆変換装置,制御装置,スイッチなど
主接続端子 接続端子,ケーブル(形,耐熱等級,化学耐性等級,大きさ,柔軟性)など
その他 個室及び/又は建屋·きょう(筐)体,基礎,水道,建物のHVAC(暖房·換気·空
調)システム,ヒューズ,安全表示など
6.1.2 特有の特性
4.2で分類したとおり,BESSの主要な構成は,電気化学的蓄電サブシステムの化学種だけでなく,次の
とおり補助サブシステムの種類によっても異なる。
· 分類C-Cのサブシステムに特有
− 電気化学的蓄電サブシステムの加熱回路
· 分類C-Dのサブシステムに特有
− 熱交換器
− 流体管理システム(ポンプ,タンク,パイプ,弁など)

6.2 BESSの状態の表現

  BESSの状態の基礎的な表現は,4.2の表1に従って分類する。附属書JBに従った,より詳細な表現が
BESSに適用可能である。

6.3 リスク分析

6.3.1 一般
BESSのリスク分析(危険源の特定及びリスクの見積り)は,4.1,4.2,6.3.2,6.3.3及び6.3.4に従い実
施しなければならない。
EESSのリスク分析における一般的な考慮事項を,附属書JB及び附属書JCに示す。
リスク分析を繰り返し実施することによって,リスクを減少させ,利用可能な技術を最大限に活用する
ことができるため,リスク分析は繰り返し実施しなければならない。リスク分析を実施する際は,ライフ
サイクルの全期間中におけるBESSの安全性を考慮する必要がある。
BESSの危険源及びリスクについての有益な情報を,附属書Bに示す。

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6.3.2 BESS特有の危険源の特定
BESSのリスクアセスメントの結果としてのシナリオは,サブシステム特有の故障モード(特定された
BESSに特有の危険源)を分析の開始点として含まなければならない。
6.3.3 リスク考慮事項
BESSのリスクシナリオには,サブシステム間の全ての相互作用を含む。次のシナリオを例として挙げ
るが,これらには限定されない。
· 電気化学的蓄電サブシステムから他への伝搬
· 電気化学的蓄電サブシステム以外からの伝搬
· 複数のサブシステムにおける同時故障
· 安全に関わるサブシステム機能の喪失
6.3.4 システムレベルのリスク分析
システムレベルのBESSリスクを,部品,モジュール,及び最終システムレベルで評価しなければなら
ない。適切なリスク分析が,部品,モジュール及び最終システムレベルで実施されたことを示すために適
切な分析を行う。
システムレベルのリスク分析の一般的な状態については,附属書JCに示す。
システムレベルのBESSリスク分析は,システム上のリスク(BESSの大きさ及び重要度)及び複雑さに
基づいて,次の技法又は同等の技法を用いて実施する。
· ボトムアップリスク解析[例 : FMEA(Failure Mode and Effect Analysis)(JIS C 5750-4-3参照)]
· トップダウンリスク解析[例 : FTA(Fault Tree Analysis)(JIS C 5750-4-4参照)]
· 上記の組合せ[例 : HAZOP(Hazard and Operability Study)(IEC 61882,STAMP参照)]

6.4 システムレベルのリスクアセスメント

  全てのリスクが,BESS設置場所に常駐する可能性のある操作者,使用者及び近隣への影響について評
価され,許容できるかどうか判定しなければならない。
注記 システムが電子機器及びソフトウェアに依存している場合は,これらの制御機能の評価を実施し
ている。この目的のために,例えば,適切な機能安全基準を利用することがある。
許容できないリスクが存在した場合には,通常,箇条7及び箇条8の規定に従い適切な方策をとらなけ
ればならない。
BESSのリスクの評価及び低減に付記する文書は使用可能な状態であることとし,箇条6の全ての要求
項目に適合しなければならない。

7 リスク低減のために必要な要求事項

7.1 リスク低減のための一般的対策

  EESSに対する一般安全考慮事項をJD.1に示す。

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リスク低減アプローチの優先順位(JIS Z 8051:2015の6.3.5)は,次のとおりである。
a) 本質的安全設計
b) 防護及び保護装置
c) 使用者のための使用上の情報
本質的安全設計は,リスク低減のプロセスにおける,最初で,かつ,最も重要なステップである。これ
は,製品又はシステムに特有の本質的な保護方策の効果が持続されるのに対して,適切に設計した防護及
び保護装置でさえ機能しなくなるか無効になることがあり,また,使用のための情報が順守されないこと
は経験的に知られているからである。
本質的安全設計方策が合理的に危険源を除去することも,リスクを十分に低減させることもできない場
合には,常に防護及び保護装置を使用する。例えば,非常停止装置などの追加装置を含む付加的保護方策
を実行しなければならない場合もある。
使用者には,設計者及び/又は供給者から提供された情報に沿ってリスクの低減を果たす役割がある。
ただし,使用のための情報は,本質的安全設計方策,防護又は付加的保護方策の代替となってはならない。
7.27.12で要求する全ての安全設計方策は,箇条6に規定するBESSのリスクアセスメントプロセスに
従い計画·実行されなければならない。
注記 方策によっては,その方策を実施しなくとも,安全性事項が明確に達成されていることをリスク
アセスメントにおいて明確に証明することができる場合,免除されることがある。

7.2 近隣住民への被害防止対策

  EESSの一般安全考慮事項を,JD.2に示す。

7.3 作業者・住民の被害防止対策

  EESSの一般安全考慮事項を,JD.3に示す。

7.4 過電流保護設計

  EESSの一般安全考慮事項を,JD.4に示す。

7.5 BESSの接続遮断・シャットダウン

  EESSの一般安全考慮事項を,JD.5に示す。BESSの接続遮断及びシャットダウン中のリスクの低減に必
要な追加の安全要求事項は,7.11.2に規定する。

7.6 運用及び保守

  EESSの一般安全考慮事項を,JD.6に示す。

7.7 作業者の教育訓練

  EESSの一般安全考慮事項を,JD.7に示す。

7.8 安全設計

  EESSの一般安全考慮事項を,JD.8に示す。安全設計において講じられるBESSのリスクの低減に必要

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な追加の安全要求事項は,7.10,7.11.1,7.11.3及び7.12に規定する。

7.9 BESSの安全のための一般要求事項

  サブシステム内のいかなる障害も,当該サブシステムの外部へ波及しないことが望ましい。
BESSの安全な動作に影響を与える可能性のある障害を発生させるサブシステムは,他のサブシステム
から分離可能であることが望ましい。サブシステムの安全機能は,この分離に影響されず,独立して動作
しなければならない。
BESSから発生する騒音,振動,限界温度が最小限になるよう設計されていることが望ましい。
BESS内のサブシステムの構造は,危険な部品,区画及び状態を操作者が認識するのを妨げないことが
望ましい。
さらに,分類V-HのBESSについては,当該場所において危険にさらされている作業者がいないという
証拠が得られない場合には,危険を伴う可能性のある遠隔操作を防止するための対策を講じる必要がある。
機構の設計に際し,操作者に対する精神的若しくは肉体的ストレス又は負荷が軽減されるよう,適切な
規格(例 : ISO 9241規格群)に記載されている人間工学的原則が考慮されていることが望ましい。これら
の原則は,基礎設計において機能を操作者及び機械(自動化度)に割り当てる際に考慮することが望まし
い。

7.10 BESSの本質的安全設計

7.10.1 電気的危険源からの保護
分類V-LのBESSに該当する電気設備は,JIS C 60364規格群の適切な部分に従わなければならない。
分類V-HのBESSに該当する電気設備は,IEC 61936-1:2010+AMD1:2014及びJIS C 60364規格群に従
わなければならない。
BESSの直流側に接続されたサブシステムの電気的保護は,IEC 61660-1及びIEC 61660-2に従って安全
でなければならない。
サブシステムの充電部又は特別低電圧(ELV : Extra-Low Voltage)を超える危険電圧の回路をもつBESS
の構成部品は,許可されたもの以外が接近できてはならない。感電を生じるおそれのあるBESSの部品は
確実に覆われており,人が触るおそれのあるBESSの導電部は,危険電圧の部品と接続してはならない。
次のいずれかの方法でこれらの保護が可能になる。
− 人体又は生物を電流が通過するのを防ぐ。
− 人体を通過する電流が危険を及ぼさない値に制限する。
電線及び絶縁は,それぞれ最大電圧,最大電流及び最大温度で評価を行う。
BESSの,単一故障の際に危険電圧と接続する可能性のある全ての導電部は,適切な規格,製造業者の指
示及び関連法令,関連条例などに従い接地しなければならない。
想定されない短絡及び/又はアークフラッシュの発生を防ぐために,固定されたリード線,端子などを
含む回路の物理的間隔を十分とらなければならない。

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JIS C 4441:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 62933-5-2:2020(MOD)

JIS C 4441:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 4441:2021の関連規格と引用規格一覧