JIS C 4441:2021 電気エネルギー貯蔵システム―電力システムに接続される電気エネルギー貯蔵システムの安全要求事項―電気化学的システム | ページ 5

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露出した導体の接続点は,電気化学的蓄電サブシステム間の想定されない短絡防止のために,適切な間
隔及び構造がとられていなければらない。
雷保護が必要かどうかを評価するために,IEC 62305-2に記載の手順に従ってリスクアセスメントを行
う。当該リスクアセスメントの結果,雷保護が必要と判断された場合は,適切に保護を行わなければなら
ない。
BESSに関連付けられた電圧測定システムは,基準電圧を使用することが望ましい。
安全関連部品(センサーなど)は,信頼性が明確に分かっているものを使用しなければならない。
防護装置などの保護装置は,有効であるように設計されなければならない。なぜならば,故意によって
人が危険にさらされる可能性があり,また,有効性を減じれば保護しきれない可能性があるためである。
漏れ電流及び放電エネルギーは,JIS C 62477-1:2017の4.4.3.4に従って制限されなければならない。
BESSは,電気化学的蓄電サブシステムの接続点に過電流保護機能を備えていなければならない。
構成部品の二重化又は冗長化は,ある部品が故障した場合,違う部品又は継続して機能することが可能
な部品によって,安全機能を維持することを可能とする。
8.2.1.3,8.2.1.4,8.2.1.5及び8.2.1.6に従い試験を実施し,適合性を評価する。
7.10.2 機械的危険源からの保護
人が触れる可能性のある部分に,鋭利な角があってはならない。
場所又は装置の用途によって,人に対し危険となる端又は角は丸めるか滑らかにしなければならない。
負傷を引き起こす可能性のある可動部は,配置の再考,囲い,防護などで隔離し,人体負傷リスクを低
減させなければらない。
BESSの構造は,運転中,輸送中,組立中,設置中及び分解中において,サブシステム及び部品の落下リ
スクを減らすための十分な保護がとられていなければならない。
注記 特に輸送中にBESSのきょう体そのもので十分な保護をとることが困難な場合は,別途,外部器
具などによる補強を行うこととし,この補強も構造の一部とみなす。
BESSは,通常運転中に操作者及び作業者が安全な状態であるよう設計しなければならない。
BESSの設置場所及び構造は,部品の故障時に作業者に対するリスクを引き起こしてはならない。
BESSのサブシステム間の相互接続の障害は,危険な状況を引き起こしてはならない。
BESSは,蓄電池モジュール自体が多くても二人の人員によって安全に扱えるほど十分軽い場合を除き,
適切な運搬装置を用いて蓄電池モジュールを設置及び撤去することが可能となるよう,設計及び設置され
ていなければならない。
8.2.2.1,8.2.2.2及び8.2.2.3に従い検証を実施し,適合性を評価する。

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7.10.3 爆発からの保護
電気化学的蓄電サブシステムから発生するガス又は排熱の経路上に可燃物があってはならない。
爆発性雰囲気にある制御サブシステム及びその部品は,適切な規格,製造業者の指示書,関連法令,関
連条例などに従って何らかのガス排出機構を備えなければならない。
BESSのきょう体又はBESSが設置された区画は,アークが発生する可能性がある空間にいかなる可燃
性ガスも排出してはならない。
8.2.3.1,8.2.3.2及び8.2.3.3に従い試験を実施し,適合性を評価する。
7.10.4 EMCによる危険源からの保護
安全に関するサブシステムの安全機能は,EMCの影響を受けてはならない。
想定されるEMCノイズレベルがBESSの運用に悪影響を与える可能性がある場合,そのノイズレベル
は,システム製造業者が指示するレベル内まで低減されるよう,BESSは十分に保護されなければならな
い。
8.2.4に従い試験を実施し,適合性を評価する。
7.10.5 火災危険源からの保護
BESSのきょう体又は支持構造及び組立品には,不燃性材料又は難燃材料を使用しなければならない。
注記1 不燃性試験は,ISO 1182に記載されている。
注記2 対応国際規格では“Only non-combustible materials shall be used”と記載されているが,全ての部
品を不燃性材料だけで構成することは困難であり,また,難燃材料も含めて意図しているため,
この規格では二つを併記した。
電気化学的蓄電サブシステム及びその周囲の統合は,熱連鎖又は類焼を防ぐように設計しなければなら
ない(例えば,蓄電池区画,充電装置区画,並びに直流導体,回路遮断器及び放電回路を含む区画に分離
する)。該当する場合には,近接する BESSに対する火災又は熱的リスクの両方についても考慮しなけれ
ばならない。
システムレベルのリスクアセスメント(箇条6参照)の結果に従い,安全設計の確認によって適合性を
確認しなければならない。BESSの火災加重計算又は附属書Cに詳細が記載され,8.2.5で推奨される経験
則的な燃焼特性は,システムレベルのリスクアセスメントのプロセスに適切である。
BESS内部は,耐火性の仕切り(例えば,金属板,不燃性板など)を用いて,蓄電池区画,充電装置区画,
並びに回路遮断器及び放電回路を含む区画に分離しなければならない。
8.2.5に従い試験を実施し,適合性を評価する。
7.10.6 熱的危険源からの保護
高温になる部品は,いかなる人物も近づくことができてはならない。やけど(火傷)を生じるおそれの
ある部品は確実に覆われていなければならない。
金属板,適切な物理的空間などの熱的障壁を,電気化学的蓄電サブシステムと制御サブシステムとの間

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に備えなければならない。
7.10.7 化学的影響からの保護
BESSのきょう体及び電線に用いられる素材の選択は,関連法令,関連条例などに従い,劣化,腐食,長
期使用による摩耗及び毒性を考慮しなければならない。
絶縁素材の電気的特性及び機械的特性が,長期使用によって変化することを考慮しなければらない。
電池からの電解液の流出拡散を防止しなければならない。この要求事項は,密閉構造の電池には適用さ
れない。
関連法令,関連条例などに従い,BESSの構造は,電気化学的蓄電サブシステムの電極又は電解液から危
険な液体が飛び散らないよう設計されていなければならない。
7.10.8 補助,制御,通信システム故障による危険源からの保護
設備は,機械的過負荷,電気的過負荷若しくは故障,又は異常運転若しくは過失使用による火災又は感
電のリスクをできる限り制限するよう設計されなければならない。単一故障又は異常操作があったとして
も,設備は操作者に対しこの規格の意味するところの安全な状態でなければならないが,完全に正常運転
可能であることは要求しない。適切な保護を提供する限りにおいては,ヒュージブルリンク,サーマルカ
ットアウト(復帰形温度過昇防止装置),過電流保護装置又は類似の保護装置の使用は許容される。
BESSは電力供給が中断又は変動した場合,危険な状態にならないよう設計しなければならない。
安全に直結する部品が欠損又は異常動作をした場合,システムは自動的に安全な状態にならなければな
らない。
8.2.8に従い試験を実施し,適合性を評価する。
制御及びその他の回路において生じた単一故障の管理についてのガイダンスは,IEC 62368-1に示す。
異常状態又は単一故障の後の操作者の安全については,IEC 62368-1に従い,適切な模擬信号を用いて
システム試験において確認することが望ましい。
7.10.9 周辺環境による危険源
7.10.9.1 一般事項
BESSは,7.10.9.2及び7.10.9.3に規定しているような状態であっても,危険状態にならないよう設計さ
れていなければならない。
7.10.9.2 水分が浸入する環境への暴露
BESSは水分の浸入の影響を防ぐよう,設計しなければならない。
8.2.9.2に従い試験を実施し,適合性を評価する。
分類S-UのBESSは,JIS C 0920に従ってIPコードは最低でもIPX4の試験を満たさなければならない。

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7.10.9.3 海洋環境への暴露
海洋環境に設置する場合,BESSはその設置中又は設置後に危険なイベントを発生しないように設計し
なければならない(例 : 塩害)。
8.2.9.3に従い試験を実施し,適合性を評価する。

7.11 防護及び保護方策

7.11.1 一般事項
7.10に規定したBESSの本質的安全設計に加えて,防護及び保護方策をBESSにとらなければならない。
防護及び保護方策の最低限の要求を,7.11に規定する。
アクセス制限は,BESSの安全な運用のために不可欠である。適切な施錠及び権限をもたない人物のア
クセスを制限することが,システム設計に盛り込まれていなければならない。この規格内で記載される危
険源が通常存在するような,操作者が立ち入るエリアにおいては安全インターロックが備わっていなけれ
ばならない。
注記 きょう体による保護は,アクセス制限とみなす。
制御サブシステムを備えるBESSの場合,電気化学的蓄電サブシステムにおけるBMSは,適切な規格
に従い蓄電池の安全に関するパラメータを全て監視し,それらのパラメータを制御サブシステムに通知し
なければならない。
訓練を受けていない人が直接接触する可能性のある場所に設置されたBESSは,JIS C 0920に従ってIP
コードが最低でもIP2Xの試験を満たさなければならない。
7.11.2 BESSの接続遮断·シャットダウン
7.11.2.1 一般事項
JD.5で定義される操作状態に加えて,非動作状態(保守のための分離状態)を次のように定義する。“保
守のための分離状態とは,直流電力回路及び電気化学的蓄電サブシステム上で安全に作業することを可能
にするシステムの状態である。”
7.11.2.2 電力システムからの切断状態
JD.5.2に加えて,分離装置は現地手動操作が遠隔操作に優先されるように使用しなければならない。分
離装置は,分離状態を維持(ロック)することが可能でなければならない。
7.11.2.3 停止状態
停止状態では,システムは電気化学的蓄電サブシステムの電力変換サブシステムからの切断,及び電力
変換サブシステムの主接続端子からの切断を含む停止操作が順次実行される。停止状態は,通常の操作又
は緊急停止操作によって発生する。予備電源は,自動起動操作の容易化又は電源監視システムのために設
置する。この状態は一般に,コンタクタ(電磁接触器)又は電動回路遮断器を用いて達成される。それら
を用いて停止状態とした際に,その場にいる作業者の安全確保ため,自動再通電を防止し,電気的に完全
に分離できない状態となる可能性を最小限にしなければならない。
注記 対応国際規格では,“最小限に抑えることが望ましい。”と規定されているが,作業者の安全を第

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一に考えた場合,自動再通電などはあってはならない事項であるため,この規格では“最小限に
しなければならない”と規定した。
7.11.2.4 保守のための分離状態
保守のための分離状態において,最低でも直流電源回路及びシステムの貯蔵装置は安全に動作すること
が望ましい。BESSの全体的な分離(図3参照)又はBESSの直流周辺の部分的な分離は,保守するべき区
画に従って選択されることがある。BESSは,保守実施後は,権限をもつ人員だけが再接続できるように
するために,現地操作又は取り外し可能な切断ツールを通して分離状態を維持(ロック)することが可能
でなければならない。システムを分離状態にするために,BESSは7.11.2.3に規定した停止状態から始め,
次に,電力システム非接続状態への移行·ロックを経て,安全に分離しなければならない(BESSの稼働の
安全性に関わるサブシステムへの電源供給を含む。)。管轄区域によっては必要とされているように,維持
(ロック)可能な分離装置を使用して目に見える分離を提供することを検討してもよい。
直流
交流
PCS 変圧器 POC
電池 電池
ラック1 ラックn
図3−分離状態の例(BESSの全分離)
このシステムの分離のための手順は,次のとおりでなければならない。
· 火災抑制剤の散布がシステム内又はシステム近傍で作業する者に害を及ぼす可能性のある場合,消火
システムを無効にできるようにする。
· 安全で健康に害を及ぼさない作業環境のために,分離状態において火災検出システム,HVAC(暖房·
換気·空調),電灯及び電源コンセントを使用できるようにする。
システムの分離に関する指示書は,次のとおりでなければならない。
− システムの分離実行者が容易にアクセスできる単一の場所において,必ず入手可能である。
− 完全なシステムの分離を達成及び確認するための明確な指示及びチェックリストの記載がある。
− システムを操作状態(又は停止状態)に移行させるための明確な指示の記載がある。
指示ごとに,当該指示の対象となる分離装置が,明確に判断できなければならない。
7.11.3 BESSのその他の保護機能
7.11.3.1 電気的危険源からの保護
保護機器及び保護電気回路は,それぞれ電気回路が短絡電流から保護されるよう適切な定格をもたなけ
ればならない。

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JIS C 4441:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 62933-5-2:2020(MOD)

JIS C 4441:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 4441:2021の関連規格と引用規格一覧