JIS C 4441:2021 電気エネルギー貯蔵システム―電力システムに接続される電気エネルギー貯蔵システムの安全要求事項―電気化学的システム | ページ 6

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電気化学的蓄電サブシステムは,短絡回路電流を止めるか,又は制限する保護機能を備えていなければ
ならない。
地絡保護は,電力変換サブシステムから見て直流及び交流のいずれの側にも付されおり,BESSの地絡
検出は,操作者に通知されなければならない。直流側の保護は,電池の電圧が安全特別低電圧(SELV,safety
extra-low voltage)である場合,必要ない。
BESSは,充電器の単一故障条件下も含め,蓄電池を過充電及びインパルス電圧から保護しなければな
らない。充電電流若しくは回路を切断するか,又は充電器の電源を切ることが方策として挙げられる。過
充電が検出された際に,操作者へ可聴警報器及び可視信号によって伝えられなければならない。
ヒューズが取り外された場合でも,対象のヒューズの定格が明らかになるように,交換可能なヒューズ
定格を,ヒューズホルダー又はヒューズホルダー近傍に表示することが望ましい。I2t特性,遮断容量など
のその他の必要な情報がある場合は,定格とともに示さなければならない。ヒューズ交換手順は,7.12に
規定する安全設計及び安全機能についてのBESS基礎情報とともに記載しなければならない。
電気化学的蓄電サブシステムの過電流状態は,操作者に通知されなければならない。
電流制御回路は,通常運転状態及び機器内の単一故障の際に制限値を超えないよう設計しなければなら
ない。過電流が生じた場合は,操作者に通知されなければならない。
JB.8に従い,BESSの意図しない単独運転を考慮することが望ましい。
8.2.1.1及び8.2.1.2に従い試験を実施し,適合性を評価する。
7.11.3.2 機械的危険源からの保護
危険な部位に近づかないよう保護をするためのBESSのきょう体は,想定される機械的酷使による機械
的損傷を防ぐのに十分な強度をもっていなければならない。
8.2.2.1及び8.2.2.2に従い試験を実施し,適合性を評価する。
7.11.3.3 爆発からの保護
分類V-L/S-O/C-A,C-B,C-D及びC-Zにおいて,電気化学的蓄電サブシステムからの可燃性ガス発生を
検出するシステムは,BESSが設置されている場所と同じ場所に備えられなければならない。可燃性ガス
が検出された際に,操作者へ可聴警報器及び可視信号によって伝えられなければならない。BESSは可燃
性ガス検出システムの設置がない場所に置くことができず,かつ,この要求事項は設置マニュアルに記載
しなければならない。
分類V-L/S-U/C-A,C-B,C-D及びC-Zにおいて,BESSは立ち入り制限を明らかにする適切な表示が備
わっており,その表示は可燃性ガスがBESSから放出される可能性があることを明示しなければならない。
分類V-H/S-O/C-A,C-B,C-D及びC-Zにおいて,電気化学的蓄電サブシステムから発生する可燃性ガス
の検出システムがBESS自体に備えられていなければならない。可燃性ガスが検出された際に,操作者へ
可聴警報器及び可視信号によって伝えられなければならない。当該検出システムの取扱方法は,7.12に規
定するシステムの文書に記載しなければならない。
分類V-H/S-U/C-A,C-B,C-D及びC-Zにおいて,可燃性ガスの排出経路は,設置マニュアル内で明確に
記載しなければならない。可燃性ガスの排出口周辺においては,立ち入り制限を明示する適切な表示を備

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えなければならない。可燃性ガスの排出経路の情報は,供給者から所有者に対し提供しなければならない。
分類C-A,C-B,C-D及びC-Zにおいて,電気化学的蓄電サブシステムは水素を排出する可能性がある。
火気への暴露を防ぐために,事故発生時に水素濃度が4 %(水素の爆発下限)を超える可能性の場所にお
いて,BESSはいかなる発火源ももってはならない。
分類V-H/C-A,C-B,C-D及びC-Zにおいて,BESS内部の可燃性ガスの蓄積を回避するための適切で信
頼できる及び/又は二重化した方策がとられていなければならない。
分類V-L/S-O/C-A,C-B,C-D及びC-ZのBESSは,適切な換気システムが備わった場所に設置しなけれ
ばならない。
注記1 適切な換気が行われることが担保される場所に設置されていれば,適切な換気システムが備わ
った場所への設置と同等とみなせる。
分類V-H/S-O/C-A,C-B,C-D及びC-ZのBESSは,次に規定するような適切な換気システムを備えなけ
ればならない。
− きょう体内を適切な温度に保つことができる換気システム
注記2 空調サブシステムが別途存在しているような,大規模,かつ,サブシステムが分散されて
設置されているBESSを対象としており,換気システムは空調サブシステムが適切に機能
するよう,周囲雰囲気を適切に取り込み,排出する機能をもつことが求められる。
− 自然換気が行われない場所での強制換気システム
− 類焼及び水分の浸入を防ぐように設計·設置された換気開口部。
8.2.3.1,8.2.3.2及び8.2.3.3に従い試験を実施し,適合性を評価する。
7.11.3.4 火災危険源からの保護
火災が発生する可能性は,通常運転状態,又は過負荷状態,部品故障,絶縁破壊若しくは接続のゆるみ
によって過熱状態の結果生じる。設備内の火災発生は,火災源の付近を越えて類焼してはならず,また,
周辺又は設備そのものに損傷を与えてはならない。
分類S-OのBESSは,火災検知システム,可聴警報器及び可視信号を発する火災警報器,並びに消火設
備を設置場所に備えなければならない。
分類S-Oにおいて,電気化学的蓄電サブシステムのきょう体は,扉をもつ場合,その扉は防火扉でなけ
ればならない。
分類S-UのBESSは,火災検知システム,可聴警報器及び可視信号を発する火災警報器,並びに消火設
備を安全で立ち入り容易な場所に備えなければならない。
火災検知システムから送られる火災検出の信号は,通信ネットワーク及び消火システムを介して,又は
該当する場合は保護されたリレー及び受信機を介して,位置情報とともに火災警報器に送られなければな
らない。
火災が検出されたとき,消火システムが設置されている場合は自動で動作し,火災警報器は自動で作動
しなければならない。
8.2.5に従い試験を実施し,適合性を評価する。

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7.11.3.5 熱的危険源からの保護
BESSは,一つ以上の危険温度を特定することがある。特定された危険温度(接触可能温度,電力部品温
度,電気化学的蓄電サブシステム温度など)に従い,危険温度にBESS内部が到達しないよう安全規定を
定めなければならない。
安全に関わる部品は,信頼性の分かっているものを使用しなければならない。
システムのきょう体の内部で,温度の監視が必要であるとリスクアセスメントの結果判断された箇所の
温度は,操作者が監視できるようになっていなければならない。
注記 操作者が使用者などで専門的な知識をもたない場合,監視は簡易的な温度状態の表示(充放電温
度範囲外か範囲内かを示すアイコン表示など)によって行われることがある。
BESSのサブシステムの温度を,操作者が監視できるようになっていなければならない。
換気システムの動作状態及び異常状態検出を,操作者が監視できるようになっていなければならない。
観測された温度が製造業者によって定められた温度限界を超えた場合は,操作者に通知されなければな
らない。
8.2.6.1,8.2.6.2及び8.2.6.3に従い試験を実施し,適合性を評価する。
7.11.3.6 化学的影響からの保護
危険な漏れ流体の封込め及び/又は中和方法を備えていなければならない。封込めを利用する方法は,
発生する可能性のある漏れ流体の最大量を保持するのに十分であり,屋外に設置されている場合,降雨に
よる意図せぬ冠水が起こらないよう設計されていなければならない。適切な漏れ流体の封込め及び中和に
関する指示書は,システム製造業者によって設置指示書とともに提供しなければならない。
分類C-DのBESSは,危険流体の放出を示す自動漏れ検出を備えていなければならない。
分類E-S/S-OのBESSは,電気化学的蓄電サブシステムからの有毒ガス発生の検出システムがBESSの
設置場所に備わっており,有毒ガス発生が検出された際に,操作者へ可聴警報器及び可視信号が通知され
なければならない。BESSは有毒ガス検出システムの設置がない場所に置くことができない旨を設置マニ
ュアルで定めなければならない。
分類E-S/S-UのBESSは,立入り制限を示す適切な表示がBESSの設置場所に備わっており,その表示
はBESSから有毒ガスが放出される可能性があることを明記しなければならない。
分類E-L/S-OのBESSは,電気化学的蓄電サブシステムからの有毒ガス発生の検出システムがBESSの
設置場所に備わっており,有毒ガスが検出された際に,操作者へ適切な警報(例 : 可聴及び可視なもの)
が通知されなければならない。当該検出システムの取扱方法は,設置マニュアルに記載しなければならな
い。
分類E-L/S-UのBESSは,有毒ガスの排出経路が設置マニュアルに明確に示されており,有毒ガスの排
出口周辺においては,立入り制限を明示する適切な表示がなされていなければならない。有毒ガスの排出
経路の情報は,供給者から所有者に対し提供されなければならない。
分類S-OのBESSにおいては,作業スペース内で電気化学的蓄電サブシステムから発生した有毒ガスが
高濃度になることを防ぐよう,ガス濃度の低減方策が備わっていなければならない。

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分類E-S/S-OのBESSにおいては,次のような危険源に対する保護方策を備えた区域に設置しなければ
ならない。
− 有害化学物質の発生の抑制
− 有害化学物質の希薄化
− 有害化学物質の捕集(例 : 危険なガス用スクラバー)
− 立入制限
分類E-L/S-OのBESSは,上記の保護方策を備えた状態で設置されなければならない。
8.2.7.1,8.2.7.2及び8.2.7.3に従い試験を実施し,適合性を評価する。

7.12 使用者に対する情報提供

  次の安全情報は,使用者が利用可能な状態であることが望ましい。
· 危険表示及び信号(8.2.9に規定する検証及び試験によって確認される利用可能な環境の制限も含む。)
· BESSの危険部位を明確に示す表示及びラベル
· 警告機器(可聴警報器及び可視信号)など
· 安全設計のシーケンス図は,IEC 60617規格群に代表されるような適切な国際規格に記載された方法
に基づき表記する。
· 安全設計及び安全機能についてのBESS情報は全て,適切なあらゆるBESS関係者が利用可能である。
電気化学的蓄電サブシステムがBESSとともに設置される場合,電気化学的蓄電サブシステムが設置さ
れた閉鎖空間に要求される換気,環境温度などに関する適切な情報を設置指示書に記載し,提供しなけれ
ばならない。BESSの安全表示に関する良い実施例を附属書Fに示す。
その他必要な情報は,関連法令·関連条例に従って提供しなければならない。

7.13 ライフサイクルマネジメント

7.13.1 運用及び保守
7.13.1.1 一般事項
運用及び保守に責任をもつ当事者は,BESSの近くで作業する場合,自身の安全に留意することが望ま
しい。誤った運用,及び不適切又は不十分な保守は,火災,ガス中毒,感電による害を及ぼす可能性があ
る。これらのリスクから全ての利害関係者を守る必要がある。
注記1 BESSの安全性維持のためには,製品寿命,運用方法の遵守,日常の保守及び異常時の対応が極
めて重要である。したがって,それらについて,製造業者と所有者等関係者との間で事前に合
意した上で,ライフサイクル間の保守,必要な場合は改造が適切に行われることが一般的であ
る。
多くのBESSにおいて,自動的,かつ,情報ネットワークを経由し遠隔的に操作されることが予期され
る。これらBESSは数十年単位で運用されることが予期される。その間,定期的予防保守,計画外の事象,
例えば,保全計画,予防保守,システム状態監視,サブシステム若しくは構成部品の部分的交換,又は経
年劣化による設計変更といった機会が発生し,その際にBESSの部品交換が行われる。
注記2 交換では,二次利用の可能性を考慮に入れる。

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初期の部品について修理·交換に制限がある可能性,又はその部品が利用できず,互換製品を使用しな
ければならない可能性がある。これらの部品とサブシステムとの組合せは,システム状態の監視において
重要であるため,システム安全の観点から,交換部品は交換前にシステム内で安全であることを確認しな
ければならない。
保守作業中は,現地にいる作業者の安全を確保するために,現地にいる作業者が行ういかなる変更に対
しても,外部にいる作業者による遠隔操作を受け付けないようにしなければならない。特定の絶縁材料に
おける電気的特性及び機械的特性の有害な長期的変化を考慮しなければならない。
7.13.1.2 運用及び保守計画
7.13.1.2に規定する要求事項を満たした,安全のための緊急対応計画を用意しなければならない。
安全マニュアルは,少なくとも,BESSにおいて発生した問題の伝達方法,地域の消防機関,作業者及び
近隣住民に対する警報,並びに絶縁道具の正しい使用方法の記載を含んでいなければならない。
電圧印加状態でドライバーなどの工具又は類似の道具を用いて調整を行う場合は,電圧印加部への意図
しない接触による感電又は電気的危険源に対する保護を講じなければならない。保護設計では,道具を使
用して本来作業すべき部品とは異なる部品に意図せず触れる可能性があることが考慮されるように方策を
講じなければならない。
運用·保守マニュアルは,BESS所有者又は所有者が指定した代理人に提供されるとともに,次のことを
含んでいなければならないが,これらに限定されない。
a) 保守中に安全性を維持する方法[多様な保守操作において求められる個人用防護具(PPE)の安全に
関する指示及び特記を含む。]
b) 火災,爆発,有毒ガスの滞留などを,検出,処理,及び制御する方策(緊急事態でガスを外に出す可
能性を含む。)
c) 例えば,次に示すような禁止されている操作
− 過充電の禁止
− (極性反転などを防ぐための)過放電の禁止
− 製造業者が定めた温度限界を超えた状態での充放電操作の禁止
d) 緊急時連絡先
e) 公にするべき安全性事項(例えば,BESS周辺の立入禁止区域)
f) 安全性に関わるサブシステムの使い方
g) 保護サブシステムの使い方
h) 全ての保護サブシステムの施錠及び解錠手順
i) ESSの危険部位の特定及び明記
注記 これらの要求事項は,マニュアル及びガイドライン内に上記以外に必要な安全性項目を記載する
ことを妨げるものではない。
設計及び設置工程に関する情報は,次の情報含み,保守作業中は常に利用可能かつ確認可能な状態にな
ければならない。
· BESS部品は,自動制御及び/又は遠隔制御下において,高頻度で操作される。
· 砂じんの侵入,植物の過剰成長,フィルター又はパイプのつまりなどによって,故障及び/又は誤作

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JIS C 4441:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 62933-5-2:2020(MOD)

JIS C 4441:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 4441:2021の関連規格と引用規格一覧