JIS C 4441:2021 電気エネルギー貯蔵システム―電力システムに接続される電気エネルギー貯蔵システムの安全要求事項―電気化学的システム | ページ 8

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注記 検証とは,客観的証拠を提示することによって,規定要求事項が満たされていることを確認する
ことを意味し,例えば,文書によるリスクアセスメントなどを含む。
表5−BESSに対する検証及び試験の概要リスト
試験 細分 参照規格 要求される検証及び試験
箇条 型式試験 工場試験 現地受入
(FAT) 試験
(SAT)
電気的危険源 8.2.1 −
短絡保護 8.2.1.1 − X − −
過充電,大電流充電及び地絡保護 8.2.1.2 − X − X
インパルス耐電圧保護 8.2.1.3 JIS C 60664-1 X − −
絶縁耐圧 8.2.1.4 JIS C 60664-1 X X* X*
絶縁抵抗 8.2.1.5 IEC 60364-6 X X X
接地及び接地装置確認 8.2.1.6 IEC 60364-6 X* − X*
IEC 61936-1
単独運転防止 8.2.1.7 − X* X* X*
機械的危険源 8.2.2 −
きょう体に対する衝撃 8.2.2.1 JIS C 62477-1 X − −
静的耐力 8.2.2.2 JIS C 62477-1 X − −
輸送及び地震による衝撃及び振動 8.2.2.3 − − − X
爆発 8.2.3 −
可燃性ガスの特性 8.2.3.1 − X − −
ガス検出/オフガス検出 8.2.3.2 IEC 60079-29規 X X* X*
格群
換気 8.2.3.3 IEC 60079-7 − X* X*
IEC 60079-13
EMCによる危険源 8.2.4 IEC 61000-1-2 X − −
JIS C 61000-6-7
JIS C 60364-4-44
火災危険源(類焼) 8.2.5 JIS C 8715-2 X X* X*
熱的危険源 8.2.6 −
熱制御操作の確認 8.2.6.1 − X* − X
換気のためのサブシステムの異常動作 8.2.6.2 − X − X
熱的及び通常操作試験 8.2.6.3 − X − X
化学的影響 8.2.7 −
危険流体の特性 8.2.7.1 − X − −
流体の検出 8.2.7.2 − X X* X*
危険流体に対する保護方策 8.2.7.3 − X X* X*
補助,制御,通信システム故障による危険源8.2.8 IEC TS 62933-5-1 X − X*
周辺環境による危険源 8.2.9 −
水分の浸入に対する抵抗 8.2.9.2 JIS C 0920 X − −
海洋環境への暴露(塩水噴霧) 8.2.9.3 JIS C 60068-2-52 X − −
BESSきょう体及び保護のIPレーティング 8.2.10 JIS C 0920 X − −
注記1 “X*”の試験項目における詳細な適用条件は,各細分箇条に記載している。
注記2 現地受入試験(SAT)の詳細な試験項目及び行程については,各BESSのシステム設計を考慮して決定す
ることが可能である。

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8.2 BESSの検証及び試験

8.2.1 電気的危険源
8.2.1.1 大電流放電(短絡)保護
BESSの直流回路は,交流及び直流のいずれの側の短絡に対しても保護されていなければならない。各
電気化学的蓄電サブシステム及び各電力変換サブシステムにおいては,短絡保護がなされていなければな
らない。BESSが危険な状態となって損傷を被らないように,適切な模擬信号に対して短絡保護が動作し
なければならない。当該短絡保護は,設計どおり動作しなければならない。
8.2.1.2 過充電,大電流充電及び地絡保護
電気化学的蓄電サブシステムにおける過充電,大電流充電又はBESS内各所の地絡が検出された際に,
BESSが設計どおり充電回路の接続を遮断することを適切な模擬信号を使用して工場試験(FAT)又は現地
受入試験(SAT)にて確認しなければならない。
分類V-LのBESSにおいては保護制御の形式試験及び工場試験(FAT)による確認,又は分類V-Hの
BESSにおいては設置時に現地受入試験(SAT)として通常充電操作を行い,次に示す故障状態に対する適
切な模擬信号を用いて充電中に機能する全てのサブシステムの保護機能を試験する。
− 単一故障状態(次に示す各状態について適用する。)
− 電気化学的蓄電サブシステムの電圧が過充電を示す状態
− 電気化学的蓄電サブシステムの電流が過電流を示す状態
− 地絡が検出される状態
故障が発生した結果,BESSの過充電保護,大電流充電保護及び地絡保護は,BESSが危険な状態になる
ような損傷を防がなければならない。当該保護は,設計どおり動作しなければならない。
8.2.1.3 インパルス耐電圧保護
この試験は,試験を通してBESSに損傷を与える可能性がある形式試験である。インパルス耐電圧試験
は,定格インパルス電圧に耐えるための固体絶縁容量を確認する試験である。この試験に用いられる電圧
の波形は,雷などの大気由来の過電圧を模擬しており,低圧設備のスイッチングによる過電圧を含んでい
ることが望ましい。
JIS C 60664-1:2009の6.1.3.3に従い,インパルス耐電圧試験をBESSに対して行う。
この試験は,分類V-L及び分類V-Hの両方を対象とする。ただし,分類V-Hに対して行う場合は,BESS
における安全に関連する低圧のサブシステムに対する試験とする。
分類V-HのBESSにおける安全に関連する低圧のサブシステムに対する試験として,PCSに試験を行う
場合は,JIS C 62477-1に従った過電圧カテゴリ及び汚損度の低減を適用してもよい。
少なくとも,JIS C 60664-1:2009の表F.1における過電圧カテゴリIII(分類V-LのBESSに相当)又は
IV(分類V-HのBESSにおける安全関連サブシステムに相当)は,定格インパルス電圧の基準の決定に適
用する。少なくとも,JIS C 60664-1:2009の表F.2における汚損度2又は3は,空間距離の基準の決定に適
用する。インパルス耐電圧試験の結果として,破裂又は固体絶縁の部分的な破損が試験中に生じてはなら
ない。ただし,部分的な放電は許容される。(固体絶縁の)部分的な破損は,連続的なインパルス電圧の初

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期段階で発生する波形によって発生するステップによって生じる。初回のインパルス電圧による破損は,
絶縁システム全体の故障又は過電圧制限デバイスの動作を示すことがある。
想定されるサージに対し,既に耐え得ると評価されたサージ保護がBESSに備わっている場合,この試
験を省略してもよい。
8.2.1.4 絶縁耐圧試験
交流絶縁耐圧試験では,次に耐え得る固体絶縁容量の確認を行うことが望ましい。
− 短時間過電圧
− 定常状態の最大電圧
− 繰返しピーク電圧
交流絶縁耐圧試験の電圧のピーク値が定格インパルス電圧以上の場合,交流絶縁耐圧試験は,8.2.1.3の
インパルス耐電圧試験を包含する。
JIS C 60664-1:2009の6.1.3.4に従い,交流絶縁耐圧試験を行う。少なくとも,JIS C 60664-1:2009の表F.1
における過電圧カテゴリIII(分類V-LのBESSに相当)又はIV(分類V-HのBESSにおける安全関連サ
ブシステムに相当)は,定格インパルス電圧の基準の決定に適用する。少なくとも,JIS C 60664-1:2009の
表F.2における汚損度2又は3は,空間距離の基準の決定に適用する。
この試験は,分類V-L及び分類V-Hの両方を対象とする。ただし,分類V-Hに対して行う場合は,BESS
における安全に関連する低圧のサブシステムに対する試験とする。
分類V-HのBESSにおける安全に関連する低圧のサブシステムに対する試験として,PCSに試験を行う
場合は,JIS C 62477-1に従った過電圧カテゴリ及び汚損度の低減を適用してもよい。
交流絶縁耐圧試験の代わりに,JIS C 60664-1:2009の6.1.3.6に従い,直流絶縁耐圧試験を行ってもよい。
試験の結果,試験を実施した回路において絶縁破壊が認められてはならない。
絶縁耐圧試験は,BESS全体又は少なくとも電気化学的蓄電サブシステムに,特別低電圧(ELV)よりも
大きい動作電圧を用いて工場試験(FAT)として行う。
注記 この試験は,ガス·電解液の発火,及び爆発に伴い電池セル又は電気化学的蓄電サブシステム内
においてアークが発生する可能性がある。これらを回避するためにも,安全な試験手順で行う。
8.2.1.5 絶縁抵抗
IEC 60364-6:2016の6.4.3.3及び6.4.3.4に従い,絶縁抵抗試験を行うことが望ましい。
BESS内の危険電圧回路において使用される絶縁抵抗値は,IEC 60364-6:2016のTable 6.1における値に
適合する。
8.2.1.6 接地及び接地装置確認
BESSの接地システムについて,次の方法に従って確認する。接地システム内の任意の2か所の間にお
いて測定を行う。
分類V-Lにおいて,BESSの接地システムは,IEC 60364-6:2016の6.4.3.7.2に従って接地電極の抵抗値

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を測定するか,又はIEC 60364-6:2016の6.4.3.7.3に従って地絡ループインピーダンスを測定し,検証する。
分類V-Hにおいて,BESSの接地システムは,IEC 61936-1:2010+AMD1:2014の箇条10に従い検証す
る。
8.2.1.7 単独運転防止
単独運転防止機能は,7.11.3.1の要求事項を満足していることを適切な方法で検証又は試験を行う。
注記 我が国における検証又は試験方法の適切な例として,系統連系規程(JEAC 9701)に基づく検証
又は試験がある。
8.2.2 機械的危険源
8.2.2.1 きょう体に対する衝撃
分類E-Sにおいて,BESSのきょう体は,JIS C 62477-1:2017の5.2.2.4.3に従い,衝撃試験を行う。試験
の結果,8.2.10に従い危険部位が露出するような損傷を生じてはならない。BESSは,8.2.1.4の絶縁耐圧試
験による測定結果として,感電の危険性が生じてはならない。
分類E-Lにおいて,BESSの各サブシステムのきょう体は,上記の衝撃試験を行う。
8.2.2.2 静的耐力
分類E-Sにおいて,BESSのきょう体は,JIS C 62477-1:2017の5.2.2.4.2.3に従い,試験を行う。試験の
結果,8.2.10に従い危険部位が露出するような損傷を生じてはならない。BESSは,8.2.1.4の絶縁耐圧試験
による測定結果として,感電の危険性が生じてはならない。
分類E-Lにおいて,BESSの各サブシステムのきょう体は,上記の試験を行う。
8.2.2.3 輸送及び地震による衝撃及び振動
輸送中並びに地震による衝撃及び振動に対する安全設計の要求レベルは,一般に設置環境,関連法令,
関連条例などに依存するが,安全レベル自体はシステムレベルのリスクアセスメントの結果に従い,設置
現場で確認することが望ましい。規格,製造業者による指示書,関連法令,関連条例などに従って,現地
受入試験(SAT)として少なくとも次の状態を検証する。
− 各サブシステム及びシステム全体が構造体,基礎又は土地に堅ろう(牢)に固定されている。
− 電源回路とサブシステムとの間の接続点が,地震事象後においても機能的に維持される。
− 制御,監視及び接地回路は,地震事象後においても機能的に維持される。
8.2.3 爆発
8.2.3.1 可燃性ガスの特性
検出する必要がある可燃性ガスは,適切なシステム設計プロセス中に明示しなければならない。
注記 この要求は,電気化学的蓄電サブシステムの化学種に依存する。附属書Bに示すように,特定の
BESSは,通常操作状態において可燃性ガスを放出する可能性がある。また,BESSの過熱及び火
災又は爆発を引き起こすような過酷条件下において,爆発性又は可燃性のあるガスを放出する可
能性があるBESSもある。

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8.2.3.2 ガス検出/オフガス検出
形式試験の結果として潜在的に引き起こされるBESSからのガス放出は,可燃性特性及び爆発性雰囲気
に関連する危険性の観点から,適切な技術的方法によって特定しなければならない。
注記 附属書Bに記載する熱暴走の可能性があるBESSに対しては,可燃性ガスの発生確認を含めた大
規模火災試験を行う必要がある場合がある。試験中に得られた発生可燃性ガスの種類及び量のデ
ータは,BESSから出火した際の爆発危険源を防ぐための適切な爆燃換気の決定の参考となる。
大規模火災試験の詳細については,附属書Cを参照。
設置に際して,可燃性ガス発生を知らせる検出システム,可聴警報器及び可視信号の全ての機能は,適
切な規格,製造業者の指示書,関連法令,関連条例などに従って試験を行う。これは,機能が,製造業者
の定めた可燃性ガス濃度の限界値を超えた際に自動的に動作することを確認することを目的とする。それ
らの機能は,設計どおり動作しなければならない。検出システム,可聴警報器及び可視信号の各部品の形
式試験を行う。検出システム,可聴警報器及び可視信号を組み合わせたBESSに対する工場試験(FAT)又
は現地受入試験(SAT)は,検出する対象である事象を想定した適切な模擬信号によって行う。
IEC 60079-29規格群の可燃性ガス検出のガイダンスを参照。
8.2.3.3 換気
BESSの設置場所,又はBESS内に設置された換気システムは試験を行う。各部品の形式試験,換気シス
テムを備えたBESSの現地受入試験(SAT)についても実施する。試験実施の結果,換気システムは設計
どおり自動的に動作しなければならない。
分類V-H/S-O/C-A,C-B,C-D,又はC-ZのBESSにおいて,強制換気システムが設置されている場合は,
可燃性ガスの濃度検出によって発信される適切な模擬信号を用いて強制換気システムの現地受入試験
(SAT)を実施する。試験の結果,換気システムは設計どおり自動的に動作しなければならない。
蓄電池区画の換気の評価方法は,IEC 60079-7:2015+AMD1:2017の6.6.4,又はIEC 60079-13を参照。
8.2.4 EMCによる危険源
BESSの安全に関わるサブシステムの安全機能はJIS C 61000-6-7に適合するか,又は適用可能な場合,
機能的安全性についてはIEC 61000-1-2による電磁的現象を考慮に入れなければならない。
BESSのサブシステムの障害誘発故障に対する保護方策は,JIS C 60364-4-44で示される方法によって検
証する。
分類V-Lにおいて,上記の要求事項に対する適合性は,代表サンプルのBESSを形式試験によって確認
する。
分類V-Hにおいて,上記の要求事項に対する適合性は,安全に関する各BESSサブシステムの形式試験
及びBESS制御サブシステムの現地における検証によって確認する。
8.2.5 火災危険源(類焼)
分類C-Aの電気化学的蓄電サブシステムは,JIS C 8715-2:2019の7.3.3に従い試験及び検証する。
附属書Bに記載する熱暴走の可能性をもつBESSの火災特性について,消火システムの有無にかかわら
ず,想定されるBESSの類焼及び発熱挙動の確認のための大規模火災試験によって測定することが望まし

――――― [JIS C 4441 pdf 40] ―――――

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JIS C 4441:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 62933-5-2:2020(MOD)

JIS C 4441:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 4441:2021の関連規格と引用規格一覧