JIS C 4441:2021 電気エネルギー貯蔵システム―電力システムに接続される電気エネルギー貯蔵システムの安全要求事項―電気化学的システム | ページ 9

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い。大規模火災試験で得られた試験データは,消火システムを伴うBESS設置の検証に活用することが可
能である。大規模火災試験の詳細については,附属書Cを参照。
設置に際し,次の対策を確認する。
− 分類S-OのBESSにおいては,火災警報装置及び消火サブシステムは,BESSの設置場所において設
置及び動作している。
− 分類S-UのBESSにおいては,火災警報装置及び消火サブシステムが近傍に設置されている。
− いずれの場合においても,火災警報装置が火災危険源を検出した場合は,消火サブシステムは自動的
に稼働する。
システムレベルのリスクアセスメントの結果,消火システムが必要でないと判断できた場合,消火シス
テムは設置しなくてもよい。通信機能の有効性は,適切な模擬信号の入力によって確認する。当該模擬信
号を,設計どおり,確実に通信ネットワーク,リレー,受信機及び消火サブシステムに伝達しなければな
らない。
設置に際して,火災発生を知らせる検出システム,可聴警報器及び可視信号,並びに消火設備の全ての
機能が火災発生時に自動的に動作することの試験を,適切な規格,製造業者の指示書,関連法令,関連条
例などに従って行う。これは,それらの機能が火災発生時に自動的に動作することを確認することを目的
とする。それらの機能は,設計どおり動作しなければならない。検出システム,可聴警報器及び可視信号
の各部品の形式試験を行う。検出システム,可聴警報器及び可視信号を組み合わせたBESS並びに消火設
備に対し,工場試験(FAT)又は現地受入試験(SAT)を行う。
8.2.6 熱的危険源
8.2.6.1 熱制御操作の確認
BESSは,次の検証又は試験を行う。
− 電池部温度測定機能を備えた電気化学的蓄電サブシステムは,システムの応答性確認を,過熱状態を
示す適切な模擬信号を用いて行う。
− BESSの温度が設計書の指定値を超えた際に,BESSの動作仕様外にならないように熱制御によって停
止又は充放電の制御を行う。
− 熱制御試験を形式試験の一部として実施しなかった場合,設置の際に電気化学的蓄電サブシステムの
温度が製造業者の提供した温度制限値を超過時に,BESSが充放電を停止するかどうかを確認する。
− 電流制限機器が電気化学的蓄電サブシステムの外に備えられている場合,システム規模での検証,又
は過充電若しくは温度上昇を模擬した適切な信号を用いて電流制限機器の機能の試験を行う。
設置に際して,過熱を知らせる検出システム,可聴警報器及び可視信号の全ての機能が,製造業者の定
めた温度限界値を超えた際に自動的に動作することの検証又は試験を,適切な規格,製造業者の指示書,
関連法令,関連条例などに従って行う。検出システム,可聴警報器及び可視信号の各部品の形式試験を行
う。
分類V-HのBESSにおいて,検出システム,可聴警報器及び可視信号を接続した状態でのBESS設置全
体に対する現地受入試験(SAT)を行う。
上記の全ての機能は,設計どおり動作しなければならない。
附属書Gは,熱制御操作に関する詳細情報を提供している。

――――― [JIS C 4441 pdf 41] ―――――

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8.2.6.2 換気のためのサブシステムの異常動作
この試験は,換気システムを備えたBESS,又はBESSきょう体内に換気口をもつBESSに対して行われ
る。BESSの換気システムが,塞がれる又は電力供給が絶たれることがある。その際に,BESSは内部熱源
(電気化学的蓄電サブシステムの充放電サイクルなど)の影響による温度上昇などで,制御システムが換
気システムの故障を検出し,BESSが過熱状態になる前に充放電を停止することを確認する。試験は,全
ての開口部を塞いだ状態で換気システムを動作させ,実施してもよい。
試験は,全ての開口部を塞いだ状態で換気システムを動作させ,繰り返す。
設置の際に,BESSにおいて換気システムの異常状態が検出された場合に操作者に通知されることを確
認しなければならない。
設置の際に,BESSにおいて電気化学的蓄電サブシステムの温度が製造業者から提供された温度限界値
を超過した場合に,操作者への通知機能が自動的に働くことを確認しなければならない。
全ての警報機能について,適切な模擬信号を用いてシステム試験によって確認しなければならない。
上記の全ての機能は,設計どおり動作しなければならない。
8.2.6.3 熱的及び通常操作試験
最大の動作負荷及びパラメータにおいて稼働させているときでも,BESSの温度感知部の温度は,定格
内でなければならない。電気化学的蓄電サブシステムの動作パラメータは,電圧,電流及び温度について
定格内でなければならない。
BESSは,充放電時に最大通常負荷状態であっても正常に動作しなければならない。動作中,電気化学的
蓄電サブシステムを含む熱的に重要な部分の温度,電気化学的蓄電サブシステムの電圧及び電流は,設計
仕様における温度,電流及び電圧の範囲内で動作しているかどうかを把握するために監視する。
8.2.7 化学的影響
8.2.7.1 危険流体の特性
監視が必要な危険流体は,適切なシステム設計プロセス中に特定し,明記しなければならない。
注記 この要求項目の結果は,電気化学的蓄電サブシステムの化学種に依存する。附属書Bを参照。
8.2.7.2 流体の検出
設置に際して,危険流体に対する検出システム,可聴警報器及び可視信号の全ての機能が,製造業者の
定めた濃度限界値を超えた場合,又は漏えい(洩)があった場合に自動的に動作することの試験を,適切
な規格,製造業者の指示書,関連法令,関連条例などに従って試験を行う。それらの機能は,設計どおり
動作しなければならない。検出システム,可聴警報器及び可視信号の各部品の現地受入試験(SAT)は,検
出する対象である事象を想定した適切な模擬信号によって行う。
危険化学物質に対するセンサー及び警報システムを,設置場所に個別の保護システムとしてではなく,
BESSの製品の一部として備えている場合は,これらの試験は形式試験として実施してもよい。

――――― [JIS C 4441 pdf 42] ―――――

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8.2.7.3 危険流体に対する保護方策
7.11.3.6で要求する危険流体に対する全ての保護機能は,適切な規格,製造業者の指示書,関連法令,関
連条例などに従って検証又は試験を行う。それらの機能は,設計どおり動作しなければならない。
8.2.8 補助,制御及び通信システム故障による危険源
補助システムの故障,制御システムの故障,内部通信システムの故障,及び外部通信システムの故障に
よって危険が引き起こされるかどうかについて判断するための試験を,附属書JEに示す。システムの分
析によって,BESSにおけるサブシステムに対する起こり得る故障の手引書を作成しなければならない。
安全インターロックの正しい操作について,8.2.8に規定するプロセスに従い検証する。
BESSパラメータは,システムが正しくシャットダウンされている場合であっても,通信ネットワーク
などを介して確認可能でなければならない。
注記 BESSパラメータを確認する際は,別途外部機器を利用し,通信インターフェースなどを通して
確認する場合がある。
上記の全ての機能は,設計どおり動作しなければならない。
8.2.9 周辺環境による危険源
8.2.9.1 一般事項
8.2.9.2及び8.2.9.3の試験は,環境制限をもつか又は安全性に影響を及ぼす可能性のある環境状態に設置
される予定のBESSに適用する。
8.2.9.2 水分の浸入に対する抵抗
システムレベルのリスクアセスメント(箇条6参照)又はJIS C 0920に従い,定められたIP等級の試
験に従って,BESSについてシステム設計の確認をしなければならない。
BESSに対して水分の浸入に関する試験を行う場合,火災又は爆発の兆候がBESSにあってはならず,
また,8.2.10に従い,危険部位が露出するようなきょう体の損傷があってはならない。試験体BESSは,
8.2.1.4の絶縁耐圧試験の結果として感電の危険性を示してはならない。
BESSは,洪水被害にさらされる可能性のある場所に設置されることを考慮し,濃度5 %の食塩水を使用
し,水没試験を行う。BESSは完全に水没させるか,水没によって何らかの挙動を示したBESSの一部につ
いては2時間又は反応がなくなるまで水没させる。水没の結果として,発火又は爆発があってはならない。
BESSの全体又は一部を水没試験に付すことが不可能な場合は,設計上,洪水に対する対策がとられて
いることの確認を,図面,仕様書など文書によるシステムレベルのリスクアセスメントによって行うこと
で代用してもよい。
水分が存在することによって有毒な流体が発生した場合は,それらの発生が検出されなければならない。
適切なシステム設計プロセスにおいて,発生した当該流体は種類を特定され,発生量について明記されな
ければならない。7.11.3.6に規定するとおり,化学的影響からの保護を備えなければならない。
附属書Dに示す試験例には,上記に適合するために必要なプロセスが含まれている。

――――― [JIS C 4441 pdf 43] ―――――

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8.2.9.3 海洋環境への暴露(塩水噴霧)
海洋環境中又は近辺(例 : 海岸沿い,ドック上など)に設置されることを意図したBESSは,システム
レベルのリスクアセスメント(箇条6参照)又はJIS C 60068-2-52に従い,システム設計の確認をしなけ
ればならない。
注記 JIS C 60068-2-52は,海洋環境中又は近辺において継続的に使用される設備の試験方法を規定し
ている。
塩水噴霧サイクル試験の結果,発火又は爆発の兆候をBESSが示してはならない。危険部位が露出する
ようなきょう体の損傷があってはならない。試験体BESSは,8.2.1.4の絶縁耐圧試験の結果として感電の
危険性を示してはならない。
BESSの全体又は一部を塩水噴霧サイクル試験に付すことが不可能な場合は,設計上,海洋環境に対す
る対策がとられていることの確認を図面,仕様書など文書によるシステムレベルのリスクアセスメントに
よって行うことで代用してもよい。
塩水が存在することによって有毒な流体が発生した場合は,それらの発生が検出されなければならない。
適切なシステム設計プロセスにおいて,発生した当該流体は種類を特定され,発生量について明記されな
ければならない。7.11.3.6に規定するとおり,化学的影響からの保護を備えなければならない。
附属書Dに示す試験例には,上記に適合するために必要なプロセスが含まれている。
8.2.10 BESSきょう体及び保護のIPレーティング
BESSのきょう体及び物理的保護は,JIS C 0920に従い危険部位(例 : 危険可動部位,危険電圧が印加さ
れている非絶縁状態の電気的部位など)に対するIP等級に適合しなければならない。

9 ガイドライン及びマニュアル

  7.12及び7.13.1.17.13.1.4の要求事項に加え,附属書JFに示す考慮事項を参照する。

――――― [JIS C 4441 pdf 44] ―――――

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附属書A
(参考)
BESS所有者の責務の文書化モデル
この規格は,安全に関する基準であり,BESSの所有の責務を決定するものではないが,所有者の責務の
決定及び明確化は,BESSの安全及び責任に対して重要であり,文書化モデルも所有者の責務の決定に役
立つため重要である。
所有者の責務の文書化モデルは,とりわけ小規模な家庭用及び商業用のBESSにとって重要な考慮事項
である。一般的に電力網の一端を担っている大規模なBESSにおいては,特別な手順及び業務が発生する
が,一方で小規模なものになると,家庭で使用される冷蔵庫のような扱いを受けることとなる。この場合
には,システム利用者はBESSの安全性の観点に基づいた技術的な知見も十分なレベルの意識ももってい
ないと考えることが望ましい。この状態が将来の主流になる可能性が高い場合は,次のことを考慮するこ
とが望ましい。
· システムは,受渡当事者間で継続的な契約を結ばずに,売買することが望ましいか。
· システムの安全及び性能面の目標値は,販売中のモデルの管理を通して達成されるか。
· 賃貸借管理又は契約サービス体制の選択は,実用的か又は費用対効果が高いか。
· 賃貸借管理又は契約サービス制度の選択は,規制の対象となることが望ましいか。
· 所有モデルの必要性は(これらのより小さい設置において設置可能な)化学種によって制限するか。
· 次の所有者が十分にBESSの存在を認識していない可能性がある場合,何が所有権の移管に大きな影
響を与えるか。
· 電気メータの消費者側にBESSがある場合,電力供給を行う電力会社とどのような契約が必要になる
か。また,このような状況においては電力会社の権利はいかなるものか。
· 最も基本的なBESSのサイズ及び簡易さが,基本的なUPSシステムと同等で,双方向性である点だけ
が異なる場合,どのようなポイントにおいて,システムが基本的な対策が求められるような特筆的な
リスクとなるか。
· 複数の所有モデルを経てきた場合,何をもってサービス終了(end-of-life)とするか。

――――― [JIS C 4441 pdf 45] ―――――

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JIS C 4441:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 62933-5-2:2020(MOD)

JIS C 4441:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 4441:2021の関連規格と引用規格一覧