JIS C 5750-2:2010 ディペンダビリティ マネジメント―第2部:ディペンダビリティ マネジメントのための指針 | ページ 3

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1 ディペンダビリティ目標の定義
2
必要なディペンダビリティ
作業の範囲及び意味の分析
3 ディペンダビリティ目標を達成
するための戦略及び活動の計画
4
選択したディペンダビリティ
活動の実施
5 実施したディペンダビリティ
活動結果の分析
6 更なる改善のための
ディペンダビリティ成果の評価
図1−ディペンダビリティ マネジメントプロセスの段階
製品ライフサイクルの各段階を附属書Bに示す。製品ライフサイクルの各段階及び関連するシステムの
ライフサイクル プロセスをプロジェクト計画に適用するときの,相互関係について理解することが望まし
い。この関係は,製品ライフサイクルの各段階(附属書C参照)を時間領域で分け,システムのライフサ
イクル プロセスを機能領域で分けることで確立する。
製品ライフサイクルの段階は,その各段階(構想及び定義,設計及び開発,製造,据付け,運用及び保
全並びに廃却)において,ディペンダビリティ プログラムタスクと関連する段階的なマネジメントの懸案
事項に取り組むために役立つ。
システムのライフサイクル プロセスは,個別のマネジメント活動並びに取得,供給,計画及び管理,設
計,組立て,評価及びアセスメントに関係する技術的機能を明確にするために役立つ。
ディペンダビリティ マネジメントシステムは,変化するビジネスニーズに合わせて適応できることが望
ましい。柔軟な運営管理のためのインフラストラクチャーの目的は,使用できる資源を最大限にすること
及びプロジェクトのコミットメントを適時性をもって達成することを確実にすることにある。ディペンダ
ビリティを含む長期的なプロジェクトは,主要な資源によって運営管理してもよい。主要なディペンダビ
リティのグループは,組織としての重要な力量を保持するために,維持するのがよい。
特別のプロジェクトのニーズを満たすための契約によって,新たな力量を模索してもよい。合弁事業,
企業提携及び委託によるディペンダビリティのタスクは,競争の激しいビジネスの要求に合わせて一般に
動的に組織に組み込む。

5 マネジメントの責任

5.1 ディペンダビリティのマネジメント機能

  ディペンダビリティのマネジメント機能は,組織又はプロジェクトにとって必要となる,品質及びその

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他の技術的規範に関する特定の任務及び目標を明確化することが望ましい。組織のトップマネジメントは,
ディペンダビリティのすべての結果に責任をもつ。日々のディペンダビリティ活動は,通常,個別のニー
ズを満たすために従事するプロジェクトの技術要員が,次の事項を調整する。
a) トップマネジメントは,次のことを行うことが望ましい。
− 組織のビジネスと整合がとれたディペンダビリティの展望及び戦略を確立する。
− ディペンダビリティ方針を設定し,その方向性,価値及びコミットメントを組織,供給者及び顧客
に連絡する。
− ディペンダビリティ マネジメントシステム及びプロセスの促進,理解及び費用対効果の高い施策の
ための,環境及びインフラストラクチャーを整備する。
− 知識ベースのディペンダビリティ プログラム,開発及び維持を支援するための適切な資源を確保す
る。
− ディペンダビリティ達成における性能測定のための基準を確立する。
− 顧客満足に着目し,継続的改善のために情報のフィードバックを促進する。
b) ディペンダビリティ プログラムの管理者は,次のことを行う資質及び役割をもつことが望ましい。
− ディペンダビリティにかかわる懸案事項を扱う力量及び知識をもっている。
− 組織のディペンダビリティ方針,プロセス及び手法を熟知している。
− ディペンダビリティ プログラムの目標を理解している。
− 顧客と供給者とのインタフェースの重要性を認識している。
− コミットメント及び納期までのスケジュールを支援する適切な資源を確保する。
− ディペンダビリティ目標を達成するための業務プログラムを計画し,実施する。
− 顧客のニーズに合わせてディペンダビリティ プログラムを調整する。
− ディペンダビリティ活動の業務に有能なスタッフを割り当てる。
− 実施した結果の有効性を検証するため,プロセスのインプット及びアウトプットを監視する。
− 作業の性能及び進ちょく(捗)を評価し,マネジメントレビューのために結果を報告する。
− マネジメントレビュー及び問題解決のためにディペンダビリティに関連するリスク及び問題領域を
明確化する。
− 継続的改善のために予防及び是正処置を実施する。
− プロセス改善及び知識ベースの拡張を促進するためのデータ分析を実施する。

5.2 顧客のディペンダビリティ ニーズを満足する

  個別のディペンダビリティ プログラムを作るときは,ディペンダビリティの懸案事項に対する顧客のニ
ーズ及び期待を,目標として取り入れることが望ましい。ディペンダビリティに対する顧客のニーズ及び
期待を十分に理解し,テイラーリングプロセスを用いて実施可能なディペンダビリティ プログラムタスク
に変換しておくことが望ましい。適用可能な場合は,確実に顧客の信頼を得るため,プロジェクトの計画
の早い段階で顧客が関与することを必す(須)としてもよい。ディペンダビリティの結果に直接的又は間
接的に影響する可能性のある問題を適時に解決することを確実にするため,ディペンダビリティの懸案事
項を記録し,定期的にレビューすることが望ましい。レビュープロセスは,処置項目の最終段階に配置す
ることが望ましい。その目的は,迅速な是正処置及び問題再発を避けるための有効な予防処置の開始によ
って継続的改善を目指すことにある。
顧客のニーズ及び期待を満足することは,資源の適切な配置及び技術的責任をもった専任者の割当てを
要求することでもある。

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5.3 ディペンダビリティ方針と規制との関連

  ディペンダビリティに関する活動の中には,規制又は法的要求事項によって決定するものもある。通常,
こうした義務は,ディペンダビリティ及び関連する懸案事項を扱う組織の方針に反映する。ディペンダビ
リティ タスクに従事する要員は,そのような状況を理解し,それに従って活動することが望ましい。ディ
ペンダビリティに関する代表的な規制又は法的要求事項の懸案事項は,少なくとも次を含む。
− 規制又は法的要求事項を順守しないことによる潜在的な責任の懸案事項
− 製品の故障による潜在的な責任の懸案事項(例えば,任務の喪失,安全性の欠如,セキュリティの破
たん)
− アイテムの廃却に関連する識別可能なリスク
− 環境に影響を与える可能性のある廃棄物及び副産物の管理
− 以前に供給した材料の保全契約における“引取り”及び“払戻し”の条件
注記 “引取り”の条件は,例えば,顧客が新しい設備を購入する前に,組織が古いものを除去又
は引取りすることに合意するときに生じる。“払戻し”の条件は,例えば,保全支援契約が終
了するときに,組織が顧客への払戻し又は消費されずに余った予備品の買戻しに合意すると
きに生じる。

5.4 ディペンダビリティ プログラム

  適用可能な製品ライフサイクルのすべての段階において,関連するディペンダビリティ プログラムタス
クの適切な選択及び適時な実施を確実にするため,テイラーリングプロセスを用いることが望ましい。こ
の目的は,効果的なディペンダビリティ プログラムを達成し,システムの総合的なアベイラビリティ性能
を高め,ディペンダビリティ目標を実現するためにある。全体の目標は,顧客のニーズ及び満足を達成す
るため,相互に関連する品質プロセス及びディペンダビリティ プログラムタスクの,戦略的計画及び展開
による,顧客価値の提供である。ディペンダビリティ プログラムは,資金的裏付け並びに適切な資源及び
設備による支援を必要とする。

5.5 管理責任者

  トップマネジメントは,ディペンダビリティ マネジメントシステムを運営管理し,監視し,評価し,か
つ,調整するため,管理責任者を任命し権限を与えてもよい。この任命は,ディペンダビリティ マネジメ
ントシステムの有効的かつ効率的な運用及び改善を強化する。責任者は,トップマネジメントに報告する
ことが望ましく,また,ディペンダビリティ マネジメントシステムに関する事柄について,顧客及び他の
利害関係者と情報を交換することが望ましい。

5.6 マネジメントレビュー

  トップマネジメントは,組織のディペンダビリティ方針,目標及びシステムが引き続き適切であること
を判断するため,定期的にディペンダビリティ マネジメントシステムをレビューすることが望ましい。
レビューの頻度は,組織のニーズによって決定することが望ましい。レビューからのアウトプットは,
組織のパフォーマンス改善の計画に使用するデータを提供するものであることが望ましい。ディペンダビ
リティ マネジメントのレビュー記録は,改善プロセスの一部として維持することが望ましい。ディペンダ
ビリティ マネジメント レビューのためのチェックリストを,附属書Eに示す。

6 資源の運用管理

6.1 資源の提供

  組織は,ビジネスの目標に合致した効果的なディペンダビリティ マネジメントシステムを持続するため

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に,適切な資源を提供することが望ましい。ディペンダビリティを支援するために必要な主な資源には,
人的資源,財務資源及び情報資源がある。人的資源とは,ディペンダビリティに関与する組織の人材及び
専門家である。財務資源とは,ディペンダビリティ プロジェクトに必要な組織の資金及び主要設備である。
情報資源とは,組織が所有するディペンダビリティの知識ベース及び知的所有権である。これら三つの主
要資源をそろえることによって,ビジネスでの参入及び競争で成功するために不可欠な,ディペンダビリ
ティを実現する能力を備えた組織となる。ディペンダビリティの資源の運用管理には,組織のビジネスプ
ラン及び戦略のビジョン,使命及び目標を反映することが望ましい。これらの主要な資源に加えて,実験,
製造及び試験のための資源のような,明らかに他の資源もまた,部品調査,ストレス試験,ソフトウェア
の検証及び妥当性確認といったディペンダビリティ特有のタスクを実行するために必要なこともある。

6.2 資源の計画,開発及び維持

6.2.1  人的資源
資源の計画は,組織のビジネス計画及び戦略の一部を形成することが望ましい。ディペンダビリティ能
力は,組織がビジネス及び市場の変化に対応できるよう,常に最新のものにしておくことが望ましい。要
員の訓練及び教育は,最新の知識を保ち,技術的な発展を遂げるために必要である。
6.2.2 財務資源
ディペンダビリティのための財務資源開発は,予算の計画及び実施に重点をおくことが望ましい。ディ
ペンダビリティ プログラムタスクのために,適切な財務資源を利用できるようにすることが望ましい。
6.2.3 情報資源
情報資源の開発は,最新のディペンダビリティの知識ベースを維持するために重要である。知的所有権
及び特許登録を奨励し,認知し,相応に報奨を与えることが望ましい。合同プロジェクトで外部の組織と
仕事をするときは,機密保持契約を考慮することが望ましい。この合意事項には,所有情報の共有又は移
管に関する事項を含み,情報の所有権がどこにあるかを契約書に明記することが望ましい。
情報資源の運用管理は,関連する情報を必要とする人に適切に伝達することによる改革,作業向上及び
改善を促進するための,効果的な情報フロープロセスの活用を含む。ときには,ディペンダビリティ プロ
グラムタスクは,ビジネスの結果に影響するか,又は市場の競争に遅れるような,機密情報の開発又は獲
得を必要とする場合がある。保管中,バックアップ中,転送中及び配付中の機密データを保護し,かつ,
侵入から機密データを守るために,情報セキュリティ管理プロセスを開発し,維持することが望ましい。
管理文書,知的所有権並びに製品のディペンダビリティ及びライフサイクルに影響を与える手法及び手
順を管理するプロセスを,定期的にレビューすることが望ましい。機密解除及び破棄を促進するために,
規制又は法的な目的によるプロジェクト文書の保存期間は,明確に文書化しておくことが望ましい。

6.3 外部委託

  定型的,短期間のディペンダビリティ プログラムタスクは,外部委託又は下請けによって外部で行うこ
とができる。代表的な例は,適合性試験,試験工具の設計並びにデータ収集及び分析のタスクである。そ
のような場合,プロジェクト全体の遂行管理及び製品の納期までのスケジュールを維持するために,供給
者又は受託業者とのインタフェースが組織にとって重要となる。

7 製品実現

7.1 製品実現の計画

  ディペンダビリティに基づく製品実現の計画に当たっては,ディペンダビリティ マネジメントプロセス
で確立する製品ライフサイクルの枠組みを利用する。

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製品ライフサイクルは,製品の寿命にわたる様々な段階を表している。これは,製品ライフサイクルの
各段階において,目的,結果,プロセス及びその他の製品のディペンダビリティにとって重要な,時間に
依存する特性を定義するために使用できる。定義可能な製品ライフサイクルの各段階の分割は,製品の実
現という観点からプロジェクトマネジメントを促進できる。各重要段階において,投資の決定及び資源の
コミットメントを行い,ビジネスのマネジメントプロセスに統合することができる。製品ライフサイクル
の各段階で評価したディペンダビリティ データは,プロジェクトの継続及び改善の必要性の根拠を支援す
るマネジメントの決定に必要な,重要な情報として提示することができる。
製品ライフサイクルは,製品の各段階(構想及び定義,設計及び開発,製造,据付け,運用及び保全並
びに廃却)において,時間に依存するディペンダビリティの懸案事項に取り組むときに役立つ。
ディペンダビリティ プログラムの目的を確立するのは,マネジメントの責任である。ディペンダビリテ
ィ計画書には,製品実現の計画に関連し,特定の製品のニーズに合わせてテイラーリングした一連のディ
ペンダビリティ活動を記載する。ディペンダビリティ計画書の適用について,7.3に示す。
ディペンダビリティ計画書の作成に当たり,次を考慮することが望ましい。
− 特定のディペンダビリティのニーズ及び市場又は顧客の期待の決定
− 製品をどのような環境でどのように使用するかの決定
− 不可欠なプロセスを決定し,市場又は特定の顧客のニーズに合わせて段階的に実施するディペンダビ
リティ プログラムタスクの優先順位の決定
− 検証及び妥当性確認のプロセスによって,市場の目的又は顧客のニーズを満足することの確認
− 継続的改善を促進するため,品質記録として適切なディペンダビリティ データの取得

7.2 ディペンダビリティ プログラムのテイラーリング

  ディペンダビリティ プログラムのテイラーリングとは,特定のプロジェクトの目的に合わせて定めた一
連のタスクから,不可欠なタスクを選択することである。効果的な実施のために,ディペンダビリティ プ
ログラムを特定の適用のニーズに合わせてテイラーリングすることが望ましい。テイラーリングの目的は,
ディペンダビリティの資源の割当てを最適化することである。製品ライフサイクルの各段階又はプロジェ
クトのニーズに関連する特定のディペンダビリティ プログラムのタスクは,テイラーリングによって選択
することが望ましい。
一般に,テイラーリングプロセスの活動には,次を含む。
− 組織の方針及びインフラストラクチャーを反映したプロジェクト環境の明確化
− 実現及び引渡しが困難な可能性がある契約,規定,特性及び目標の分析
− プロジェクトの実施に当たり,必要かつ実際に使用可能な能力及び資源
− プロジェクトに適用可能な,特定のライフサイクルの段階又は諸段階の決定
− 製品の特徴及び機能,類似製品の過去の履歴,最終顧客の意図する製品の使用並びに予想する適用環
境などの製品に関連する特性の決定
− 明確化した個別のライフサイクルの段階に関連する,適用可能なディペンダビリティ プログラム要素
及びタスクの選択
− 資源の配分のためのディペンダビリティ プログラム要素及び活動の適用の,タイミング及び期間に関
連するプロジェクトの適切なシステム ライフサイクル プロセスの明確化
− プロジェクトの計画の一部として,テイラーリングの決定事項を正式なものとするための論理的根拠
の文書化
ディペンダビリティ プログラムを個別のプロジェクト目標に適合するようにテイラーリングするとき

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  • IEC 60300-2:2004(MOD)

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