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は,含んでいるコストについて考慮することが望ましい。プログラムの実施のために選択したディペンダ
ビリティの取組みは,選択した活動が価値を与えるものであることを確実にするように論理的根拠を示す
ことが望ましい。テイラーリングプロセスの指針を,附属書Fに示す。テイラーリングプロセスからのア
ウトプットとして,ディペンダビリティ計画を文書化することが望ましい。
7.3 ディペンダビリティ計画書の適用
ディペンダビリティ計画書を製品に適用するときは,システムの観点からディペンダビリティの問題に
取り組むことが重要である。ディペンダビリティの観点から必要な場合は,システムの仕様で予想する運
用条件を定義し,サブシステムとシステム構成品との相互作用を記載する必要がある。システムのアベイ
ラビリティ性能は,信頼性,保全性及び保全支援の観点から定めたディペンダビリティの目標を達成して
いるかの妥当性を確認するため,システムのアベイラビリティ性能を測定又は評価することが望ましい。
ディペンダビリティのソフトウェア側面は,システムの運用におけるソフトウェア構成品の完全性に関
連する。完全性とは,設計に内在する属性である。ディペンダビリティの目的を達成するためのシステム
及びそのソフトウェア構成品の能力は,システムアーキテクチャ,耐故障設計,緩和プロセス並びに適切
な品質保証又は正式な方法によるソフトウェア開発及び保全プロセスの厳密な実施の度合いに依存する。
ディペンダビリティと完全性との関係は,システムの性能に影響するソフトウェアを扱うときに,規定し
た完全性水準に対応するソフトウェアの適用の重要度と密接に結び付く。システム及びソフトウェアの完
全性水準を,JIS X 0134に示す。
ディペンダビリティの側面から,人間と機械とのインタフェース設計,運用及び保全の容易さ並びにシ
ステムの運用,保全,使用又は廃却をする人間の安全を考慮することが望ましい。
ディペンダビリティ プログラムの要素は,製品開発及び生産プロセスの他の要素並びに結果を最大にし,
コストを最小にするための組織の運用活動と統合することが望ましい。
7.4 サプライチェーンマネジメント
サプライチェーンマネジメントは,購入プロセスに含まれ,製品実現のためのディペンダビリティにお
いて重要である。
規定した製品ディペンダビリティを達成するため,組織は,製品の設計及び製造に当たって規定したニ
ーズ及び適用に適合する構成品及びサービスの提供において,供給者に依存する。例えば,一般的な部品
の在庫,特殊なデバイス,システムの統合を促進するための商用の試験ツール(製品の環境影響評価認証
及び安全認証のための支援サービス)などを含む。すべての場合,契約仕様書は,プロジェクトの目的に
合わせて,供給者と作成及び協議することが望ましい。供給者の選定において,契約に入る前に一貫した
ディペンダビリティ履歴をもつ少数の適切な供給者を明確にすることが望ましい。供給者の監視及びレビ
ューは,適宜契約履行の保証及び適切な供給者のリストを維持するため,継続的なプロセスとすることが
望ましい。サプライチェーンマネジメントは,組織と供給者とのパートナーシップを主唱する。サプライ
チェーン マネジメント プロセスは,既製の製品及びOEM (original equipment manufacture) 製品に適用す
る。ディペンダビリティ関係者を代表する技術リーダーは,ディペンダビリティの目的に合った信頼性の
ある製品の納品及び適用を確実にするために,サプライチェーン マネジメント プロセスで積極的な役割
を果たすことが望ましい。
供給者と組織との間のパートナーシップには,共同の品質保証活動を含むことができる。共通の目的は,
時間及びコストを削減することである。組織は,最終顧客に最終的なシステムを提供するために製品を統
合する顧客とも,パートナーシップを形成することが望ましい。
組織は,問題解決及びフィールドデータの収集並びにシステムのアベイラビリティ性能の傾向及び製品
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の返却率を確立するため,顧客と協力することが望ましい。組織は,納入した製品に対する,保存期間の
制限があるアイテムの使用及び予備品供給停止予定を適宜顧客に通知することが望ましい。
8 測定,分析及び改善
8.1 ディペンダビリティの測定
顧客は,ディペンダビリティを製品の品質及び価値に結び付ける。顧客の信頼は,まず始めに,開発段
階で適切な設計,アセスメント及び製造工程を用いることによって得られる。引き続き,この顧客の信頼
は,運用段階において製品の所期どおりの性能を実証することによって,適切な保全支援の結果として再
確認できる。
製品のディペンダビリティは,最終製品の達成可能なディペンダビリティ指標を提供するための類似製
品の過去の性能履歴の調査,新製品の構成による信頼性予測,試作品の試験結果及び保全性の検証によっ
て予測することができる。この方法は,一般に製品開発の初期の段階で使用する。
ディペンダビリティを測定するには,一般にアベイラビリティ性能を測定する。このためには,製品の
信頼性性能,保全性性能及び関連する保全支援能力を十分に測定し,製品の性能が満足できるかどうかの
判定を実証することが望ましい。測定の取組みの重要な要素は,問題点の報告,根本原因の特定及び迅速
な解決のためのプロセスであることが望ましい。このプロセスは,供給者及び顧客の両方の利益となる製
品の改善をもたらす。
8.2 ディペンダビリティの監視及び保証
製品へのディペンダビリティの作り込みは,適用するディペンダビリティ プロセスの有効性及び効率に
依存する。
ディペンダビリティに影響するプロセスは,不具合監視システム,ディペンダビリティ予測手順及びフ
ィールド返却データの収集などの製品指向のもの,又は組織のマネジメント情報システム及びコンピュー
タ支援サービスなどのインフラストラクチャー指向のものがある。プロセスの監視の目的は,プロセスの
一貫性及びプロセスにかかわるデータの正確さを確実にすることである。適用可能なディペンダビリティ
プロセスの結果は,製品に価値を付加し,製品に対する顧客の信頼を高めることが望ましい。プロセスの
変更及び修正は,正しく文書化することが望ましい。プロセスの監視は,一般に,日常のレビュープロセ
ス,定期的内部監査及び適用アセスメントによって達成する。
8.3 ディペンダビリティ アセスメント及び分析
ディペンダビリティ アセスメントは,マネジメントの決定の支援に不可欠な評価プロセス及び分析を提
供する。ディペンダビリティ アセスメントは,しばしば,当該プロジェクトのシステムアーキテクチャ,
製品設計又は保全支援戦略の評価を含む。評価は,過去の性能履歴,試験記録又は調査情報に基づく,経
験的又は解析的なものでもよい。事象発生の確率又は評価した値の信頼区間を決定するために,統計的手
法を用いることが望ましい。信頼性及び保全性のモデル化は,相互に関連する一連の特性の結果を評価す
るための,アセスメントの一形式である。機能的特性及び適用環境に基づいて製品の故障率を決定すると
きに,信頼性性能及び保全性性能が予測でき,結果としてディペンダビリティを評価できる。ネットワー
クアーキテクチャの最適化及びネットワークの機能的な性能の最適化のために,ネットワークパラメータ
を特性化する目的でネットワーク ディペンダビリティ モデルを使用することが望ましい。代替となる補
給支援戦略を評価するために,予備品供給モデルを使用することが望ましい。
ディペンダビリティの分析は,個別のディペンダビリティ手法又は実施事項の適用を必要とする,個別
の問題領域に着目する(JIS C 5750-3-1参照)。これらのディペンダビリティ アセスメントのための分析
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の適用は,製品又はプロジェクトのライフサイクルにおける適切な段階での個別のニーズに従い,時間に
依存する。プロジェクトで生じた問題点に対して意味ある技術的回答を提供するために,ディペンダビリ
ティ分析を使用することが望ましい。
8.4 ディペンダビリティ情報の利用
ディペンダビリティ情報は,組織のビジネスを継続又は発展させるために必要な知的所有権をしばしば
含む,価値のある財産である。適切なディペンダビリティ情報の利用は,組織の内部及び外部との,ビジ
ネス及び技術的コミュニケーションの結果に従って取り扱うことが望ましい。ディペンダビリティ情報は,
一般にビジネス情報及び技術情報に分類できる。ビジネスに関するディペンダビリティの情報は,保証し
た性能能力,寿命保証,環境に配慮した廃却の要求など,法的に意味のある契約情報を縛ることを含む。
技術的な懸案事項に関するディペンダビリティ情報は,製品の返却率,アベイラビリティ性能のアップ時
間(JIS Z 8115のHS12参照),予備品補充の所要時間のように,設計の選択肢及び所有コストに影響を与
えることもある。
ディペンダビリティ情報の利用は,プロジェクトの構想及び定義段階で重要なこともある。製品のライ
フサイクル コストの約70 %は,製品の機能仕様の完成時に決定する。構想及び定義段階で利用する重要
な情報は,製品の使用環境,システム構成及びネットワークインタフェース,製品の信頼性目標,競合情
報並びに製品の過去の性能履歴を含む。設計及び開発段階では,どのように製品を設計し,製造し,かつ,
使用又は利用のために市場に導入するかを詳細に示した設計仕様書の完成時に,製品のライフサイクル コ
ストの95 %が決定する。設計及び開発段階で利用する重要な情報は,設計ルール,部品の適用指針,機能
分割のための故障モード・影響解析結果及び試験容易性設計,冗長性及び信頼性成長試験計画のための信
頼性予測などの情報を含む。
製造段階で利用する重要なディペンダビリティ情報は,製品の直行率 (first-pass yield) の傾向を確立す
るための受入れ試験データ及びソフトウェアのリリースのタイミングを含む。フィールドの性能データを
収集し,運用及び保全段階において,製品のアベイラビリティ性能の決定,保証コスト目標の再設定及び
適切な補給支援戦略の実施のために利用することが望ましい。廃却段階に入る前に,製品の製造打切り又
は廃止の判断用として製品の寿命終了の状況を明確にするために,保全及び修理の記録を利用することが
望ましい。
変更の有効性を監視し,傾向を確立するため,設計変更及びフィールドにおける製品の部分変更をレビ
ューし,変更データを適宜分析することが望ましい。
ディペンダビリティ情報を利用することは,製品の性能履歴を取得し,かつ,適切なディペンダビリテ
ィ情報の文書化を行い,将来の参照のために保存する知識ベースの確立を支援する。
8.5 結果の測定
結果の測定は,ビジネスにおける達成度の妥当性確認のことである。目標が達成した成果を示すために,
活動指標又は計量値をしばしば使用する。ディペンダビリティ プログラムの適用において,プロジェクト
の目標に対する共通の指標は,少なくとも次を含む。
a) 構想及び定義段階の期間
− 構想は実現可能で,信頼性及び保全性の目標に適合することを検証できる。
− 製品の信頼性及び保全性の特性が定義でき,数値で明示できる。
b) 設計及び開発段階の期間
− 製品の性能を示す機能は,信頼性又はアベイラビリティの予測によって検証できる。
− 試作品は動作し,機能性を確認するための試験ができる。
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− 設計の妥当性の確認,弱点の明確化及び設計の改善のための試験及び解析(例えば,シミュレーシ
ョン)ができる[信頼性成長(IEC 61014参照)]。
c) 製造段階の期間
− 生産の歩留まりデータは,製品の信頼性適合において,プロセスの完成度を示す。
− 製品の初回生産から,信頼性成長の調査を開始できる。
− 初期故障は,製品出荷前に識別できる。
d) 据付け段階の期間
− システム統合は,アベイラビリティ性能試験及び受入れ試験を容易にする。
− データ収集システムは,初期故障の識別及び管理のために有効である。
e) 運用及び保全段階の期間
− システムの機能停止期間は,アベイラビリティ性能の目標値と整合している。
− 実際のフィールド返却品は,“不再現”のアイテムを含む。
f) 廃却段階の期間
− 摩耗特性は,有用寿命の終わりの時点を示す。
8.6 ディペンダビリティの改善
ディペンダビリティ マネジメントシステムの改善は,進化のため並びにシステムの有効性及び効率の強
化のために,トップマネジメントのリーダーシップ及び戦略的な計画を通して達成できる。改善目標は,
ビジネス目標及び顧客の満足に対して設定する。ビジネスの多様性及び技術の変化は,しばしば,ディペ
ンダビリティ プログラム要素の効果的適用及びプロジェクトに必要な関連プロセスの適切性のレビュー
を求める。新たなビジネスの目的に合わせて,プロセスの変化及び逸脱に適応するために調整が必要にな
ることもある。
製品の改善は,体系的プロジェクトマネジメント,設計管理,予防処置及び是正処置の効果的かつ適時
な実施を通して達成できる。ディペンダビリティ プロセスは,技術革新に適応し,継続的改善を促進する
ために機敏であることが望ましい。知識開発を促進し,適切な情報を獲得するために,主要なディペンダ
ビリティの知識ベースを確立することが望ましい。
次のディペンダビリティ改善プロセスを考慮することが望ましい。
− 設計サイクルタイム短縮及び製品受入れの迅速化のために,適時な設計検証及び製品の適合性の妥当
性確認を行うための,適切な方法及びツールを採用することが望ましい。
− コスト削減及び予防策のための総合的解決策を提供し,潜在的な重要設計問題を迅速に解決するため
に,根本的原因分析を採用することが望ましい。
− プロジェクトの意思決定時において,又はマネジメントレビューのときに,リスクの影響度及び潜在
的影響を決定し,費用対効果のよい予防処置及び/又は是正処置を推奨するために,リスクアセスメ
ント情報を使用することが望ましい。
− プロジェクトの意思決定マネジメントを促進するための情報の正確さ及び完全性を維持するために,
適切なデータ管理を開発することが望ましい。
− マネジメントレビューと同様に,技術レビューは,ディペンダビリティ プロセスの強度及び拡張の機
会を決定することを重視することが望ましい。
− 顧客との密接なインタフェースを維持することが望ましく,付加価値を高めるために必要な改善プロ
セスの適時な実行を可能にするために,供給者の価値あるフィードバック情報を得ることが望ましい。
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附属書A
(参考)
システム,ハードウェア及びソフトウェアの適用における
ディペンダビリティ プログラム要素及びタスク
A.1 要素1 : マネジメント
マネジメントは,ディペンダビリティ プログラムの重要な要素である。計画では,プロジェクトの適用
範囲及び目標を定義し,プロジェクトの活動を明確にし,かつ,マイルストーンのスケジュール及び成果
物を設定する。マネジメントは,適切なビジネス及び技術的戦略を採用し,リーダーシップを発揮し,か
つ,計画したプロジェクトの目標を達成できるよう,有効にタスクを実行するために必要な資源を割り当
てる。タスク1タスク7では,マネジメントの要素に不可欠な活動について説明する。
これは,ディペンダビリティ プロジェクトを指揮する技術リーダーを任命することによって達成する。
ディペンダビリティの責任を負う技術リーダーのマネジメントの役割は,チームを作ること,チームメン
バーに対するリーダーシップの責任,ディペンダビリティに関する事柄について顧客及び供給者とコミュ
ニケーションすること,並びにディペンダビリティの懸案事項に関してサプライチェーン マネジメント
プロセスにおける重要な技術的連携を維持することを含む。顧客の支持を得るため,顧客との販売後のコ
ミュニケーションを維持することが望ましい。
A.1.1 タスク1 : ディペンダビリティ計画書
ディペンダビリティ プログラムには,適切な計画及びトップマネジメントの関与が必要である。ディペ
ンダビリティ計画書は,基本的なマネジメント,計画及び管理の文書として,ディペンダビリティ プログ
ラムの実行の管理に役立つ。製品のディペンダビリティ計画書を,全体のプロジェクト計画書と統合し,
マネジメント及び承認のプロセスに従ってレビューすることが望ましい。ディペンダビリティ計画書は,
特定の製品に対して,ライフサイクルの一つの段階,幾つかの段階又はすべての段階で適用できる。ディ
ペンダビリティ計画書は,その製品に適用可能な適切なディペンダビリティ プログラムタスク並びにそれ
を構成するハードウェア及びソフトウェア構成品の管理を明確にすることが望ましい。ディペンダビリテ
ィ計画書では,ディペンダビリティ プログラムの実行の責任を負う技術リーダー及び場合によってはマネ
ジメントの代表を明確にすることが望ましい。ディペンダビリティ プログラムタスクは,マイルストーン
のスケジュール及び成果物とともに記載することが望ましい。
A.1.2 タスク2 : ディペンダビリティ仕様書
ディペンダビリティ仕様書には,要求を明確にし,プロジェクト遂行のための製品の条件を定義するプ
ロセスを含む。仕様書は,顧客のニーズを満たすため,又は好ましい供給者を選択する基準を定義するた
めに作成する。仕様を取りまとめた結果は,関係者間の正式な契約書となり得る。顧客及び供給者の協業
は,仕様の準備を促進し,合意に達するためのディペンダビリティの目的及び制限の相互理解を促進する。
ディペンダビリティの仕様には,アベイラビリティ性能,期待される製品寿命及び許容される停止期間又
は劣化の制限などの定量的な測定を含むこともある。これらの定量的な測定の条件は,製品の実証及び受
入れのために定義し,文書化することが望ましい。ディペンダビリティ仕様は,製品全体の性能に直接影
響するものと,ハードウェア又はソフトウェア構成品の意図する使用又は適用に関連するものとを区別す
ることが望ましい。JIS C 5750-3-4を参考にするとよい。
ディペンダビリティ仕様のプロセスでは,配分の技法を採用することがある。ディペンダビリティの配
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JIS C 5750-2:2010の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60300-2:2004(MOD)
JIS C 5750-2:2010の国際規格 ICS 分類一覧
- 03 : サービス.経営組織,管理及び品質.行政.運輸.社会学. > 03.120 : 品質 > 03.120.01 : 品質一般
JIS C 5750-2:2010の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC5750-1:2010
- ディペンダビリティ マネジメント―第1部:ディペンダビリティ マネジメントシステム
- JISQ9000:2015
- 品質マネジメントシステム―基本及び用語
- JISX0134:1999
- システム及びソフトウェアに課せられたリスク抑制の完全性水準
- JISZ8115:2019
- ディペンダビリティ(総合信頼性)用語