JIS C 5750-3-3:2008 ディペンダビリティ管理―第3-3部:適用の指針―ライフサイクル コスティング | ページ 4

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C 5750-3-3 : 2008 (IEC 60300-3-3 : 2004)
リティ又は他の関連する制約条件におけるあらゆる差分を定量化する。
f) 論理的なグループ分けに従ったLCCモデルの出力を分類し,要約する。
例えば,分析結果の利用者に関連する,固定又は変動コスト,繰返し性のある又は繰返し性のない
コスト,取得,所有又は廃却コスト,直接又は間接コストなど。
g) 前提となる諸条件及びコスト要素の不確実性が,LCCモデルの結果に与える影響を調べるために,感
度分析を実施する。大きく影響を与えるコスト及び製品の使用条件,並びに時間単価などに関する前
提条件に特に注意して,焦点を合わせることが望ましい。
h) 分析計画に記述されている目標に対して,すべての目標値が達成され,かつ,求められる決断に対し
て十分な情報が提供されていることを確認するために,LCCの各出力(試算及び感度分析)を検討す
る。目的に合わない場合は,LCCモデルの付加的な評価及び修正を行うことが求められる。
分析は,すべての前提とした条件も含めて,他の評価者によって結果が確認でき,容易に再現できるよ
うにするために,文書化しておくことが望ましい。
4.6.5 ライフサイクル コスティング実施計画に伴う文書化
ライフサイクル コスティングの実施結果には,実施結果に関連した制約及び不確実性を含めて,分析結
果及びそれに含まれる意味合いの両方を,顧客が明確に理解できるように報告書に記述することが望まし
い。その報告書には,次を含めることが望ましい。
a) 要約−分析の目的,結果,結論及び勧告についての簡潔な概要。この要約は,意思決定者,顧客及び
その他関係する第三者に分析の概観を提供する意図をもっている。
b) 目的及び適用範囲−分析の目的,製品の特徴などの提示。当該製品の使用環境,運用及び支援のシナ
リオの定義を含む。
それには,4.6.2に規定するように,分析で考慮される仮定,制約及びそれらの代替案が含まれる。
この情報は,分析実施計画に含まれるので,実施計画は参考として報告書に含めることがある。
c) CCモデルの記述−LCCモデルの要約。関連する仮定,LCC細分化構造の描写,コスト要素及びそ
の見積り方の説明並びにコスト要素を統合する方法の記述を含む。
d) CCモデルの適用−LCCモデルの結果の提示。4.6.4に規定するように,有意なコスト寄与変量又は
主要なコスト要因の識別,感度分析の結果及びその他の何らかの関係する分析活動からの結果を含む。
附属書JAは,LCC分析の表計算の使用例及び結果表現を示している。
e) 検討及び審議−結果に関連するいかなる不確実性をも含む分析結果の十分な検討及び説明。結果を理
解して用いるのに,意思決定者及び/又は顧客を手助けする,いかなるその他の結果の十分な検討及
び説明。
f) 結論及び勧告−分析の目標に関係する結論及び分析の継続する作業,又は改正の必要性の明確化と同
様に,分析結果に基づく決定事項に関する勧告リストの提示。
4.6.6 ライフサイクル コスティング実施結果のレビュー
分析プロセスの公式で,可能な限り独立した,他から影響を受けないレビューは,分析結果の正当性及
び完全性の確認のために要求されることがある。レビューでは,次の事項を用意することが望ましい。
a) 分析の目的及び適用範囲が適切に提示され説明されていることを確実にするための,分析の目的及び
適用範囲のレビュー。
b) モデルが,分析の目的に十分役に立つことを確実にするための,コスト要素の定義及び仮定を含むモ
デルのレビュー。
c) 入力情報が正確に設定され,モデルが適正に用いられ,感度分析の結果を含む分析結果が十分に査定

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及び検討され,並びに分析の目的が達成されていることを確実にするための適用のレビュー。
d) 仮定が理にかなっており,十分に検討されていることを確実にするための,分析に用いられたすべて
の仮定のレビュー。
4.6.7 分析結果の更新
製品ライフサイクルの全期間をとおしてLCCモデルを活用できるように,LCCモデルを現状に通用す
るように保持し続けることは,多くのライフサイクル コスティングの検討に利点がある。例えば,予備デ
ータ又は見積もられたデータに基づいて最初に行った分析結果を,製品ライフサイクルのもっと後段階で
用いるときには,より詳細なデータでの更新が望ましい場合がある。LCCモデルを保持し,更新するため
には,追加情報源を使用できるようにするためのLCCの細分化構造の部分変更,コストの見積り方の変更,
及びモデルに含まれる仮定の改変を伴うことがある。
更新された分析結果は,当初の結果と同じ程度まで文書化し,レビューすることが望ましい。

4.7 不確実性及びリスク

  LCCは,製品ライフサイクル全体にわたる製品の取得コスト,所有者コスト及び廃却コストの推定値で
ある。この規格をとおして強調しているように,ライフサイクル コスティングの結果の確かさは,適切な
情報,LCCモデルに用いられる仮定,並びに分析に用いられる入力データの有効性及び使用法に依存して
いる。
プロジェクト開始時における情報不足,新技術又は新製品の導入,プロジェクトを正当化するための楽
観的推定値の使用,達成し得ないスケジュールの使用,思いがけない結果を生む長期間の研究開発プロジ
ェクト,過度の楽観論又は過度の悲観論などの諸要因のすべては,不確実性及びリスクの一因になる。
注記 不確実性及びリスクの一因になる事例は,例えば,新技術又は新製品の導入に際して,真空管,
トランジスタ,IC,LSIなどのように製品によって高熱を発生するデバイスを使用している場
合には,適切な熱低減(heat-sinking)対策を採用することが要求される。1970年(すなわち,昭
和40年後半)以降,トランジスタ,IC,LSI,ディジタル化という技術の急速な進展に伴い,
製造業者の保全方針も製作・製造業務及び保全業務を別会社として分業する形式が多く取られ
ており,業務用製品の場合でも,製品の不具合情報が製作・製造部門まで必ずしも戻らなくな
った。例えば,新技術としての採用初期のゲルマニウム トランジスタ,シリコン トランジス
タ,IC及びLSIの温度対策などは,利用者側の不具合データ分析から温度対策の変更を要求さ
れている分野がある。また,供給者側の不具合データの収集には,例えば,雷による不具合の
ようなデータは外部要因による不具合であると解釈して,その製品の故障には入れないという
まとめ方をしている例もあるので,運用環境条件の不具合全情報が,例えば,設備などの更新
の場合の新技術又は新製品に使用されているとは限らないことに留意する必要がある。
将来の長期間にわたって被る,予測されるインフレーション率,労務費,材料費及び製造間接費(オー
バーヘッド)のような要素は,LCC分析結果における無視できない不確実性の原因にもなりうる。その結
果として,間違った結論が導かれて,正確ではないモデルの使用,正確ではないデータの使用,又は幾つ
かのコスト面で有意なアイテムの脱落状態での使用による,間違った決定及びそれらの両方が行われるこ
ともある。
不確実性及びリスクは,意思決定に関連する多くの重要な要因がコスト計算できないこともあるという
事実によって更に混迷化する。そのような要因を説明するために,経験に基づく価値判断を用いることが
望ましい。そのような価値判断は,一般的に定性的である。実際に,製品のLCCに基づく意思決定は,し
ばしば,定量的考察と定性的考察との組合せに基づいて行われる。定量的結果は,基準となるベースライ

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ンを与え,一方,定性的評価は,勧告及び決定について一層の支援を与える。定量的評価に関連するリス
クを軽減するために,有意なコスト寄与変量及びその他の重要な変数の母数に対して考慮できる範囲で,
感度分析を行うことが望ましい。
これらの感度分析の結果は,詳細に評価し,結果として生じるライフサイクル コストにおける変動可能
な範囲を決めることが望ましい。
分析の適合確認の程度は,分析結果の影響の重大さ及び決定の価値に釣り合っていることが望ましい。
例えば,多額の支出が必要となる決定を支援するためには,ライフサイクル コスティングの分析が独立し
た,他から影響を受けない経験者によって適合確認されることが要求されることがある。関連する特定な
リスクとライフサイクル コスティング結果との変動可能な範囲に,意志決定者の注意を向けさせ,考慮さ
せることが大切である。
製品の設計及び製造において行われるいかなる意思決定も,製品の性能,安全性,信頼性,保全性,保
全支援並びに最終的には,製品の取得コスト,所有者コスト及び廃却コストに影響することがある。付随
する経済的な結果の重大さをもっているコストの不確実性を導くことがあり,かつ,設計者の管理範囲を
超える多くの要因が存在する。
これらは,次に示すような関連する不確実性要因を含むことがある。
a) 所有者とその他の組織間との商取引上及び法的関係
b) 例えば,為替レートのような,組織,国の経済的環境
c) 法律の変更及び要因を含む政治的環境
d) 安全性及び環境への影響のような科学技術及び技法的な問題
e) 自然事象,人間の行動など
f) システム故障に起因するアンアベイラビリティ
g) 最新の利用可能なデータの不使用
h) 不十分なデータ追跡性
体系的な方法は,いかなる製品,活動,機能又はプロセスに関連する不確実性及びリスクをも識別し,
査定するために用いることが望ましい。これは,損失を最小にすること(又は,利益を最大にすること),
及び起こりそうな結果を数量化することを,組織的にできるようにする方法で行われることが望ましい。
この一部として,リスク解析の実施が望ましい。
不確実性及びリスク解析の目的の一つは,大きい主要なリスクと小さい無視できるリスクとを区別し,
各リスクに対する結果の重大さを見積もることである。結果の重大さは,コストを含む技術的又はその他
の尺度で表現されることがある。
関連する総コストのよりよい概算を得るために,不確実性及びリスク解析がLCC分析の一部として行わ
れることがある。例えば,故障数の実現値(実際の数)が規定値の2倍になるというように,それが顧客
の受取高損失,生産損失,罰金などで費やさせる金額の総計として想定がなされる。
不確実性及びリスクのコスト要素は,取得コスト,所有者コスト及び廃却コストに含めることが望まし
い。これは,LCCモデルの適切なコスト要素,又はより上位の水準のコストに含めることによって,なし
遂げられることがある。

5 LCCと環境問題との側面

  現在の社会では,製品及びサービスの環境への影響についての関心がますます強くなっている。環境へ
の影響を含む,製品の設計,製造,使用などについて行われるすべての意思決定は,価格,所有者コスト

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及び廃却コストに影響を及ぼすことがある。
環境の規制をなし遂げるためにとられなければならない諸活動のコストが,LCCの検討に含まれる場合
は,これらは製品の設計,開発及び使用の各段階での意思決定プロセスに重要な入力情報を提供すること
になる。
製品及びサービスの供給者並びに顧客は,生産,運用,保全及び後方支援活動の環境への影響において,
結果の重大さについて注意を払うことが望ましい。結果として,害を及ぼすような諸活動は低廉であり,
コスト面からは有利であるが,これらの活動には注意を払わねばならない。
コスト及び時間のような慣例要因と同様に環境問題も,ライフサイクル コスティングにおいて考慮しな
ければならない。したがって,諸活動の環境への影響に対する結果の重大さについて査定し,ランク付け
するように用いなければならない。これらの方法は,意思決定への環境計画立案及び環境問題の統合に対
する基礎を提供することができる。
参考文献 JIS C 5750-1:2000 ディペンダビリティ管理−第1部 : ディペンダビリティプログラム管理
JIS C 5750-2:2000 ディペンダビリティ管理−第2部 : ディペンダビリティプログラム要素及
びタスク

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附属書A
(参考)
コストを発生する典型的な活動

序文

  この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
A.1 一般
ライフサイクルの各段階には,それぞれの段階でのコストにかかわる諸活動がある。この附属書は,各
段階におけるコストを識別すべき幾つかの典型的な活動を列挙する。付加的な活動に伴うコストは,分析
が行われる時点で,適切に識別されることが望ましい。ハードウェア及びソフトウェアの設計,開発,製
造,据付け,運用,保守及び廃却は,LCCにかかわる活動を含んでいる。活動に伴うコストは,使われた
資源の種類に応じて分類するとよい。
A.2 製品のライフサイクル段階における典型的なコスト
A.2.1 構想及び定義
構想及び定義の段階におけるコストは,検討中の製品の実現性を確実にするために実施される種々の活
動によって生じると考えられる。これらは典型的には,次の活動のためのコストである。
a) 市場調査
b) プロジェクト管理
c) 製品の構想及び設計の解析
d) 製品の要求仕様書の作成
A.2.2 設計及び開発
設計及び開発段階におけるコストは,製品の要求仕様を満たすこと及び適合の証明を提供することによ
ると考えられる。これらは,典型的には,次の活動のためのコストである。
a) プロジェクト管理
b) 設計におけるエンジニアリング(信頼性,保全性,及び環境保護活動を含む。)
c) 設計の文書化
d) プロトタイプの作成
e) ソフトウェアの開発
f) 試験及び評価
g) 生産性エンジニアリング及び生産の計画
h) 納入業者の選定
i) 実証及び妥当性確認
j) 品質管理
A.2.3 製造及び据付け
製造及び据付けのコストは,必要な数の製品をつくる,又は継続して指定されたサービスを提供すると
いう見地から定量化される。この段階における活動コストは,各製品又は提供するサービスに関して繰返
し性のないもの,又は繰返し性のあるものに更に分割される。これらは一般的に,次のコストを含む。

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JIS C 5750-3-3:2008の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60300-3-3:2004(IDT)

JIS C 5750-3-3:2008の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 5750-3-3:2008の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称