この規格ページの目次
24
C 5750-3-3 : 2008 (IEC 60300-3-3 : 2004)
附属書C
(参考)
LCC解析の事例
序文
この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
C.1 一般
次に示す例は,ライフサイクル コスティングの手順及びライフサイクル コストの見積りに関する幾つ
かの方法を記述するものである。この例は,データ通信網(DCN: Data Communication Network)と呼ばれる
製品について述べている。その製品の細分化構造は,C.3に示されるとおり,DCNに含まれる異なった要
素を一覧にする。
解析の目的は,コスト要素において寄与が所定の水準(例えば,総LCCのx %)を上回るものを特定
することにある。例を簡略化するために,多くの潜在的に重要なコスト,例えば,書類作成,教育訓練,
基盤設備,管理,据付け及び試験機器の保全に対するコストが除外された。
解析は,不変の価格並びに時間,コスト及び技術要因の長期平均値を基にしている。解析においては,
15年の製品の運用期間が選定された。
この形式のデータ通信網のアベイラビリティは,一般的に,約99.994 %である。これは,一年当たり約
30分の累積ダウン時間に相当する。
運用及び保全段階に関係する次に示すコストが,この例に関連して考慮される。
コスト要素 略号
15年間の運転及び保全に関する総コスト COM
投資コスト CI
運用コスト CO
保全コスト CM
保全のための投資に関するコスト CIM
予備品交換可能ユニット CIMSRU
現場での保全に関する設備コスト CIMFS
作業場での保全に関する設備コスト CIMFW
年間の運用に関するコスト CYO
データ転送網のリース コスト CYOL
ソフトウェアの更改コスト CYOS
DCNの累積ダウン時間に起因する罰則的コスト CYOU
年間の保全に関するコスト(労務及び消耗品) CYM
予防保全コスト CYMP
事後保全コスト CYMC
現場での事後保全コスト CYMCS
作業場での事後保全コスト CYMCW
――――― [JIS C 5750-3-3 pdf 26] ―――――
25
C 5750-3-3 : 2008 (IEC 60300-3-3 : 2004)
検討している製品に対するコスト細分化構造(CBS: Cost Breakdown Structure)を,図C.2に示す。
解析は,次に示す段階に従って実施される。
− 適切なコスト細分化構造の定義(C.2参照)
− 製品に対する技術及びコスト情報をまとめたものを含む詳細な製品細分化構造の明確化(C.3参照)
− コストの種類の定義(C.4参照)
− 製品の細分化構造及びコスト要素(CE: Cost Element)という手段によって定義されるコストの種類との
間の関係の確立(C.5参照)
− 解析に対する前提条件及び仮定(C.6.1参照)
− コスト計算の実施(C.6.1参照)
− コストの細分化構造に従ったコストの提示
データ通信網(DCN)
通信システム(CS) データ転送網(DTN)
通信システム1(CS 1)
通信システム2(CS 2) 集線装置
:
通信システム30(CS 30)
集線装置は,データのやりとりのための 外部との通信,例えば,運用及び保全セ
接続及び分配に使用される機器 ンター(この解析には含まない。)
図C.1−DCNの構造
C.2 コスト細分化構造(CBS)
コスト細分化構造(CBS: Cost Breakdown Structure)は,コストを分類するライフサイクル志向の方法であ
る。CBSは,解析の要求に合致するように異なったコストをつなぎ合わせる。
個々のコストは,相当するコスト要素によって定義される。C.1参照。
次に示すCBSは,この例に適用されたコスト間の関係を記述する。
――――― [JIS C 5750-3-3 pdf 27] ―――――
26
C 5750-3-3 : 2008 (IEC 60300-3-3 : 2004)
総 LCC
(C.6.5)
運用及び保全のコスト
15年の運用及び保全に対する
総コスト
COM
総コスト CIMSRU
コスト
投資 保全に対する投資 (C.6.2)
CIMFS
CI CIM
CIMFW
総コスト
運用
n CYOL
年間 (Y) の運用
CO に関するコスト
CYOS (C.6.3)
CYO
CYOU
総コスト
保全
n 年間 (Y) の保全 (C.6.4)
CM に関するコスト
CYMP
CYMCS
CYM
CYMC
CYMCW
n=15(解析で考慮される運用年数)
図C.2−図C.1における例に対して使用されるコスト細分化構造
C.3 製品の細分化構造
図C.2で与えられたコストの細分化構造に従い,要求された計算を実行するために,詳細な製品の細分
化構造が作り上げられる必要がある。製品の細分化構造は,より低い階層での製品の細分化を与える。
表C.1表C.5は,幾つかの製品のディペンダビリティ及びコスト情報とともに,三つの階層における
製品の細分化構造を提示する。
図C.1に示されるように,考慮下にある製品“P”は,N個の同一の通信システム(CS: Communication
System)及びデータ転送網(DTN: Data Transport Network)で構成されるデータ通信網(DCN)である。データ転
送網は,データ通信網と繋がるすべてのデータリンクを含む。
――――― [JIS C 5750-3-3 pdf 28] ―――――
27
C 5750-3-3 : 2008 (IEC 60300-3-3 : 2004)
表C.1−第一階層−データ通信網
個数
水準1 アイテム名 略号 要求されるアベイラビリティ性能
N
P1 通信システム CS 罰則的コストに帰結するすべてのダウン時間 30
P2 データ転送網 DTN リンク当たり99.995 % 30(1リンク当たり)
表C.2−第二階層−通信システム
故障強度 (z) アイテム当たりのコスト 個数
水準2 アイテム名 略号
故障数/106/時間 CU N
P1.1 電源供給システム PSS 表C.3参照 表C.3参照 1
P1.2 主演算処理装置 MP 表C.4参照 表C.4参照 1
P1.3 表示操作卓 DC (RU) アイテム当たり5 900 2
P1.4 入出力ユニット IOU (RU) アイテム当たり4 300 1
P1.5 送風機 FS 表C.5参照 表C.5参照 1
注記 交換ユニット(RU: Replaceable Unit)は,“作業場レベル”で修理されるか,“現場レベル”で交換されるもの
である。
表C.2表C.5は,運用並びに保全段階(O&M: Operation and Maintenance)で使用される交換可能ユニット
及び消耗品の購買に対するコストを与える。
表示操作卓及び入出力ユニットは,“交換可能ユニット”であり,それらの更なる細分化は不要である。
他のアイテムの細分化構造は,表C.3表C.5に記述する。
表C.3−第三階層−電源供給システム
故障強度 (z) アイテム当たりのコスト 個数
水準3 アイテム名 略号
故障数/106/時間 CU N
P1.1.1電源ユニット PSU (RU) アイテム当たり18 350 2
P1.1.2電源制御ユニット PCU (RU) アイテム当たり4 200 1
P1.1.3 蓄電池a) BATT (C) 極めて小 100 8
注a) 消耗品。蓄電池及び送風機は,磨耗故障に対する予防のための交換を必要とする。
表C.4−第三階層−主演算処理装置
故障強度 (z) アイテム当たりのコスト 個数
水準3 アイテム名 略号
故障数/106/時間 CU N
P1.2.1中央演算処理装置 CP (RU) アイテム当たり15 4 000 2
P1.2.2プログラム格納 PS (RU) アイテム当たり18 1 000 2
P1.2.3データ格納 DS (RU) アイテム当たり22 800 4
P1.2.4データバス システム DBS (RU) アイテム当たり3 400 1
表C.5−第三階層−送風機システム
故障強度 (z) アイテム当たりのコスト 個数
水準3 アイテム名 略号
故障数/106/時間 CU N
P1.5.1送風機 FAN(C) a) 極めて小 40 4
P1.5.2 警報ユニット AU (RU) アイテム当たり2 80 1
注a) 消耗品。蓄電池及び送風機は,磨耗故障に対する予防のための交換を必要とする。
――――― [JIS C 5750-3-3 pdf 29] ―――――
28
C 5750-3-3 : 2008 (IEC 60300-3-3 : 2004)
C.4 コストの種類
コストの細分化構造で表されるコストは,表C.6に示すようなコストの種類にグループ分けされる。こ
の例では,投資コストは,検討している期間である15年に対する総コストである。残りのコストは,年間
コストである。
表C.6−コストの種類
コストの種類 コストの記述
R1 現場での保全に関する設備の投資コスト
R2 作業場での保全に関する設備の投資コスト
R3 予備品交換可能ユニットの投資コスト(SRU: Spare Replaceable Units)
R4 現場での保全に関する消耗品のコスト
R5 作業場での保全に関する消耗品のコスト
R6 予防保全に関するコスト
R7 現場での事後保全に関するコスト
R8 作業場での事後保全に関するコスト
R9 ソフトウェアの更改に関するコスト
R10 データ通信網のリースに関するコスト
R11 データ通信網(DCN)の累積ダウン時間に起因する罰則的コスト
C.5 コスト要素の定義
コスト要素(CE)は,製品又は作業の細分化構造の個々のアイテムと,考えているコストの種類との間を
関連付けるものである。コスト要素は,適用されるアイテムごとに定義される。C.6におけるコストの計
算は,図C.3で定義されたコスト要素を参照している。そのコスト要素は,コストの細分化構造に従い,
コストの積み重なりに対してと同様に,すべての計算に対しての参照元となる。
――――― [JIS C 5750-3-3 pdf 30] ―――――
次のページ PDF 31
JIS C 5750-3-3:2008の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60300-3-3:2004(IDT)
JIS C 5750-3-3:2008の国際規格 ICS 分類一覧
- 21 : 一般的に使用される機械的システム及び構成要素 > 21.020 : 機械,装置、設備の特性及び設計
JIS C 5750-3-3:2008の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称