JIS C 5750-4-3:2021 ディペンダビリティマネジメント―第4-3部:システム信頼性のための解析技法―故障モード・影響解析(FMEA及びFMECA) | ページ 8

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C 5750-4-3 : 2021 (IEC 60812 : 2018)
論理的な開始点はアイテムの最上位レベル機能の特定であった。機能ごとに故障モードを特定するために,
ワークショップを用いた。採用したプロセスは,関連する人々をワークショップに集め,そこで彼らが自
らの関心を述べることであった。その意図は,FMEAを網羅的に実施するよりも,既知の故障のモード及
び原因の工学的なトレードオフを調べて,そこに重点を置くことであった。
ワークショップの間に集めたデータは,故障モード,部品及びそれらの原因のシーケンスの形態であっ
た。例えば,漏れが中心である問題の事例では,その影響は顧客の不満から,床の上の水,外部への漏れ,
製造物責任に関わる損失にまで及ぶ可能性があり,故障モードは漏れ,部品は構成品X,原因は応力疲労
割れが考えられた。
A.3.7 発電用風力タービンの場合のFMEAのテーラリングの例
発電用風力タービンの詳細設計を支援するために,FMEAが必要とされた。
FMEAの適用範囲は,構造,ハブ,パワートレイン,制御システムなどのサブシステムから成るタービ
ン全体であった。目標は,以前の設計経験に基づき,新世代のタービンの開発を支援することであった。
このプロジェクトでは,リスクに基づいて故障モードを優先順位付けすることによって,各システムレベ
ルに対する影響の全範囲を評価する必要があった。
個々の相互依存するサブシステムのそれぞれに対して,ボトムアップアプローチを採用した。そこでは,
サブシステム間のインタフェースの影響,最終的にはシステムレベルの影響へ至るものを考察した。開始
点は,例えば,入出力ユニット,制御ユニット,ギアボックス,モーター,エンコーダー,電気モーター,
センサー,電源,コンバーター,ベアリングを備えたシステム/サブシステムの構造レイアウトであった。
信頼性とアベイラビリティの両方,及び安全の側面に関して,サブシステム及びシステムレベルに対す
る考えられる全ての影響の徹底的な調査を必要としたため,ボトムアップアプローチを用いた。どの故障
により注目する必要があるかの指標をもつために,致命度解析を使用した。RPN致命度法を選択したが,
これは,それが単純であり,FMEAの目標を満たすための規制によって厳しさ,発生度及び検出度の三つ
の尺度が要求されたためであった。

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附属書B
(参考)
致命度解析法

B.1 一般

  致命度解析は,故障モードを優先順位付けする手段である。附属書Bに記述する方法は,故障の起こり
やすさ,故障の結果,及び故障の検出度(リスク優先数の場合)といったパラメーターを組み合わせる方
法に限定される。
注記 重要性を格付けする単一のパラメーターの使用は,致命度解析に分類されない。
致命度を得るために,これらのパラメーターを組み合わせる多様な方法が存在する。附属書Bでは,致
命度マトリックス,致命度プロット,リスク優先数及び代替リスク優先数の四つの方法を記述する。
考慮する結果の種類,各パラメーターに対して用いるべき尺度,及び致命度を得るために組み合わせる
方法を,計画段階で決定することが望ましい。記述する方法は一般的なもので,解析の状態及び目標に関
して意味をもつために用途に対してテーラリングすることが望ましい。

B.2 致命度パラメーターの測定尺度

B.2.1 一般
致命度パラメーターは,定性的,定量的又は半定量的に測定することが可能である。
− 致命度パラメーターは,程度によって順序付けた記述的カテゴリーを用いて定性的に表されることが
ある。例えば,“軽度”,“重度”若しくは“破局的”(影響の厳しさに関して),又は“頻繁に起こる”,
“時々起こる”若しくは“まれ(稀)”(故障モードの発生度に関して)である。
− 致命度パラメーターは,経験的又は他のデータに基づき故障率又は故障の発生確率,及び故障の経済
的又は財務的コストのような結果を用いて,定量的に表されることがある。比例尺度は,規定の単位
を用いて関連するデータ範囲に合うように定められる。
− データが記述的な推定又は概数的な推定しかできないものである場合,致命度パラメーターは,格付
け尺度と呼ばれる順序評価尺度を用いて表されることがある。ランク付けした数値が,起こりやすさ
及び厳しさの順序のランク,又は故障率の幅及び財務コスト範囲を示すような場合には,このアプロ
ーチは時に半定量的と呼ばれる。
測定尺度は,適用に応じた形で示される。定性的,定量的及び半定量的なアプローチに対して,測定尺
度の点はそれぞれ,記述的な分類,数値の推定及びクラス分けに対応している。
致命度パラメーターを測定するための尺度を作成するときは,結果に偏りが出ないように,利用できる
最良の情報を用いることに留意することが望ましい。組織内に適切な分類システムが既に存在している場
合,その適用を考慮するとよい。
B.2.2 尺度の定義
尺度の範囲は,関心のあるシナリオで考慮する故障モードの結果,起こりやすさ,及び故障の検出度に
よって定義する。それは最も厳しい結果から最も被害が少ない結果まで,また,最大値若しくは最高の起

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こりやすさから最小値若しくは最低の起こりやすさまで,更に最も高い程度の検出度から最も低い程度の
検出度まで網羅することが望ましい。
採用する測定尺度上の点は,一貫性のある正確な評価を容易にするために,解析の際に意味のある,明
確で精密な定義をもつことが望ましい。定義は利用可能なデータに合ったもので,解析を実施する者に対
して意味のある用語で表されることが望ましい。
結果と起こりやすさとの両方の定量的データについて,対数尺度が線形尺度よりも適切なことがある。
定性的及び半定量的アプローチの場合に用いる尺度上の点は,適宜,定義することが望ましい。
例 破局的な故障のコストは,軽度の故障のコストに比べ,数倍高いというより,桁違いに高いと予想
される。
定性的又は半定量的尺度のカテゴリー(又は帯域)の選択は,選択したパラメーターの意義を考慮して
選択することが望ましい。影響する全範囲を分類して適切に分離するために,十分な数のカテゴリーがあ
ることが望ましい。一般に,考察する全範囲にわたって十分な区別を与えるのに,少なくとも三つのカテ
ゴリーが必要とされる。カテゴリー数が多いことは,その後の処置がカテゴリー間でさほど異ならない場
合には,正しいカテゴリーの特定が無駄な場合があるので,適切でないことがある。
注記 目安として,310のカテゴリーを一般に用いる。
カテゴリーの記述の選択及びそれぞれの意味は,それらの使われ方を考慮に入れて注意深く考えること
が望ましい。定性的アプローチの場合の口語的記述又は数字/文字ラベルの選択は,それら自体が解析中
に行われる選択に影響し得るため,注意を払うことが望ましい。各尺度を,用いる言葉の意味を定義する
表によってサポートすることが望ましい。
B.2.3 起こりやすさの評価
起こりやすさの値は,定量的,半定量的又は定性的に表現することが可能である。
比例尺度を用いた定量的アプローチでは,起こりやすさの値は,特定の故障モードに対して得られる,
又はそれらは包括的なデータ源から得られる,若しくは同等の環境及び用途での類似アイテムの運用に関
係したデータを用いて推定されることがある。
一般に,定量的データが利用できる場合,それらは要素の特定の各故障モードの故障よりも,アイテム
又はプロセス全体の故障に関係している傾向がある。故障モードの起こりやすさの推定は,全体としての
アイテムの故障の起こりやすさを,その潜在的故障モードの起こりやすさへ分配することによって得られ
ることがある。さらに,故障モードが特定の結果(通常は,ある定義された厳しさ)につながる起こりや
すさを表現するための調整がなされることがある。
注記 起こりやすさが故障率として表される場合には,特に明記のない限り,このアプローチは暗黙の
うちに故障率が一定であることを仮定しており,そのため,状況によっては適切でない可能性が
ある。さらに,アイテムの故障率は特定のデータから得られることがあるが,その故障モードの
関連する発生確率,及びある特定レベルの影響がその故障モードを起こす確率は,しばしば,異
なるデータ源群,又は判断によって得られる。
起こりやすさの帯域/分類を利用した評価では,その記述は,適用可能な経験的データ,設計チームの
専門的判断,又はその他の適切なソースを利用することがある。故障モードの相対的頻度を正確に評価し,
利用可能なデータと整合するように,一貫性をもって尺度を用いることが不可欠である。
正確で一貫性のある適用を容易にするために,次の事項を考慮することが望ましい。

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a) 発生確率又は頻度のような定量的尺度を用いる場合には,単位を明確に示すことが望ましい。
例1 パーセント値を用いる場合には,1年間に故障したアイテムのパーセントというように,パ
ーセントが何を意味するかを示す。
b) 共通理解の助けとするため,可能ならば,所定の適用について予想される起こりやすさの範囲に関係
した,カテゴリー記述の数値的な説明を含めることが望ましい。
例2 信頼性の高いハードウェアシステムの場合には,要素の故障モードの“頻繁に起こる”の分
類は,数年に1回の故障に相当することがあるが,より信頼性が低いシステムの場合には,
要素の“頻繁に起こる”故障モードは1年に数回であることがある。
まれ(稀)な故障に対する起こりやすさの記述子は,最悪の場合の結果に適用するときに,現実的であ
ることが望ましい。

B.3 マトリックス又はプロットを用いる致命度の割当て

B.3.1 一般
致命度パラメーター間の関係は,致命度ランクの特定が可能となるように,多くのやり方で表現しても
よい。故障の起こりやすさ及び結果は,連続的な尺度又はカテゴリーで表されることがあり,その後,組
み合わされて,それぞれ,プロット又はマトリックスの形態で視覚的に表される。この致命度のプロット
又はマトリックスは,処置の優先順位の設定に用いられる。
各致命度ランクの意味,及びそれらと関係する処置との結び付きについて議論し,FMEA計画の一部と
して,解析の前に利害関係者と合意することが望ましい。これによって,故障モードをどのように扱うこ
とが望ましいか,また,そうした決定の事業への潜在的影響を明確に理解することが可能となる。合意が
ない場合,致命度解析の価値は,不要な行動又は故障の不適切な処置による多大な時間及びコストを浪費
する場合がある。必要とされる致命度ランクの数は,組織の要求事項及び解析の適用によって決定される。
B.3.2 致命度マトリックス
致命度マトリックス解析は,起こりやすさ及び結果の値を組み合わせることによって重要性の尺度を与
える。致命度マトリックスは,リスクマトリックスとしても知られる。各パラメーターの値はマトリック
スの形状にされ,致命度ランクがマトリックス内の各セルに配分する。致命度ランクは,関連する故障モ
ードを扱うために適用することが望ましい処置のレベルに関係し得る。低いランクの故障モードの場合,
こうした処置は“行動なし”を含むことがある。図B.1に,定性的な致命度マトリックスの例を示す。
厳しさのレベル
故障の影響の発生度
破局的 重大 軽微 重要でない
頻繁に起こる X X 1 2
起こり得る X X 1 2
時々起こる X X 1 2
低い X 1 1 2
起こり得ない 1 2 2 3
図B.1−定性的致命度マトリックスの例
注記1 (図B.1で用いている)四つのレベルの致命度分類の例
カテゴリーX : “受容できない”

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カテゴリー1 : “望ましくない”
カテゴリー2 : “受容できる”
カテゴリー3 : “無視できる”
場合によっては,故障モードはある幅をもった異なる結果になることがある。そのような場合には,起
こりやすさを適用する結果を明確にするとよい。それによって,発生する可能性がある複数の結果の致命
度を考えることが役立つ場合がある。
図B.1の例のマトリックスにおいて,各致命度カテゴリーが表しているリスクは,マトリックスの右下
から左上へ増加している。ただし,各故障モードに対してとられる処置は,致命度分類(すなわち,各故
障コードの数値)だけで決まるもので,マトリックスのセルで決まるものではない。
注記2 “受容”のような用語が使用可能であるが,これは,更なる処置は望ましくないかもしれない
ということを意味してはいない。
図B.1はマトリックスの構造の例で,定義された形式ではない。実際の書式は,個々の適用例で異なる。
起こりやすさの帯域及び/又は結果の厳しさのカテゴリーの数が異なれば,マトリックスのサイズは図
B.1に示したものと異なるものとなる。同様に,結果−起こりやすさの組合せに関係する致命度が異なる
ことがある。
マトリックスを二次元に限る必要はなく,第三のパラメーター,又は理論的には,必要なだけ多くの他
のパラメーターを加えて拡張することが可能である。ただし,パラメーターのあらゆる組合せを評価する
必要があるため,有効で,扱い得る複数次元のグリッドを形成するために必要とされる複雑さ及び労力は
かなり大きく,費用対効果が低くなる可能性がある。
致命度マトリックスは,同様の重要性をもつ故障モードが同じ致命度の値をもち,それらが同じ処置を
受けることを確実にするために,校正することが望ましい。さらに,厳しさ又は起こりやすさのカテゴリ
ーが定量的又は半定量的評価に基づく場合には,致命度境界のそれぞれの側の数値をもつ故障モードに適
用されている,異なる処置の合否について考察することが望ましい。
B.3.3 致命度プロット
図B.2に,結果に対する起こりやすさの単純なプロットの例を,致命度ランクをプロット内の帯域に従
って割り当てて示す。この場合,起こりやすさ及び結果(厳しさ)は,連続した定量的尺度である。
例A 例B 例C
図B.2−致命度プロットの例

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JIS C 5750-4-3:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60812:2018(IDT)

JIS C 5750-4-3:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 5750-4-3:2021の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISZ8115:2019
ディペンダビリティ(総合信頼性)用語