JIS C 60079-1:2008 爆発性雰囲気で使用する電気機械器具―第1部:耐圧防爆構造“d” | ページ 11

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C 60079-1 : 2008 (IEC 60079-1 : 2003)
附属書E
(規定)
耐圧防爆構造“d”の容器内で使用するセル及び電池

序文

  この附属書は,耐圧防爆構造 “d” の容器内で使用するセル及び電池について規定する。
E.1 序言
この附属書には,回路に電力を供給するための電池として使用する一つ又は複数のセルを含む防爆構造
“d”の耐圧防爆構造の容器によって保護する電気機器についての要件が含まれる。
使用する電気化学的セルの形式にかかわりなく,可燃性電解ガス(通常は水素及び酸素)の混合ガスが,
耐圧防爆構造の容器内で発生することを防止することが,主な目的である。これを考慮した場合,通常の
使用時に(自然換気又は圧力バルブによって)電解ガスを放出しやすいセル及び電池は,耐圧防爆構造の
容器内で使用してはならない。
E.2 許容する電気化学的システム
セルのIEC規格に規定する表E.1及び表E.2に規定するセルだけを,使用する。
表E.1−許容する一次セル
IEC 60086-1 公称電圧 最大開路電圧
陽極 電解液 陰極
形式 V V
塩化アンモニウム
− 二酸化マンガン 亜鉛 1.5 1.73
塩化亜鉛
塩化アンモニウム
A 酸素 亜鉛 1.4 1.55
塩化亜鉛
C 二酸化マンガン 有機電解液 リチウム 3.0 3.7
塩化チオニル
E 非水成無機 リチウム 3.6 3.9
(SOCl22)
L 二酸化マンガン 水酸化アルカリ金属 亜鉛 1.5 1.65
酸化銀
S 水酸化アルカリ金属 亜鉛 1.55 1.63
(Ag2O)
酸化銀
T 水酸化アルカリ金属 亜鉛 1.55 1.87
(AgO,Ag2O)
a)
亜鉛酸 無水成有機塩 リチウム 3.0 3.0
a)
水銀 水酸化アルカリ金属 亜鉛 (データ待ち) (データ待ち)
注記 亜鉛/二酸化マンガンセルはIEC 60086-1に表示されているが,形式文字で分類されていない。
注a) セルのIEC規格にある場合だけ使用してよい。

――――― [JIS C 60079-1 pdf 51] ―――――

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C 60079-1 : 2008 (IEC 60079-1 : 2003)
表E.2−許容する二次セル
関連するIEC規格の 公称電圧 最大開路電圧
形式 電解液
形式 V V
形式K
IEC 61951-1 ニッケル・ 水酸化カリウム
1.2 1.55
IEC 60623 カドミウム (SGI.3)
IEC 60622
a)
リチウム 無水成有機塩 (データ待ち) (データ待ち)
IEC 61951-2 ニッケル水素 水酸化カリウム 1.2 1.5
注a) セルのIEC規格にある場合だけ使用してよい。
E.3 耐圧防爆構造の容器内のセル(又は電池)の一般要件
E.3.1 一部の形式のセルには,次の使用制限を適用する。
− 換気形又は開放形二次セルは,耐圧防爆構造の容器内で電池を形成するために使用してはならない。
− シール形制御弁付セルは,耐圧防爆構造の容器内で使用してよい。ただし,放電目的のためだけであ
る。
− E.5の要件を条件として,ガス封止形二次セルは耐圧防爆構造の容器内で再充電してもよい。
E.3.2 電池を内蔵する耐圧防爆構造の容器には,次の警告ラベルを張り付ける。
“警告−爆発性ガス雰囲気が存在するときは開いてはならない。”
電池及び関連する接続回路がJIS C 60079-11に適合し,かつ,電池が使用中に再充電されない場合(JIS
C 60079-11の7.4参照),警告ラベルの張付けは,適用しない。
E.3.3 電池及び関連安全措置は,確実に取り付ける(例えば,専用のクリップ又はブラケットで適切な場
所に保持する。)。
E.3.4 関連する防爆構造の要件への適合性を損なうような相対運動が,電池及び一つ又は複数の関連する
安全装置間に生じてはならない。
注記 JIS C 60079-0の23.4.3に規定する機械的試験の前後に,E.3.3及びE.3.4への適合性を確認する。
E.4 安全装置の配置
E.4.1 過熱温度及びセル損傷の防止
E.4.1.1 短絡放電条件において,電池は,次の条件の両方を満たすか,又はE.4.1.2に規定するように安
全装置を取り付ける。
− セル又は電池の外部表面温度は,容器内の局部的な周囲温度を考慮して,セル又は電池の製造業者が
指定する連続運転温度か,又は80 ℃のいずれか低い方を超えてはならない。
− 最大放電電流は,セル又は電池の製造業者が指定する電流を超えてはならない。
E.4.1.2 E.4.1.1の二つの条件が満たされない場合,安全装置がJIS C 60079-11に規定する確実なコンポー
ネントに関する要件に適合し,また,無理なく作動できるようにセル又は電池端子にできるだけ近いとこ
ろに設置するか,又は次のいずれかが必要である。
− 電流を,電池製造業者が指定する最大連続戻し電流に制限する抵抗器,又は限流器
− 溶断特性が,電池製造業者の指定する最大戻し電流及び許容帰還が超過することを防止するように選
択したJIS C 6575に適合するヒューズ。ヒューズが交換可能なタイプである場合,使用するヒューズ
のタイプを記載したラベルを,ヒューズホルダの近くに張り付けなければならない。

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C 60079-1 : 2008 (IEC 60079-1 : 2003)
E.4.2 セル極性の反転又は同一電池内の別のセルによる逆充電の防止
E.4.2.1 次の電池を用いる場合
− 1.5 Ah以下の容量(1時間の放電率で),及び
− 容器の空間体積の1 %未満の体積
極性反転による電解ガスの放出又は同一電池内の他のセルによるセルの逆充電を防止するための追加的
な保護は必要ない。
注記 これらの緩和事項は,セルからの電解ガスの放出を認めるものではない。
E.4.2.2 上記の値を超える容量及び/又は体積をもつ電池を用いる場合,セルの極性反転又は電池内の別
のセルによるセルの逆充電を防止するための装置を組み込まなければならない。
これがどのように達成できるかの例を,次に示す。
− 一つ又は複数のセルの電圧を監視し,電圧がセルの製造業者が指定する最小電圧以下まで低下する場
合は,電源を遮断する。
注記1 このような保護は,しばしば,セルが“過放電”状態になることを防止するために用いる。
直列で接続した余りにも多くのセルを監視する場合は,それぞれのセルの電圧及び保護回路
における許容誤差によって,保護が十分に機能しない場合がある。一般に,6個を超える(直
列の)セルは,一つの保護ユニットでは監視しないことが望ましい。
− 分岐ダイオードを用いて,各セルの逆極性電圧を制限するように接続する。例えば,直列に接続した
3個のセルの電池に対する保護配列を,図E.1に示す。
図E.1−直列の3個のセルに対するダイオード配列の取付け
この保護配列が有効であるためには,セルの逆充電を防止するために用いる各ダイオードの順電圧降下
は,そのセルの安全な逆充電電圧を超えてはならない。
注記2 シリコンダイオードは,この要件を満たす適切なものであるとみなす。
E.4.3 容器内の他の電圧源による電池の不注意な充電の防止
同一の容器内に別の電圧源(他の電池を含む。)がある場合,電池及びその関連の回路は,特に意図(設
計)した回路以外からの充電に対し保護しなければならない。例えば,
− 汚染を引き起こす可能性のある最高電圧に対しては,JIS C 60079-7の表1に規定する空間距離及び沿
面距離を用いて,容器内の他のすべての電圧源から,電池及び関連の回路を切り離す。又は
− 容器内の電圧源を通電することができる接地金属バリア/スクリーンによって,又は,故障電流が存
在しそうな期間(例えば,ヒューズ,地絡保護など取り付けられた保護回路を考慮して)電圧源の最
大故障電流源を通電することができる接地金属バリア/スクリーンによって,若しくは,例えば,ヒ
ューズ,地絡保護など取り付けられた保護回路を考慮することによって,電池及び関連回路を容器内
の他のすべての電圧源から切り離す。又は
− JIS C 60079-7の表1に規定する空間距離及び沿面距離を用いて,電池だけを他の電圧源から切り離し,

――――― [JIS C 60079-1 pdf 53] ―――――

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C 60079-1 : 2008 (IEC 60079-1 : 2003)
両ダイオードを短絡させる単一故障のリスクを低減するために次の図E.2に示すように,遮断ダイオ
ードを配列する。
図E.2−E.4.3(例3)を満たすためのブロッキングダイオードの取付け
E.4.3の例における要件は,電圧基準点を設けるための電池又はE.5による二次電池を再充電するように
意図した電源に接続される回路には適用しない。
E.5 耐圧防爆構造の容器内の二次セルの再充電
E.5.1 耐圧防爆構造の容器内では,表E.2に示す形式 “K” のガス封止形ニッケル−カドミウムセルだけ
を再充電する。ニッケル水素−金属セルは,セルのIEC規格がある場合にだけ,再充電してよい。
E.5.2 耐圧防爆構造の容器内でセル又は電池を充電しなければならない場合,充電条件は製造業者が文書
に明記しなければならず,また,これらの条件を満たすことを確実にするために,安全装置を取り付けな
ければならない。
E.5.3 充電装置は,逆充電を防止するものでなければならない。
E.5.4 次の電池を用いる場合,
− 1.5 Ah以下の容量,及び
− 容器の空間の1 %未満の体積
再充電電流による電解ガスの放出を防止するための追加的な安全装置を,電池に取り付ける必要はない。
注記1 これらの緩和事項は,セルからの電解ガスの放出を認めるものではない。
注記2 例えば,プログラム可能な電子回路のメモリに記憶させておくために耐圧防爆構造の容器内
で使用する,通常“ボタン式セル”として知られる形式のセルのような安全装置を取り付け
ていないセル(又は電池)の使用は制限している。
E.5.5 上記の値を超える容量及び/又は体積をもつ電池を用いる場合は,電池内のセルの電圧がセルの製
造業者が指定する最大電圧を超える場合には,充電電流を遮断し電解ガスの発生及び(起こり得る)放出
を防止するための安全装置を電池が装備している場合にだけ,耐圧防爆構造の容器内で再充電してもよい。
E.6 保護ダイオードの定格及び保護装置の信頼性
E.6.1 E.4.2に適合するために取り付ける保護ダイオードの電圧定格は,電池の最大開路電圧値以上でな
ければならない。
E.6.2 E.4.3(例3)に適合するために取り付ける直列遮断ダイオードの電圧定格は,耐圧防爆構造の容器
内の最大ピーク電圧値以上でなければならない。
E.6.3 保護ダイオードの電流定格は,E.4.1の装置によって制限する最大放電電流値以上でなければなら
ない。
E.6.4 この規格によって要求する安全装置は,制御システムの安全関連部品を形成する。制御システムの
安全度が,この規格が要求する安全レベルに一致することを評価することは,製造業者の責任である。
注記 JIS C 0508の安全度のレベル (SIL) 1の要件に適合する安全関連部品は,上記を満足するもの
とみなす。

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C 60079-1 : 2008 (IEC 60079-1 : 2003)
参考文献
JIS C 0508(すべての部) 電気・電子・プログラマブル電子安全関連系の機能安全
注記 対応国際規格 : IEC 61508 (all parts),Functional safety of electrical/electronic/programmable
electronic safety-related systems (IDT)
JIS Z 8202-0 : 2000 量及び単位−第0部 : 一般原則
注記 対応国際規格 : ISO 31-0 : 1992,Quantities and units−Part 0 : General principles (IDT)
JIS Z 8401 数値の丸め方

JIS C 60079-1:2008の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60079-1:2003(IDT)

JIS C 60079-1:2008の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 60079-1:2008の関連規格と引用規格一覧