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C 61000-6-7 : 2020 (IEC 61000-6-7 : 2014)
注記2 この規格の適用範囲内で,全ての試験レベルで正常に動作する装置は,それが故障したときに
何が起こるかについて何も示していない。このことから,一連の固定されたイミュニティ試験
では,安全関連システムが,その耐用年数にわたって存在し得る電磁妨害にさらされたときに,
受容可能なレベルの機能安全を達成することを実証することは,おそらく不可能である。実際
的な量の試験だけでは,この規格の適用範囲内の装置が安全であることを実証するのは困難で
ある。ただし,この規格の適用範囲内の装置が,試験中に定義された安全状態にならない場合
でも,信頼性を高めることが可能である。この信頼性は,依然として,試験と運転との間に存
在する様々な環境差の可能性によって制限される。
4.3 安全アプリケーションを意図した機能のアベイラビリティに関する計画
この規格は,適用範囲で対象とした装置に対する機能安全の要求事項について規定している。この規格
の要求事項は,安全アプリケーションを意図した機能以外の機能は,対象としていない。
注記 E/E/PE安全関連システム設計の機能安全を達成するための設計プロセス及び必要な設計の特徴
は,JIS C 0508規格群で規定している。これには,電磁妨害に対する,システムの許容範囲を決
定する設計の特徴の要求事項(JIS C 0508-2参照)を含んでいる。EMC設計については,IEC 61000-
1-2:2016の附属書Bに,より詳細な指針が示されている。電磁現象に関するE/E/PEシステム(装
置を含む。)の機能安全を達成するための手法は,IEC 61000-1-2:2016に示されている。
この規格の要求事項は,IEC 61000-1-2の安全ライフサイクル要求事項に従って適用する。IEC 61000-1-
2で規定しているように,電磁現象の検討は,JIS C 0508規格群で規定する,全てではないが幾つかの安
全ライフサイクルの段階に影響を与える。この規格の適用範囲の装置に対する,IEC 61000-1-2:2016の箇
条6の最低要求事項は,この規格のイミュニティ要求事項に適合することによって満足する。全体の安全
ライフサイクルの設計段階及び実装段階(IEC 61000-1-2:2016の箇条7参照)並びに適合確認段階及び妥
当性確認段階(IEC 61000-1-2:2016の箇条8参照)には,電磁現象の検討を含む。IEC 61000-1-2の関連す
る要求事項を満足した場合にだけ,その装置が電磁現象に関して体系立てられた能力をもつことを明示す
ることが可能である。
ほとんどのEMCの製品規格·製品群規格·共通規格では,通常のEMCの試験及び要求事項だけを規定
し,電磁現象に関連する機能安全は規定されていない。EMCの製品規格·製品群規格·共通規格で規定す
るイミュニティ要求事項は,安全関連システム以外で用いる装置について,検討された適切な技術及び経
済性を基に選択されている。ただし,これらは,安全関連システムには,適していない場合がある。
5 性能判定基準
5.1 機能安全アプリケーションのための性能判定基準
性能判定基準は,EUTが電磁現象にさらされた場合,その反応を記載し評価するために用いる。この規
格の適用範囲の装置に関する安全アプリケーションは,特に“性能判定基準DS”を適用する。性能判定基
準DSは,次による。
a) 安全アプリケーションでの使用を意図するEUTの機能は,次のいずれかとする。
1) 仕様の範囲外でも,影響を受けない。
2) 検知可能で,EUTの定義した状態が,妨害に対して次のいずれかでEUTが反応する場合には,一
時的に又は永続的に影響を受けてもよい。
2.1) 定義した状態を維持する。
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2.2) 定義した状態を所定時間内に達成する。
b) 安全アプリケーションの使用を意図しない機能は,一時的又は永続的に妨害を受けてもよい。
注記1 定義した状態が通常の動作範囲外になる場合がある。
注記2 共通規格で規定する一般的な性能判定基準A,B及びC,並びに製品規格又は製品群規格で規
定する,より詳細な性能判定基準は,機能安全アプリケーションのために規定されたものでは
ない。ただし,性能判定基準Aは,機能安全アプリケーションにも適用することが可能である。
注記3 “性能判定基準DS”の代わりに“性能判定基準FS”を用いるEMC及び機能安全の他の規格又
は文書があるが,定義が異なる場合がある。
規定する検知可能で定義された状態は,特定の設計の結果であることを理解することが重要である。そ
のような定義された状態は,イミュニティ試験を実施する前に規定する。試験中のEUTの挙動を観察し,
故障状態を観察し,その後,それをEUTの機能に対する定義された状態と解釈するのは十分ではない。
5.2 性能判定基準DSの適用
この性能判定基準DSは,機能安全アプリケーションを意図するEUTの機能だけに適用される。全ての
電磁現象が考慮されなければならない。連続現象と過渡現象との区別は,不要である。
機能安全アプリケーションを意図する機能又はその一部の機能を実行する,又は実行することを意図し
た,この規格の範囲内の装置は,指定された動作をしなければならない。機能安全アプリケーションにお
ける指定された動作とは,安全状態を達成又は維持することである。これを達成するためには,検討され
た全ての条件下における装置の挙動が理解されていなければならない。
注記1 安全関連システムの安全要求仕様において,妨害がないときの機能,及び障害又は故障が発生
したときに要求される挙動の両方は,安全関連システムの設計者によって指定される。安全要
求仕様は,場合によっては,時間的制約も指定する。要求される機能的挙動及び関連する時間
的制約は,機能安全をカバーしないEMCイミュニティ規格で規定する一般的な性能判定基準
A,B又はCとは異なる可能性がある。
注記2 4.2を参照。
装置が機能安全アプリケーション及び安全に関わらないアプリケーションの両方を実行する場合,機能
安全要求は機能安全アプリケーションにだけ適用される。
6 試験計画書
6.1 一般事項
試験を実施する前に,少なくとも6.26.5に規定する項目を含む,試験計画書を作成しなければならな
い。
装置の電気的特性及び使用方法の考慮から,幾つかの試験は適切ではなく不必要であると決めてもよい。
この場合,試験を行わないという決定及びその説明を,試験計画書に記録する。
注記 4.2を参照。
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6.2 試験中におけるEUTの構成
6.2.1 一般事項
安全関連システムには,決められた構成というものがないのが普通である。サブアセンブリのタイプ,
数量及び据付方法は,システムごとに異なってよい。
EUTの配置は,現実の条件を模擬するために製造業者が指定した標準的な据付方法に従わなければなら
ない。EMC試験は,製造業者が指定する通常運転条件で形式試験として実施する。
例えば,IEC 61784-3規格群に規定する安全通信の場合は,規定するテストベッド及び動作条件を観察
することが強く推奨されている。
6.2.2 EUTの構成
EUTを構成するものであり,EMCに影響を与え得る,全てのデバイス,ラック,モジュール,ボードな
どを記録する。
6.2.3 EUTの組合せ
EUTの内部及び外部の構成が様々な場合は,形式試験は,製造業者が想定する最も影響を受けやすい構
成で試験する。全ての種類のモジュールは,1回以上の試験を行う。これらの選択理由を,試験計画書に
記載する。最も影響を受けやすい装置構成を構築するときには,装置の要素間のあらゆる電磁的な相互作
用の可能性を考慮する。
6.2.4 I/Oポート
複数のI/Oポートがあり,全てが同一種類かつ同一機能の場合,他のケーブルを接続することによって
試験結果が大きく影響されないことを示せば,その一つのポートにケーブルを接続するだけでよい。I/Oポ
ートの選択理由は,試験計画書に記載する。
6.2.5 補助装置(AE)
実際の動作状態を模擬するために,EUTとともに種々のAEを使用する場合には,それぞれの種類に対
して一つ以上のAEを選択する。AEとして,シミュレータを用いてもよい。
6.2.6 ケーブル配線及び接地(グラウンド)
ケーブル及び接地(グラウンド)は,製造業者の仕様に従ってEUTに接続する。追加の接地接続をして
はならない。
6.3 試験中のEUTの動作条件
6.3.1 モード
安全関連アプリケーションでの使用を意図する全ての動作モードを試験することが現実的でない場合,
最も重要で,かつ,最も電磁外乱の影響を受けやすいと考える動作モードを試験の対象として選択する。
試験計画書には,試験した動作モードの選択基準及び試験はしなかったが,機能安全関連アプリケーシ
ョンでの使用を意図した動作モードの記載を含める。
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例えば,IEC 61784-3規格群に規定する安全通信の場合は,規定するテストベッド及び動作条件を観察
することが強く推奨されている。
6.3.2 環境条件
試験は,製造業者が指定する環境(例えば,周囲温度,湿度,大気圧など)動作範囲内,並びに電源電
圧及び電源周波数の定格範囲内で行う。指定する動作環境外で追加試験をしてもよい。試験の前に,EUT
の経年劣化を考慮することが望ましい。
6.3.3 試験中のEUTのアプリケーションソフトウェア
アプリケーションソフトウェアは,そのモードで最大数同時に起こり得る,EUTの機能又は任意選択を
十分模擬するため,一つ以上の通常動作モードを選択する。異なる動作モードを模擬するのに用いたソフ
トウェアは文書化する。このソフトウェアは,例えば,安全入出力データ交換及びEUTの設定(パラメー
タを含む)のような意図した用途に対して最悪であると見積もった動作モードを確立する。IEC 61784規
格群の安全関連通信プロファイルを用いる安全装置は,IEC 61784-3の一般要求事項及び関連するプロフ
ァイルのEMC関連の試験要求を遵守する。
6.4 機能性能の仕様
各ポート及び試験の機能性能特性は,可能な限り定量的に指定する。
6.5 試験説明
適用するそれぞれの試験は,試験計画書で指定する。試験項目,試験方法,試験の特性及び試験セット
アップは,表1表6に引用している基本規格に規定している。規格の内容は,試験計画書に転記する必
要はない。ただし,この規格では,試験の遂行に実際に必要な追加情報を示す。
6.6 試験性能
6.6.1 一般事項
機能安全に関するイミュニティ試験は,通常のイミュニティ試験に加えて行う。これは,両方のイミュ
ニティ試験で使用される動作モード,試験レベル及び性能基準が異なるためである。ただし,同一の通常
のイミュニティ試験及び機能安全イミュニティ試験を,組み合わせることは可能である。
装置又はシステムの安全関連機能のイミュニティ試験の場合,性能判定基準DSが適用される。この場
合,EUTが性能判定基準DSを満たす限り,電磁妨害の影響を受けてもよい。その影響の結果として,様々
な側面を考慮しなければならない。
注記 ここで使われている“通常のイミュニティ試験”とは,機能安全に関わらないイミュニティ試験
のことである。
6.6.2 DSの適用時に考慮すべき側面
性能判定基準DSは,EUTが意図したとおりに動作しているか,又は定義された状態(詳細は5.1を参
照)になるかのいずれかを意味する。EUTが規定どおりに動作し続ける場合,試験は合格とする。EUTが
定義されていない状態になると,試験は不合格とする。
EUTが妨害によって定義した状態になったとしても,偶然の結果ではなく,この動作に再現性があるこ
とを検証する。再現性を検証するために,性能判定基準DSを適用する場合には,表1に規定したルール
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を用いる。
表1−試験結果の再現性の検証ルール
試験 試験中のEUTの反応 試験を継続する方法
過渡的a) UTは定義した状態になり,動作 EUTを通常動作に戻し,再試験を同じ試験レベル及び極性で3回
の継続には使用者の介在が必要で繰り返す。EUTは4回とも性能判定基準DSに適合した反応でな
ある。 ければならない。この場合には,基本規格に従って次の試験レベ
ル又は次の極性の試験を継続する。
EUTは定義した状態になり,破損 EUTを交換又は修理し,再試験を同じ試験レベル及び極性で3回
する。 繰り返す。EUTは4回とも性能判定基準DSに適合した反応でな
ければならない。この場合には,基本規格に従って次の試験レベ
ル又は次の極性の試験を継続する。
連続的b) UTは特定の試験周波数で定義し EUTが反応した特定の周波数で3回試験し,EUTは4回とも性
た状態になる。 能判定基準DSに適合した反応でなければならない。
EUTの反応が毎回同じ場合,特定外の試験周波数では再試験は行
わなくてもよい。
注a) IS C 61000-4-2,JIS C 61000-4-4,JIS C 61000-4-5,JIS C 61000-4-11,JIS C 61000-4-34及びIEC 61000-4-
29による試験
注b) IS C 61000-4-3,JIS C 61000-4-6。JIS C 61000-4-8及びJIS C 61000-4-16による試験
7 イミュニティ要求事項
箇条1に記載のとおり,この規格は,その中で定義された機器及びシステムに加え,適合すべき専用の
製品又は製品群の規格がない場合にも適用する。専用の規格があっても厳しさレベルの緩和について正当
な理由がない場合は,この規格を適用する。
電磁環境が測定又は経験のいずれかによって(かつ,理論的根拠が示されて)既知の場合,それに応じ
て電磁現象及び厳しさレベルが選択される。電磁環境が未知の場合は,この規格を使用する。これは,測
定が実行されていない場合,又は製品の供給者が設置場所を知らずに製品が設計された最大の電磁環境を
指定している場合に相当する。
表2表6に,この規格の適用範囲内の機器に適用する機能安全イミュニティ試験の要求事項を示す。
関連する通常の各EMC規格(製品規格·製品群規格·共通規格)の要求事項は,この規格と組み合わせて
適用しなければならない。
表2表6に規定する電磁現象には,統計的な方法においてだけ,装置の動作状態に関連する場合があ
る(例えば,デジタル回路又はデジタル信号伝送の瞬時の状態におけるインパルスの瞬間など)。電磁妨害
に対するイミュニティに関して,より高いSILを意図する安全関連のシステム及び装置に対する信頼の水
準を高めるためには,対応する基本EMC規格の試験性能要求事項と比較して,より多くのノイズ源を含
む電磁現象に対するイミュニティ試験を実施する必要がある(表2表6の注を参照)。
表2表6の試験には,試験装置及びセットアップに関して制約を受ける場合がある。対応する基本規
格の要求事項から逸脱する場合は,関連する動作モードを考慮して,試験報告書に完全な記載及び技術的
な理由付けが必要である。
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JIS C 61000-6-7:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61000-6-7:2014(IDT)
JIS C 61000-6-7:2020の国際規格 ICS 分類一覧
- 33 : 電気通信工学.オーディオ及びビデオ工学 > 33.100 : 電磁両立性(EMC) > 33.100.20 : イミュニティ
JIS C 61000-6-7:2020の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC60050-161:1997
- EMCに関するIEV用語
- JISC61000-4-11:2008
- 電磁両立性―第4-11部:試験及び測定技術―電圧ディップ,短時間停電及び電圧変動に対するイミュニティ試験
- JISC61000-4-16:2017
- 電磁両立性―第4-16部:試験及び測定技術―直流から150kHzまでの伝導コモンモード妨害に対するイミュニティ試験
- JISC61000-4-2:2012
- 電磁両立性―第4-2部:試験及び測定技術―静電気放電イミュニティ試験
- JISC61000-4-3:2012
- 電磁両立性―第4-3部:試験及び測定技術―放射無線周波電磁界イミュニティ試験
- JISC61000-4-34:2017
- 電磁両立性―第4-34部:試験及び測定技術―1相当たりの入力電流が16Aを超える電気機器の電圧ディップ,短時間停電及び電圧変動に対するイミュニティ試験
- JISC61000-4-4:2015
- 電磁両立性―第4-4部:試験及び測定技術―電気的ファストトランジェント/バーストイミュニティ試験
- JISC61000-4-5:2018
- 電磁両立性―第4-5部:試験及び測定技術―サージイミュニティ試験
- JISC61000-4-6:2017
- 電磁両立性―第4-6部:試験及び測定技術―無線周波電磁界によって誘導する伝導妨害に対するイミュニティ
- JISC61000-4-8:2016
- 電磁両立性―第4-8部:試験及び測定技術―電源周波数磁界イミュニティ試験