JIS C 6122-10-5:2016 光増幅器―測定方法―第10-5部:マルチチャネルパラメータ―分布ラマン増幅器の利得及び雑音指数 | ページ 2

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C 6122-10-5 : 2016 (IEC 61290-10-5 : 2014)

4 DRA利得及び雑音指数パラメータ-概要

    注記 この箇条以降において,数式及び定義の単位は特に指定がない限り,真数値であって,dB値で
はない。
図1にDRAの前方励起構成及び後方励起構成を示す。一般的に,後方励起構成は前方励起に比べ広く
用いられている。
いかなる増幅器においても,チャネル利得は主要なパラメータの一つである(JIS C 6121及びJIS C
6123-4を参照)。ただし,チャネル利得が単なる入力端と出力端とのチャネルパワーの比で定義する集中
増幅器と異なり,DRAの状況は複雑である。
通常,DRAは励起パワーを供給する励起モジュール及び実際に増幅が行われる光ファイバ中継区間を含
む。したがって,励起光源が使用可能である場合,チャネル利得を定義する一つの選択肢として,図1の
点Cと点Aとのチャネルパワーの比と定義する。ただし,この定義は,時々ラマン励起光源によって供給
する利得より大きい光ファイバ中継区間損失を含むため,この定義はあまり有用ではない。
より有用なパラメータは,ラマン励起光源がオンとオフとの光ファイバ中継区間の出力端でのチャネル
パワーの比で定義するチャネルオンオフ利得であり,式(1)による(図1のグラフ参照)。
Pon
Gon off (1)
Poff
チャネルオンオフ利得は,実際には前方励起構成での点C,並びに後方励起構成での点B及び点Cの光
ファイバ中継区間のいずれかの位置で測定する。
DRAに関するもう一つの重要なパラメータは,励起モジュールの入力端と出力端とのチャネルパワーの
比で定義する励起モジュールチャネル挿入損失であり,式(2)による(前方励起構成の点Aと点Bとの比,
後方励起構成の点Bと点Cとの比である。)。
Ppump unit input
IL (2)
Ppump unit output
励起モジュールの内部では,増幅を行わないため,これは単なる受動部品の挿入損失であって,励起光
源の状態(オン又はオフ)に影響されない。
チャネルオンオフ利得及び励起モジュールチャネル挿入損失は,チャネルネット利得という一つのパラ
メータとしてデシベル単位で,式(3)によって定義する。
Gnet dB Gon off dBIL dB (3)
チャネルネット利得は,励起光源がオフ時の点Bでのチャネルパワーに対する,励起光源がオンの時の
点Cでのチャネルパワーの比を線形単位で直接測定するため,特に後方励起構成で有効である。励起モジ
ュールは,ラマン利得波形を補償するための利得平たん化フィルタ(GFF)を含む場合,チャネルオンオ
フ利得がGFFの効果を含まないのと対照的に,チャネルネット利得はGFFの効果を含む(例えば,チャ
ネルオンオフ利得は,チャネル波長依存性が平たんではない。)。
前方励起構成の場合,チャネルネット利得は物理的な意味合いが低く,チャネルオンオフ利得と励起モ
ジュールチャネル挿入損失とを個別に定義することがより一般的である。
DRAに関するもう一つの重要なパラメータは,信号−自然放出ビート雑音によるチャネル等価雑音指数
(NF)である。このパラメータは,後方励起構成にだけ関係する。DRAのチャネル等価NFは,DRAの
オンオフ利得及び同じチャネル利得を提供し,光ファイバ中継区間の出力端に配置したDRAによって発
生する場合と同じ量の増幅した自然放出光(ASE)を発生する,光ファイバ中継区間の出力に配置する集
中増幅器のNFと同義に定義する。信号−自然放出ビート雑音によるデシベル単位のチャネル等価NFは,

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式(4)による(JIS C 6122-3参照)。
ASE, B
NFsigASE,eq10 log10 (4)
Gon hν
off
ここに, ρASE,B : 光ファイバ中継区間の出力端で測定されたチャネル波長λ
でのASEスペクトル密度(両方の偏波モード)
ν : チャネル周波数,ν=c/λ
h : プランク定数
チャネルオンオフ利得とチャネルネット利得との関係性を用いて,チャネル等価NFは,式(5)のように
表すことができる。
ASE,C
NFsig
ASE,eq10 log10 (5)
Gnethν
ここに, ρASE,C : 点Cでの測定値
前方励起構成 後方励起構成
注記 グラフは光ファイバ中継区間に沿った励起光及び信号光のパワー推移を示す。
図1−分布ラマン増幅器の前方励起構成(左)及び後方励起構成(右)
DRA利得及びNFを測定する場合,次の点を考慮するのがよい。
a) 次のいずれかを考慮する測定の目的。この詳細は,附属書Aに記載する。
1) 実使用条件下での特定の光ファイバ中継区間におけるDRA性能を測定する。
2) 研究室などにおいて一般的な光ファイバの種類に関するDRA性能を評価する。
b) 入力信号光のチャネル構成が励起光減衰及び/又は信号間のラマン散乱に影響するか否か。この詳細
は,附属書Bに記載する。

5 測定系

5.1 概要

  図2図4は,前方励起及び後方励起構成における,DRAパラメータ測定のための装置構成を示す。測
定系を構成する様々な構成要素は(校正に用いる他の構成要素と同様に),5.25.8に記載する。

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図2−励起光を含まない測定構成
図3−後方励起における測定構成
図4−前方励起における測定構成

5.2 マルチチャネル信号光源

  図5にマルチチャネル信号光源として現実的な構成を示す。この光源は,n個の光源から成り,nは試験
構成のチャネル数に相当する。それぞれの光源がもつ出力スペクトルの半値全幅(FWHM)は,隣接する
チャネルに対してクロストークを発生しないために,0.1 nm*よりも狭くする。単一の発光線をもつサイド
モード抑圧比は,35 dB*よりも更に高くする。出力パワーの変動は,0.05 dB*未満とする。この出力安定
度は,それぞれの光源の出力端子にアイソレータを取り付ければ容易に得られる値である。波長確度は絶
対値で0.1 nm*よりも小さく,波長安定度は最大最小差で0.02 nm*よりも小さいものとする。1 nmのスペ
クトル幅に含む自然放出光のパワーは,光源の出力パワーに対して40 dB以上は低いものとする。
注記1 波長確度は,対応国際規格では±0.1 nm*よりも小さいと規定されているが同じ意味である。
注記2 波長安定度は,対応国際規格では±0.01 nm*よりも小さいと規定されているが同じ意味であ
る。
光合波器は,全ての光源を1本の光ファイバに多重化するために用いる。光合波器の偏波依存損失は,
0.5 dBより小さく,波長依存損失が1 dB*よりも小さくなければならない。このデバイスのそれぞれの端

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子がもつ反射率は,−50 dB*よりも小さいこととする。
図5−現実的なマルチチャネル信号光源の構成例
マルチチャネル信号光源は,各チャネルの出力を求めるパワー分布とするために,個々のレーザ出力を
制御する機能を備えていなければならない。これは,各光源を直接制御するか,又は各光源の出力に可変
光減衰器(VOA)を配置することで実現できる。また,マルチチャネル信号光源は同時に全ての光源の出
力を制御する機能を備えたほうがよく,例えば,図5の可変光減衰器(VOA)を用いることが望ましい。
仮に一つ又はそれ以上のVOAを用いる場合,その減衰量可変範囲及び安定性は,各々40 dB*より高く,
最大最小差で0.1 dB*よりも小さいものとする。VOAの反射率は,各々の端子において−50 dB*よりも小
さいこととする。VOAを光合波器の出力側に配置した場合,減衰値の全範囲における波長平たん性は,0.5
dB*未満とする。

5.3 偏波制御器

  偏波制御器は,信号光のあらゆる偏波状態も,いかなる他の偏波状態に変更することができるものとす
る。偏波制御器は,全光ファイバ偏波制御器,又は180°以上回転可能な二分の一波長板及びそれに続く
90°以上回転可能な四分の一波長板で構成するものとする。このデバイスの各々の端子の反射率は,−50
dB*より小さいものとする。このデバイスの挿入損失の変動は,0.5 dB*未満とする。偏波制御器の使用は
任意とするが,DRAが顕著な偏波依存利得を示す場合,要求精度を達成するために必要となる可能性があ
る。

5.4 光スペクトラムアナライザ

  光スペクトラムアナライザ(OSA)は,偏波依存性が0.1 dB*未満,安定度は最大最小差で0.1 dB*より
小さく,波長確度は絶対値で0.05 nm*より小さいものとする。測定装置のダイナミックレンジ内における
直線性は,0.2 dB*より小さいものとする。入力端子における反射率は,−50 dB*よりも小さいものとする。
チャネルとチャネルとの間に存在する雑音を測定するために,OSAは十分なダイナミックレンジをもつと
ともに,十分狭い波長分解能帯域幅(RBW)をもつものとする。チャネル間隔が100 GHz(波長1 550 nm
の場合,約0.8 nm)の場合,ダイナミックレンジは,信号から50 GHz(波長1 550 nmの場合,約0.4 nm)
離れて55 dB以上が必要となる場合がある。

5.5 光パワーメータ

  OSAの校正に必要となる光パワーメータの測定確度は,偏波状態にかかわらずDRAの運用波長帯域幅
におけるパワー範囲が−40 dBm+20 dBm*の範囲で,0.2 dB*より小さいものとする。

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5.6 狭線幅波長可変光源

  OSAの校正に必要となる狭線幅波長可変光源は,DRAの運用波長帯域幅(例えば,1 530 nm1 565 nm)
において波長可変出力を得るものとする。狭帯域光源の出力スペクトルの半値全幅(FWHM)は,0.1 nm*
よりも狭いものとする。波長確度は絶対値で0.1 nmより小さく,波長安定度は最大最小差で0.02 nmより
小さいものとする。出力パワー変動は,0.1 dB未満とする。出力パワーは,測定帯域幅(一般的には10 nm)
の範囲内で波長を変更する間,0.1 dB以内の安定性を保つものとする。
注記1 波長確度は,対応国際規格では±0.1 nmよりも小さいと規定されているが同じ意味である。
注記2 波長安定度は,対応国際規格では±0.01 nmよりも小さいと規定されているが同じ意味であ
る。

5.7 広帯域光源

  OSAの校正に必要となる広帯域光源は,DRAの運用波長帯域幅(例えば,1 530 nm1 565 nm)に広帯
域な光パワーを供給するものとする。出力スペクトルは,測定帯域幅(一般的には10 nm)の範囲におい
て,0.1 dB*未満の平たん性をもつものとする。出力パワー変動は,0.1 dB*未満とする。
例えば,信号光を入力していない光ファイバ増幅器のASE出力は,広帯域光源として利用可能である。

5.8 光コネクタ及び光ファイバコード

  図2図4において,様々な構成要素を接続するために用いる可能性のある光コネクタ及び光ファイバ
コードは,接続損失の再現性が0.1 dB*よりも小さいものとする。光コネクタの反射率は,−50 dB*よりも
小さいものが望まれる。光ファイバコードの長さは短く(2 m以下),偏波状態の変動を最小にするために,
測定を行っている間は,動かしたり変形させたりしないことが望まれる。

6 試料

  評価に提供するDRAは,励起モジュール及び測定対象となる光ファイバ中継区間の両方から成り,公
称値の運用条件において評価するものとする。測定を行っている間は,入射光の偏波状態を維持するよう
に注意を払うものとする。入射光の偏波状態の変動は,使用している全ての光学系構成要素がもつ僅かの
偏波依存性のために,入力光強度の変化が生じ,測定誤差を生じる可能性がある。
ラマン励起に使用する一般的な高い光パワーのために,レーザ安全性を確保するための手順は,JIS C
6802に規定する方法で履行するのがよい。さらに,付加的な注意として,コネクタを清浄に保つこと,及
び光ファイバの曲げを回避することに注意を払うのがよい(TR C 0047参照)。
励起モジュールと測定対象となる光ファイバ中継区間との間の接続損失は,測定結果に影響しないよう
に,極力最低(0.2 dB未満)にすることが望ましい。

7 手順

7.1 概要

7.1.1  チャネルオンオフ利得
チャネルオンオフ利得を測定するために,次のパラメータを測定する。
a) 励起モジュールがoff(例えば,ラマン励起パワーを発生しない)の状態における各チャネルの信号パ
ワーを,後方励起構成である図3又は前方励起構成である図4を用いて測定する。
b) 励起モジュールがon(例えば,ラマン励起パワーが発生する)の状態における各チャネルの信号パワ
ーを,後方励起構成である図3又は前方励起構成である図4を用いて測定する。
7.1.2 励起モジュールチャネル挿入損失及びチャネルネット利得

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