JIS C 62610-5:2021 電気及び電子装置用の機械的構造―屋内キャビネットの熱管理―第5部:屋内キャビネットの冷却性能 | ページ 2

           4
C 62610-5 : 2021 (IEC 62610-5 : 2016)
3.15
拡張温度レベル(extended temperature rise)
外気温度に対する温度上昇が20 Kであるキャビネット
注釈1 このレベルは,耐熱性の高い部品をもつサブラック装置及び/又はシャシー装置が実装された
キャビネットに適用される。キャビネットは,通常は空調制御される低温外気環境に設置され
る。

4 キャビネット冷却方式の分類

  キャビネット冷却性能を概算するために,次の基準によってキャビネットのタイプを分類する。
a) キャビネットが,密閉[図1 a),図1 b)],又は換気[図2 a),図2 b),図3]の場合
b) キャビネットが,送風機なし[図1 a),図2 a)],又は送風機あり[図1 b),図2 b),図3]の場合
c) キャビネットの上部カバー又は背面カバーに送風機をもつ場合(図3)
a) 密閉キャビネット−送風機なし−自然空冷 b) 密閉キャビネット−送風機あり−自然空冷
記号説明
ΔT : キャビネット内部空気の温度上昇
図1−自然空冷キャビネットの冷却条件

――――― [JIS C 62610-5 pdf 6] ―――――

                                                                                             5
C 62610-5 : 2021 (IEC 62610-5 : 2016)
a) 換気キャビネット−送風機なし−自然換気 b) 換気キャビネット−送風機付きサブラック
(再循環)−自然換気
記号説明
ΔT : キャビネット内部空気の温度上昇
図2−自然換気キャビネットの冷却条件
換気キャビネット−送風機付きキャビネット(強制換気),送風機付きサブラック装置及び/又はシャシー装置
記号説明
ΔT : キャビネット内部空気の温度上昇
図3−強制空冷キャビネットの冷却条件

――――― [JIS C 62610-5 pdf 7] ―――――

           6
C 62610-5 : 2021 (IEC 62610-5 : 2016)

5 キャビネット冷却性能

5.1 概要

  この箇条では,屋内キャビネットの冷却方法を分類し,各キャビネットの冷却性能の計算方法を示して
いる。

5.2 屋内キャビネットの冷却方法

5.2.1 冷却方法の分類
冷却方法の分類は,次の表1による。
表1−冷却方法の分類
タイプ 定義 密閉 送風機 換気 参考図 冷却方法及び冷却性能の計算式
A 3.7参照 密閉 なし なし 図1 a) 自然空冷
B 3.8参照 あり 図1 b) 5.3参照
C 3.9参照 換気 なし 自然 図2 a) 自然換気
D 3.11参照 あり 図2 b) 5.4参照
E 3.12参照 強制 図3 強制空冷
5.5参照
5.2.2 冷却性能
この規格で用いる基本冷却計算式を次に示す。
Q=QS+QV
ここで, Q : 屋内キャビネットの冷却性能
QS : キャビネット表面からの放熱量
QV : 換気による放熱量
5.2.3 温度上昇概念
キャビネット内部空気の温度上昇をΔTとし,キャビネット表面の温度上昇をΔTsとすると,両者の関
係は,ΔTsがΔTの半分であると推定することが可能である。
TS=T2
ここで, TS : キャビネット表面の温度上昇
T : キャビネット内部空気の温度上昇
密閉キャビネットの場合,キャビネット内部温度上昇は平均温度とみなす。換気キャビネットの場合,
キャビネット排気空気の温度とみなす。
5.2.4 温度上昇値
キャビネットの許容温度上昇は,内部に実装されているコンポーネントが高温に耐えられるかどうかに
よって異なる。キャビネットの温度上昇を次に示す二つのレベル(単位K : ケルビン)に分類する。
通常温度レベル ΔT=10 K
拡張温度レベル ΔT=20 K

――――― [JIS C 62610-5 pdf 8] ―――――

                                                                                             7
C 62610-5 : 2021 (IEC 62610-5 : 2016)

5.3 自然空冷

  自然空冷の冷却性能は,密閉キャビネット−送風機なし,及び密閉キャビネット−送風機ありに適用可
能である。
自然空冷の冷却性能は,次の式で算出する。
QS=hS×A×TS
ここで, QS : キャビネット表面からの放熱量
hS : 表面の熱伝達率であり,8 W/(m2·K)とする。
A : 底面を除くキャビネット外面の表面積の合計
TS : キャビネット表面の温度上昇
注記 hSの値は,自然対流と放射との両方を含む。

5.4 自然換気冷却

  自然換気の冷却性能は,換気キャビネット−送風機なし,及び換気キャビネット−送風機付きサブラッ
ク(再循環)に適用することが可能である。自然換気の冷却性能は次の式で算出する。
Q=QS+QV
QS=hS×A×TS
QV=ρ×CP×u×AP×T
ここで, QV : 換気による放熱量
ρ : 周囲空気の密度であり,1.2 kgm3とする。
CP : 周囲空気の定圧比熱であり,1 005 J/(kg·K)とする。
u : 自然換気の空気流速
AP : キャビネット上面の表面積
T : キャビネット内部空気の温度上昇
流速uはキャビネット高さ及びキャビネット温度上昇に応じて変化し,図4によって決定する。
図4−キャビネット高さに対する自然換気流速
グラフは,通常温度レベル(温度上昇ΔT=10 K)及び拡張温度レベル(温度上昇ΔT=20 K)それぞれ

――――― [JIS C 62610-5 pdf 9] ―――――

           8
C 62610-5 : 2021 (IEC 62610-5 : 2016)
において,キャビネット高さの関数としての自然換気流速uを示している。技術的背景について附属書A
に示す。

5.5 強制空冷(強制換気)

  強制対流によって冷却される換気キャビネットの冷却性能は,次の式で算出する。強制空冷の冷却性能
は,キャビネット上面又は背面に換気用送風機を実装した換気キャビネットに適用する。
Q=QS+QV
QS=hS×A×TS
QV=ρ×CP×F×T
ここで, QV : 換気による放熱量
ρ : 周囲空気の密度であり,1.2 kgm3とする。
CP : 周囲空気の定圧比熱であり,1 005 J/(kg·K)とする。
F : キャビネット送風機の流量
T : キャビネットの排気温度上昇

5.6 冷却性能の計算例

  通常温度レベル及び拡張温度レベルにおける,各キャビネット冷却方法とキャビネットサイズに対する
冷却性能を表2に示す。密閉キャビネットにおいては,ΔTの示す温度はキャビネット平均温度であり,キ
ャビネット上部温度はこれより高いため,サブラック装置及びシャシー装置の実装配置を考慮する必要が
ある。
表2−冷却性能の計算例
単位 W
キャビネット寸法 通常温度レベルΔT=10 K 拡張温度レベルΔT=20 K
mm (5.2.4参照) (5.2.4参照)
W D H 自然空冷 自然換気 強制空冷 自然空冷 自然換気 強制空冷
幅 奥行 高さ 5.3参照 5.4参照 5.5参照 5.3参照 5.4参照 5.5参照
600 600 2 000 210 1100 3 600 410 2 900 7 100
800 900 2 200 330 2300 3 700 660 6 000 7 400
600 600 1 200 130 740 3 500 260 2 000 7 000
注記 強制空冷の冷却性能は,流量1 000 m3/h(0.28 m3/s)で算出している。

――――― [JIS C 62610-5 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS C 62610-5:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 62610-5:2016(IDT)

JIS C 62610-5:2021の国際規格 ICS 分類一覧