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C 62610-6 : 2021 (IEC 62610-6 : 2020)
附属書A
(規定)
ダミー熱負荷を用いた再循環の測定方法
A.1 目的
この附属書は,キャビネットに実装したDTL(ダミー熱負荷)の再循環率を測定することによって,キ
ャビネットの低温側(吸気側)と高温側(排気側)との熱的分離性能を評価する方法について規定する。
A.2 要求仕様
A.2.1 DTL
DTLが備えなければならない仕様を表A.1に示す。
表A.1−DTLの仕様
機能 仕様
対応規格 JIS C 6012-3-100又はJIS C 6010-1
装置高さ 10U(444.5 mm)以下
装置幅 440 mm以下
装置奥行 600 mm以下
発熱量 1U当たり100 W1 000 W
エアフロー向き 前面吸気,背面排気
エアフローの品質 排気流速分布が均等である。
放熱特性 ヒーターのふく(輻)射による放熱の影響が最小化されている。
排気温度上昇 10 K20 K
ファン配置 装置前面側に,装置内に均一な風が流れるよう配置されている。
ファン静圧 排気温度上昇条件を逸脱しない程度に十分に高い。
A.2.2 キャビネット仕様
キャビネットが備えなければならない仕様を次に示す。
a) キャビネットの各外装面のパネルは,実際に使用される状態で評価する。
b) ケーブル導入口などの吸気排気以外の開口部は,基本的には使用される状態を模擬して評価を行う。
ただし,再現が困難であるか,使用状態が不明である場合は,塞いで評価を行ってもよいが,評価時
の状態を明記する。
c) リアパネルの排気口は,キャビネット背面全体の面積に対して,開口率50 %以下として測定しなけれ
ばならない。測定対象のキャビネットのリアパネル開口率が50 %より大きい場合は,開口の一部を塞
ぐか,別のリアパネルに付け替えるかして,50 %以下になるように調整する。
d) キャビネットの元々備える部品以外の部材を用いて,短絡流路を塞いで測定を行ってはならない。キ
ャビネットのオプション部品として備える部品を適用した測定の場合は,その旨明記しなければなら
ない。
A.2.3 実験構成
a) ブランクパネル,サイドパネルなどの気密保護部品を取り付けて測定してもよいが,その旨を結果に
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C 62610-6 : 2021 (IEC 62610-6 : 2020)
明記しなければならない。
b) ケーブル導入導出によって発生する隙間,及びその隙間の気密保護部品の性能評価に関わる実験にお
いては,そのような実験構成を適用することも許容される。その場合も同様に,結果に明記しなけれ
ばならない。
c) キャビネットの実装可能スロットにわたって,DTLを実装しなければならない。
d) DTLは全て稼動させて測定しなければならない。
A.3 環境条件
a) 測定時の室温は,20 ℃25 ℃とする。
b) キャビネットの排気が吸気側に回り込んではならない。それを防止するために仕切板を設置してもよ
い。
A.4 測定箇所
A.4.1 DTL吸気温度
6.4.1に従い,DTLの吸気温度を測定する。
A.4.2 DTL排気温度
6.4.3に従い,DTLの排気温度を測定する。
A.4.3 キャビネット吸気温度
6.4.5に従い,キャビネット吸気温度を測定する。
A.4.4 キャビネット排気温度
6.4.6に従い,キャビネット排気温度を測定する。
A.4.5 サブラック再循環率の評価
温度測定結果に基づき,6.1の式を用いてRCsを算出し,サブラック再循環レベルを評価する。
A.4.6 キャビネット再循環率及びバイパス率の評価
温度測定結果に基づき,6.2及び6.3の式を用いてRCr及びBPrを算出し,キャビネット再循環レベルを
評価する。
A.5 測定例
DTLを実装したキャビネットの温度測定値を元に,サブラック及びキャビネット再循環率を測定した例
を示す。
キャビネット及びDTLの仕様を表A.2に示す。
キャビネット及びDTLの外観を図A.1及び図A.2に,温度測定点を図A.3図A.6に示す。
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C 62610-6 : 2021 (IEC 62610-6 : 2020)
表A.2−キャビネット及びDTLの仕様
機能 仕様
キャビネットサイズ WDH=600 mm×900 mm×2 000 mm
気密保護部品 サイドパネル,ブランクパネル,フランジフィラー,
ケージナット穴カバー
ケーブル導入口状態 床面,天面板による封止
リアパネル開口率 50 %開口
DTL実装台数 5台
DTL高さ 6U(JIS C 6012-3-100)
DTL外形サイズ WDH=430 mm×550 mm×266 mm
電源電圧 AC 200 V
発熱量 3 250 W
ファン 120 mm×4台
流量 463 m3/h
最大静圧 224 Pa
a) 前面 b) 背面
図A.1−DTLの外観図
図A.2−キャビネット及びDTLの測定構成
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C 62610-6 : 2021 (IEC 62610-6 : 2020)
単位 mm 単位 mm
注記 測定位置は6.4.1に適合している。 注記 測定位置は6.4.3に適合している。
図A.3−DTL吸気温度の測定点 図A.4−DTL排気温度の測定点
単位 mm 単位 mm
注記 測定位置は6.4.5に適合している。 注記 測定位置は6.4.6に適合している。
図A.5−キャビネット吸気温度の測定点 図A.6−キャビネット排気温度の測定点
表A.3は,各箇所の温度測定結果,各DTLのRCsの値及び各DTLのRCレベルの計算結果を示してい
る。
表A.4は,DTL全体のサブラック群としての平均温度及びキャビネットのRCr,BPr,及びRCレベルの
計算結果を示している。
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C 62610-6 : 2021 (IEC 62610-6 : 2020)
表A.3−試験結果
単位 ℃
測定対象 項番 TRi 平均値 項番 TRo 平均値
キャビネット 1 22.8 22.8 1 41.8 39.6
2 22.8 2 40.1
3 22.8 3 37.1
測定対象 項番 TSi 平均値 項番 TSo 平均値 RCs RCレベル
(%)
DTL 1 1 24.5 24.6 1 38.8 44.7 8.2 RL4
2 24.5 2 45.2
3 24.7 3 50.2
4 24.7 − −
DTL 2 1 24.6 24.7 1 38.8 43.9 8.8 RL4
2 24.8 2 46.6
3 24.6 3 46.4
4 24.8 − −
DTL 3 1 24.2 23.9 1 42.5 47.2 4.5 RL4
2 23.7 2 49.0
3 23.8 3 50.1
4 24.0 − −
DTL 4 1 23.4 23.1 1 37.1 44.5 1.2 RL4
2 23.3 2 48.9
3 22.9 3 47.6
4 22.7 − −
DTL 5 1 22.8 23.0 1 45.9 44.2 1.0 RL4
2 22.8 2 46.8
3 23.2 3 39.8
4 23.2 − −
表A.4−キャビネット再循環率及びキャビネットバイパス率
単位 ℃
測定対象 箇所 測定値 箇所 測定値 RCr BPr RCレベル
(%) (%)
DTLサブラック群 TRi 22.8 TRo 39.6 4.7 23.9 RL4
TSi 23.9 TSo 44.9
A.6 再循環率と吸気温度上昇との関係
温度上昇値ΔTE及びΔTIは,二つのタイプの温度上昇として象徴的に表される。サブラック吸気温度と
サブラック排気温度との間の温度上昇をΔTEとする。キャビネット吸気温度とサブラック吸気温度との間
の温度上昇をΔTIとする。これらの温度上昇は,次の関係式によって表現される。
ΔTE=TSo−TSi
ΔTI=TSi−TRi
サブラック再循環率RCsは,ΔTEとΔTIとを用いて次の式で表される。
RCS=TSi−TRi TI
TSo−TRi= TI+TE
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JIS C 62610-6:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 62610-6:2020(IDT)
JIS C 62610-6:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 31 : エレクトロニクス > 31.240 : 電子設備の機械的構造
JIS C 62610-6:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC6010-1:1998
- 電子機器用ラック及びユニットシャシのモジュラオーダ―第1部:通則 モジュラオーダ概念
- JISC6010-1:2021
- 電気及び電子機器実装の機械的構造 開発のためのモジュラーオーダー―第1部:基準規格
- JISC6012-3-100:2015
- 電子機器用の機械的構造―482.6mm(19in)シリーズの機械的構造寸法―フロントパネル,サブラック,シャシ,ラック及びキャビネットの基本寸法