JIS C 8513:2020 リチウム一次電池の安全性 | ページ 2

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3.12
大形素電池(large cell)
総質量が500 gを超える素電池。
3.13
(この規格では不要であり,不採用とした。)
3.13A
リチウム一次電池(primary lithium batteries)
負極作用物質がリチウムである非水溶液系電解液を用いた一次電池。
(出典 : IEV482-01-06)
3.14
公称電圧(nominal voltage)
電池系の固有な電圧に基づいて規定する電池電圧。
(出典 : IEV482-03-31)
3.15
開路電圧(open-circuit voltage,OCV)
外部回路へ電流が全く流れていないときの電池端子間の電圧。
(出典 : IEV482-03-32を一部修正。略語を追加,明確化のため定義の表現を変更)
3.16
(この規格では不要であり,不採用とした。)
3.16A
非円形電池
断面が円形ではない素電池又は電池。
注記 JIS C 8515に規定されている電池区分6参照。
3.17
保護素子(protective devices)
ヒューズ,ダイオード又はほかの電気的若しくは電子的に電流制御を行う素子で,電気回路において電
流の中断,電流の一方向化又は電流を制限することで電流の流れを阻止するもの。
3.18
(この規格では不要であり,不採用とした。)
3.18A
公称容量
製造業者が指定する条件に従って測定した素電池又は電池の容量で,製造業者が公表する値。
注記 対応国際規格の“rated capacity”と同じ定義をもつ用語として,この規格で採用した。
3.19
合理的に予見可能な誤使用(reasonably foreseeable misuse)
容易に予測できる人間の行動によって引き起こされる使用であるが,供給者が意図しない方法による電
池の使用。
(出典 : JIS Z 8051:2015,3.7を一部修正。対象を電池に限定して注記1及び注記2を除く。)
3.20
リスク(risk)

――――― [JIS C 8513 pdf 6] ―――――

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危害の発生確率及びその危害の度合いの組合せ。
(出典 : JIS Z 8051:2015,3.9を一部修正。注記を除く。)
3.21
安全(safety)
許容不可能なリスクがないこと。
(出典 : JIS Z 8051:2015,3.14)
3.22
未放電(undischarged)
素電池又は電池の放電されていない状態。

4 安全性に関する要求事項

4.1 設計

  リチウム一次電池は,化学組成(正極,負極及び電解液)及び内部構造(ボビン形及びスパイラル形)
によって分類する。また,形状には,円筒形,コイン形及び非円形がある。リチウム一次電池の安全性へ
の要求事項は,内部構造,形状,容量などによって異なるため,電池の設計段階においてそれら全ての安
全面を十分に考慮する。
リチウム一次電池の安全性に関する設計上の共通指針を,次に規定する。
a) 製造業者が決めた限界温度を超える異常な温度上昇を阻止する。
b) 電流の流れを遮断することによって,電池内部の温度上昇を制御する。
c) 電池内部の圧力が極度に上昇した場合に,電池内部のガスを外部に放出する弁などの導入によって,
輸送時,意図する使用又は合理的に予見可能な誤使用において,激しい破裂を防止する。
詳細は,附属書Aを参照。

4.2 品質計画書

  製造業者は,材料及び部品,素電池,並びに完成電池の検査手順を規定した品質計画書を作成する。そ
の品質計画書は,該当する電池の製造工程全てを網羅しなければならない。また,製品の安全性に関連す
る工程能力を把握し,必要な工程管理を実施することが望ましい。

――――― [JIS C 8513 pdf 7] ―――――

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5 試験項目及びサンプリング

5.1 試験の有効性

  リチウム一次電池は,この規格の要求に従って,試験を実施しなければならない。試験結果は,設計変
更又は要求事項が改正されるまで有効であり,次の場合は改めて試験を実施しなければならない。
a) 電池を構成している正極活物質,負極活物質又は電解液の質量において,0.1 g又はその質量の20 %
のいずれか大きい数量を超える変更を行った場合。
b) いずれかの試験において,試験結果の合否に影響を与えるような電池の仕様変更があった場合。
c) 新しい試験又は要求事項が追加される場合。
d) いずれかの試験において,試験結果の合否に影響を与えるような要求事項の変更がある場合。

5.2 試験試料数

  サンプルは,容認された統計的手法を用いて生産ロットから抜き取ることを推奨する。試験試料数は,
表1による。試験A試験Eでは,同じ素電池又は電池を繰り返し使用する。試験F試験Mでは,それ
ぞれの試験ごとに新しい素電池又は電池を使用する。
表1−試験試料数
単位 個
試験項目 放電状態 素電池又は1個の素電池から 複数個の素電池からなる電池
なる電池a)
試験A試験E 未放電 10 4
完全放電 10 4
試験F又は 未放電 5 5(構成素電池)
試験G 完全放電 5 5(構成素電池)
試験H 完全放電 10 10(構成素電池)
試験I試験K 未放電 5 5
試験L 未放電 20 b) −
試験M 50 %放電済み 20 c) −
75 %放電済み 20 d) −
− : 規定しない。
注記1 対応国際規格のこの注記は,様式に沿って注b)に移動した。
注記2 対応国際規格のこの注記は,様式に沿って注c)に移動した。
注記3 対応国際規格のこの注記は,様式に沿って注d)に移動した。
注a) 電池を構成する素電池が全ての試験に合格している場合,その結果を電池の試験結果として代用することが
できる。ただし,試験結果に影響を与えるような加工が行われた場合は,電池として再試験の実施が必要。
b) 4個の電池を直列に接続し,その中の1個を逆向きに接続する(5組)。
c) 4個の電池を直列に接続し,その中の1個を50 %放電済みの電池とする(5組)。
d) 4個の電池を直列に接続し,その中の1個を75 %放電済みの電池とする(5組)。

――――― [JIS C 8513 pdf 8] ―――――

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6 試験及び要求事項

6.1 一般

6.1.1 試験の適用
素電池及び電池に適用する試験は,表2による。
表2−試験の適用
電池の 試験項目
種類 意図する使用試験 合理的に予見可能な誤使用試験
A B C D E F G H I J K L M
s ○ ○ ○ ○ ○ ○a) ○a) ○ ○ ○ ○ ○b) ○c)
m ○ ○ ○ ○ ○ ○a) )○a) )○d) ○ ○ ○ − −
意図する使用試験の場合
A : 高度シミュレーション
B : 温度サイクル
C : 振動
D : 衝撃
合理的に予見可能な誤使用試験の場合
E : 外部ショート
F : 衝突
G : 圧壊
H : 強制放電
I : 異常充電
J : 自由落下
K : 高温使用
L : 逆装
M : 過放電
種類
s : 素電池又は1個の素電池からなる電池
m : 複数個の素電池からなる電池
試験の適用
○ : 適用
− : 非適用
注a) 試験Fは直径18 mm以上の円筒形電池に,試験Gは非円形電池,コイン形電池及び直径18 mm未満の円筒
形電池に適用する。
b) この試験は,一般の消費者が購入し,機器へ逆装されるおそれがあるCR17345(CR123A)及びCR15H270
(CR2)並びに電極がスパイラル構造である類似の電池に適用する。
c) この試験は,一般の消費者が購入し,新旧混用によって過放電されるおそれがあるCR17345(CR123A)及び
CR15H270(CR2)並びに電極がスパイラル構造である類似の電池に適用する。
d) この試験は,構成素電池に適用する。
6.1.2 警告通知
警告 この規格で規定する試験を実施するときは,身体に危害を与えるおそれがあるため,適切な予
防措置を講じなければならない。この規格の試験は,適切な要件を満たし,経験をもつ専門家
が,適切な保護装置を装備した上で実施しなければならない。
6.1.3 試験温度
特に指定がない限り,試験温度は20 ℃±5 ℃とする。

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6.1.4 パラメータの測定許容差
規定又は実際のパラメータについて,制御(管理)又は測定する値の総合的な精度の許容差は,次によ
る。
なお,この許容差には,使用する計測器及び測定技術の精度,並びに実際の試験でのその他全ての誤差
要因を含む。
a) 電圧 : ±1 %
b) 電流 : ±1 %
c) 温度 : ±2 ℃
d) 時間 : ±0.1 %
e) 寸法 : ±1 %
f) 容量 : ±1 %
6.1.5 予備放電
予備放電の必要な試験では,公称容量が得られる負荷抵抗又は製造業者が指定する負荷電流によって,
素電池又は電池を,規定の放電深度まで放電する。
6.1.6 試験用補助電池
試験用補助電池には,試験電池と同じ種類の素電池又は電池を使用する。可能な場合,試験用補助電池
には,試験電池と同じ製造ロットの素電池又は電池を使用する。

6.2 試験評価基準

6.2.1 ショート
素電池又は電池を試験したときに,試験後の開路電圧が試験直前の電圧の90 %未満に低下した場合,シ
ョートが発生したとみなす。この評価基準は,完全放電した素電池又は電池の試験には適用しない。
6.2.2 過度の温度上昇
素電池又は電池の外装ケースの温度が170 ℃を超えた場合,過度の温度上昇が発生したとみなす。
6.2.3 漏液
試験中に,素電池又は電池から電解液,ガス,その他の物質が目視で確認できるほど漏出した場合,漏
液とみなす。また,電池ケース,附属品又はラベル以外の物質が素電池又は電池から失われ,質量の減少
が表3に規定する質量減少率の最大値を超えた場合,漏液とみなす。
質量の減少率 一 侮 次の式による。
m1 m2
m m 100%
m1
ここに, m1 : 試験前の電池質量(g)
m2 : 試験後の電池質量(g)
電池質量の減少分(g)
表3−質量減少率の最大値
電池質量m 質量減少率 一 湧Y
g %
m< 1 0.5
1≦ m≦75 0.2
m>75 0.1

――――― [JIS C 8513 pdf 10] ―――――

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JIS C 8513:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60086-4:2019(MOD)

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